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1章
27-4. 聖誕祭 ロイド ★
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「あっ……ん……」
アンの唇から零れる密やかな吐息が、俺のうなじを擽る。
いま、俺は毛皮の絨毯に胡座を掻いて、膝の上に乗せたアンと抱き合った体勢で繋がっていた。一言で言うなら、対面座位してた。
二人とも全裸になっているのに、興奮のせいで寒くない。
アンは俺の首に両手で縋りつき、俺の肩口に顎を乗せている。俺の両手はアンの小さな尻を抱えている。臀部の丸みを、両手で丸を描くように撫でまわしている。撫でまわすだけでなく、ときどき薄い尻肉をぎゅっと鷲掴みにしては、アンの身体ごと持ち上げて落とすという単純な行為を続けている。
「んっ、っ……っは……」
俺が両手で尻を持ち上げるのに合わせて、アン自身も腰を浮かしては落とし、と繰り返している。そしてその度に、アンの尻と俺の腰とがぶつかって、ぱちんっぱちんっと水面を手の平で叩くような音が立つ。そこへさらに、アンの愛らしい喘ぎがさらに重なる。
「あぁ……あっ、っ……ん……!」
啜り泣くようなアンの嬌声は、自分が悪いことをしているような気になってしまう。だけど、俺の両手に支えられている小さな尻の踊りっぷりは、アンがこの性交を楽しんでいることを伝えてきている。
「あっ、あ……ロイドさんの、硬い……あぁ、気持ち、いっ……」
「っ……そういう感想、いちいち言わなくていいんだが」
硬いとか言われて俺のほうが恥ずかしくなり、そう言ったのだが、アンは意外そうな声を漏らす。
「ふぇ? でも、アルカさんが……」
「……そういうこと言うと男は喜ぶ、とでも吹き込まれたか」
「はい……違うんですか?」
「……違わなくもない」
「ですよね……♥」
微笑したアンが、俺の両手に自分から尻を擦りつけるように腰をくねらせる。その腰使いに合わせて蜜の染みた柔肉がうごめき、肉棒をぎゅっと搾るように締め上げてくる。
「うっ……!」
思わず呻いた俺の耳朶を、またしてもアンの微笑がくすぐる。
「ふふっ……ほら、また。わたしの中で硬いのが、ぎゅんって跳ねまし……あっ♥ また……ふふっ」
「これは、おまえがいま締めつけたからで――」
そう反論したら、アンが三度、華奢な背中を艶めかしく震わせて笑い出した。
「ふ、ふふっ……!」
「……何がおかしいんだよ」
「だって、アルカさんの言うとおりだったから……ふふっ」
「有瓜の? あいつ、なんて言ってたんだ?」
「男のひとは恥ずかしくなると、おまえの身体が気持ちいいからだーとか言って誤魔化しにかかるんですよ……って」
「有瓜……」
あいつが言いそうなことだ。
でもな、有瓜。ひとつ間違っているぞ。
「アン。べつに誤魔化しで言ってるわけじゃないからな」
「え……?」
「本当に気持ちいいから、気持ちいいと言ったんだ」
「あ、あぅ……」
アンの両手に力が籠もる。顔は見えないけれど、太ももで俺の腰をぎゅっと挟み込んでくる態度や、肉棒の根元から先へと波打つように肉襞を絡みつかせてくる膣の反応だけで、アンがどんな表情をしているのかはありありと想像できた。
それに――
「うはぁ……アンもこういう顔すんだな。っつか、妹の恥ずかしがってる顔をこうやって改めて見るってのは、こっちまで恥ずかしくなるな」
それまでずっと黙って抱き合っている俺たちを観察していたシャーリーが、感に堪えないといった面持ちで、アンがどんな顔をしているのか語ってくれた。
「お姉ちゃん、感想言わなくていいからぁ……!」
アンは姉の目から身を隠そうとするように、俺の身体にぎゅっとしがみつく。アンもそれなりに胸があるんだよなぁ、と身をもって感じる。もっとも、こうして密着されないと柔らかさを実感できない程度の大きさではあるが。
「あぁ……悪ぃな、アン。けどほら、いつもはあたいも隣を気にしている余裕がねぇから、なんつーか新鮮でさぁ」
「新鮮って……わたし、野菜でもお魚でもないのに……うぅ、恥ずかしいよぅ」
「うぉ!?」
と呻き声を上げたのは俺だ。アンの恥じらう仕草が、俺のものをきつく締めつけながら腰を捻る動作になったからだ。
「んっ……アン、ちょっと締めすぎだ……ろ!」
俺は呻いてしまったことへの照れ隠しに、控え目な臀部の肉にぎゅっと指を食い込ませた。
「ひゃう!」
アンは背筋をますます反らせて、喉の奥から甘い喘ぎを搾り出す。
「うおっ、また締めてきた」
「ロイドさんが変なことするから!」
「はははっ」
アンは俺の両肩を押し退けようとするみたいに両腕を突っ張って、笑っている俺を正面から睨んでくる。もっとも、羞恥で赤く染まった顔は怖いどころか、愛らしいとしか思えないけど。
「あ……こんなに近くからきみの顔を見たの、初めてかも……おっと!?」
俺が呟いた途端、アンは急にまたしがみついて、顔を俺の肩に埋めてきた。
「アン、どうした?」
「ロイドさんがいきなり恥ずかしいこと言うから……!」
「普通のことを普通に言っただけだと思うんだが?」
「……そんなことなかったです!」
「おわっ!? っ……おまっ、急に腰を使うな、よ!」
「お返しっ、ですっ……んっ、ふっ……ふふっ」
アンは俺の首筋を笑い声でくすぐりながら、小振りなお尻を蜜蜂のように踊らせる。ぎゅちゅっ、ぎゅちゅっと濡れたゴムを擦り合わせるような音がする結合部から走った甘い痺れが背筋を駆け上って、脳天でバチッバチッと火花を咲かせる。
「ぐっ、っ……アン……っ……!」
俺は自然と歯を食いしばり、呻き声を漏らしている。
「あっ、ひゃっ……あぁ! 気持ちっ、い、ぃ……うあぁ!」
アンの口からも、鼻にかかった甘い声がひっきりなしに溢れている。
俺とアンの声が重なり、混ざり合う。声だけでなく、汗の匂いと体温、それに粘膜から染み出る体液までもが混ざり合い、ひとつに溶け合っていく。
「すげぇ……」
すぐそこで、誰かがぐびりと唾を飲み込んでいる。ああ、シャーリーか。そういえば、そこで見ていたんだった。忘れていた。
シャーリーはアンの姉で、俺の元彼女(?)で――そんな女性が見ていることも忘れて、俺はアンとのセックスを貪っている。俺自身が最近めっきりご無沙汰だったことも理由のひとつだとは思うが、一番の理由は有瓜たちだ。祭壇の中央部でゴブリンたちと組んず解れつしている有瓜の善がり声が悪いのだ。
祭壇の高い天井にわんわんとこだまする獣の遠吠え……いや、求愛の呼び声が、俺とアン、それにシャーリーの頭から理性というものを吹き飛ばしてしまったのだ。そのせいで、俺はこんなにも獣みたいな欲情一直線のセックスというか交尾をしてしまっているのだ。
「はっ! ひっ! ひあぁ、ロイっ……あぁ! 深いっ、いぃ!」
いつの間にか、俺はアンの細腰をがっちりと抱き締めている。姿勢も対面座位から屈曲位になって、毛皮の床敷きに寝かせたアンの、大股開きで持ち上げられた股間の中心にガンガンと腰を叩きつけている。
「うっ、っ……! うぁ……アン、もう少しだからっ、っ!」
何がもう少しなのかは言わずとも伝わったようで、窮屈な体勢で息も絶え絶えに悶えているアンの肉壺が、見えない手でぎゅっと握り締められたように窄まる。
「うおっ!? アン、っ……あっ! ああっ!」
急速に込み上げてくる煮えたぎった衝動が求めるまま、俺はアンの股間に自分の腰をぐりぐり押しつけて、少しでも深いところまで亀頭を届かせようとする。それは、少しでも受精の確率を上げようとする牡の本能だ。
――って、
「ヤバっ……ううぁ――ッ!!」
「きゃああぁッ!!」
中出しはヤバいだろ、と咄嗟に肉棒を引き抜いた瞬間、カリ首に食いついた膣肉の刺激が止めとなって、俺は盛大に射精した。
「きゃっ……あ、あぁ……お腹、熱いの、かかって……んぅ♥」
勃起状態の肉棒を乱暴に引っこ抜かれた衝撃で手足を引き攣らせていたアンの柔らかな下腹や、慎ましやかな乳房に、俺の白濁が飛び散っていく。しばらくぶりの射精は、中身入りのペットボトルを倒したときのようにどぽどぽと続いて、アンの口元にまで白濁をこびり付かせた。
「はあっ……ぁ……ロイドさん、すごい、いっぱい……」
アンは上気した頬を緩ませ、半開きの唇から掠れた呼気を漏らしながら、恍惚の表情で呟く。
俺は汗ばんだアンの尻をゆっくりと絨毯に下ろしてやる。
「ん……まあ、俺も溜まってからな」
「……そっか。ロイドさんは相手がいないから……あっ」
何気なく言いかけたアンが、慌てて口を継ぐんだ。
「いいよ、べつに。そこは言っちゃ駄目なことでも何でもないから」
俺は笑ってそう言った。もっとも、苦笑じみた笑いになっていたかもしれないが。
おっと、そういえば元相手のシャーリーは? さっきから声もしないから存在を忘れかけていたぞ――と思いつつ向けた視線は、シャーリーを捉えたところで固まった。
「うっ、はうぅ……そこぉ……ロイド、もっとぉ……」
シャーリーは股間に両手を当てて土下座するみたいに突っ伏した姿勢で、オナニーしていた。
「シャーリー……」
俺の思わず漏らした声に、どこか遠くを見ていたシャーリーの両目が、はっと焦点を取り戻す。
「え……ロイド……あっ! ちっ違ぇんだこれは!」
シャーリーは後背位をねだるような姿勢で固まったまま、表情を真っ赤にさせて捲し立てる。
「お姉ちゃん、その格好での言い訳は無理すぎるよ……」
開いた口が塞がらないでいる俺の代わりに、アンが言ってくれた。それを聞いたシャーリーの顔はますます赤くなる。篝火に照らされているせいもあって、今にも火を噴きそうな赤らみっぷりだ。
「いっ、言い訳じゃねぇし!」
シャーリーは電光石火の動きで背を伸ばして、普通の姿勢で座り直す。そこに、アンがいつになく意地の悪い顔をして話しかける。
「じゃあ、お姉ちゃんは股間にお手々を当てて何をやってたの?」
「それはほら……あっ、あれだ、あれ」
「オナニーでしょ」
「ばっ……違ぇし!」
「違うんなら、じゃあ、何してたの?」
「そっ、それはだから……あっ、お祈りだよ! 祭りと言ったらご神体を拝むもんだろ。あたいはいま、それをやってたんだ」
「ふぅん……じゃあ、さっきの格好がお祈りするときの正式な格好なんだ?」
「お、おう」
「なら、これからお祈りするときは、かならずさっきの格好にならないとだね」
「え……」
「ご飯の前と寝る前のお祈り、ちゃんとその格好でしてね」
「ま、待て。なんでそうなんだよ――」
「お姉ちゃんがつまんない嘘を吐くからだよ」
「なっ……」
シャーリーはさすがに表情を険しくしたが、アンは取り合うことなく、のっそりと腰を上げる。そしてそのまま、倒れ込むようにして姉に抱きついた。
「なっ、わ……アン? なんだよ、いきなり……」
アンの小柄な身体を受け止めたシャーリーは、手の平と肘で後退るようにして、ゆっくりと押し倒されていく。
「っ……アン、おまえ本当に何なんだよ?」
「べつにぃ。ただ、お姉ちゃんが素直になれるお手伝いをしてあげるだけぇ」
「はぁ? 意味分かんねぇ……もういいから、早く退いてくれ」
シャーリーはアンの肩を叩いてそう言うのだが、アンは覆い被さったまま動こうとしない。
「おい、アン。いい加減、怒るぞ」
だけど、アンはシャーリーを無視して俺を見上げる。
「さあ、ロイドさん。やっちゃってください」
「え……えっ!?」
俺は疑問のえに続いて、驚きのえを発する。
シャーリーもアンが何を言わんとしているか理解したようで、顔を再び、羞恥で真っ赤に染めていく。
「ちょっ、アン!? あんたマジなに言ってのさ!?」
慌てて妹の裸身を押し退けようとしたシャーリーだったが、アンがまるでキスしようとするかのようにして姉の頬へ自分の頬を押しつけ、黙らせた。そして、顰めた声で言う。
「ねえ、お姉ちゃん。こうして押さえ込まれていたら、発情しているロイドさんに何をされちゃっても仕方ないことだよね」
「え……あっ……」
彼女のえに続いたのは、理解のあだった。
というか、二人は内緒話のつもりだったのかもしれないが、俺の耳にもこうしてはっきり聞こえているわけなんだが……いや、アンは俺にも聞かせるつもりで言っているのか? すごく、そんな気がする。
「あ……ああ、確かにそうだな。これじゃ、逃げられない……な」
シャーリーが自分に言い聞かせるように呟いて、俺を見る。揺らめく薄明かりのなか、とても色っぽい。恥じらいと期待を湛えて潤んだ眼差しは、俺の胸にとすんと刺さった。
「……そうだな。逃げられないな」
俺は二人のほうに近付いて手を伸ばして、シャーリーの頬を撫でる。
「あ……」
シャーリーが小さく息を呑む。
指先から伝わってくる頬の熱が、俺の脳裏にわだかまっていた後ろめたさの最後の一欠片を溶かした。
前戯の必要はなかった。直前まで自慰に耽っていたシャーリーの秘所は、十分すぎるくらいに濡れそぼっていた。
アンの唇から零れる密やかな吐息が、俺のうなじを擽る。
いま、俺は毛皮の絨毯に胡座を掻いて、膝の上に乗せたアンと抱き合った体勢で繋がっていた。一言で言うなら、対面座位してた。
二人とも全裸になっているのに、興奮のせいで寒くない。
アンは俺の首に両手で縋りつき、俺の肩口に顎を乗せている。俺の両手はアンの小さな尻を抱えている。臀部の丸みを、両手で丸を描くように撫でまわしている。撫でまわすだけでなく、ときどき薄い尻肉をぎゅっと鷲掴みにしては、アンの身体ごと持ち上げて落とすという単純な行為を続けている。
「んっ、っ……っは……」
俺が両手で尻を持ち上げるのに合わせて、アン自身も腰を浮かしては落とし、と繰り返している。そしてその度に、アンの尻と俺の腰とがぶつかって、ぱちんっぱちんっと水面を手の平で叩くような音が立つ。そこへさらに、アンの愛らしい喘ぎがさらに重なる。
「あぁ……あっ、っ……ん……!」
啜り泣くようなアンの嬌声は、自分が悪いことをしているような気になってしまう。だけど、俺の両手に支えられている小さな尻の踊りっぷりは、アンがこの性交を楽しんでいることを伝えてきている。
「あっ、あ……ロイドさんの、硬い……あぁ、気持ち、いっ……」
「っ……そういう感想、いちいち言わなくていいんだが」
硬いとか言われて俺のほうが恥ずかしくなり、そう言ったのだが、アンは意外そうな声を漏らす。
「ふぇ? でも、アルカさんが……」
「……そういうこと言うと男は喜ぶ、とでも吹き込まれたか」
「はい……違うんですか?」
「……違わなくもない」
「ですよね……♥」
微笑したアンが、俺の両手に自分から尻を擦りつけるように腰をくねらせる。その腰使いに合わせて蜜の染みた柔肉がうごめき、肉棒をぎゅっと搾るように締め上げてくる。
「うっ……!」
思わず呻いた俺の耳朶を、またしてもアンの微笑がくすぐる。
「ふふっ……ほら、また。わたしの中で硬いのが、ぎゅんって跳ねまし……あっ♥ また……ふふっ」
「これは、おまえがいま締めつけたからで――」
そう反論したら、アンが三度、華奢な背中を艶めかしく震わせて笑い出した。
「ふ、ふふっ……!」
「……何がおかしいんだよ」
「だって、アルカさんの言うとおりだったから……ふふっ」
「有瓜の? あいつ、なんて言ってたんだ?」
「男のひとは恥ずかしくなると、おまえの身体が気持ちいいからだーとか言って誤魔化しにかかるんですよ……って」
「有瓜……」
あいつが言いそうなことだ。
でもな、有瓜。ひとつ間違っているぞ。
「アン。べつに誤魔化しで言ってるわけじゃないからな」
「え……?」
「本当に気持ちいいから、気持ちいいと言ったんだ」
「あ、あぅ……」
アンの両手に力が籠もる。顔は見えないけれど、太ももで俺の腰をぎゅっと挟み込んでくる態度や、肉棒の根元から先へと波打つように肉襞を絡みつかせてくる膣の反応だけで、アンがどんな表情をしているのかはありありと想像できた。
それに――
「うはぁ……アンもこういう顔すんだな。っつか、妹の恥ずかしがってる顔をこうやって改めて見るってのは、こっちまで恥ずかしくなるな」
それまでずっと黙って抱き合っている俺たちを観察していたシャーリーが、感に堪えないといった面持ちで、アンがどんな顔をしているのか語ってくれた。
「お姉ちゃん、感想言わなくていいからぁ……!」
アンは姉の目から身を隠そうとするように、俺の身体にぎゅっとしがみつく。アンもそれなりに胸があるんだよなぁ、と身をもって感じる。もっとも、こうして密着されないと柔らかさを実感できない程度の大きさではあるが。
「あぁ……悪ぃな、アン。けどほら、いつもはあたいも隣を気にしている余裕がねぇから、なんつーか新鮮でさぁ」
「新鮮って……わたし、野菜でもお魚でもないのに……うぅ、恥ずかしいよぅ」
「うぉ!?」
と呻き声を上げたのは俺だ。アンの恥じらう仕草が、俺のものをきつく締めつけながら腰を捻る動作になったからだ。
「んっ……アン、ちょっと締めすぎだ……ろ!」
俺は呻いてしまったことへの照れ隠しに、控え目な臀部の肉にぎゅっと指を食い込ませた。
「ひゃう!」
アンは背筋をますます反らせて、喉の奥から甘い喘ぎを搾り出す。
「うおっ、また締めてきた」
「ロイドさんが変なことするから!」
「はははっ」
アンは俺の両肩を押し退けようとするみたいに両腕を突っ張って、笑っている俺を正面から睨んでくる。もっとも、羞恥で赤く染まった顔は怖いどころか、愛らしいとしか思えないけど。
「あ……こんなに近くからきみの顔を見たの、初めてかも……おっと!?」
俺が呟いた途端、アンは急にまたしがみついて、顔を俺の肩に埋めてきた。
「アン、どうした?」
「ロイドさんがいきなり恥ずかしいこと言うから……!」
「普通のことを普通に言っただけだと思うんだが?」
「……そんなことなかったです!」
「おわっ!? っ……おまっ、急に腰を使うな、よ!」
「お返しっ、ですっ……んっ、ふっ……ふふっ」
アンは俺の首筋を笑い声でくすぐりながら、小振りなお尻を蜜蜂のように踊らせる。ぎゅちゅっ、ぎゅちゅっと濡れたゴムを擦り合わせるような音がする結合部から走った甘い痺れが背筋を駆け上って、脳天でバチッバチッと火花を咲かせる。
「ぐっ、っ……アン……っ……!」
俺は自然と歯を食いしばり、呻き声を漏らしている。
「あっ、ひゃっ……あぁ! 気持ちっ、い、ぃ……うあぁ!」
アンの口からも、鼻にかかった甘い声がひっきりなしに溢れている。
俺とアンの声が重なり、混ざり合う。声だけでなく、汗の匂いと体温、それに粘膜から染み出る体液までもが混ざり合い、ひとつに溶け合っていく。
「すげぇ……」
すぐそこで、誰かがぐびりと唾を飲み込んでいる。ああ、シャーリーか。そういえば、そこで見ていたんだった。忘れていた。
シャーリーはアンの姉で、俺の元彼女(?)で――そんな女性が見ていることも忘れて、俺はアンとのセックスを貪っている。俺自身が最近めっきりご無沙汰だったことも理由のひとつだとは思うが、一番の理由は有瓜たちだ。祭壇の中央部でゴブリンたちと組んず解れつしている有瓜の善がり声が悪いのだ。
祭壇の高い天井にわんわんとこだまする獣の遠吠え……いや、求愛の呼び声が、俺とアン、それにシャーリーの頭から理性というものを吹き飛ばしてしまったのだ。そのせいで、俺はこんなにも獣みたいな欲情一直線のセックスというか交尾をしてしまっているのだ。
「はっ! ひっ! ひあぁ、ロイっ……あぁ! 深いっ、いぃ!」
いつの間にか、俺はアンの細腰をがっちりと抱き締めている。姿勢も対面座位から屈曲位になって、毛皮の床敷きに寝かせたアンの、大股開きで持ち上げられた股間の中心にガンガンと腰を叩きつけている。
「うっ、っ……! うぁ……アン、もう少しだからっ、っ!」
何がもう少しなのかは言わずとも伝わったようで、窮屈な体勢で息も絶え絶えに悶えているアンの肉壺が、見えない手でぎゅっと握り締められたように窄まる。
「うおっ!? アン、っ……あっ! ああっ!」
急速に込み上げてくる煮えたぎった衝動が求めるまま、俺はアンの股間に自分の腰をぐりぐり押しつけて、少しでも深いところまで亀頭を届かせようとする。それは、少しでも受精の確率を上げようとする牡の本能だ。
――って、
「ヤバっ……ううぁ――ッ!!」
「きゃああぁッ!!」
中出しはヤバいだろ、と咄嗟に肉棒を引き抜いた瞬間、カリ首に食いついた膣肉の刺激が止めとなって、俺は盛大に射精した。
「きゃっ……あ、あぁ……お腹、熱いの、かかって……んぅ♥」
勃起状態の肉棒を乱暴に引っこ抜かれた衝撃で手足を引き攣らせていたアンの柔らかな下腹や、慎ましやかな乳房に、俺の白濁が飛び散っていく。しばらくぶりの射精は、中身入りのペットボトルを倒したときのようにどぽどぽと続いて、アンの口元にまで白濁をこびり付かせた。
「はあっ……ぁ……ロイドさん、すごい、いっぱい……」
アンは上気した頬を緩ませ、半開きの唇から掠れた呼気を漏らしながら、恍惚の表情で呟く。
俺は汗ばんだアンの尻をゆっくりと絨毯に下ろしてやる。
「ん……まあ、俺も溜まってからな」
「……そっか。ロイドさんは相手がいないから……あっ」
何気なく言いかけたアンが、慌てて口を継ぐんだ。
「いいよ、べつに。そこは言っちゃ駄目なことでも何でもないから」
俺は笑ってそう言った。もっとも、苦笑じみた笑いになっていたかもしれないが。
おっと、そういえば元相手のシャーリーは? さっきから声もしないから存在を忘れかけていたぞ――と思いつつ向けた視線は、シャーリーを捉えたところで固まった。
「うっ、はうぅ……そこぉ……ロイド、もっとぉ……」
シャーリーは股間に両手を当てて土下座するみたいに突っ伏した姿勢で、オナニーしていた。
「シャーリー……」
俺の思わず漏らした声に、どこか遠くを見ていたシャーリーの両目が、はっと焦点を取り戻す。
「え……ロイド……あっ! ちっ違ぇんだこれは!」
シャーリーは後背位をねだるような姿勢で固まったまま、表情を真っ赤にさせて捲し立てる。
「お姉ちゃん、その格好での言い訳は無理すぎるよ……」
開いた口が塞がらないでいる俺の代わりに、アンが言ってくれた。それを聞いたシャーリーの顔はますます赤くなる。篝火に照らされているせいもあって、今にも火を噴きそうな赤らみっぷりだ。
「いっ、言い訳じゃねぇし!」
シャーリーは電光石火の動きで背を伸ばして、普通の姿勢で座り直す。そこに、アンがいつになく意地の悪い顔をして話しかける。
「じゃあ、お姉ちゃんは股間にお手々を当てて何をやってたの?」
「それはほら……あっ、あれだ、あれ」
「オナニーでしょ」
「ばっ……違ぇし!」
「違うんなら、じゃあ、何してたの?」
「そっ、それはだから……あっ、お祈りだよ! 祭りと言ったらご神体を拝むもんだろ。あたいはいま、それをやってたんだ」
「ふぅん……じゃあ、さっきの格好がお祈りするときの正式な格好なんだ?」
「お、おう」
「なら、これからお祈りするときは、かならずさっきの格好にならないとだね」
「え……」
「ご飯の前と寝る前のお祈り、ちゃんとその格好でしてね」
「ま、待て。なんでそうなんだよ――」
「お姉ちゃんがつまんない嘘を吐くからだよ」
「なっ……」
シャーリーはさすがに表情を険しくしたが、アンは取り合うことなく、のっそりと腰を上げる。そしてそのまま、倒れ込むようにして姉に抱きついた。
「なっ、わ……アン? なんだよ、いきなり……」
アンの小柄な身体を受け止めたシャーリーは、手の平と肘で後退るようにして、ゆっくりと押し倒されていく。
「っ……アン、おまえ本当に何なんだよ?」
「べつにぃ。ただ、お姉ちゃんが素直になれるお手伝いをしてあげるだけぇ」
「はぁ? 意味分かんねぇ……もういいから、早く退いてくれ」
シャーリーはアンの肩を叩いてそう言うのだが、アンは覆い被さったまま動こうとしない。
「おい、アン。いい加減、怒るぞ」
だけど、アンはシャーリーを無視して俺を見上げる。
「さあ、ロイドさん。やっちゃってください」
「え……えっ!?」
俺は疑問のえに続いて、驚きのえを発する。
シャーリーもアンが何を言わんとしているか理解したようで、顔を再び、羞恥で真っ赤に染めていく。
「ちょっ、アン!? あんたマジなに言ってのさ!?」
慌てて妹の裸身を押し退けようとしたシャーリーだったが、アンがまるでキスしようとするかのようにして姉の頬へ自分の頬を押しつけ、黙らせた。そして、顰めた声で言う。
「ねえ、お姉ちゃん。こうして押さえ込まれていたら、発情しているロイドさんに何をされちゃっても仕方ないことだよね」
「え……あっ……」
彼女のえに続いたのは、理解のあだった。
というか、二人は内緒話のつもりだったのかもしれないが、俺の耳にもこうしてはっきり聞こえているわけなんだが……いや、アンは俺にも聞かせるつもりで言っているのか? すごく、そんな気がする。
「あ……ああ、確かにそうだな。これじゃ、逃げられない……な」
シャーリーが自分に言い聞かせるように呟いて、俺を見る。揺らめく薄明かりのなか、とても色っぽい。恥じらいと期待を湛えて潤んだ眼差しは、俺の胸にとすんと刺さった。
「……そうだな。逃げられないな」
俺は二人のほうに近付いて手を伸ばして、シャーリーの頬を撫でる。
「あ……」
シャーリーが小さく息を呑む。
指先から伝わってくる頬の熱が、俺の脳裏にわだかまっていた後ろめたさの最後の一欠片を溶かした。
前戯の必要はなかった。直前まで自慰に耽っていたシャーリーの秘所は、十分すぎるくらいに濡れそぼっていた。
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