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1章
26. お祭りを作ろう ロイド
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起き抜けはまだまだ寒くて、薄い毛布と毛皮の掛け布団から抜け出すのに気合いを要するけれど、日中はだいぶ暖かくなっている。猟師や樵の真似事をすると、服の中がうっすら汗ばむくらいだ。
そんな冬の終わりと春の近づきを感じさせる晴天の昼下がりに、有瓜とシャーリー、アンの姉妹が三人連れでやってきた。
「義兄さん、祠を建てませんか?」
有瓜は前置き抜きに言ってきた。
俺は黙ったままひとつ小さく息を吐いてから、諭すように言う。
「――よし、最初から話せ」
そうして有瓜に話させた内容は、良くも悪くもぶっ飛んでいた。
「……三人の誕生日会と新年祭をするついでに春を迎える祭りもしたいから、そのための祠を建てましょう――と」
「はい。そうです」
にっこり頷く有瓜から視線を外し、俺は天を仰いだ。
「まず……そうだな。おまえたちの想像している祠が木箱みたいなものだとしても、まず、釘がない。木材がない。ああ、言っておくが、木を切れば木材になるわけじゃないぞ。それじゃ薪にしかならないからな。それから、祠に収めるご神体だ。丸い石と言うけど、河原で拾ってきた石を丸く削るとして、どうやって削るんだ? はっきり言って、球体は角材の百倍難しいぞ。もっと言うと大前提として、ゴブリンたちには信仰している神がもういるだろ。有瓜、おまえはどうして自分が巫女と呼ばれているのか忘れたのか?」
「……ああ!」
有瓜は驚きと納得に大きく唸った。やはり、俺たちが洞窟奥の祭壇で召喚されたことを忘れていたようだ。
有瓜は祭壇から現れた神の巫女であり、俺はその従者なのだ。実際のところは知らないけれど、そういう認識で通っているのだ。
「っていうか、ゴブさんたちの神様について、ちゃんと聞いたことってなかったですよね」
有瓜はそう言うと、記憶を手繰り寄せながらさらに続けた。
「たしか……胡散臭いお爺ちゃんの言う通りにしたら祭壇が見つかって、そこで儀式をしたら、わたしたちがぽんっと出てきた……でしたっけ?」
「うん、だな」
確認を求めてくる有瓜に頷き、俺はその点についての考えを述べる。
「つまり、ゴブリンたちは最初から神を信じていたわけじゃない。試しに儀式をやってみたら本当に俺たちが――というか有瓜がやってきたから、信じるようになったってわけだ」
「ふむー……ということは、ゴブさんたちはわたしを信じてる感じですか!」
「今更か!」
「あははー、今更でした」
「はぁ……まあ、そういうわけだから、あいつらに今更、丸く磨いた石ころを信仰しろと言ったって、受け入れてもらえないと思うぞ」
俺が言いたかったのは、この点だった。
「シャーリー、アン。おまえたち二人が村でやっていたお祭りをするのは好きにすればいいと思うし、俺個人としては一緒に騒ぐのも楽しそうだと思うけど、それをゴブリンたちに強要するのは止めておけ」
俺が言い終えても、三人は黙ったままだった。とくにシャーリーは、眉根に深い皺を刻み、唇をぎゅっと噛み締めて、泣くのを堪えていた。
……そんな顔、するなよ。
俺だって、我ながら空気を読まないことを言ったと思っているよ。もっと言い方があったとも思うよ。けど、ゴブリンたちは有瓜に遠慮して不満を飲み込むかもしれないのだから、俺が言うしかないじゃないか。
それに実際問題、最初にも言ったことだけど、俺たちの技術力では祠もご神体も用意できない。村に外注するとしても、春の到来までに作ってもらうとしたら、対価で足下を見られるだろう。具体的には、現在定期的に提供してもらっている物資の量がぐっと減ることになるわけだ。それは容認できることではなかった。
「まあ……祠とご神体は無理でも、冬の終わりを祝して宴会するのは俺もありだと思うし、それで満足して――」
「そうだ! 新しい神様を作っちゃいましょう!」
俺が口にした妥協案は、有瓜の得意げな笑顔と意味の分からない言葉でぶっちぎられた。
「神様を作る、です?」
アンがきょとんと小首を傾げると、その反応を待ってましたとばかりに有瓜は語り出す。
「たしかに義兄さんの言う通り、祠やご神体を作るのは無理です。それに、ゴブさんたちも、とくに信じていない神様のお祭りをしましょうと言われても、あんまり気乗りしないでしょう。だから、神様を作っちゃえばいいんですよ」
「待て待て、有瓜。何がどうして、だからに繋がるのかを言え」
「あれ、分かりません?」
「俺はなんとなく分かったよ。けど、シャーリーとアンは分かってないって顔してるだろ」
「えー、義兄さん本当に分かったんですー?」
「本当だ!」
「じゃあ、義兄さんが説明してみてくださいよ。ほらほらー」
「おう、いいよ。説明してやるよ。ええとだな――シャーリー、ご神体が丸い石なのはどうしてだ?」
すっかり傍観の構えだったシャーリーは、俺にいきなり指名されて慌てふためく。
「へっ、あたい!? やっ、ええ……ほら、それは神様は太陽だから、太陽と同じ形をした石をご神体にしたっつうか……」
しどろもどろの回答に、俺は同意を返した。
「うん、そうだろうな。ご神体というのはだいたい、神様本人の姿を象ったものか、神様と縁のある物品になるものだ。――つまり逆に考えるなら、ご神体が丸い石だから神様も丸い形をしている、ということだ。じゃあ例えば、ご神体が毛皮だったら、神様はどんな姿をしていると思う――アン?」
「わっ、わたしですか! え、えっと……あっ、その毛皮と同じ動物の姿、とか……?」
アンはおずおずと窺うように答えた。俺は今度も鷹揚に頷く。
「そうだな、そうなるだろう。ご神体が薪なら、木や森の神様。包丁なら刃物の神様、あるいは台所の神様か料理の神様だ。こんなふうに、ご神体を用意してから、それに見合った神様を設定すればいい――そういうことだろ?」
「はいはい、そういうことですよ」
俺が見やると、有瓜は満足そうに頬笑んだ。
「……つまり、どういうことっすか?」
シャーリーは早々に考えるのを放棄したようで、あっけらかんと聞いてくる。けれども、俺や有瓜が答えるまでもなく、自力で理解したアンが答えてくれた。
「つまり、わたしたちでもすぐに用意できるものをご神体にして、それをゴブリンさんたちの神様の似姿だということにすればいい、ってことだよ。お姉ちゃん」
「すぐに用意できるもの……って、それ、順番逆じゃねぇか!?」
「お姉ちゃん……順番を逆にしちゃおうって話をしてたんだから、逆で当然だよ」
驚きに声を荒げるシャーリーに、アンは呆れ顔で諭すように言う。
「いまのって、そんな話だったのか……って、それ有りかよ?」
感心していたシャーリーだったが、言っている途中で表情を険しくさせると、俺たちをぐるりと見回す。
「それってつまり、そこらの適当なもんをご神体ってことにしようって話っすよね。そんな罰当たりなことしていいんすか!?」
「いいも何も、」
俺は言葉を選びつつ、反論する。
「ゴブリンたちの神は洞窟奥の祭壇に祀られていた神だ。シャーリーたちが信じている神じゃない。だから、村で祀っていたのと同じものをご神体にするほうがおかしいんだ」
「それはまた別の話だろ。あたいが言ってんのは、ちゃんとしてねぇもんをご神体として祀ろうっていう罰当たりな根性はどうなのかってことだよ。べつに、村にあったのと同じもんを祀れとは言ってねぇよ。……っつか、そのゴブリンの神様のお祭りをやればいいじゃねぇか」
「ないんだよ」
俺が一言そう答えたら、シャーリーは鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。
「……は? ない?」
「そもそも、ゴブリンたちは昔から神を信じていたわけじゃない。半年前の夏から、たまたま信じるようになっただけだ」
「半年前……」
「そう、半年前。だから当然、伝統のお祭りなんてあるわけがない。やるならどのみち、新しく作るしかないんだ」
「……ご神体は? お祭りがなくても、ご神体はあんだろ」
「ご神体……はないけど、祭壇ならあるな」
「なら、それでいい! そこでちゃんとした祭りっぽい祭りをやろうぜ!」
シャーリーは不思議なくらい必死に言い募ってくる。
「……なんで?」
「は?」
「なんでそんなに、ご神体だとかお祭りだとかに拘るんだ?」
「そっ、そんなの……」
シャーリーは仏頂面で押し黙ってしまう。言いたくないような深い事情があるのだろうか……と思ったら、アンが呆れ混じりに教えてくれた。
「お姉ちゃんはお祭りが大好きなんです。それはもう、村ではお祭りの前日になると決まって興奮で眠れなくなるくらいに」
「アン、言うなよぉ!」
シャーリーは恥ずかしさで顔を真っ赤にして、笑っているアンの肩をがくがく揺さぶる。そんな微笑ましい光景に向けて、有瓜が申し訳なさそうに眉を曇らせた。
「シャーリーさん、そんなにお祭り好きだったら、本当は冬の間に新年祭をやりたかったんじゃないです? わたしたちがやろうとしないからって、我慢させちゃってました……?」
「えっ……ああっ、違うんす! 冬の間はここでの生活に慣れるので精一杯だったから、あたいも年がいつ替わったのか意識する余裕もなかったっすし」
シャーリーは慌てて両手を振りながら言うと、声音を弱めて付け加えた。
「ま、まあ……ここでの暮らしもちょっとは慣れてきったすし、そろそろ祭りのひとつでもやれる余裕が出てきてるんじゃねぇかなぁと思ってるのは本当っすけど……」
「つまり、お祭りやりたいっ、と」
「……そっす」
有瓜の念押しに、シャーリーは一瞬だけ葛藤したものの、かくっと俯くように首肯した。
「で、どうせお祭りやるのなら、ちゃんとしたのをやりたい――か」
「……っす」
俺が横から言い添えると、シャーリーは俯いたまま耳をますます赤くして、もう一度、肩を竦めるように首肯した。
「なるほどな」
と、俺も頷いて、
「じゃあ問題ない」
と続けた。
「え……?」
どういうことだよ、と問いたげなシャーリーの視線。ついでにアンと有瓜も、同じ目をして俺を見ている。俺は唇を軽く湿らせて、説明を始めた。
「まず……さっき、適当なご神体、と言ったけど、よく考えたら、そんなもの必要なかったんだ。だって、こっちには有瓜という巫女――いわば、生きているご神体がいるんだからな」
「わたし、祀られるんですか。祠にしまっちゃわれます?」
有瓜が小首を傾げて冗談めかす。
「しまいはしないけど、神様が降臨している感じの演技はしてほしいね」
「はぁい」
「それから祠の話だけど、これも祭壇があるから、わざわざ用意する必要なしだ。ただ――」
「あっ、はいはい!」
またしても有瓜だ。ぱっと挙手して質問してくる。
「なんだ?」
「祭壇は洞窟の奥にあるじゃないですか。わたしたちは暗くても結構見えちゃいますけど、シャーリーさんとアンちゃんはたぶん、自分の手だって見えませんよ」
「だからいま、ただし大量の灯りを用意する必要あり、と言うところだったんだが」
「あー……話の腰を折っちゃって、ごめんなさい」
「いや」
ぺこりと頭を下げた有瓜に、俺もゆるりと頭を振る。そこに生まれた会話の隙間に、アンの独り言のような声が流れ込んできた。
「大量の灯り……灯明が用意できたらいいんだけど、お皿が足りないかな。そうすると松明しかないか……うん、松明に照らされて踊るのでも、きっと幻想的だよね」
どうやらアンも、自分たちで新しい祭りを作ることに乗り気のようだ。
「へえ、踊るんですか。なんだか後夜祭のフォークダンスみたいですね。アンちゃんの踊り、楽しみですよぅ」
有瓜は想像に目を細めて楽しげに言っていたが、直後に続いたアンの言葉がその想像を断ち切った。
「あ、違いますよ。踊るのはアルカさんだけです」
「はい!?」
「だって、祭壇ってすごく暗いんですよね? いくら松明をいっぱい持ち込んだとしても、わたしとお姉ちゃんはじっとしていたほうがいいと思うんです。だから、巫女様でご神体のアルカさんが一人で踊るのをみんなで観るのがいいと思うんです」
「でも、アンちゃん。義兄さんとゴブさんたちも暗いのが平気なんだから、わたし一人だけで踊ること、なくないです?」
「でも、アルカさん。ロイドさんはともかく、ゴブリンさんたちに踊りが踊れると思いますか?」
「うっ……でもそれを言ったら、わたしだって踊りなんてできませんよ!」
有瓜は珍しく本気で慌てている。それが面白くて、俺も背中から撃ってやることにした。
「有瓜。おまえ、小さい頃にダンス習ってたって言ってなかったか?」
「義兄さん!」
「アイドル系のダンスだったら完コピ余裕とも言ってたような」
「義兄さんんっ!!」
泡を食った顔になる有瓜。単語の意味は分からなくとも、シャーリーとアンにもその反応で、有瓜が踊れることを理解したようだ。とくにアンなんて、目から星が飛び散りそうなくらい興奮した笑顔になっている。
「さすが、アルカさん! アルカさんの踊り、わたしもういまから楽しみすぎです!!」
「えー……いやー……完コピできるとは言いましたけど、振りを覚えるのと実際にやるのとではかなーり違うものだし、それに……あっ、曲! 曲がないじゃないですか! 音楽がなくちゃ踊れませんよ。ノーミュージック・ノーダンスです!」
「む、音楽か。しまったな、それは考えてなかった」
確かに有瓜の言うことも一理ある。音楽なしの舞踊は、かなりシュールだ。昔、なんだったかの映画で、音楽無しでバレエを踊っているシーンがあったのだけど、そこだけ妙に記憶してしまうほど嫌な意味で印象的だった。有瓜に踊ってもらうのなら、なんでもいいから音楽がほしい。
「あ、打楽器ならどうだろう?」
俺が口にした思いつきに、有瓜はげんなり顔だ。
「それ、能とか歌舞伎とかですよね」
「じゃあ、ケチャのほうがいいか?」
「……みんなでケチャはちょっと楽しそうかも」
「本気か」
「……間を取って、みんなの手拍子というのはどうでしょ?」
「ふむ」
ありだな、手拍子。お祭りというか宴会の余興みたいな緩い感じになりそうなのが難点だけど、楽器が用意できなかったときは手拍子でいいだろう。
「あっ、スマホで音楽流せばいいんじゃないです?」
「あ……」
有瓜に言われて、俺もスマホの存在を思い出した。当然圏外だし充電もできないから、電源そのものを切っていたきりだった。
「そうか、スマホか。音量に不安があるけれど、最大音量にしてみんなは黙っていれば、ぎりぎりなんとかなるか……?」
「なりますよ!」
「よし、じゃあそれでいこう。選曲は有瓜に任せるよ。俺のスマホ、音楽入ってないから」
基本的にネットで聞いていたし、ダウンロード購入したものも全部クラウドに保存していたので、俺のスマホでは曲が流せないのだった。
「……」
ふと見ると、有瓜が能面のような顔になっていた。その顔を見て、ぴんときてしまった。
「有瓜……まさか、おまえもか……?」
「だって、動画サイトじゃないと振り付け見られなかったんですもん! サイトに繋げば見られるから、ダウンロードする必要ないしーって思ってたんですもん!」
「そうか……じゃあ、うん。スマホ案は却下で」
「ですね。じゃあ結局、打楽器ですか」
「打楽器というか……良くてまあ、桶か壺に革を張った太鼓もどきだな」
「良くてそれなら、悪いと?」
「桶と壺をそのまま叩く」
「……宴会ノリですね」
「叩くものがあるだけでも儲けものだと思え」
俺たちの技術力では、粘土を捏ねて壺を作るのも、板を貼り合わせて桶にするのもできない。音を反響するのにちょうどいい空洞を持ったそんな高度技術の結晶が手元にあるだけでも僥倖なのだ。
「あの、いいですか?」
おずおずと声を発したのはアンだった。
「なんだ?」
「どうしました?」
俺と有瓜に揃って見つめられたアンは心なしか身を竦めつつも、不思議そうに俺を見る。
「ちょっと気になってたんですけど、ロイドさんの歌に合わせて踊るというのでは駄目なんですか?」
「え、俺!?」
「義兄さんの歌!」
思わず声を裏返らせた俺と、目を輝かせた有瓜。
「そういえば、わたし、義兄さんの歌って聞いたことありません。わたしが踊るんだったら、義兄さんは歌ってくださいよ」
「いやいや! 俺、べつに歌が上手いとかないから!」
「わたしだってダンスが上手いわけじゃないですよ! というか、求められてるのって日本舞踊とかそっち方面じゃないですか。そんなの、見よう見まねでだってできませんよ。それでもやろうって腹を括ってるんですから、義兄さんも覚悟を決めてください!」
有瓜にしては珍しい剣幕で、俺はその勢いに少し呑まれてしまった。
でも実際のところ、有瓜に無理強いするのだから、俺も覚悟しないといけないんじゃないのか――?
「……分かった。有瓜が踊るんなら、俺も歌うのでいい」
「言いましたね、言いましたよ。聞きましたからね! ねっ!?」
有瓜に同意を求められた姉妹二人もこくこく頷く。
「そんなに念を押さなくても、後で惚けたりしないよ。だけど期待するなよ。本当に上手くないからな」
「はいはい、楽しみにしてまぁす」
有瓜はじつに楽しげだった。だから、楽しみにするなというのに……。
俺は視線で文句を言ってやったが、有瓜はさらりと受け流してくれた。アンとシャーリーに至っては、俺の視線に気づいてもいない。
「歌と踊りって、すげぇお祭りっぽい……やべぇ、楽しみすぎる! うおぉ!」
「アルカさんの踊り、きっとすごく素敵なんだろうな……あっ、衣装! そっちも用意しなくちゃ! 他にはええと……」
興奮に逸るシャーリーと、準備すべきものを指折り確認しているアンだった。
「……やっぱり、アンのほうが姉っぽいよな」
俺の呟きは、二人の耳には届かなかった。
そんな冬の終わりと春の近づきを感じさせる晴天の昼下がりに、有瓜とシャーリー、アンの姉妹が三人連れでやってきた。
「義兄さん、祠を建てませんか?」
有瓜は前置き抜きに言ってきた。
俺は黙ったままひとつ小さく息を吐いてから、諭すように言う。
「――よし、最初から話せ」
そうして有瓜に話させた内容は、良くも悪くもぶっ飛んでいた。
「……三人の誕生日会と新年祭をするついでに春を迎える祭りもしたいから、そのための祠を建てましょう――と」
「はい。そうです」
にっこり頷く有瓜から視線を外し、俺は天を仰いだ。
「まず……そうだな。おまえたちの想像している祠が木箱みたいなものだとしても、まず、釘がない。木材がない。ああ、言っておくが、木を切れば木材になるわけじゃないぞ。それじゃ薪にしかならないからな。それから、祠に収めるご神体だ。丸い石と言うけど、河原で拾ってきた石を丸く削るとして、どうやって削るんだ? はっきり言って、球体は角材の百倍難しいぞ。もっと言うと大前提として、ゴブリンたちには信仰している神がもういるだろ。有瓜、おまえはどうして自分が巫女と呼ばれているのか忘れたのか?」
「……ああ!」
有瓜は驚きと納得に大きく唸った。やはり、俺たちが洞窟奥の祭壇で召喚されたことを忘れていたようだ。
有瓜は祭壇から現れた神の巫女であり、俺はその従者なのだ。実際のところは知らないけれど、そういう認識で通っているのだ。
「っていうか、ゴブさんたちの神様について、ちゃんと聞いたことってなかったですよね」
有瓜はそう言うと、記憶を手繰り寄せながらさらに続けた。
「たしか……胡散臭いお爺ちゃんの言う通りにしたら祭壇が見つかって、そこで儀式をしたら、わたしたちがぽんっと出てきた……でしたっけ?」
「うん、だな」
確認を求めてくる有瓜に頷き、俺はその点についての考えを述べる。
「つまり、ゴブリンたちは最初から神を信じていたわけじゃない。試しに儀式をやってみたら本当に俺たちが――というか有瓜がやってきたから、信じるようになったってわけだ」
「ふむー……ということは、ゴブさんたちはわたしを信じてる感じですか!」
「今更か!」
「あははー、今更でした」
「はぁ……まあ、そういうわけだから、あいつらに今更、丸く磨いた石ころを信仰しろと言ったって、受け入れてもらえないと思うぞ」
俺が言いたかったのは、この点だった。
「シャーリー、アン。おまえたち二人が村でやっていたお祭りをするのは好きにすればいいと思うし、俺個人としては一緒に騒ぐのも楽しそうだと思うけど、それをゴブリンたちに強要するのは止めておけ」
俺が言い終えても、三人は黙ったままだった。とくにシャーリーは、眉根に深い皺を刻み、唇をぎゅっと噛み締めて、泣くのを堪えていた。
……そんな顔、するなよ。
俺だって、我ながら空気を読まないことを言ったと思っているよ。もっと言い方があったとも思うよ。けど、ゴブリンたちは有瓜に遠慮して不満を飲み込むかもしれないのだから、俺が言うしかないじゃないか。
それに実際問題、最初にも言ったことだけど、俺たちの技術力では祠もご神体も用意できない。村に外注するとしても、春の到来までに作ってもらうとしたら、対価で足下を見られるだろう。具体的には、現在定期的に提供してもらっている物資の量がぐっと減ることになるわけだ。それは容認できることではなかった。
「まあ……祠とご神体は無理でも、冬の終わりを祝して宴会するのは俺もありだと思うし、それで満足して――」
「そうだ! 新しい神様を作っちゃいましょう!」
俺が口にした妥協案は、有瓜の得意げな笑顔と意味の分からない言葉でぶっちぎられた。
「神様を作る、です?」
アンがきょとんと小首を傾げると、その反応を待ってましたとばかりに有瓜は語り出す。
「たしかに義兄さんの言う通り、祠やご神体を作るのは無理です。それに、ゴブさんたちも、とくに信じていない神様のお祭りをしましょうと言われても、あんまり気乗りしないでしょう。だから、神様を作っちゃえばいいんですよ」
「待て待て、有瓜。何がどうして、だからに繋がるのかを言え」
「あれ、分かりません?」
「俺はなんとなく分かったよ。けど、シャーリーとアンは分かってないって顔してるだろ」
「えー、義兄さん本当に分かったんですー?」
「本当だ!」
「じゃあ、義兄さんが説明してみてくださいよ。ほらほらー」
「おう、いいよ。説明してやるよ。ええとだな――シャーリー、ご神体が丸い石なのはどうしてだ?」
すっかり傍観の構えだったシャーリーは、俺にいきなり指名されて慌てふためく。
「へっ、あたい!? やっ、ええ……ほら、それは神様は太陽だから、太陽と同じ形をした石をご神体にしたっつうか……」
しどろもどろの回答に、俺は同意を返した。
「うん、そうだろうな。ご神体というのはだいたい、神様本人の姿を象ったものか、神様と縁のある物品になるものだ。――つまり逆に考えるなら、ご神体が丸い石だから神様も丸い形をしている、ということだ。じゃあ例えば、ご神体が毛皮だったら、神様はどんな姿をしていると思う――アン?」
「わっ、わたしですか! え、えっと……あっ、その毛皮と同じ動物の姿、とか……?」
アンはおずおずと窺うように答えた。俺は今度も鷹揚に頷く。
「そうだな、そうなるだろう。ご神体が薪なら、木や森の神様。包丁なら刃物の神様、あるいは台所の神様か料理の神様だ。こんなふうに、ご神体を用意してから、それに見合った神様を設定すればいい――そういうことだろ?」
「はいはい、そういうことですよ」
俺が見やると、有瓜は満足そうに頬笑んだ。
「……つまり、どういうことっすか?」
シャーリーは早々に考えるのを放棄したようで、あっけらかんと聞いてくる。けれども、俺や有瓜が答えるまでもなく、自力で理解したアンが答えてくれた。
「つまり、わたしたちでもすぐに用意できるものをご神体にして、それをゴブリンさんたちの神様の似姿だということにすればいい、ってことだよ。お姉ちゃん」
「すぐに用意できるもの……って、それ、順番逆じゃねぇか!?」
「お姉ちゃん……順番を逆にしちゃおうって話をしてたんだから、逆で当然だよ」
驚きに声を荒げるシャーリーに、アンは呆れ顔で諭すように言う。
「いまのって、そんな話だったのか……って、それ有りかよ?」
感心していたシャーリーだったが、言っている途中で表情を険しくさせると、俺たちをぐるりと見回す。
「それってつまり、そこらの適当なもんをご神体ってことにしようって話っすよね。そんな罰当たりなことしていいんすか!?」
「いいも何も、」
俺は言葉を選びつつ、反論する。
「ゴブリンたちの神は洞窟奥の祭壇に祀られていた神だ。シャーリーたちが信じている神じゃない。だから、村で祀っていたのと同じものをご神体にするほうがおかしいんだ」
「それはまた別の話だろ。あたいが言ってんのは、ちゃんとしてねぇもんをご神体として祀ろうっていう罰当たりな根性はどうなのかってことだよ。べつに、村にあったのと同じもんを祀れとは言ってねぇよ。……っつか、そのゴブリンの神様のお祭りをやればいいじゃねぇか」
「ないんだよ」
俺が一言そう答えたら、シャーリーは鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。
「……は? ない?」
「そもそも、ゴブリンたちは昔から神を信じていたわけじゃない。半年前の夏から、たまたま信じるようになっただけだ」
「半年前……」
「そう、半年前。だから当然、伝統のお祭りなんてあるわけがない。やるならどのみち、新しく作るしかないんだ」
「……ご神体は? お祭りがなくても、ご神体はあんだろ」
「ご神体……はないけど、祭壇ならあるな」
「なら、それでいい! そこでちゃんとした祭りっぽい祭りをやろうぜ!」
シャーリーは不思議なくらい必死に言い募ってくる。
「……なんで?」
「は?」
「なんでそんなに、ご神体だとかお祭りだとかに拘るんだ?」
「そっ、そんなの……」
シャーリーは仏頂面で押し黙ってしまう。言いたくないような深い事情があるのだろうか……と思ったら、アンが呆れ混じりに教えてくれた。
「お姉ちゃんはお祭りが大好きなんです。それはもう、村ではお祭りの前日になると決まって興奮で眠れなくなるくらいに」
「アン、言うなよぉ!」
シャーリーは恥ずかしさで顔を真っ赤にして、笑っているアンの肩をがくがく揺さぶる。そんな微笑ましい光景に向けて、有瓜が申し訳なさそうに眉を曇らせた。
「シャーリーさん、そんなにお祭り好きだったら、本当は冬の間に新年祭をやりたかったんじゃないです? わたしたちがやろうとしないからって、我慢させちゃってました……?」
「えっ……ああっ、違うんす! 冬の間はここでの生活に慣れるので精一杯だったから、あたいも年がいつ替わったのか意識する余裕もなかったっすし」
シャーリーは慌てて両手を振りながら言うと、声音を弱めて付け加えた。
「ま、まあ……ここでの暮らしもちょっとは慣れてきったすし、そろそろ祭りのひとつでもやれる余裕が出てきてるんじゃねぇかなぁと思ってるのは本当っすけど……」
「つまり、お祭りやりたいっ、と」
「……そっす」
有瓜の念押しに、シャーリーは一瞬だけ葛藤したものの、かくっと俯くように首肯した。
「で、どうせお祭りやるのなら、ちゃんとしたのをやりたい――か」
「……っす」
俺が横から言い添えると、シャーリーは俯いたまま耳をますます赤くして、もう一度、肩を竦めるように首肯した。
「なるほどな」
と、俺も頷いて、
「じゃあ問題ない」
と続けた。
「え……?」
どういうことだよ、と問いたげなシャーリーの視線。ついでにアンと有瓜も、同じ目をして俺を見ている。俺は唇を軽く湿らせて、説明を始めた。
「まず……さっき、適当なご神体、と言ったけど、よく考えたら、そんなもの必要なかったんだ。だって、こっちには有瓜という巫女――いわば、生きているご神体がいるんだからな」
「わたし、祀られるんですか。祠にしまっちゃわれます?」
有瓜が小首を傾げて冗談めかす。
「しまいはしないけど、神様が降臨している感じの演技はしてほしいね」
「はぁい」
「それから祠の話だけど、これも祭壇があるから、わざわざ用意する必要なしだ。ただ――」
「あっ、はいはい!」
またしても有瓜だ。ぱっと挙手して質問してくる。
「なんだ?」
「祭壇は洞窟の奥にあるじゃないですか。わたしたちは暗くても結構見えちゃいますけど、シャーリーさんとアンちゃんはたぶん、自分の手だって見えませんよ」
「だからいま、ただし大量の灯りを用意する必要あり、と言うところだったんだが」
「あー……話の腰を折っちゃって、ごめんなさい」
「いや」
ぺこりと頭を下げた有瓜に、俺もゆるりと頭を振る。そこに生まれた会話の隙間に、アンの独り言のような声が流れ込んできた。
「大量の灯り……灯明が用意できたらいいんだけど、お皿が足りないかな。そうすると松明しかないか……うん、松明に照らされて踊るのでも、きっと幻想的だよね」
どうやらアンも、自分たちで新しい祭りを作ることに乗り気のようだ。
「へえ、踊るんですか。なんだか後夜祭のフォークダンスみたいですね。アンちゃんの踊り、楽しみですよぅ」
有瓜は想像に目を細めて楽しげに言っていたが、直後に続いたアンの言葉がその想像を断ち切った。
「あ、違いますよ。踊るのはアルカさんだけです」
「はい!?」
「だって、祭壇ってすごく暗いんですよね? いくら松明をいっぱい持ち込んだとしても、わたしとお姉ちゃんはじっとしていたほうがいいと思うんです。だから、巫女様でご神体のアルカさんが一人で踊るのをみんなで観るのがいいと思うんです」
「でも、アンちゃん。義兄さんとゴブさんたちも暗いのが平気なんだから、わたし一人だけで踊ること、なくないです?」
「でも、アルカさん。ロイドさんはともかく、ゴブリンさんたちに踊りが踊れると思いますか?」
「うっ……でもそれを言ったら、わたしだって踊りなんてできませんよ!」
有瓜は珍しく本気で慌てている。それが面白くて、俺も背中から撃ってやることにした。
「有瓜。おまえ、小さい頃にダンス習ってたって言ってなかったか?」
「義兄さん!」
「アイドル系のダンスだったら完コピ余裕とも言ってたような」
「義兄さんんっ!!」
泡を食った顔になる有瓜。単語の意味は分からなくとも、シャーリーとアンにもその反応で、有瓜が踊れることを理解したようだ。とくにアンなんて、目から星が飛び散りそうなくらい興奮した笑顔になっている。
「さすが、アルカさん! アルカさんの踊り、わたしもういまから楽しみすぎです!!」
「えー……いやー……完コピできるとは言いましたけど、振りを覚えるのと実際にやるのとではかなーり違うものだし、それに……あっ、曲! 曲がないじゃないですか! 音楽がなくちゃ踊れませんよ。ノーミュージック・ノーダンスです!」
「む、音楽か。しまったな、それは考えてなかった」
確かに有瓜の言うことも一理ある。音楽なしの舞踊は、かなりシュールだ。昔、なんだったかの映画で、音楽無しでバレエを踊っているシーンがあったのだけど、そこだけ妙に記憶してしまうほど嫌な意味で印象的だった。有瓜に踊ってもらうのなら、なんでもいいから音楽がほしい。
「あ、打楽器ならどうだろう?」
俺が口にした思いつきに、有瓜はげんなり顔だ。
「それ、能とか歌舞伎とかですよね」
「じゃあ、ケチャのほうがいいか?」
「……みんなでケチャはちょっと楽しそうかも」
「本気か」
「……間を取って、みんなの手拍子というのはどうでしょ?」
「ふむ」
ありだな、手拍子。お祭りというか宴会の余興みたいな緩い感じになりそうなのが難点だけど、楽器が用意できなかったときは手拍子でいいだろう。
「あっ、スマホで音楽流せばいいんじゃないです?」
「あ……」
有瓜に言われて、俺もスマホの存在を思い出した。当然圏外だし充電もできないから、電源そのものを切っていたきりだった。
「そうか、スマホか。音量に不安があるけれど、最大音量にしてみんなは黙っていれば、ぎりぎりなんとかなるか……?」
「なりますよ!」
「よし、じゃあそれでいこう。選曲は有瓜に任せるよ。俺のスマホ、音楽入ってないから」
基本的にネットで聞いていたし、ダウンロード購入したものも全部クラウドに保存していたので、俺のスマホでは曲が流せないのだった。
「……」
ふと見ると、有瓜が能面のような顔になっていた。その顔を見て、ぴんときてしまった。
「有瓜……まさか、おまえもか……?」
「だって、動画サイトじゃないと振り付け見られなかったんですもん! サイトに繋げば見られるから、ダウンロードする必要ないしーって思ってたんですもん!」
「そうか……じゃあ、うん。スマホ案は却下で」
「ですね。じゃあ結局、打楽器ですか」
「打楽器というか……良くてまあ、桶か壺に革を張った太鼓もどきだな」
「良くてそれなら、悪いと?」
「桶と壺をそのまま叩く」
「……宴会ノリですね」
「叩くものがあるだけでも儲けものだと思え」
俺たちの技術力では、粘土を捏ねて壺を作るのも、板を貼り合わせて桶にするのもできない。音を反響するのにちょうどいい空洞を持ったそんな高度技術の結晶が手元にあるだけでも僥倖なのだ。
「あの、いいですか?」
おずおずと声を発したのはアンだった。
「なんだ?」
「どうしました?」
俺と有瓜に揃って見つめられたアンは心なしか身を竦めつつも、不思議そうに俺を見る。
「ちょっと気になってたんですけど、ロイドさんの歌に合わせて踊るというのでは駄目なんですか?」
「え、俺!?」
「義兄さんの歌!」
思わず声を裏返らせた俺と、目を輝かせた有瓜。
「そういえば、わたし、義兄さんの歌って聞いたことありません。わたしが踊るんだったら、義兄さんは歌ってくださいよ」
「いやいや! 俺、べつに歌が上手いとかないから!」
「わたしだってダンスが上手いわけじゃないですよ! というか、求められてるのって日本舞踊とかそっち方面じゃないですか。そんなの、見よう見まねでだってできませんよ。それでもやろうって腹を括ってるんですから、義兄さんも覚悟を決めてください!」
有瓜にしては珍しい剣幕で、俺はその勢いに少し呑まれてしまった。
でも実際のところ、有瓜に無理強いするのだから、俺も覚悟しないといけないんじゃないのか――?
「……分かった。有瓜が踊るんなら、俺も歌うのでいい」
「言いましたね、言いましたよ。聞きましたからね! ねっ!?」
有瓜に同意を求められた姉妹二人もこくこく頷く。
「そんなに念を押さなくても、後で惚けたりしないよ。だけど期待するなよ。本当に上手くないからな」
「はいはい、楽しみにしてまぁす」
有瓜はじつに楽しげだった。だから、楽しみにするなというのに……。
俺は視線で文句を言ってやったが、有瓜はさらりと受け流してくれた。アンとシャーリーに至っては、俺の視線に気づいてもいない。
「歌と踊りって、すげぇお祭りっぽい……やべぇ、楽しみすぎる! うおぉ!」
「アルカさんの踊り、きっとすごく素敵なんだろうな……あっ、衣装! そっちも用意しなくちゃ! 他にはええと……」
興奮に逸るシャーリーと、準備すべきものを指折り確認しているアンだった。
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俺の呟きは、二人の耳には届かなかった。
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