義妹ビッチと異世界召喚

Merle

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4章

59-3. 小さな器 ロイド ★

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「ラヴィニエ?」

 もう一度呼びかけてみたら、ちょうど足下から俺を見上げたラヴィニエと目が合った。
 少しだけ寄った眉には逡巡が見えているけれど、二つの青い瞳はまっすぐに俺を見ている。

「従者様……剣というのは、どのような状況でも振るえるのでなければなりません」
「そ、そうだな」

 足下にしゃがんだ奇抜な体勢でまともなことを言われても戸惑うばかりなのだが、ラヴィニエは気にしてくれない。いや、彼女のほうにも俺の内心を気にする余裕がないのか?
 相手を気遣う余裕を残していられないほど全身全霊なのだ――と言うと騎士っぽくて格好いいのだけど、それでやっていることが俺のズボンを脱がせにかかっていることなのだから、格好付かないどころではない。

「いやいや、ラヴィニエ。これ、なんで、どういう流れよ?」
「ででですからっ、どどどんな状況でも剣を振るえるように訓練するひひ必要があってですね」
「下半身丸出しで剣を振らなきゃいけない状況はなりようが――」

 ……あ、なくはない?
 例えば街でに入ったら、そこが悪徳ぼったくり店で、脱いだところで怖いお兄さん連中が出てくるとか……。

「……いっ、いやいや! そういうお店に行かなきゃいいだけの話だろ、それは!」
「そういうお店、ですか?」
「つまり、裸になって遊ぶお店……え? もしかして、街にもそういうお店は存在しないとか?」
「どの街にも存在するとは思いますので、とっ、とにかくく訓練ががっひひっ必要にゃのでっですすすッ!」
「噛みすぎだろ!」

 ――という下らない遣り取りをしながらも、ラヴィニエは俺のズボンの裾を掴んで、引き摺り下ろそうとしてくる。
 なんでいきなりこうなったのか意味が分からないし、ゴブリンたちがこちらに気づいてじろじろ見てくるものだから羞恥心は煽られるしで、俺は抵抗する。

「従者様、なぜ!?」
「逆になぜだよ!?」

 なぜ抵抗するのか、なぜ脱がそうとするのか――言い合いにもならない言い合いと、ズボンを上下に引っ張り合う攻防。俺たちは一体何をやっているんだ?

「いや本当にラヴィニエ、おまえ、なんだ? っつか……なんだ!?」
「なんだと、言われ、ましてもっ……わわ私だって、こっこんな破廉恥なこ――」
「おわっ……とぉ!?」
「――っとおおぉッ♥」

 ラヴィニエが俺のズボンを力任せに脱がそうとしながら不満を訴えようとしたそのとき、バランスを崩して倒れそうになった俺は、反射的にズボンから両手を離して、ラヴィニエの頭を押さえつけるように抱えてしまった。
 その瞬間に上がった奇声というか歓声。
 ラヴィニエは抵抗がなくなったズボンを膝上まで一気に下ろした勢い余ってつんのめり、俺の褌一丁になった股間に顔面を押しつけてしまったのだった。

「ラヴィニエ……」
「ふぁっ、ふぅああ♥ だめっ、らめっふえぇ♥ こんなっ、んすーっ……っはあぁ♥ いい汗掻いた後の、すっ……んっふぁ♥ こんなっ、あぁ、こんな、ふしだらな……すっ、ふすっ、すはっ……匂い、いぃ……ッ♥」
「ラヴィニエ……」

 一度目の呼びかけは心配げに、二度目の呼びかけはドン引きしながら、だった。
 この女騎士、ここまで淫欲に堕ち果てていたか……!

「ラヴィニエ……男の股間の匂いが、言葉を忘れてしまうくらい良いか」
「うぁっ、っ……い、言わないで――ふぐぅ!?」

 俺が吐き捨てるように言うと、ラヴィニエは一瞬だけ正気を取り戻して俺から離れようとする。だけど、俺がそれを許さずに、抱えていた頭をぐいっと引き寄せて鼻面がいっそう股間にめり込むようにしてやると、ラヴィニエは背筋に沿って首から腰までをガクガクッと痙攣させて抵抗を止めてしまう。

「ちょっと押しつけただけで、これだ。よく口答えしようと思えたな……というか、そんなに匂うのか?」
「ふっ……ぐ、ふ……うぅ♥」
「いや、そこは答えてくれよ!」

 ラヴィニエは鼻をふがふが鳴らすのに夢中で、俺の質問が聞こえていなかったようだ。
 まったく……これでは当に額面通りの意味で、話しにならない。

「おい、ラヴィニエ」

 俺は呼びかけながら両手に力を込めて、ラヴィニエの顔を俺の股間から遠ざけさせた。

「ふぁ……!」

 ラヴィニエは、おしゃぶりを取り上げられた乳児のような顔になった。その顔のまま再び顔を近づけてこようとするのだけど、俺は両手を突っ張らせてそれを阻止する。

「あっ……なぜ!?」
「好きにしたかったら、答えろ。なんでいきなり、俺にをしようとした?」
「そ、そそっれは、わわっ」
「いつもなら、俺なんか放っておいて、ゴブリンあいつらのところにまっしぐらだ。それがどうして今日に限って逆なんだ?」
「それは、ですからつまり、そ、その……あっ! つまり、彼らとばかり交流を深めるのは公平ではないと思ったからです。騎士として宜しくないのではないかと言われ、それで考えたのです!」
「……誰かに言われたのか。誰に――あっ」

 考えるまでもなく、ぴんと来た。

「アンか」
「……はい」

 ラヴィニエは一瞬息を止めたものの、素直に認めてくれた。

「じつは昨夜、アン殿から言われまして……」

 ゴブリンとばかり交流するのは組織人として不適切なのではないか――みたいなことを、アンから遠回しに言われたらしい。
 アンが急にそんなことを言った理由は想像に易い。ラヴィニエを俺に嗾けるためだ。つまりは、俺に地球へ帰る方法探しを思い留まらせるための美人計に、そうとは知らせずにラヴィニエを引き込んだということだ。
 アン、そこまでか! そこまでするのか!?

「とっととにかく、従者様とも親睦を深めさせていただきたく――!」
「あっ」

 アンの本気に戦慄していた隙を突いて、ラヴィニエが俺の腰の両手で抱きつきながら、今度こそ顔面を俺の股間に押しつけた。

「――っふむうぅッ♥」

 ラヴィニエはもっこりと膨らんでいる褌に顔を埋めて、くぐもった歓声を上げた。
 ちなみに、こちらの世界にも下着は存在している。だけど、素材と製法技術の関係上、下着といえば男性も女性もドロワーズになる。また、貴族くらいの衣装持ちでなければ下着を常用することはなく、大多数の平民は男女ともにノーパンで過ごすのが普通のようだ。
 どちらの流儀にも従えなかった俺は、苦肉の策で褌なのだった。
 その褌に頬擦りというか鼻擦りしているラヴィニエの頭を、俺は押し返すことができなかった。なぜなら……ああ、言うまでもないだろう。否応なく気持ちいいからだ!

「っ……ラヴィニエ、これ以上は、冗談じゃ……ッ」
「んぁ……従者様の、布の内側で大きく膨れてきて……あっ♥ こうして、直に触れてみると、見た目以上に大きく……っは、ぁ♥」

 ラヴィニエの鼻先が、布地をぴんと張り詰めさせた肉棒の裏側をこりこりと擦ってくる。

「くっ……あ……ッ」

 しっかりと締めていた褌がどんどん窮屈になっていくけれど、汗を吸った布地がぱんぱんに貼り付いている裏筋を鼻先でマッサージされるのは新鮮な気持ち良さで、褌を緩めてしまうのが勿体なくなる。
 このまま布越しのマッサージを味わっていたい。でも、解放されて直に触れてもらいたくもある。いや、それ以前にラヴィニエを引き剥がすべきなのだろうけど、ここで止められたら生殺し過ぎるし――前後左右に引き千切られるような衝動きもちの乱れに、呼吸が逸り、勃起が止まらない。

「……ぁ、従者様の……下着に、汗とは違うものが染みてきておりますね……ん、ふっ♥」

 ラヴィニエはぐっと喉を突き出すように顔を上げて、褌の上端からはみ出したがっている亀頭の裏側を鼻の頭でぐりぐりと擦ってくる。汗とは違うもの――先走りの粘液で湿った布地が貼り付いている裏筋をそうやって擦られれば、染みが広がるだけでは済まなくなる。

「うぅ……ラヴィニエ……あぁ!」

 もう色々と限界だった。
 それをラヴィニエも察したようで、俺が一際大きく呻いたのと同時に、褌を手早く緩めた。
 ずるりと落ちた褌が半脱ぎのズボンに引っかかって止まるより一瞬早く、解放された勃起肉棒がぶるっと揺れて、ラヴィニエの鼻筋にもたれかかった。

「んひゅッ♥ ぁ……っふあ♥ ぁ、あ♥ ん、んっ……んっす、すーぅ……んっ、んぁっ、はんんッ♥」

 単語ひとつ口にする暇さえ惜しいとばかりに、ラヴィニエはすんすんと鼻を鳴らして、露わになった俺のものを堪能する。
 ホイル焼きの綴じ目を開けたときみたいな顔だ。包まれた状態で加熱されたスープの香気がホイルを開けたところから爆発するように溢れ出してくるのを、鼻いっぱいに吸い込んで感じ入るときの顔だ。

「ふぁ……ん、ん、すっ、んすっ……っんあぁ……」

 ラヴィニエは睫を伏せて、裏筋やカリ首の周りに鼻の下をくっつかせては、すはすはと鼻腔を閉じたり開いたりさせている。

「……そんなにの匂いが好きか」

 ごくりと喉が鳴った。
 ラヴィニエがゴブリンたちの股間に顔を埋めているのを離れたところから見ていたときには、むしろドン引きしか覚えなかったのに、いざ自分が同じことをされてみると、得も言われぬ官能が背筋がぞくぞくと駆け上がってくる。
 敏感な粘膜を刺激されることで発生する物理的な快感だけでない。
 硬く膨らんで生々しい形を露わにした肉塊に媚びているとしか見なせない、ラヴィニエの蕩けた笑顔だ。それが視覚から脳の奥へと刺さって、脳味噌をぐちゃぐちゃに混ぜてくる感じだ。頭の中に刺激さとう視覚バターを山ほどぶち込まれて、激甘なクッキー作りをされている気分だ。

「ん、はっ……」

 ラヴィニエが飽きずに鼻を鳴らしている――と思ったら、俺自身の息遣いだった。

「あ……俺、興奮してるのか」

 興奮していることを自覚した瞬間、ぐっと肉棒の力が入った。

「あっ、雫が」

 仁王立ちする俺の足下で、両足を揃えて座っているラヴィニエがうっとりとささやく。寄り目になった上目遣いで見つめているのは、傘を開かせた亀頭の先に浮いた先走り汁だ。
 褌の染みになることのなくなった先走りは、粘り気のある透明な雫となって亀頭の先っぽに一瞬留まった後、とぅるんと滑るように裏筋のほうへと落ちていく。
 肉棒の裏側に浮き出た山脈のような血管に沿って垂れた雫は、その肉棒を支えていたラヴィニエの鼻筋にぺとっと落ちた。

「……んっ♥ ぬるぬる、ですね」

 ラヴィニエはとろんと緩んだ顔で、猫がするみたく顔を肉棒に擦りつける。ぐりぐりと押しつけてくる鼻筋で、先走りが垂れた跡を撫で上げてくる。

「お、ぉ……」

 熱めの風呂に浸かったときのような声が出てしまう。
 裏側で鼻で擦られる快感と、うっとりと蕩けた女の顔を肉棒越しに見下ろしている事実とに、先走りの雫は肉棒が脈打つたびに二滴、三滴と浮き出ては、ラヴィニエの鼻梁を目がけて零れ落ちていく。

「ん、ん……んっ、っふぁ……すっ、ふぁ、ぁ……♥」
「――ラヴィニエ、べつにいいんだぞ。無理して俺の相手をしなくても」

 俺がそう言ったのは、周りでいつの間にか素振りを再開しているゴブリンたちが目に入ったからだ。

「あいつらのほうが身体もデカいし、匂いも好みなんじゃないのか?」

 人間とゴブリンの体臭が全く同じだとは思えない以上、ラヴィニエの好みはこの性癖に目覚める切欠となったゴブリンたちの、とくに性器のサイズも大きめの戦士たちの匂いだろう。
 自分が一番ではなく二番以下で、仕方なく、義務感で相手されているのだと思ったら、燃え上がっていた官能の火も蓋を被されたように立ち消えてしまった。

「従者様は勘違いしておられます」

 ラヴィニエは項垂れた肉棒を鼻梁で支えながら、身動ぎ程度に頭を振る。

「私がこうしているのは、確かにアン殿に指摘されたからです。ですが、嫌々しているわけではありません――そんなこと、顔を見ればお分かりいただけていたかと思うのですが」
「む……」

 それもそうだ。あの陶酔した顔が演技だったとは思えない。というか、ラヴィニエにそういう演技が出来るとは思えない。

「従者様。いま、わりと失礼なことを考えましたか?」
「え、なぜ分かる?」
「逸物が少し跳ねたので」
「……顔を見れば分かるなんてレベルじゃなかった」
「逸物は口ほどにものを言うのです」
「そういう諺、こっちにもあるんだ」
「いえ、これは巫女様が仰っていたお言葉です。こちらでも、目は口ほどにものを言う、という諺なら御座いますが」
「日本でもそれだったから。ち○ぽ云々は有瓜の冗談だから!」
「ええと……巫女様が言ったというのは冗談ですので、そこは“いくら巫女様でもそんなことは言わないだろう”と言っていただきたかったのですが……」
「あ……そ、そうか」

 ノリツッコミ気味に声を張ったら、ラヴィニエに困り顔で笑われてしまった。
 冗談に気づかず受け答えしてしまった気恥ずかしさで、俺のほうは顔が引き攣っている。

「は、は……」
「……」

 気まずい間が出来てしまった。

「ええ……と、とにかく、好きですよ」
「えっ」

 沈黙を追い散らすようにラヴィニエが告げた言葉で、俺は息が一瞬止まった。

「あっ、違います! 従者様の逸物も好きな匂いがするという意味でのでして、懸想しているという意味ではなく――」
「分かっているから、微妙に落ち込む解説は止めてくれ。いまのは条件反射だ。分かっていても、男は女に好きと言われたら、てなるんだ」
「はぁ……そういうものですか」
「そういうものだ……って、騎士は男のほうが多いんだろ。なら、おまえと会話していて挙動不審になっていた同僚だって多かったんじゃないのか?」
「……そういったことはありませんでしたね。仰るとおり、騎士は男社会ですから、女は下に見られるのです。私の言葉に動揺してくれるほど私を尊重してくれていた同僚はおりませんでしたよ」
「そ、そうか……」

 話題の選び方を間違えてしまった。
 というかこの間ずっと、体勢がさっきと同じままだ。ラヴィニエは柔らかくなった陰茎を頬や鼻先、口元などに載せながら会話している。苦い思い出に目を馳せていても、ち○ぽが顔に載ったままだと、あまり同情する気が湧いてこない。
 俺が内心でそんなことを思っていると知ってか知らずか、ラヴィニエはち○ぽの向こうで艶美に頬笑む。

「――ですから、の一言で動揺してくださった従者様のことは、好ましい人物だと思っておりますよ。少なくとも、こうして親愛の情を示したいと思うほどには」

 ラヴィニエは微笑みながら、その緩んだ頬を陰茎に優しく擦りつけてくる。

「おぉ……」

 むず痒さと心地好さとを同時に覚えて、溜め息が喉を衝く。
 触れ合う肌から伝わってくる温かさに、力を失っていた陰茎が再び勃ち上がり、芯の入った肉棒へと変態していく。

「あ……」

 ラヴィニエの漏らした吐息の熱が、硬さと熱気を取り戻した肉棒を甘くくすぐった。

「んっ♥」

 くすぐったさに身動ぎした肉棒が、ぺたっと触れる程度にラヴィニエの鼻筋を叩くと、ラヴィニエは鼻から抜けるような高い声音で喜色を示す。

「従者様の、また大きくなりました、ね……♥」

 鼻の頭で、こつこつ、と裏筋を小突きながら、上目遣いで微笑みかけてくるラヴィニエ。
 そのあえかな刺激にじゅわりと滲んだ白露が、とろんとろんと粘り気の跡を付けながら垂れ落ちていく。

「ん……っ、っす……っは……この青臭さは、ゴブリンの方々に負けておりませんよ」

 垂れた雫を鼻先で掬い上げたラヴィニエは、青い瞳に艶めきをまつげで隠して、いっそう艶めかしく笑むのだった。
 そんな笑みを浮かべながら、粘々の樹液をもっともっと、と強請るように鼻先で裏筋の窪みを擦り、ふがふがと荒い鼻息でくすぐってくるラヴィニエを自分のもの越しに見下ろしていると、興奮を覚える――というか征服欲が満たされる、とでも言うべき感情で胸が満たされていく。
 自分が、よく振った炭酸飲料になった気分だ。喉の奥から迫り上がってくる感情で、口元が歪む。
 ああ――この感情は、あれだ。愉悦だ。

「ラヴィニエ、いやらしいな。そんなにが好きかよ」

 俺は自分で肉棒の根元を摘まんで、湿った裏筋でラヴィニエの小鼻をぺしぺしと小突く。

「んぁっ……ふぁ……す、好き、です……が、き、聞かなくともお分かりに――んぅあッ♥」

 眉を顰めて言い返してきたラヴィニエの鼻腔に、腰を引っ込めることで角度を変えた肉棒の先端をぐにっと押しつけて黙らせた。

「ん、んあっ、あっ……従者さ、まっ、ぁ……っふ、ふごッ♥」

 濡れた鈴口を鼻腔にぐりぐり食い込ませると、ラヴィニエは文句を言うよりも、鼻をふごふご鳴らすことのほうを優先する。

「ふっ、んふっ……ふ、すぅ……っ、っふご! っ、っ……んごっ、んふぉッ♥」
「咳き込むほどか!」

 鼻呼吸を頑張りすぎて噎せるとは、ラヴィニエの匂いフェチっぷりは底が知れない。
 ラヴィニエはきっといま、自分がどのような顔をしているのか自覚していないのだろう。もし自覚できていたら、鼻面を豚のように潰して、豚のようにふがふがと鼻で鳴くなんて真似をできようはずがない。

「ふ、がっ……ふっ、ふすっ、っ……んはっ、あぁ……ッ♥」

 俺が呆れ顔で見下ろしているのに気づいた様子もなく、ラヴィニエは肉棒の感触と匂いを鼻で味わっている。
 お気に入りは裏筋から鈴口にかけてのようだ。ときどき小鼻で引っ掻くようにして雁首カリの裏側を嗅いでくることもあるけれど、裏筋辺りのほうが鼻腔にフィットして良いらしい。

「んっふ、ふっ、すぅ……すはっ、はっ……あぁ、染み入ります……それに、大きさや形も……これなら……」
「……これなら?」

 ラヴィニエの妙な言いまわしが気になって聞き返したら、ラヴィニエは上目遣いで俺を見上げて――ふっと目を逸らした。

「あ……いえ、このくらいのものでしたら、問題なく行えますかね、と」
「……問題なく、何を行うんだ?」
「いえ、あの……ですから、その、行為……伽を、ですね……」
「伽……あぁ、つまり挿入か。俺のサイズなら挿入も問題ない、と。ゴブリンたちのと違って大きくないから」
「はい」
「……」

 そこは即答しないでいただきたかった。

「そっ、そのような顔をしないでください! しっし仕方ないではありませんか、事実として大きさに大人と子供ほどの差があるのですから!」
「ぐっ……い、いや、でも忍者のには負けていない……いない、よな?」
「あちらのは形が……大きなのついた釣り針のようで、身体に入れたら何かを引き摺り出されてしまうのではなかろうかという懸念が、でして……」
「あぁ、つまりあれか。俺のはサイズも手頃で、竿の反り具合もカリの張り具合も全然だから、挿入されたところで痛くも痒くもないだろう、と」
「はい!」
「即答、止めろ! あと笑顔も!」
「きゃっ」

 俺がツッコミの勢い余って声を荒げたら、ラヴィニエは可愛い悲鳴を漏らしてくれた。相変わらず顔にち○ぽ付けているくせに!

「従者様?」

 なぜ怒鳴られたのか分からない様子のラヴィニエに、俺はぐっと怒りを飲み下す。

「……そうか。おまえ的には事実を言っただけのことなんだよな。べつに、馬鹿にしたとかじゃなく」
「馬鹿に? わたしが、従者様を? そっ、そのようなこと!」

 ラヴィニエは慌てた顔で言い立ててくる。

「私は、従者様の逸物ならば、私の陰部ほとでも詰まったり引っかかったりすることなく呑み込めるだろうと思って、安堵からの独り言を呟いただけで御座います!」
「ん……分かった。分かったから、もう言わなくていいから」

 これ以上、真摯な顔で事実を告げられたら、俺は勃ち直れなくなってしまうので。

「――そうですか。では、言葉ではなく、実際に確かめていただきましょう」

 ラヴィニエはしかつめらしい顔のまま言うと、その場で下半身丸出しになるとをして四つん這いになり、剥き出しの尻を俺に向けてきた。

「ささ、従者様。挿入に問題がないことを、御自身の逸物をもってお確かめください」
雰囲気ムードを大事に……あぁ!」

 天を仰いで呻かざるを得なかった。

「……?」

 ラヴィニエが後ろ向きのまま振り返って、何を嘆かれているのですか、とでも言いたげな視線を向けてきた。
 なんとなくだが、想像はつく。
 ラヴィニエにとっての性行為は性欲の処理であり、スポーツなのだろう。元気を持て余しているのならスポーツで発散するのが健全だ、という論法のに置き換えたものが、ラヴィニエにとっての性行為なのだ。要するに恋情の発露、思慕の延長としての行為ではないわけだから、そこに淫靡さを必要としていないのだ。肉棒に鼻を擦りつけているときの顔がエロいのは、単に彼女自身の性欲が満たされていることの表れに過ぎない。
 ラヴィニエが性行為に求めるのは、自分の性欲が満たされることだけで、相手が満足するかどうかは関係がない。だから、ゴブリンたちが事務的にしか肉棒を顔に押しつけてこなくとも、ラヴィニエは気にしないのだ。相手にも気持ち良くなって欲しいという気持ちが――愛がないのだから。

「そんなのセックスじゃないだろ……!」
「え、従者様……きゃふッ!?」

 手の平を下向きにして中指を秘所に差し込むと、ラヴィニエは上擦った悲鳴を上げて、その指を濡れた膣肉で締めつけてきた。
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