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1章
27-3. 聖誕祭 ロイド
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有瓜がゴブリンたちとセックスを始めた。
輪姦というよりも、小学生のサッカーだった。有瓜がボールで、ゴブリンたちがボールへ群がることしか知らない小学生だ。
「これ、どうすんだ……」
止めに入っても徒労に終わるだろうし、止める理由もない。
「というか、ここで見学している理由もないのか」
ここにいて義妹がセックスに溺れる嬌声を聞いているというのは、けして居心地のいいものではない。もう予定していた「俺たち流日迎え祭り」の全工程は終わったのだから、洞窟の外に出て新鮮な空気を吸ってこよう――。
そう思って腰を起こしかけたとき、腕をつんつんと突かれた。
「ロイド……」
「シャーリー……と、アンか」
二人はいつの間にか、俺の隣に来ていた。
「あっちに混ざっているのかと思ったが、違ったんだな」
俺は有瓜を中心にした人集りを見やりながら言う。
「ああ。あいつらは、お勤めの時間以外じゃ、あたいらを抱こうとしねぇからな」
「目の前にアルカさんがいるのに、わたしたちのほうに来る理由がないですもん」
シャーリーとアンは苦笑を浮かべて答えてくれた。
「そうか……あいつら、そんなに有瓜がいいのか……」
「みたいですね。こうして見てても、わたしたちとのお勤めのときとは勢いが全然違いますし」
「まっ、姐さんはイイ女だからな」
「というか、あんな大勢で同時に責められるのは、わたしたちにはまだちょっと早いよね……」
「だな……って、まだ? あんた、いずれはあれに混ざる気なのか?」
「え、お姉ちゃんは違うの?」
「……あんたが末恐ろしいわ」
「えへへ」
「褒めてねぇよ」
漫才のようなやり取りをする姉妹に、俺は溜め息を吐く。
「ふぅ……さて、俺は先に外へ出ていようと思うんだが、おまえたちはどうする?」
「え、何かやることがありましたっけ?」
アンが小首を傾げる。
「いや、そういうわけじゃないけど」
俺が首を横に振ると、アンは瞳を潤ませながら俺を見つめてきた。
「じゃあ……わたしたちと、しませんか?」
「へ?」
辛うじて、声は裏返らなかったと思う。それでも、丸々と見開いた目で見つめ返してしまうくらいの間抜け顔は晒してしまった。
「……いや、べつにする必要ないだろ」
動揺したが透けて見える程度の間を開けてしまったけれど、なんとかそう返した。けれど、アンはさらりと返球してくる。
「アルカさんがしてるのに、わたしたちだけ何もしないでいるわけにはいかないです」
「いやいや、だからそんな義務はないから――」
「気分の問題なんです。義務とかじゃなくて。分かりますよね?」
「うっ……まあ、分からないことは……」
確かに、アンの立場に立ってみれば、集団のリーダーが身体を張っているときに、一番下っ端の自分が何もしないでいるというのは居心地が悪いだろう。見れば、シャーリーもそわそわしている。アンと同じ気持ちでいると顔に書いてあった。二人とも、真面目なのだ。
「だから、ロイドさん。わたしたちを助けると思って、身体を貸してくれません?」
アンは俺の右手を取ると、小さな両手でぎゅっと包むように握ってくる。それでもって、上目遣いでじっと見つめてくるのだから、鼓動が少しくらい速くなったのは男として当然のことだったと言いたい。
そこへさらに、左手までもがシャーリーの両手で包み込まれる。
「シャーリー、おまえもか!?」
「ロイド……あたいとすんの、もう飽き飽きか?」
妹そっくりの上目遣いでそんなふうに言ってくる。
「飽きてるわけないだろ。けど、ほら……俺たち色々あったから、いいのかなぁ、と」
「……今更だ。全部忘れろ。そんで、場の空気に流されろ。あたいもそうすっから」
シャーリーは目を逸らしながらもそう言って、両手で握っている俺の左手をにぎにぎと揉んでくる。
また、右手にもぞわりとした官能的なくすぐったさが走る。そちらを見ると、アンが姉と同じように、両手で包んだ俺の右手を撫でまわしていた。
「お祭りの日って妙に興奮しますよね。でも、次の日には全部元に戻っているものですし……だから、そういうことでいいんじゃないですかね。いまだけ、ちょっとやらしい夢を見ている、ということで」
そう言ったアンの目は、俺をまっすぐ見つめてきている。篝火の揺らめく明りに照らし出された、潤んだ瞳と火照った頬。日差しの中で見るよりも陰影の濃い顔からは普段のあどけなさが消し去られ、代わって妖しい色気がほのかに立ち上っている。
恥じらいよりも、興奮と好奇心。純真さより、色気と性欲――アンから発散されているのは、ゴブリンに囲まれて見えなくなる直前の有瓜が放っていたのと同質の淫靡さだった。無論、有瓜のそれとは比ぶべくもないほど、ささやかで爽やかなものだが。
――なるほど。
有瓜の作った淫靡な空気に中てられたのは、この二人も同じだったというわけか。
「はぁ……」
俺の漏らしたその溜め息は、俺が抵抗を諦めたことの意思表示だった。
輪姦というよりも、小学生のサッカーだった。有瓜がボールで、ゴブリンたちがボールへ群がることしか知らない小学生だ。
「これ、どうすんだ……」
止めに入っても徒労に終わるだろうし、止める理由もない。
「というか、ここで見学している理由もないのか」
ここにいて義妹がセックスに溺れる嬌声を聞いているというのは、けして居心地のいいものではない。もう予定していた「俺たち流日迎え祭り」の全工程は終わったのだから、洞窟の外に出て新鮮な空気を吸ってこよう――。
そう思って腰を起こしかけたとき、腕をつんつんと突かれた。
「ロイド……」
「シャーリー……と、アンか」
二人はいつの間にか、俺の隣に来ていた。
「あっちに混ざっているのかと思ったが、違ったんだな」
俺は有瓜を中心にした人集りを見やりながら言う。
「ああ。あいつらは、お勤めの時間以外じゃ、あたいらを抱こうとしねぇからな」
「目の前にアルカさんがいるのに、わたしたちのほうに来る理由がないですもん」
シャーリーとアンは苦笑を浮かべて答えてくれた。
「そうか……あいつら、そんなに有瓜がいいのか……」
「みたいですね。こうして見てても、わたしたちとのお勤めのときとは勢いが全然違いますし」
「まっ、姐さんはイイ女だからな」
「というか、あんな大勢で同時に責められるのは、わたしたちにはまだちょっと早いよね……」
「だな……って、まだ? あんた、いずれはあれに混ざる気なのか?」
「え、お姉ちゃんは違うの?」
「……あんたが末恐ろしいわ」
「えへへ」
「褒めてねぇよ」
漫才のようなやり取りをする姉妹に、俺は溜め息を吐く。
「ふぅ……さて、俺は先に外へ出ていようと思うんだが、おまえたちはどうする?」
「え、何かやることがありましたっけ?」
アンが小首を傾げる。
「いや、そういうわけじゃないけど」
俺が首を横に振ると、アンは瞳を潤ませながら俺を見つめてきた。
「じゃあ……わたしたちと、しませんか?」
「へ?」
辛うじて、声は裏返らなかったと思う。それでも、丸々と見開いた目で見つめ返してしまうくらいの間抜け顔は晒してしまった。
「……いや、べつにする必要ないだろ」
動揺したが透けて見える程度の間を開けてしまったけれど、なんとかそう返した。けれど、アンはさらりと返球してくる。
「アルカさんがしてるのに、わたしたちだけ何もしないでいるわけにはいかないです」
「いやいや、だからそんな義務はないから――」
「気分の問題なんです。義務とかじゃなくて。分かりますよね?」
「うっ……まあ、分からないことは……」
確かに、アンの立場に立ってみれば、集団のリーダーが身体を張っているときに、一番下っ端の自分が何もしないでいるというのは居心地が悪いだろう。見れば、シャーリーもそわそわしている。アンと同じ気持ちでいると顔に書いてあった。二人とも、真面目なのだ。
「だから、ロイドさん。わたしたちを助けると思って、身体を貸してくれません?」
アンは俺の右手を取ると、小さな両手でぎゅっと包むように握ってくる。それでもって、上目遣いでじっと見つめてくるのだから、鼓動が少しくらい速くなったのは男として当然のことだったと言いたい。
そこへさらに、左手までもがシャーリーの両手で包み込まれる。
「シャーリー、おまえもか!?」
「ロイド……あたいとすんの、もう飽き飽きか?」
妹そっくりの上目遣いでそんなふうに言ってくる。
「飽きてるわけないだろ。けど、ほら……俺たち色々あったから、いいのかなぁ、と」
「……今更だ。全部忘れろ。そんで、場の空気に流されろ。あたいもそうすっから」
シャーリーは目を逸らしながらもそう言って、両手で握っている俺の左手をにぎにぎと揉んでくる。
また、右手にもぞわりとした官能的なくすぐったさが走る。そちらを見ると、アンが姉と同じように、両手で包んだ俺の右手を撫でまわしていた。
「お祭りの日って妙に興奮しますよね。でも、次の日には全部元に戻っているものですし……だから、そういうことでいいんじゃないですかね。いまだけ、ちょっとやらしい夢を見ている、ということで」
そう言ったアンの目は、俺をまっすぐ見つめてきている。篝火の揺らめく明りに照らし出された、潤んだ瞳と火照った頬。日差しの中で見るよりも陰影の濃い顔からは普段のあどけなさが消し去られ、代わって妖しい色気がほのかに立ち上っている。
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――なるほど。
有瓜の作った淫靡な空気に中てられたのは、この二人も同じだったというわけか。
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