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5章
75-1. 旅立ち前の餞別3P ロイド ★
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旅の準備は急ピッチで進められた。
村との連絡や、物々交換用の物資の運搬や、連絡事項の伝達や、その他のちょっとした挨拶やなんやはだいたい俺が一手に引き受けていたので、シャーリーとアンにその引き継ぎを頼むための準備や周知でちょっと駆けずり回ったり、そこそこお高い紙とペンとインクでマニュアル作成をしてみたりもした。マニュアルといっても、「売り買いや交換の記録はちゃんと付けましょう。そのときの書式はこうしましょう」というお小遣い帳の一ページ目みたいなものだが。
その他にも食料の用意だとかが、狩猟にも採取にも困らない秋の盛りだったこともあって速やかに終わると、もういつ出立してもいいようになった。
――そんな晩だ。俺が一人で寝ていた洞窟内のテントに、シャーリーとアンの二人がひっそりと訪ねてきたのは。
「ロイドさん」
「ロイド」
俺は横になって寝ていたのだけど、声がかけられる前に目を覚ましていた。誰かがテント内に入ってきた気配で目を覚ますとか、俺も達人じみてきたものだ。
「アンとシャーリーか。二人ともどうしたんだ?」
俺がすぐに上体を起こして返事をするのは予想外だったのか、二人は少し驚いた顔をする……って、ああ、いま気づいた。テント内には星明かりも入ってこない真っ暗闇なのに、俺には二人の顔がそこに浮かんでいる表情まで、はっきりと見て取れた。
「なんだ、起きてたのかよ。寝顔を見てやろうと思ってたのに」
「ロイドさん、こんなに寝起きが良かったんだ。一年一緒にいても、知らないことってまだまだあるんですね」
シャーリーは笑い混じりに悪態を吐き、アンは少し媚びたように微笑む。二人とも声を抑えているから、俺を叩き起こしに来たわけではないようだ。外も静かだし、緊急事態ということではないのだろう。
ちなみに、俺が寝ているこの場所は洞窟を入ってすぐのところだが、ゴブリンたちはもっと奥まで進んだ広間のようになっているところで雑魚寝している。有瓜も夜はそっちで過ごすことが多い。有瓜以外の女性陣だと真っ暗すぎてどうにもならないので、入り口付近に幾つか設えた少人数用のテントを寝室にしている。
無論、洞窟の奥へ行く道を塞がないように、少テントは左右の壁際に沿って設営されている。俺は密かに、この一帯をネカフェと呼んでいる。小さな雑居ビルに入っている、消防法ナニソレなネットカフェ店内そっくりの光景だからだ。
一度、有瓜にそれを言ったことがあるのだけど、あいつにはピンと来なかったようで残念だった。あいつならネカフェでのエッチなことをしているかと思ったのだけど、「話を聞くだけでも狭苦しそうですし、周りの迷惑になりそうなところではちょっと……」と、ものすごく常識的な返事をされて釈然としなかったものだ。
おっと、余談はこのくらいにしておこう。
「それで、二人してこんな夜中にどうした?」
俺も二人に合わせて、潜めた声で尋ねた。
「その前に灯りを点けてもらっていいですか?」
「お、そうか」
俺はなぜか夜目が利きまくっていたから失念していたが、テント内は真っ暗なのだった。俺は枕元に置いていた木製の小箱に手を伸ばし、その蓋を開いた。途端、小箱の中に収められていたものの淡い光が外に出てき、俺たち三人の姿をぼんやりと照らし出した。
小箱の中に入っていたのは、ただの小石に神官が発光の魔術をかけたものだ。サイリウムくらいの光量が、日没から夜明けの少し前くらいまで、およそ十時間ほどは保つ。発光魔術の基本的な使い方だそうだけれど、ラヴィニエがやると同じ光量では半分の時間しか保たなくなる。神官の実力の高さが窺えようものだ。
灯り箱の淡い明かりの中、シャーリーとアンは俺の顔を見つけると、ほっとした様子で近づいてきて――左右から姉妹で同時に抱きついてきた。
「お、おう?」
戸惑う俺に、二人は俺の耳朶を舐めるようにして左右から語り込んでくる。
「ほら、ロイドはレーベンだっけ? 隣の国に行って、春まで戻ってこねぇんだろ? なら、向こうで夜に寂しくなってもあたいらのことを思い出せるように、身体でしっかり覚えていってもらおうと思ってよ」
「要するに、わたしたちからの餞別です。ロイドさんは深く考えずに、気持ちよくなってくれればいいんですよ」
「お、おぉ……」
べつに俺だってもう全然童貞とかじゃないし、なんなら経験豊富なほうじゃん、とかイキってもいいくらいの経験者のはずなのだけど、こういうホステスに接待されているみたいなのは、性行為とは別物だ。性欲とは似て非なる、愛欲というかモテたい欲がぐんぐん満たされていくのだ。
人はパンのみにて生くるにあらず。かつて十三人の弟子にチヤホヤされたスーパースターの言葉をいま、ものすごく理解した。ソープがあればキャバクラは要らない、とはならないのだ。いや、どちらも行ったことないけれども。
「おっ、ロイド。だらしない顔なってんぞ」
「あ、本当。邪魔だなって思われなくて良かった」
シャーリーとアンの鈴を撫でるような笑い声が、左右の耳それぞれを甘くくすぐってくる。
「……邪魔だなんて、思ったことないぞ」
少し思考がふわふわする。気配で覚醒するほど冴えていた頭が、いまや熱に浮かされたみたいに、ふわふわだ。女子の身体って柔らかいんだよな。とくに、右腕と左腕に押し付けられている胸部の膨らみとか、とくに。あ、右腕に感じるシャーリーの膨らみのほうが、左腕に感じるものより厚いな。二人ともブラなしの貫頭衣一枚だから、膨らみの柔らかさとか弾力とかが、よく伝わってくる……これ、ちょっと身動ぎするふりをして腕を動かしたら、胸の先っぽの感触も感じ取れてしまうのでは?
……なるほど、頭がふわふわするわけだ。気配で覚醒するほど冴えていた俺の頭は、両腕に当たる感触を感じ取るのでいっぱいになっていた。おっぱいだけに。
「俺はアンもシャーリーもいい子だと思っているし、毎日笑っていてくれたらいいなと思っているし……」
あ、駄目だ。思考がおっぱいでいっぱいで、なんか良いこと言いたいのに、無理だ。語彙が死んでる。
「ロイドさん……無理して真面目なこと言おうとしなくていいですよ」
「えっ、無理なんてべっべつに――」
「いいって、いいって。あたいらもそういう話をしにきたんじゃねぇし、単純に楽しんでくれよ……ほら、そっちから触ってくれていいからさ」
「あ、わたしのもどうぞ。お姉ちゃんのより小さいですけど」
右側のシャーリーが、俺の右手をとって持ち上げると、その手の甲を自分の乳房に押し付けてきた。左手の甲も同じように、アンの胸に抱きしめられている。
パジャマのような貫頭衣を一枚まとっただけの膨らみに詰まった弾力が、二の腕のときよりもはっきりと伝わってくる。手の甲のほうが感覚点が多いのだろうか? でも、どうせなら手の甲ではなく、平のほうで感じたい。
――と思ったのと同時に、俺の手は自然と裏返って……裏返らない! 角度的に無理だ!
でも、俺の焦燥を察してくれた姉妹二人のほうが身体を動かしてくれた。
「はい、ロイドさん。どうぞ♥」
「ロイドはそんなにおっぱい揉みたいのかよ。可愛いとこ、あんなぁ」
アンはにっこり微笑みながら、シャーリーはからかい笑いを浮かべながら、俺の両隣からずれ、正面に並んで座る体勢になってくれた。
「おぉ……」
口からオヤジっぽい溜め息が漏れてしまう。
ぶっちゃけ、この二人の胸なんてさんざん見ているし、触ったり揉んだりしたことだって、一度だけでなく、ある。だっていうのに、どうしてこうも俺は興奮しているのだか。これを最後に、こういうエッチなイベントは春までお預けだと分かっているからだろうか。
「んっ……」
「ふ、ぁ……」
姉妹二人の押し殺した吐息。
俺の両手は、俺が由無し事に思いを馳せているときも勝手に動いて、二人の胸を正面から撫でくりまわしていた。
右手にはシャーリーのそれなりに育っている乳房のボリューム感と、もちもちな弾力感。左手にはアンの慎ましやかな、でも確かに存在している膨らみの、ぷにぷにとしたハリ感。
両手から伝わってくる触感の微妙な違いを味わい、比べて、どっちもいいものだと、ふたつ丸を付けた俺はちょっぴり大人だ。
「ん……あ、ロイドが馬鹿なこと考えてるときの顔してらぁ」
「あ、本当だ……ふふっ、どんなこと考えてたんですかぁ?」
暗闇にサイリウムの棒が一本程度の明るさしかないのに、シャーリーは俺の表情を目聡く見つけて、嘲笑ってくる。そこへ追撃してくる、アンの微笑み。
「うっ……いや、とくに何も……」
ほとんど反射的に否定する俺。でも逃げられない。
「当ててみましょうか」
微笑むアンの両目が、すうっと細くなる。蛙を睨む蛇の眼だ。英語でスネークアイズというと、ピンゾロで親の一人勝ち、という意味だったか。
「ロイドさんは、わたしとお姉ちゃんのおっぱい、大きいのも控え目なのもどっちもいいな、って考えていたんですよね?」
「なっ、なんで分か――あっ」
誘導尋問に引っかかったと気づいたのは、アンの両目がますます細められるのと反比例して口角が持ち上がっていくのを見た後だ。
しまった、なんて顔をしてしまえば、アンだけでなくシャーリーからも揶揄されてしまう。
「へぇ、そうかよ。ロイド、緩んだ顔して何考えてんのかと思ったら、あたいらのおっぱいを揉み比べて、どっちが好きかを真剣に考えてたんか……んだよ、ロイドもスケベになったもんじゃん」
「うぐっ……!」
「違うよ、お姉ちゃん。ロイドさんは最初から結構、こんなふうだったよ」
「あ、そうだったな。あっはっはっ」
「おまえら……!」
俺は笑っている二人を睨みつけるけれど、全然効いていない。そりゃ、両手は二人のおっぱいを揉んだり撫でたりとしているままだから、凄んでみせても間抜けなだけだと分かっているけど!
「ん、ぅ……っは……それにしても、ロイドよぉ……いつまで揉んでるつもりだ……あっ……♥」
「わたしのおっぱい、こんなに揉んでくるの、ロイドさんだけですよ……っ、ん、んぁ、あっ♥」
正直、正面から二人の胸を片手ずつで揉むというのは角度的に自由が少なくて、俺から見て外側になるほうの乳房を外側のほうから単調なリズムで揉むことしかできずに、遠慮なく揉んでいるのに焦らされているような感覚に陥るのだが……姉妹二人の声音や表情から察するに、二人もわりと興奮してくれているようだった。もっとも、それが演技でなければ、だけど。
「っ……あ、ロイドさん。いま、モテなさそうなこと考えてる顔。ふふっ♥」
「えっ」
アンに図星を突かれた俺は、慌てて顔を隠そうとして……あ、駄目だ。両手がどっちも俺の意思に従ってくれない。
「ふっ、は……あぁ、ロイドさぁ、もっと好きにしていいんだぜ……色々とさぁ」
シャーリーは俺の右手に自分から胸を差し出すようにして揉ませながら、ほんのりと朱に染まりつつある頬を緩ませ、ささやきかけてくる。顔にあるのは、先程までの揶揄する笑いではなく、もっと母性を感じさせる優しい微笑みだ。
「そうですよ、ロイドさん……んっ♥ もっと素直に、わたしとお姉ちゃんを楽しんで……っはふ♥ もっと、忘れられなく……離れられなく、なるくらい……っ、あっ♥ あっ、ん……ね?」
アンも優しく微笑みながら背筋をくねらせ、なだらかな丘陵の頂きでハードグミのように尖っている突起を自分から俺の手に擦りつけてくる。俺の指や手の平にコリコリした感触が当たってくるたびに、あどけない微笑みに媚びた潤みが混ざり込んでくるのは、俺の胸に――いや下腹部の炉心に、ごうごうと火を入れていく。
「あ……ふふっ♥ ロイドさん、興奮してる……んぅ♥ わたしの乳首、さわさわってして……っは♥ お顔、真っ赤にさせて……あ、あはっ♥」
うぅ、悔しい……!
アンは半ば計算尽くで喘いでいると理性では分かっていても、本能は素直に赤らんでいく。皮膚感覚の全てがそこに集中しているかのような手の平が、布地の内から健気な態度で甘えてくる乳首のグミ感を余すところなく感じ取り、そのデータを脳へと叩き込んでくる。刻々と、理性が本能に負けていく。
「ロイドさん、ん、んぁ♥ いいんですよぉ、もっと……っふあ♥ もぉっと、素直に……甘えて、寄りかかって、投げ出して……全部、全部、わたしたちに預けてしまって、いい……あ、ぁ♥ いいです、あぁ♥ ロイドさんの指、こすこすって、ふぁ♥ 乳首、溶けちゃう……ッ♥」
喘ぎ混じりの吐息と微笑み。計算尽くで媚びられていると分かっていても、逆らえない。女の甘えた声を拒めないように、男の脳はできているのだ。
「ロイドぉ、アンばっかじゃなく、あたいのほうも……ほらっ、あっ♥ ああっ♥」
アンの乳首の感触にいつの間にか陶酔しきっていて、右手がお留守になってしまっていた。
シャーリーは焦れた声を上げると、俺の右手に自分の手を重ねて、強引に胸を揉みしだかせにかかってくる。無論、俺の右手は一切の抗弁権を明け渡して、シャーリーの手が強いてくるままに、推定Bカップに五本の指をがっしと食い込ませていく。
「ひっううッ♥ ロイド、ちょっ、おっ♥ あっ♥」
「あっ、ごめん、強すぎた――」
「違う! いい……いいんだっ、あっ♥ 気持ちいいから、もっと……ぉ、あっ♥」
慌てて力を緩めようとした俺の手を、シャーリーはぎゅっと握りしめるようにして片方の乳房に押し付けていく。
手の平の真ん中で、弾力的な粒がぷるっと転がる感触。充血した固くなった乳首だ。勃起乳首だ。お手頃サイズの乳房を鷲掴みにして、ぐにんぐにんと捻って捏ねて丸めるみたいに揉み込みながら、手の平の窪みを吸い付かせるみたいにして、布地にぴんと擦れた勃起乳首を、ずりんずりんと捏ねくり転がす。
「あきゅっ、っ……急には、あぁ……ッ♥ っは……ぅあ……ッ♥」
二人の着ている貫頭衣は当然、機械織りなどではなく手織りだ。その斑のある織り目が丁度いい感じに、シャーリーの勃起乳首に引っかかって擦りたくっているのだろう。シャーリーは横座りの体勢から跳ね上げるように腰を浮かせて身悶えている。
「むぅ……! ロイドさん、こっちの手が止まってますよ!」
右手に集中していたら、今度は左手が疎かになっていて、アンに文句を付けられてしまった。
俺は、悪かった、とか言葉で謝ることもせず、無言で左手を握って、アンのなだらかな胸を捏ねくった。
「きゃうんッ♥」
狙っていたのか素なのか分からない、猫の鳴き声みたいな嬌声を上げて、アンは俺に蕩けた顔を見せつけてくる。薄明かりしかなくとも俺がはっきり見えているのが分かっているのか、無防備な牝顔には似つかわしくない挑発的な眼差しが、俺のことを見つめ続けている。
「ん、んっ……っ、ぁ……ふぁ……♥ ロイドさん……あぁ♥ ロイドさんの手、おっきくて、温かくて……はぁ♥ わたしのおっぱい、溶けちゃいます……っふあぁ♥」
アンの潤んだ瞳と、蕩けた吐息。媚びた囁きに、ぷにぷにの乳房とコリコリの乳首。
「ロイドの手、ごつごつして……んんっ♥ あぁっ……あ、あたいも……あたいの、お、おっぱいもっ……ひぅっ♥ うっ、うぁ……ッ♥」
シャーリーも妹に負けじと真似てくるけど、アンほど熟れていなくて、まるで素人芝居だ――でも、そこが良い。幾つも挟まる切なげな吐息は本物だから、台詞の棒読み感もかえって素人モノ感が出ていて、興奮せずにはいられない。
単体女優か、素人モノか――俺は=を書くべきだと思う。だって、俺の右手も左手も、いま喜んでいるのだから。
「アン、シャーリー。二人とも餞別ありがとうな」
俺は二人を順繰りに見やって、頭を下げた感謝を告げた。
それから顔を上げると、アンを見つめる。
「安心しろ。勝手にいなくなったりしないから」
「……」
アンは答えなかった。でも、甘ったるく媚びてきていた顔が、潮が引くように能面へと変わっていく。薄明かりしかないから、シャーリーは隣に座っていながら妹の表情変化に気づかなかったようだけど、なぜか夜目が利くようになっていた俺には見えている。
「分かってます」
内心の読めない微笑を被ったアンは、優しくも聞こえる声音を紡ぐ。
「分かっていますよ、ロイドさん。ロイドさんがそんなことするなんて、最初から少しも思っていませんよ。今夜のこれは、お姉ちゃんがやろうって言い出したことなんですよ」
「え……あ、そうだったのか」
てっきりアンが姉を誘ったものかと思っていたのに、当の本人であるアンからくすくす半笑いで訂正されてしまった。俺、なんか恥ずかしい。顔が欲情とは違う理由で火照ってしまう。
「そ、そうか。そうかそうか……ま、まあっ、うん!」
幸いにも、俺の両手は俺が話している間もずっと、姉妹の乳房を片方ずつタッチしたままだった。さすがに撫でたり揉んだりは謹んでいたのだけど、その両手にぎゅぎゅっと力を込める。
「きゃっ!」
「んあっ♥」
シャーリーが普段は出さない高さの声で喘いで、アンは硬い微笑を一気に蕩けさせる。
「いっ……ロイド、いきなりは止めろっつの……ん、んっ……ッ♥」
「ロイドさん、んっ♥ これ、照れ隠し、ですかぁ? そういうの、どうかとっ、おっ♥ あっ♥」
「うるさい! これは俺への餞別なんだろ? なら、黙って好きにさせろ!」
「途中で話しかけてのはロイドのほう……ああっ! 分かった、余計なこと言わねぇから、もっと優しく……あ、あっ♥ そ、そう♥ そんな感じ、でっ……ふっ、ふぁ♥ あ……ッ♥」
右手のBカップと左手のAカップにがしがしと指を食い込ませているうちに気持ちが満ち足りてきて、乳揉みの手付きも柔らかくなっていく。姉妹の上げる嬌声も、堪えるようなものから、甘えたものへと変調していく。……アンは薄い乳房を強めに搾られるのでも、わりと善がっていたが。
「ん、んぁ、ああっ……あぁ、気持ちいい♥ ……っけど、右も……右の胸も触れよぉ……!」
シャーリーは気持ち良さで頬を緩ませながらも眉間を険しくさせて、ずっと放置されている右の――俺から見て内側のほうになる乳房を主張させてくる。
「あ、ロイドさん。わたしの右おっぱいもぉ……♥」
アンも腰をくねらせながら前のめりになって、触れていない左の胸元を俺のほうへと突き出してくる。
む……む? こういうとき、どうしたらいいんだ? 俺の手はふたつしかないぞ!
「……あ、そうか。よし、ふたりとも。ちょっとこう、向き合って……はい、こう!」
俺は二人をまとめて抱きしめるように両手で引き寄せ、二人を向き合わせた。
「あ……お姉ちゃんの顔、近い」
「ロイド、これはなんか恥ずいんだけど」
暗闇にサイリウム一本程度の明るさでも、さすがに正面から抱き合えば、互いの顔もよく見えよう。
「ごちゃごちゃ言わない。俺への餞別なんだろ? なら、俺の好きにやらせろ」
俺は恥ずかしがって仰け反ろうとする二人の背中を両手で抱きしめて、姉妹の胸と胸とをぷにゅりと鉢合わせさせた。
「ひゃッ♥」
「――んぅ♥」
姉妹の掠れた喘ぎが交差する。
パジャマ二枚分の布地は、互いの硬く尖った乳首を守るものではなく、その乳首をざりざりと擦る淫具でしかない。
「ちょ、おぁッ……ロイドさんっ、いま乳首敏感だからこういうのちょっとお、お、ぉおッ♥」
「わ、きゃっ! ロイド、乱暴に背中を揺するなっ……あきゃッ♥ きゅっ、っ……ち、ちきゅびっ、やあぁ……ッ♥」
姉妹二人の背中を、まわした両手でぐいぐい押してやると、姉妹は揃って俺が思っていた通りの甲高い喘ぎ声を上げてくれた。
「いいぞ、二人とも。その調子でほら、お互いのずっと俺に弄られて気持ちよくなっていたほうの乳首で、相手のずっと俺に触ってもらえなくて焦らされていた乳首をゴシゴシしてあげるんだ」
「うぁ……ロイド、なんかキメぇ……っふぅう♥ ああっ、アン……んっ♥ ゴシゴシ、しゅなぁ、あ、あっ♥ あぁっ♥」
「ふぁ、ぁ……駄ぁ目、だよぉ♥ お姉ちゃん、これはロイドさんへの、餞別、なんだからぁ……あっ、んんっ♥ ロイドさんの、言ったとおりにゴシゴシ、しないとぉ……っふぁ……なんだ、っよぉ♥ おっ、ぁ……ふぁ♥ ごし、ごしっ……っ、んふっ♥ ふふっ♥」
確かに、いまの俺は我ながらちょっとキモかった。でも、この姉妹3Pが俺への接待なんだったら、いちいち指摘しなくったっていいじゃあないか――という俺の正当な憤りを、アンはしっかり汲んでくれて、シャーリーの乳首に制裁の乳首ゴシゴシを仕掛けてくれた。
アン、最近ちょっと笑顔の裏側が怖かったりもするけれど、やっぱり良い子じゃないか。
「んっ♥ んんぁっ♥ ロイドさんっ、んっ……わたしがお姉ちゃんの乳首、やっつけちゃうとこ、見ててっ、くださいっ、ねぇ♥ ……っはあぁ♥ あ、あぁっ♥」
アンは蜂蜜よりも甘えた、とろっとろの媚び声で俺の股間を煽りながら、背中をくねりくねりと自分から上下に揺すっていく。
「ひゃっ、っ、きゅ、あ……ッ! アン、んぁ! やっ、ちょ……ぁあッ♥ 乳首っ! ちくびっ、っ、いぃあッ! あ、あっ、あ、あぁッ♥ あっ、あ! ぁあッ♥」
乳首を守ってくれるはずの貫頭衣は、乳首を擦るためのガーゼになってしまっている。
シャーリーは背中を反らせてアンの乳首から逃れようとするけれど、俺の右手がそうはさせない。シャーリーの背中をしっかり押さえつけて、アンを援護する。退路を断たれたシャーリーの乳首が、アンの乳首の餌食にされる!
「んっ、んっ♥ お姉ちゃん、えいえいっ♥ ……あぁっ、コリコリ……わたしにもっ♥ わたしの乳首もっ、お、おあぁッ♥ こりこり、きちゃうッ♥ きてっ……ああぁッ♥ こりこりっ♥ ごりごりぃ、いぃッ♥ ふああぁッ♥」
――おっと、これは予想外。いや、まったくの予想通りだ。
嵩にかかって姉乳首を攻めていた妹乳首も、まあ当然なのだけど、姉乳首と同じだけのダメージを食らうわけで……アンは快感と苦悶のごっちゃになった嬌声に喉を震わせる。固く握り締めた両手を上下にぶんぶん振っているのは、強すぎる快感から逃げてしまいそうになる背中を前に押し出すための弾みをつけるためだろう。
「ふっ、っ、ん、んんっ! お姉ちゃんっ、お姉ちゃんの乳首っ、なんかにっ……負けない、もんっ、ん、んぅああッ♥」
「ばっかぁ、アン、ん、んんぅッ♥ いぃ意味分かんねっ、ふえぁッ♥ あ、あ、あぁッ♥ 乳首取れるぅ! ……ぁあッ♥ ばかっばかばっかああぁッ♥」
シャーリーは俺の手を押しのけようと、背中を何度も激しく反らしてくるけれど、俺だって鍛えている。戦士たちほどではないけれど、シャーリーの背筋ではびくともしないほどの腕力をあるのだ。
結果、前よりも後ろを重視したシャーリーは、無防備な乳首をアンの猛攻に晒すことになり、貫頭衣の織り目に食い込みそうなほどガチガチになった乳首を破裂するほど擦りたくられて――
「――ふっううぅあああッ♥♥」
喉を差し出さんばかりに顎を反らして、アンは乳首絶頂を決めたのだった。
シャーリーにはBカップという膨らみがあったけれど、アンにはそれが欠けていた。攻めても受けても乳首が愛撫される以上、勝敗を分けたのは戦術ではなく戦略なのだった。
「……って、なんだこれ?」
いや本当、これなんだこれ。俺は大真面目な顔で何を言っているんだか。
村との連絡や、物々交換用の物資の運搬や、連絡事項の伝達や、その他のちょっとした挨拶やなんやはだいたい俺が一手に引き受けていたので、シャーリーとアンにその引き継ぎを頼むための準備や周知でちょっと駆けずり回ったり、そこそこお高い紙とペンとインクでマニュアル作成をしてみたりもした。マニュアルといっても、「売り買いや交換の記録はちゃんと付けましょう。そのときの書式はこうしましょう」というお小遣い帳の一ページ目みたいなものだが。
その他にも食料の用意だとかが、狩猟にも採取にも困らない秋の盛りだったこともあって速やかに終わると、もういつ出立してもいいようになった。
――そんな晩だ。俺が一人で寝ていた洞窟内のテントに、シャーリーとアンの二人がひっそりと訪ねてきたのは。
「ロイドさん」
「ロイド」
俺は横になって寝ていたのだけど、声がかけられる前に目を覚ましていた。誰かがテント内に入ってきた気配で目を覚ますとか、俺も達人じみてきたものだ。
「アンとシャーリーか。二人ともどうしたんだ?」
俺がすぐに上体を起こして返事をするのは予想外だったのか、二人は少し驚いた顔をする……って、ああ、いま気づいた。テント内には星明かりも入ってこない真っ暗闇なのに、俺には二人の顔がそこに浮かんでいる表情まで、はっきりと見て取れた。
「なんだ、起きてたのかよ。寝顔を見てやろうと思ってたのに」
「ロイドさん、こんなに寝起きが良かったんだ。一年一緒にいても、知らないことってまだまだあるんですね」
シャーリーは笑い混じりに悪態を吐き、アンは少し媚びたように微笑む。二人とも声を抑えているから、俺を叩き起こしに来たわけではないようだ。外も静かだし、緊急事態ということではないのだろう。
ちなみに、俺が寝ているこの場所は洞窟を入ってすぐのところだが、ゴブリンたちはもっと奥まで進んだ広間のようになっているところで雑魚寝している。有瓜も夜はそっちで過ごすことが多い。有瓜以外の女性陣だと真っ暗すぎてどうにもならないので、入り口付近に幾つか設えた少人数用のテントを寝室にしている。
無論、洞窟の奥へ行く道を塞がないように、少テントは左右の壁際に沿って設営されている。俺は密かに、この一帯をネカフェと呼んでいる。小さな雑居ビルに入っている、消防法ナニソレなネットカフェ店内そっくりの光景だからだ。
一度、有瓜にそれを言ったことがあるのだけど、あいつにはピンと来なかったようで残念だった。あいつならネカフェでのエッチなことをしているかと思ったのだけど、「話を聞くだけでも狭苦しそうですし、周りの迷惑になりそうなところではちょっと……」と、ものすごく常識的な返事をされて釈然としなかったものだ。
おっと、余談はこのくらいにしておこう。
「それで、二人してこんな夜中にどうした?」
俺も二人に合わせて、潜めた声で尋ねた。
「その前に灯りを点けてもらっていいですか?」
「お、そうか」
俺はなぜか夜目が利きまくっていたから失念していたが、テント内は真っ暗なのだった。俺は枕元に置いていた木製の小箱に手を伸ばし、その蓋を開いた。途端、小箱の中に収められていたものの淡い光が外に出てき、俺たち三人の姿をぼんやりと照らし出した。
小箱の中に入っていたのは、ただの小石に神官が発光の魔術をかけたものだ。サイリウムくらいの光量が、日没から夜明けの少し前くらいまで、およそ十時間ほどは保つ。発光魔術の基本的な使い方だそうだけれど、ラヴィニエがやると同じ光量では半分の時間しか保たなくなる。神官の実力の高さが窺えようものだ。
灯り箱の淡い明かりの中、シャーリーとアンは俺の顔を見つけると、ほっとした様子で近づいてきて――左右から姉妹で同時に抱きついてきた。
「お、おう?」
戸惑う俺に、二人は俺の耳朶を舐めるようにして左右から語り込んでくる。
「ほら、ロイドはレーベンだっけ? 隣の国に行って、春まで戻ってこねぇんだろ? なら、向こうで夜に寂しくなってもあたいらのことを思い出せるように、身体でしっかり覚えていってもらおうと思ってよ」
「要するに、わたしたちからの餞別です。ロイドさんは深く考えずに、気持ちよくなってくれればいいんですよ」
「お、おぉ……」
べつに俺だってもう全然童貞とかじゃないし、なんなら経験豊富なほうじゃん、とかイキってもいいくらいの経験者のはずなのだけど、こういうホステスに接待されているみたいなのは、性行為とは別物だ。性欲とは似て非なる、愛欲というかモテたい欲がぐんぐん満たされていくのだ。
人はパンのみにて生くるにあらず。かつて十三人の弟子にチヤホヤされたスーパースターの言葉をいま、ものすごく理解した。ソープがあればキャバクラは要らない、とはならないのだ。いや、どちらも行ったことないけれども。
「おっ、ロイド。だらしない顔なってんぞ」
「あ、本当。邪魔だなって思われなくて良かった」
シャーリーとアンの鈴を撫でるような笑い声が、左右の耳それぞれを甘くくすぐってくる。
「……邪魔だなんて、思ったことないぞ」
少し思考がふわふわする。気配で覚醒するほど冴えていた頭が、いまや熱に浮かされたみたいに、ふわふわだ。女子の身体って柔らかいんだよな。とくに、右腕と左腕に押し付けられている胸部の膨らみとか、とくに。あ、右腕に感じるシャーリーの膨らみのほうが、左腕に感じるものより厚いな。二人ともブラなしの貫頭衣一枚だから、膨らみの柔らかさとか弾力とかが、よく伝わってくる……これ、ちょっと身動ぎするふりをして腕を動かしたら、胸の先っぽの感触も感じ取れてしまうのでは?
……なるほど、頭がふわふわするわけだ。気配で覚醒するほど冴えていた俺の頭は、両腕に当たる感触を感じ取るのでいっぱいになっていた。おっぱいだけに。
「俺はアンもシャーリーもいい子だと思っているし、毎日笑っていてくれたらいいなと思っているし……」
あ、駄目だ。思考がおっぱいでいっぱいで、なんか良いこと言いたいのに、無理だ。語彙が死んでる。
「ロイドさん……無理して真面目なこと言おうとしなくていいですよ」
「えっ、無理なんてべっべつに――」
「いいって、いいって。あたいらもそういう話をしにきたんじゃねぇし、単純に楽しんでくれよ……ほら、そっちから触ってくれていいからさ」
「あ、わたしのもどうぞ。お姉ちゃんのより小さいですけど」
右側のシャーリーが、俺の右手をとって持ち上げると、その手の甲を自分の乳房に押し付けてきた。左手の甲も同じように、アンの胸に抱きしめられている。
パジャマのような貫頭衣を一枚まとっただけの膨らみに詰まった弾力が、二の腕のときよりもはっきりと伝わってくる。手の甲のほうが感覚点が多いのだろうか? でも、どうせなら手の甲ではなく、平のほうで感じたい。
――と思ったのと同時に、俺の手は自然と裏返って……裏返らない! 角度的に無理だ!
でも、俺の焦燥を察してくれた姉妹二人のほうが身体を動かしてくれた。
「はい、ロイドさん。どうぞ♥」
「ロイドはそんなにおっぱい揉みたいのかよ。可愛いとこ、あんなぁ」
アンはにっこり微笑みながら、シャーリーはからかい笑いを浮かべながら、俺の両隣からずれ、正面に並んで座る体勢になってくれた。
「おぉ……」
口からオヤジっぽい溜め息が漏れてしまう。
ぶっちゃけ、この二人の胸なんてさんざん見ているし、触ったり揉んだりしたことだって、一度だけでなく、ある。だっていうのに、どうしてこうも俺は興奮しているのだか。これを最後に、こういうエッチなイベントは春までお預けだと分かっているからだろうか。
「んっ……」
「ふ、ぁ……」
姉妹二人の押し殺した吐息。
俺の両手は、俺が由無し事に思いを馳せているときも勝手に動いて、二人の胸を正面から撫でくりまわしていた。
右手にはシャーリーのそれなりに育っている乳房のボリューム感と、もちもちな弾力感。左手にはアンの慎ましやかな、でも確かに存在している膨らみの、ぷにぷにとしたハリ感。
両手から伝わってくる触感の微妙な違いを味わい、比べて、どっちもいいものだと、ふたつ丸を付けた俺はちょっぴり大人だ。
「ん……あ、ロイドが馬鹿なこと考えてるときの顔してらぁ」
「あ、本当だ……ふふっ、どんなこと考えてたんですかぁ?」
暗闇にサイリウムの棒が一本程度の明るさしかないのに、シャーリーは俺の表情を目聡く見つけて、嘲笑ってくる。そこへ追撃してくる、アンの微笑み。
「うっ……いや、とくに何も……」
ほとんど反射的に否定する俺。でも逃げられない。
「当ててみましょうか」
微笑むアンの両目が、すうっと細くなる。蛙を睨む蛇の眼だ。英語でスネークアイズというと、ピンゾロで親の一人勝ち、という意味だったか。
「ロイドさんは、わたしとお姉ちゃんのおっぱい、大きいのも控え目なのもどっちもいいな、って考えていたんですよね?」
「なっ、なんで分か――あっ」
誘導尋問に引っかかったと気づいたのは、アンの両目がますます細められるのと反比例して口角が持ち上がっていくのを見た後だ。
しまった、なんて顔をしてしまえば、アンだけでなくシャーリーからも揶揄されてしまう。
「へぇ、そうかよ。ロイド、緩んだ顔して何考えてんのかと思ったら、あたいらのおっぱいを揉み比べて、どっちが好きかを真剣に考えてたんか……んだよ、ロイドもスケベになったもんじゃん」
「うぐっ……!」
「違うよ、お姉ちゃん。ロイドさんは最初から結構、こんなふうだったよ」
「あ、そうだったな。あっはっはっ」
「おまえら……!」
俺は笑っている二人を睨みつけるけれど、全然効いていない。そりゃ、両手は二人のおっぱいを揉んだり撫でたりとしているままだから、凄んでみせても間抜けなだけだと分かっているけど!
「ん、ぅ……っは……それにしても、ロイドよぉ……いつまで揉んでるつもりだ……あっ……♥」
「わたしのおっぱい、こんなに揉んでくるの、ロイドさんだけですよ……っ、ん、んぁ、あっ♥」
正直、正面から二人の胸を片手ずつで揉むというのは角度的に自由が少なくて、俺から見て外側になるほうの乳房を外側のほうから単調なリズムで揉むことしかできずに、遠慮なく揉んでいるのに焦らされているような感覚に陥るのだが……姉妹二人の声音や表情から察するに、二人もわりと興奮してくれているようだった。もっとも、それが演技でなければ、だけど。
「っ……あ、ロイドさん。いま、モテなさそうなこと考えてる顔。ふふっ♥」
「えっ」
アンに図星を突かれた俺は、慌てて顔を隠そうとして……あ、駄目だ。両手がどっちも俺の意思に従ってくれない。
「ふっ、は……あぁ、ロイドさぁ、もっと好きにしていいんだぜ……色々とさぁ」
シャーリーは俺の右手に自分から胸を差し出すようにして揉ませながら、ほんのりと朱に染まりつつある頬を緩ませ、ささやきかけてくる。顔にあるのは、先程までの揶揄する笑いではなく、もっと母性を感じさせる優しい微笑みだ。
「そうですよ、ロイドさん……んっ♥ もっと素直に、わたしとお姉ちゃんを楽しんで……っはふ♥ もっと、忘れられなく……離れられなく、なるくらい……っ、あっ♥ あっ、ん……ね?」
アンも優しく微笑みながら背筋をくねらせ、なだらかな丘陵の頂きでハードグミのように尖っている突起を自分から俺の手に擦りつけてくる。俺の指や手の平にコリコリした感触が当たってくるたびに、あどけない微笑みに媚びた潤みが混ざり込んでくるのは、俺の胸に――いや下腹部の炉心に、ごうごうと火を入れていく。
「あ……ふふっ♥ ロイドさん、興奮してる……んぅ♥ わたしの乳首、さわさわってして……っは♥ お顔、真っ赤にさせて……あ、あはっ♥」
うぅ、悔しい……!
アンは半ば計算尽くで喘いでいると理性では分かっていても、本能は素直に赤らんでいく。皮膚感覚の全てがそこに集中しているかのような手の平が、布地の内から健気な態度で甘えてくる乳首のグミ感を余すところなく感じ取り、そのデータを脳へと叩き込んでくる。刻々と、理性が本能に負けていく。
「ロイドさん、ん、んぁ♥ いいんですよぉ、もっと……っふあ♥ もぉっと、素直に……甘えて、寄りかかって、投げ出して……全部、全部、わたしたちに預けてしまって、いい……あ、ぁ♥ いいです、あぁ♥ ロイドさんの指、こすこすって、ふぁ♥ 乳首、溶けちゃう……ッ♥」
喘ぎ混じりの吐息と微笑み。計算尽くで媚びられていると分かっていても、逆らえない。女の甘えた声を拒めないように、男の脳はできているのだ。
「ロイドぉ、アンばっかじゃなく、あたいのほうも……ほらっ、あっ♥ ああっ♥」
アンの乳首の感触にいつの間にか陶酔しきっていて、右手がお留守になってしまっていた。
シャーリーは焦れた声を上げると、俺の右手に自分の手を重ねて、強引に胸を揉みしだかせにかかってくる。無論、俺の右手は一切の抗弁権を明け渡して、シャーリーの手が強いてくるままに、推定Bカップに五本の指をがっしと食い込ませていく。
「ひっううッ♥ ロイド、ちょっ、おっ♥ あっ♥」
「あっ、ごめん、強すぎた――」
「違う! いい……いいんだっ、あっ♥ 気持ちいいから、もっと……ぉ、あっ♥」
慌てて力を緩めようとした俺の手を、シャーリーはぎゅっと握りしめるようにして片方の乳房に押し付けていく。
手の平の真ん中で、弾力的な粒がぷるっと転がる感触。充血した固くなった乳首だ。勃起乳首だ。お手頃サイズの乳房を鷲掴みにして、ぐにんぐにんと捻って捏ねて丸めるみたいに揉み込みながら、手の平の窪みを吸い付かせるみたいにして、布地にぴんと擦れた勃起乳首を、ずりんずりんと捏ねくり転がす。
「あきゅっ、っ……急には、あぁ……ッ♥ っは……ぅあ……ッ♥」
二人の着ている貫頭衣は当然、機械織りなどではなく手織りだ。その斑のある織り目が丁度いい感じに、シャーリーの勃起乳首に引っかかって擦りたくっているのだろう。シャーリーは横座りの体勢から跳ね上げるように腰を浮かせて身悶えている。
「むぅ……! ロイドさん、こっちの手が止まってますよ!」
右手に集中していたら、今度は左手が疎かになっていて、アンに文句を付けられてしまった。
俺は、悪かった、とか言葉で謝ることもせず、無言で左手を握って、アンのなだらかな胸を捏ねくった。
「きゃうんッ♥」
狙っていたのか素なのか分からない、猫の鳴き声みたいな嬌声を上げて、アンは俺に蕩けた顔を見せつけてくる。薄明かりしかなくとも俺がはっきり見えているのが分かっているのか、無防備な牝顔には似つかわしくない挑発的な眼差しが、俺のことを見つめ続けている。
「ん、んっ……っ、ぁ……ふぁ……♥ ロイドさん……あぁ♥ ロイドさんの手、おっきくて、温かくて……はぁ♥ わたしのおっぱい、溶けちゃいます……っふあぁ♥」
アンの潤んだ瞳と、蕩けた吐息。媚びた囁きに、ぷにぷにの乳房とコリコリの乳首。
「ロイドの手、ごつごつして……んんっ♥ あぁっ……あ、あたいも……あたいの、お、おっぱいもっ……ひぅっ♥ うっ、うぁ……ッ♥」
シャーリーも妹に負けじと真似てくるけど、アンほど熟れていなくて、まるで素人芝居だ――でも、そこが良い。幾つも挟まる切なげな吐息は本物だから、台詞の棒読み感もかえって素人モノ感が出ていて、興奮せずにはいられない。
単体女優か、素人モノか――俺は=を書くべきだと思う。だって、俺の右手も左手も、いま喜んでいるのだから。
「アン、シャーリー。二人とも餞別ありがとうな」
俺は二人を順繰りに見やって、頭を下げた感謝を告げた。
それから顔を上げると、アンを見つめる。
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内心の読めない微笑を被ったアンは、優しくも聞こえる声音を紡ぐ。
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幸いにも、俺の両手は俺が話している間もずっと、姉妹の乳房を片方ずつタッチしたままだった。さすがに撫でたり揉んだりは謹んでいたのだけど、その両手にぎゅぎゅっと力を込める。
「きゃっ!」
「んあっ♥」
シャーリーが普段は出さない高さの声で喘いで、アンは硬い微笑を一気に蕩けさせる。
「いっ……ロイド、いきなりは止めろっつの……ん、んっ……ッ♥」
「ロイドさん、んっ♥ これ、照れ隠し、ですかぁ? そういうの、どうかとっ、おっ♥ あっ♥」
「うるさい! これは俺への餞別なんだろ? なら、黙って好きにさせろ!」
「途中で話しかけてのはロイドのほう……ああっ! 分かった、余計なこと言わねぇから、もっと優しく……あ、あっ♥ そ、そう♥ そんな感じ、でっ……ふっ、ふぁ♥ あ……ッ♥」
右手のBカップと左手のAカップにがしがしと指を食い込ませているうちに気持ちが満ち足りてきて、乳揉みの手付きも柔らかくなっていく。姉妹の上げる嬌声も、堪えるようなものから、甘えたものへと変調していく。……アンは薄い乳房を強めに搾られるのでも、わりと善がっていたが。
「ん、んぁ、ああっ……あぁ、気持ちいい♥ ……っけど、右も……右の胸も触れよぉ……!」
シャーリーは気持ち良さで頬を緩ませながらも眉間を険しくさせて、ずっと放置されている右の――俺から見て内側のほうになる乳房を主張させてくる。
「あ、ロイドさん。わたしの右おっぱいもぉ……♥」
アンも腰をくねらせながら前のめりになって、触れていない左の胸元を俺のほうへと突き出してくる。
む……む? こういうとき、どうしたらいいんだ? 俺の手はふたつしかないぞ!
「……あ、そうか。よし、ふたりとも。ちょっとこう、向き合って……はい、こう!」
俺は二人をまとめて抱きしめるように両手で引き寄せ、二人を向き合わせた。
「あ……お姉ちゃんの顔、近い」
「ロイド、これはなんか恥ずいんだけど」
暗闇にサイリウム一本程度の明るさでも、さすがに正面から抱き合えば、互いの顔もよく見えよう。
「ごちゃごちゃ言わない。俺への餞別なんだろ? なら、俺の好きにやらせろ」
俺は恥ずかしがって仰け反ろうとする二人の背中を両手で抱きしめて、姉妹の胸と胸とをぷにゅりと鉢合わせさせた。
「ひゃッ♥」
「――んぅ♥」
姉妹の掠れた喘ぎが交差する。
パジャマ二枚分の布地は、互いの硬く尖った乳首を守るものではなく、その乳首をざりざりと擦る淫具でしかない。
「ちょ、おぁッ……ロイドさんっ、いま乳首敏感だからこういうのちょっとお、お、ぉおッ♥」
「わ、きゃっ! ロイド、乱暴に背中を揺するなっ……あきゃッ♥ きゅっ、っ……ち、ちきゅびっ、やあぁ……ッ♥」
姉妹二人の背中を、まわした両手でぐいぐい押してやると、姉妹は揃って俺が思っていた通りの甲高い喘ぎ声を上げてくれた。
「いいぞ、二人とも。その調子でほら、お互いのずっと俺に弄られて気持ちよくなっていたほうの乳首で、相手のずっと俺に触ってもらえなくて焦らされていた乳首をゴシゴシしてあげるんだ」
「うぁ……ロイド、なんかキメぇ……っふぅう♥ ああっ、アン……んっ♥ ゴシゴシ、しゅなぁ、あ、あっ♥ あぁっ♥」
「ふぁ、ぁ……駄ぁ目、だよぉ♥ お姉ちゃん、これはロイドさんへの、餞別、なんだからぁ……あっ、んんっ♥ ロイドさんの、言ったとおりにゴシゴシ、しないとぉ……っふぁ……なんだ、っよぉ♥ おっ、ぁ……ふぁ♥ ごし、ごしっ……っ、んふっ♥ ふふっ♥」
確かに、いまの俺は我ながらちょっとキモかった。でも、この姉妹3Pが俺への接待なんだったら、いちいち指摘しなくったっていいじゃあないか――という俺の正当な憤りを、アンはしっかり汲んでくれて、シャーリーの乳首に制裁の乳首ゴシゴシを仕掛けてくれた。
アン、最近ちょっと笑顔の裏側が怖かったりもするけれど、やっぱり良い子じゃないか。
「んっ♥ んんぁっ♥ ロイドさんっ、んっ……わたしがお姉ちゃんの乳首、やっつけちゃうとこ、見ててっ、くださいっ、ねぇ♥ ……っはあぁ♥ あ、あぁっ♥」
アンは蜂蜜よりも甘えた、とろっとろの媚び声で俺の股間を煽りながら、背中をくねりくねりと自分から上下に揺すっていく。
「ひゃっ、っ、きゅ、あ……ッ! アン、んぁ! やっ、ちょ……ぁあッ♥ 乳首っ! ちくびっ、っ、いぃあッ! あ、あっ、あ、あぁッ♥ あっ、あ! ぁあッ♥」
乳首を守ってくれるはずの貫頭衣は、乳首を擦るためのガーゼになってしまっている。
シャーリーは背中を反らせてアンの乳首から逃れようとするけれど、俺の右手がそうはさせない。シャーリーの背中をしっかり押さえつけて、アンを援護する。退路を断たれたシャーリーの乳首が、アンの乳首の餌食にされる!
「んっ、んっ♥ お姉ちゃん、えいえいっ♥ ……あぁっ、コリコリ……わたしにもっ♥ わたしの乳首もっ、お、おあぁッ♥ こりこり、きちゃうッ♥ きてっ……ああぁッ♥ こりこりっ♥ ごりごりぃ、いぃッ♥ ふああぁッ♥」
――おっと、これは予想外。いや、まったくの予想通りだ。
嵩にかかって姉乳首を攻めていた妹乳首も、まあ当然なのだけど、姉乳首と同じだけのダメージを食らうわけで……アンは快感と苦悶のごっちゃになった嬌声に喉を震わせる。固く握り締めた両手を上下にぶんぶん振っているのは、強すぎる快感から逃げてしまいそうになる背中を前に押し出すための弾みをつけるためだろう。
「ふっ、っ、ん、んんっ! お姉ちゃんっ、お姉ちゃんの乳首っ、なんかにっ……負けない、もんっ、ん、んぅああッ♥」
「ばっかぁ、アン、ん、んんぅッ♥ いぃ意味分かんねっ、ふえぁッ♥ あ、あ、あぁッ♥ 乳首取れるぅ! ……ぁあッ♥ ばかっばかばっかああぁッ♥」
シャーリーは俺の手を押しのけようと、背中を何度も激しく反らしてくるけれど、俺だって鍛えている。戦士たちほどではないけれど、シャーリーの背筋ではびくともしないほどの腕力をあるのだ。
結果、前よりも後ろを重視したシャーリーは、無防備な乳首をアンの猛攻に晒すことになり、貫頭衣の織り目に食い込みそうなほどガチガチになった乳首を破裂するほど擦りたくられて――
「――ふっううぅあああッ♥♥」
喉を差し出さんばかりに顎を反らして、アンは乳首絶頂を決めたのだった。
シャーリーにはBカップという膨らみがあったけれど、アンにはそれが欠けていた。攻めても受けても乳首が愛撫される以上、勝敗を分けたのは戦術ではなく戦略なのだった。
「……って、なんだこれ?」
いや本当、これなんだこれ。俺は大真面目な顔で何を言っているんだか。
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