ひのえん!

Merle

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1-2. 小晴、兄に手コキする。

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 朝、目が覚めたら、世界が変わっていた。
 まるで大げさな詩歌のようだが、この日に限っては、ただの真実だった。

「夢だけど……」

 ただの夢ではなかったなぁ、と小晴は深く息を吸い込む。田舎の空気は、自宅で吸い込むものよりも濃いように感じた。
 小晴は夢の中で、先祖を名乗る女性――声で判断する限りは妙齢の女性――と邂逅した。そして、その女性からを授かった。
 もう少し正確に述べるならば、を使うための装置デバイスは初めから小晴の中に用意されてあった。ご先祖様もといお祖母ちゃんがしたのは、その装置を正しく認識するための感覚ドライバと、その感覚の使い方インターフェースのインストールだった。

「この力があれば、わたしは……できる」

 この力があれば、自分の胸や股間を弄るだけで満足しなくていい。もっともっと、興味のままに動いていい。欲しいものを求めていい――。

「そうと決まれば……!」

 小晴は田舎暮らしの五日間を、この力の完熟訓練に費やしたのだった。


 五日間の帰省を終えて戻ってきた小晴はその晩に早速、作戦を決行した。

「おにぃ、寝てる?」

 小晴は兄の部屋のドアを叩き、そっと呼びかける。ドアをノックする音がいやに大きく響いたのは、いつもなら階下で寛いでいる両親も、今夜は既に寝入っているからだ。
 時刻は午後十時を回ったところで、普段の小晴なら、もう布団に入って目を閉じているころだ。でも今日に限っては、八時過ぎには布団に入って二時間ほどの睡眠から目を覚ましたところだった。
 二階建ての一軒家である真夏雨家は、一階に共有スペースと両親の寝室があり、二階が子供部屋と納戸になっている。二階の自室にいる兄はいつものように黙々と勉強中だから、一階の両親が寝静まると、小晴には家が急に黙り込んだみたいに思えた。自室で勉強中の兄へとノックとともに呼びかけた声が弱々しかったのも、そんな心細さが反映されたからなのかもしれない。

「起きてるよ」

 ドア越しの返事があるや、小晴はドアを開けて部屋に入った。なお、小晴はいま、オレンジ色の地に人参柄の可愛いパジャマ姿だ。

「――おい、入っていいとはまだ言ってないぞ」
「じゃ、いま聞くね。入っていい?」
「もう入ってるだろ……まあ、いいけど」
「ほら、良かったじゃん。聞かなくて」
「倒置法かっ」

 などと無意味な会話をするくらいには、兄妹中は良いほうだ。
 兄の大晴ひろはるは、妹の小晴と四歳違いで、休み明けからは三年生だ。つまり受験生だ。大晴はいまのところ夜を勉強時間に充てて、放課後に帰宅してから夕食までの時間は妹の小晴と一緒にゲームしたりして過ごすことも多いけれど、受験生になったら、その時間もなくなるかもしれない。
 ともかく、そのくらい仲良しな間柄だから、大晴も小晴が部屋に入ってきたくらいで目くじらを立てたりはしなかた。

「で、どうした? 漫画か?」

 大晴はそう言いながら、本棚の一角を占めている少年漫画の単行本を見やる。でも、小晴は「ううん」と頭を振った。

「勉強を頑張ってるお兄に、ご褒美のマッサージしてあげようと思って」

 にっこりと笑いかける。
 小晴は五年生にしては発育がいいほうで、しなやかな身体には女性的な曲線が感じられる。顔だちにも子供らしさと少女らしさが同居していて、無邪気にはしゃいでいるかと思えば、不意打ちで女の顔を垣間見せてくる。そのギャップにドキッとさせられた男子の数は、同じクラスに留まらない。
 ――とまあ、そんな可愛い妹から笑顔を向けられた大晴だが、顔に浮かべたのは眉根を寄せた訝しげな表情だった。

「マッサージ? おまえ、そんなことできたっけ?」
「うん。向こうでお祖母ちゃんに教わってきたの」
「へぇ……田舎だと身体が凝ることも多いのかな」
「そうみたいだねぇ」

 勝手に納得した兄に頷きながら、小晴は兄のベッドに腰かける。そして、自分の隣をぽんぽんと掌で叩いて、机に向かっていた兄へこちらに来るよう促した。

「さ、ここ。寝て、寝て」
「……まあ、ちょっと肩とか背中とか凝ってる感じだし」

 兄は呼吸ひとつ分の間だけ逡巡したものの、椅子から立ち上がると、ベッドにうつ伏せで寝転がった。

「これでいいのか?」
「うん。それじゃあ、マッサージ始めるねぇ」

 小晴は少し潜めた声で告げると、ベッドの上で膝立ちになって兄の身体を跨ぐ。そうして兄の腰にぺたんと馬乗りになると、自分のよりもずっと大きな背中を見下ろした。
 真夏雨大晴。小晴より四歳上の兄で、身体はすっかり子供時代を脱している。といっても、けしてスポーツマン体型だったりするわけではない。ゲームと漫画とスマホと勉強が日常の、至ってインドア派な学生らしい小太り体型だ。そんな量産オタク体型に身に着けているのは、どちらもパイル地のLサイズのTシャツとハーフパンツで、ちょっとだぼだぼなのが大晴の身体をいっそう大きく見せている。
 ちなみに顔立ちのほうも量産型の十人並みだ。黒髪スポーツ刈りの眼鏡だ。

「ん……っしょ……」

 小晴の両手が、大晴の肩甲骨あたりをぎゅうっと圧す。

「んおぉ……」
「お兄、気持ちいいんだ?」
「おう……思ったよりも気持ちいい……」
「ふっふー。じゃ、もっといくねー」
「おっ、おおぅ……」

 小晴はうどんを捏ねるように、兄の背中にぐいっぐいっと両手で圧を掛けていく。その度に、大晴はオットセイみたいな声を出して、肺の空気を絞り出す。

「んっしょ、んっしょ」
「おっ、おぉ……」

 小晴の鋭い呼気と、大晴の間延びした吐息が、夜のベッドで静かに混ざる。

「お兄、肩上げて」
「おう……」

 大晴はうつ伏せのまま小晴に右腕を取られて、肩から二の腕までをもみもみと握るように揉み解されていく。その身体はだらんと脱力して、妹のマッサージにすっかり身を委ね切っていた。
 肩甲骨から始まったマッサージは首へと上がってから右肩、そして右手首までを揉み解し、その後は反対側の左肩から左手首までも同じようにする。そこまでやると、小晴の両手は改めて兄の肩口に戻ってくる。そして、兄のお尻に跨っている腰をずりずりと足のほうへ下げていきながら、兄の肩甲骨から腰のほうまで、うどんを捏ねるようにマッサージしていった。

「んおぉ……俺、思ったより凝ってたんだなぁ……」
「そーみたいだねー」

 何も疑っていない無防備な背中を、小晴の小さな両手がTシャツの上から、ぷにぷにと揉んでいく。
 大晴はすっかり心地好くなっていたから、妹の両手が大晴の程よく脂が乗った尻まで降りてきても、とくに気にした素振りを見せなかった。銭湯で全裸を晒し合うのが当然であるように、マッサージで尻に手が触れるのも当たり前のことだ――と自然にそう思えるほど、身も心も油断しきっていた。
 だから、小晴の両手がベッドとハーフパンツの隙間にするんっと差し込まれたときも、瞬間的に「このくらいマッサージなら普通だろ」と受け入れてしまった。「いや、さすがに股間はおかしくね?」と理性が働くまでに、二秒はかかってしまった。

「ちょっ……おい、小晴!?」

 妹を振り落すべく跳ね起きようとした大晴だが、

「【暴れちゃダーメ♥】」
「……ッ!?」

 小晴の囁きが耳元に降ってきた途端、大晴の身体はびくっと電気が走ったように硬直した後、くたっと塩を振られたように脱力してしまった。

「そうそう、それでいいの♥」

 うつ伏せで寝る兄の背中にべったりと抱きついて、その耳元で微笑する小晴。

「うひっ……!」

 妹の吐息に耳をくすぐられた大晴は、首をひくっと震わせて息を呑む。だけど、なぜだか身体を動かせない。力を入れても動かないのではなく、力が入らないのだ。まるで精魂尽き果てるまで運動した後のように、筋肉が言うことを聞いてくれなくなっていた。
 どうみても普通ではない現象に、大晴は錯乱する。ふとましい全身にぶわっと汗が滲む。

「お、い……こ、こは……」
「あはっ♥ だいじょーぶ、怖がんなくていーよ……♥」
「んんぉッ!!」

 小晴の小さな両手が、パイル地ハーフパンツとトランクスの上から、大晴の男性器ちんぽをそおっと優しく包み込む。

「おぉ……これが本物の……お兄の、ちんぽ……おっほー♥」

 興奮も露わに、鼻息を荒くする小晴。兄の股間を撫でる手つきだって、最初は卵を撫でるようにおっかなびっくりの手つきだったのが、あっという間に粘度と温度と湿度を上げて、十本の指をねっちゃり絡めて揉み扱く手つきになっている。

「んおっ、ちょっ……っ……お、おい……マジでっ、っ」
「はっ♥ はぁっ♥ やだこれ、ホントに硬く、おっきくなってきてる……うわぁ、うっわぁ♥」

 大晴の尻がぴくぴく揺れているけれど、できる抵抗はそれで精一杯だ。小晴を振り解くのには程遠い。それなのに股間のだけは、むくむくと元気いっぱい膨れ上がって、どっくどっくと脈打つことで小晴の指を押し返そうとする。

「うあぁ! これっ、マジ止め――」
「あ、お兄。【大声は禁止】ね」
「――うひゅッ」

 べつに大晴は意識して声を張り上げようとしたわけではなかったが、小晴が宣言した途端、喉から出かかっていた胴間声がぶつりと切れて吃逆しゃっくりみたいになった。

「おおぉ……? 小晴っ、これ、どうなって……んうぅッ!」
「そんなことより、お兄のちんちん……すっごいカチカチのパンパンだよ♥」
「うっ……っ、っふぅ……ッ……!」

 妹への疑念も、奥歯で嚙み潰すような呻き声にしかならない。大声にして逃がすことができない分、カチカチのパンパンに立ち上がってしまった肉棒ちんぽを揉み解される官能は大晴の下腹部にぐるぐると堆積していって、血の巡りをおかしくさせる。脳よりも股間に血が集まるせいで、理性あたま本能ちんこに負けていく。

「うぁ……うぅ……ッ」
「ね、お兄。もっとちゃんと触りたいから、【お尻を上げて】」

 大晴は小晴の声に逆らえない。逆らえないのだから仕方ない――というのを免罪符にして、大晴は自分から尻を浮かせた。
 尺取り虫のポーズになった大晴の股間を、小晴の両手がいっそうしっかりと握りしめる。その瞬間、大晴は「大声禁止」を守るために空咳を打つようにして嘶いた。

「おぁ!」
「あっ、強すぎた?」
「い……いや……」
「……あぁ、気持ち良くって声が出ちゃったんだ」
「うっ……!」
「駄目だよ、お兄。【気持ち良いときは気持ち良いって言うこと】。で……どう? 気持ち良い?」

 トランクスの中で熱々ギンギンになっている勃起ちんぽを、小晴の両手がむにむにと揉み解す。

「っ……あっ、っ……んぎっ、もぢいぃ……ッ!!」

 大晴は大声にならないようにわざと掠れさせた嗄れ声で、肉棒からせり上がってくる快感のままにキモチイイと鳴く。

「んっふぁ♥ お兄、可愛い……♥ そんなに気持ち良いんだ? わたしのお手々でおちんちんムニムニされるの……うふっ♥」

 兄の善がり声キモチイイを聞くたび、小晴の背筋を官能的な震えがゾクゾクっと這い上がってきて、脳を震わせる。振られた頭はコーラ缶みたいに溢れる脳汁でぱんぱんに膨れて破裂しそうだ。でも破裂しないのは、溜まった脳汁が血流に乗って股間まで流れ込み、そこの穴からどばどば溢れ出しているから。

「うはぁー♥ わたしのパンツぐしょぐしょになってるー♥ おまた全然触ってないのに、なにこれー♥」

 小晴は、ほら分かる? と言いたげな仕草で腰をくねりくねりと揺らして、パジャマと下着越しの股間を兄の臀部に擦りつける。

「ぎもっ、ち……わ、分かるかっ……あぁ! き、もぢっ、いぃ……ッ!」

 キモチイイと鳴きながら、シーツに顔を擦りつけるように頭を振る大晴。

「そっか。じゃあ、こうしたら分かるよね。【お兄、ズボンとパンツを脱がせるから協力して】」
「な……ッ!!」

 大晴は驚きに震えたけれど、その身体は妹の言葉に逆らえない。妹がハーフパンツとトランクスをまとめて引っ張るのに合わせて尻を揺らしたり、片膝ずつ持ち上げたりして、瞬く間にシャツ一枚を着ただけの下半身丸出し野郎になってしまった。

「わっ……おちんちんの生触感、やばぁ……ね、お兄。やばいよぅ♥」
「あ、あ、あぁっ……!」

 小晴の小さな手が、肉厚の男根を左右からぎゅっと包み込む。その弾みでがむにっと剥けて、露わになったカリの括れに、小晴の細い指がしっとりと絡みついてく。
 うつ伏せ尻上げポーズな大晴の背中に、負ぶわれるみたいに抱きついた小晴。兄の腰にまわした両手の中で、亀頭の付け根まで曝け出された仮性包茎ちんぽがひくひくと脈打ち、妹の指を振り解こうとする。だけど、小晴はそんなに甘くない。

「お兄のちんぽ、暴れちゃって……あはっ♥ 鰻みたい♥」

 小晴の両手はきゅっきゅっと瓶の蓋を捻るようにしながら上下に動いて、ちんぽの鈴口さきっぽからしとしと染み出す透明な粘液をちんぽ全体に塗り広げ、擦り込んでいく。

「おあっ、あっ!」
「ん? ……ここ? ね、お兄。ここが気持ち良いの?」
「きっ、きもちいっ……いぃ……ッ」
「そっかぁ。じゃあ、ここをもっとしてあげるね……えいっ♥ えいっえいっ♥」

 平常時は皮の中で蒸らされているカリ裏の括れを、小晴は我慢汁塗れの指できゅっきゅっと捻り込んでいく。

「あひっ! ……ひっ! いっ……ッ!」
「わ、わっ……お兄、そんなにお尻びっくんびっくんさせないでよ。わたし、落ちちゃうよぅ」

 を乗せない笑い声でも、大晴は反射的に従ってしまう。この短時間で何度も言霊で従わされたために、小晴の命令ことばを聞くと従おうとするように条件付けされてしまったみたいだ。

「うっ、っ……っ……!」

 カリの括れ弱いところを不慣れゆえの遠慮なさで責められる苦しさかいかんに、大晴は身動ぎを必死で我慢して耐える。

「あ、でも、キモチイイはちゃんと言ってね。でないと、わたし、分かんないからさぁ」
「……ッ! ……きっ、ぎっ、もち、ぢっ……いいぃ……ッ!!」
「うんうん♥ そんな感じで、どこをどう触ったら気持ち良いのか教えてねぇ」

 小晴の指はカリ首を捻るように擦りながら、掌は亀頭全体をぐりんぐりんと捏ねくりまわす。そのうちに親指が裏筋を捉えて、猫の喉をくすぐるみたいなタッチですりすりと撫で上げる。

「きっもちっ……きもちいっ、気持ちっ、っ、いっ、いいぃ……ッ!!」
「わたしのお手々、ねちょねちょだよ。これ、我慢汁って言うんでしょ。すごいね、こんなに出てくるんだね。あはっ♥」

 ネット知識で知ってはいたけれど、実際に手触りとして感じる生温いねちょねちょ感は気色悪いのに官能的で、小晴は眉間に縦皺を作りながら笑ってしまった。
 でも、大晴のほうは笑えない。妹の笑い声でうなじを擽られながら勃起ちんぽを剥かれて、扱かれて、汁塗れにされて、押し殺した掠れ声でキモチイイと鳴くしかできなくされている――。

「……う、うぁ、ぁ……んっぎい……ッ! っもぉおお――ッ!!」

 未体験の屈辱と快感が頭の中で白と黒のマーブル模様に溶け合って、茶色く濁ったカフェオレになる。それは背筋を伝って股間に流れ込み、括約筋の堤防を決壊させる。

「えっ、ちんぽ急にぱんぱんに膨れ――きゃっ、わわっ! なんか出たぁ!」

 小晴は手の中でぐわっと急膨張した勃起ちんぽにびっくりし、その直後に鈴口からを迸らせたことに、二重にびっくりさせられた。
 どっくん、どきゅんどきゅどっどっ――そんな擬音を付けたくなる力強さでビチビチと跳ねる勃起ちんぽを、小晴は咄嗟に両手でしかと握りしめる。

「んぁ――ッ……あっ、っ、いまさわっきひぃもひいぃ――ッ……!!」
「え、触んないで? 気持ち良い? え、どっち?」
「さわっきひっ、っんもぉっぢいいぃッ!!」
「あははっ♥ なに言ってんのか全然分かんないよぅ」

 小晴はけらけら笑いながら、ちんぽも扱き続ける。

「小晴、待って小晴! いまキモッ、ほんと待ッチイイってぇ……!」
「んー……キモチイイって言ってるけど、触るのをちょっと待っても欲しい……かな?」
「そ、そうっ!」

 小晴の呟きに、大晴は必死で頷いた。それでようやく、小晴は射精後ちんぽを扱くのを止めた。……でも、扱くのを止めただけで、ちんぽから手を離したわけではない。熱と硬さを放出した分だけ柔くなったちんぽを、両手でそっと包んでいるままだ。

「ね……お兄さ、これ、射精ってやつだよね? おちんちんが気持ち良くなると出ちゃうっていう、フグの白子みたいなものだよね?」
「そっ、っ……それは……」
「え、なに? 聞こえないよ」

 射精した分だけ頭が冷えた大晴は、小晴のあどけない追及に言葉を詰まらせてしまう。小晴はそれがお気に召さなかったようで、小声ながらも耳朶へ噛みつくようにして更に言い募った。

「お兄、おちんちんをわたしに揉み揉みしてもらって気持ち良かったから、びゅーって射精したんだよね? 違う? 違わないよね。ね……【射精した理由、正直に答えて】」
「あぁ……っ……こ、小晴に、ち、ちんぽ扱かれて……だ、駄目だって……止めさせなきゃいけないって、思ってたのに……なのに、気持ち良くって……っ……気持ち良いのが止まらなくて、射精するの恥ずかしいのに、我慢できなくてっ……あぁ! だからっ、っ……射精しちゃったんだ……あぁ!」
「え……お兄のおちんぽ、いま、わたしの手の中でむくむく膨らんでっているんだけど……なんで? わたし、お手々むにむにさせたりもしてないよね。なのに、なんで……ん? あれ? もしかして、お兄……射精した理由を答えるのが興奮したの?」
「……ッ」

 妹の素朴な疑問に、大晴はシーツに顔を深く押し付けてしまう。それを見れば、言霊を使う必要はなかった。

「なるほど、正解かぁ……お兄って、えむ、っていうやつ?」

 今度はからかいの混ざった疑問に、大晴は顔をシーツに埋めたまま、もごもごと答える。

「違うっ……かも、しれない……かも……」
「え、どっちー?」
「分からないよ。こんなの初めてだし……!」
「それもそっか」

 すんなり納得したかに見えた小晴だったが、

「じゃあ、分かるまでチャレンジだね」

 あっけらかんと、笑顔で言った。

「は――っふうぅんッ!?」

 大晴の甘く切ない、尾を曳くような粘っこい裏声の喘ぎ声。それは、まだ射精の余韻が抜けきらないでいる甘萎えちんぽを、小晴が容赦なく捏ねくり始めたからだ。

「あっ、っ……っ、っ……ッ!!」

 大晴のちんぽは人生で初めて他人の手に触られて、射精するまで扱かれたばかりだというのに、彼の初めてを奪った小さな両手は、たった一度の射精では彼を許してくれないのだ。
 白濁汁をシーツにたっぷりぶちまけた後も残り汁を青っ洟のように垂らしていた尿道口を、小晴の人差し指と中指がぐりぐりと穿ほじる。ときどき、くにくにと穴を潰すように揉んだかと思うと、その逆にくぱっと穴を拡げにかかってくる。そんなことをされれば、尿道の内側にこびり付いていた残り汁が否応なく搾り出されて、鈴口を弄ぶ小晴の指をねちょねちょに汚していく。

「うっわぁ……わたしのお手々、すっごい粘々ねばねばのぐちょぐちょ……っていうかさ、ぐちょぐちょって音がヤバいね。泡立ってるよね、ハンドソープで手洗いしているみたい♥ あはっ♥」

 大晴のちんぽは既に再勃起を果たしていて、射精一発目の残り汁を吐き尽くしても、続けて新たな先走り汁をとろとろに溢れさせている。勃起ちんぽの先端を中心に扱き続ける小晴の手には、その二種類の汁が混ざったものが五本の指の先から股まで、掌の筋の隅々に至るまで、隙間なく塗り込まれている。

「っ……んっあっ! あっ、っ! っ……っぎぃ♥ んもっ♥ おっ、おぅ……ぢいぃ」
「お兄、さっきから喘ぎすぎー♥ でも、わたしのお手々でこんなに気持ち良くなってくれるの、結構嬉しいし……もっと、くちゅくちゅしてあげるね♥」
「うぅんおぉ――ッ……!!」

 小晴の粘液に塗れた両手がいっそうの激しさと執拗さでもって大晴のちんぽを責め立てると、大晴は詰まりかけの排水溝が出す音みたいな濁った呻き声で喘ぐ。

「ふふっ……わたし、だんだん分かってきたかも。ね、こうでしょ?」

 小晴は左手で竿を握り、右手で亀頭を包み込む。そして手首を捻るように使って、フル勃起ちんぽ全体に泡立った先走り汁を擦り込んでいく。
 小晴の左手は陰茎の付け根を撫でさするように扱くついでに、熱を持った陰嚢のほうにも指を伸ばして、程よい重みを感じる睾丸を指でたぷたぷと弾ませる。
 亀頭を上から包んだ右手は、掌の窪みに亀頭の丸みを吸い付かせるようにして、鈴口からカリ首の裏側までを、手首を使ってぐるりんぐるりんと捏ねくりまわして泡立ち汁で滑々すべすべになるまで磨き込む。

「ふっ、うぅあぁ……っもおぉ……っぢいぃ……ッ……いっ、っ……イく……ッ」
「え? いく? ……あっ、射精しちゃいそうってこと?」
「そ、そう! そうっ!」

 きょとんと聞き返した妹に、必死の頷きで返す兄。

「そっか。じゃ、ストップだね」
「えっ、なんでッ!?」

 小晴が本当に両手の動きを止めてしまったことで、大晴は激しく動揺する。で声と動きを封じられていなかったら、小晴に大声で詰め寄っていたことだろう。

「なんでって……だってお兄、まだ分かってないでしょ。自分がなのかどうか」
「あ……」

 そういえばそんな理由で射精後ちんぽを強制勃起&亀頭責めされていたのだった、と大晴は言われてようやく思い出す。つい数分前のことが頭から飛んでしまうくらい、その快感は強烈で狂おしいものだった。
 気持ち良すぎて脳が痛みと誤認しそうになるから一度止めてほしい、一旦休ませてほしい――そう思っていたはずなのに、いざ本当に手を止められた瞬間、大晴の脳裏で弾けた思いは「なんで止めるの!?」だった。
 だから、大晴の口は当然のように――自分が何を思ったのかを理解するよりも先に、こう言っていた。

「エムです。マゾです。僕はドエムのドマゾです! 認める。認めるから、早く、もっと――ちんぽ苛めてください!!」

 ……妹に向かって、敬語で、懇願おねだりしていた。

「えぇー……」

 小晴はドン引きだった。それが分からないほど、大晴は追い詰められていた。

「お願いします。お願いしますからっ、早く! イかせてっ……射精! させて! 射精えぇッ!!」
「う、うん……」

 小晴は兄の掠れ声での訴えに気圧されつつも、両手で捻り上げるような手扱きを再開させる。
 左手で竿の根本を扱きながら右手で亀頭を捏ねくると、ちんぽが内側から爆ぜるように急膨張するのはあっという間だった。

「あっ、あっ、あ、ぁ……っはあああぁ――ッ!!」

 どくんっどぶんっ、と激しく脈打つちんぽから、ついさっき射精したばかりだとは思えないほど大量の精液がシーツにぶちまけられた。

「……へっ!?」

 射精ちんぽを握ったまま、それが脈打つ感触を味わっていた小晴は、手の中の感触が急になくなっていくのに気づいて驚いた。

「え、え? お兄のちんちん、縮んで……えぇッ!?」

 異変が起きたのは男性器だけではなかった。大晴の全身が、まるでピントが外れたかのようにた。小晴は自分の目が信じられなくて大きく瞬きをした。
 閉じた瞼を開けると、ピントが戻っていた。だから小晴は、いまのは自分の目が霞んだだけだったのだな、と思いそうになった。でも、じわじわと違和感に気がついていく。
 大晴は尻だけ上げたうつ伏せポーズを取っていて、小晴はその背中に圧し掛かるみたいに――というか後背位するみたいに抱きついて腰に両手をまわしているわけだが……ピントがずれるような見えた前と後とで、明らかに抱いている兄の身体の感触が違うのだ。

「……お兄、なんか急に、腰が細くなった……あれ? 背中もひとまわり小さくなってるような……あれ? ん? というか、さっきから……おちんちんが見つからないんだけど……え、あれ? おちんちんが無いのに、割れ目が……ある!?」

 兄の股間をずっと弄っていた小晴は、さすがに気づいた。ばっと飛び上がるように兄から離れると、兄をこてんと横向きにひっくり返して仰向けにさせた。
 大晴はぶかぶかのTシャツ一枚だったが、そのぶかぶかな裾がいい感じにミニスカっぽく股間を隠している。

「えいっ」

 小晴がその裾を捲り上げると……

「……無いっ!」

 そこに、小晴がさっきまでたっぷり苛めて扱いて可愛がってあげていた男性器は存在せず、代わりにすっと縦筋の走った土塁のような膨らみになっているのだった。
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