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4章
59-1. 小さな器 ロイド ★
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朝、目を覚ましたら、股間にアンの顔があった。
「……なんで?」
「あ、ロイドさん。おはようございはむうぅ♥」
「んぉ!?」
いま何が行われたかというと、アンが朝の挨拶もそこそこに、俺の股間の突起物にぱくりと食いついたのだった。魚に食いつかれる釣り餌の気持ちを知った。
「なっ、なんだよ、いきなり!?」
「もごもご――」
「しゃぶりながら喋るな、って言うまでもなく喋る気ないか!」
アンはなぜこんなことをしているのか釈明する素振りすら見せず、俺の朝勃ちを一心にしゃぶっている。
両頬に窪みを作るくらい強く吸引しながら、舌をべちゃべちゃと押しつけるのも忘れない。しかも、裏筋だとかカリ首の出っ張りだとか、弱いところをしっかりと舐め擦ってくる。
「むっ……っ……」
「……む、ふっ♥」
俺が思わず漏らしてしまった声を聞いて、アンはものを深く咥えたまま、上目遣いの瞳と眉で頬笑む。算数のテストで良い点を取って褒められた子供みたいな、無邪気な笑顔だ。
……無邪気さと淫らさは両立されるものらしい。いま、その実演を見せられている。
「ん、んひゅ……っふっ、ふぁ……ふぁふひゅ♥」
「……ッ」
アンが笑うと、それに合わせて、温かな唾液を塗られた唇や舌が肉棒にぎゅっと吸い付き、粘り着いてくる。ただでさえ朝勃ちという生理現象に見舞われているのに、そこへこうも扇情的な口淫をされたら、ちょっと我慢が効かなくなる。勝手に緩んでいく心の蛇口を何度も締め直しているのだけど、緩む速さが加速度的に強まっていく。
ああ――そろそろ、打ち上げの秒読みが始まってしまう……!
「うっ……あ、アン……!」
もう射精しそうだ、と言葉ではっきり伝えるのは恥ずかしくてできないけれど、切羽詰まった呻き声や肉棒の緊張具合だとかで、アンは秒読みを感じ取ってくれた。しゃぶりながらの上目遣いで、俺の眉間に刻まれた皺の深さをしっかり確認してきたから間違いない。
「ふぅ、んぅふぅ♥」
唇の隙間から空気を漏らして笑ったアンは、口淫を一気に加速させてきた。
肉棒をじゅうぅっと唾液ごと激しく吸い上げられる。真空パックされた状態の肉棒が空気を求めるように青筋を立てて膨れ上がる。そこへ押しつけられる蕩けたチーズみたいな舌が、裏筋に止めを刺してきて――
「あっ、っ……くううぅ――ッ……!!」
――その舌を撥ね除けるように脈打った肉棒が、朝一番の重たい精液を迸らせた。
「んぅ、んっんんっ……んっはぁ……ごちそうさまでした……♥」
アンは射精中も唇をぴったり閉じたままで頬をもごもご震わせて、尿道の中に残っている分まで念入りに啜り上げると、ちゅぽっと小気味良い音をさせて口を離した……かと思ったら、
「んーぁ♥」
口を大きく開けて、舌を隠すように白濁が溜まった口内を俺に見せてきた。
「……そういうのも有瓜に教わったのか」
「ふぁい……っん!」
頷きながら口を閉じて、ごっくんと大きく喉を鳴らしたアンが再び大口を開けると、今度は舌がしっかり見えた。
「あーっ♥」
「全部飲んだのも、ちゃんと見せてくるのな。本当、最後までちゃんとしてるね」
「はい、ばっちりです!」
アンは芸を褒められた犬みたいな顔で、得意げに笑った。その顔があんまり朗らかなものだから、フェラで起こされた淫猥な気分もどこかに吹き飛んでしまう。
「まったく、朝からなんて起こし方してくれるんだ――」
「気持ち良かったですよね?」
苦笑する俺の眼前に、ずいっと迫ってくるアンの微笑。さっきまでの少女らしさをそのままに、捕えた鼠を嬉々として小突く猫のいやらしさが微笑の奥から垣間見えている。
「朝一番でびゅってしちゃうくらい気持ち良かったですよね、ロイドさん。こういうの、毎朝してもらえたら嬉しいですよね?」
「あ……っ、……そんなに引き留めたいのか」
喉が物欲しげに鳴りかけたのを強引に止めて、俺は話を微妙に逸らす。
アンはどうやら本気で、俺に地球へ帰る方法を探すことを諦めさせようとしているようだ――と言っても、今のところ危害を加えてくることはないし、今後もないだろうから、そこは心配していない。けれども、正面から「邪魔するな!」と突っぱねるには至らない程度の可愛げのある工作に終始されているのは、中々に小憎たらしい。
邪魔するな、と邪険にすると、アンはきっと涙ぐんだりするのだ。そして、俺のほうが罪悪感に苛まされて、譲歩してやらないといけない気持ちにさせられるのだ。
地球に帰ってこれを言ったら男女差別だ何だと言われそうだけど、それでも思う――女は狡いよな、泣けば男が悪者だもんな、と。
「――はい。もちろん、引き留めたいですよ」
アンの目尻と口元が、ふわっと緩む。花開くではなく、綻ぶ程度の淡い微笑だ。それなのに、目が吸い付けられる。
「でも、行かないで、なんて困らせることしか言いません。わたしがするのは……」
「……するのは?」
アンが妙なところで言葉を濁してくれやがるから、その言葉を待たれていると分かっていても言ってしまう。
「するのは気持ちいいこと、です♥」
そう告げたアンは、満開の笑顔だった。
女は狡いよな、と思った。
「じゃあ、わたしは戻ります。ロイドさんも早く起きてきてくださいね」
「あ……」
アンは言うだけ言うと、まだ寝そべっている俺を置いて、ささっと出ていった。
その潔い引き際に、思わず右手を追い縋らせて、はっと気がつく。
いかん、これは手管だ。駆け引きだ。男の狩猟本能をくすぐる罠だ! アンのペースに流されてはいかんぞ!
まったくアンのやつめ、さっきまでフェラしていた舌の根も乾かぬうちに、こんなラブコメじみたことで俺を籠絡しようだなんて――なんて、なんて……。
「……くそぅ」
目覚ましフェラされたことよりも、気持ちいいことすると笑顔で宣言されたことよりも――戻っていく間際に見せた飾らない笑顔にときめいている自分が、とても甘酸っぱくて居たたまれなかった。
「……なんで?」
「あ、ロイドさん。おはようございはむうぅ♥」
「んぉ!?」
いま何が行われたかというと、アンが朝の挨拶もそこそこに、俺の股間の突起物にぱくりと食いついたのだった。魚に食いつかれる釣り餌の気持ちを知った。
「なっ、なんだよ、いきなり!?」
「もごもご――」
「しゃぶりながら喋るな、って言うまでもなく喋る気ないか!」
アンはなぜこんなことをしているのか釈明する素振りすら見せず、俺の朝勃ちを一心にしゃぶっている。
両頬に窪みを作るくらい強く吸引しながら、舌をべちゃべちゃと押しつけるのも忘れない。しかも、裏筋だとかカリ首の出っ張りだとか、弱いところをしっかりと舐め擦ってくる。
「むっ……っ……」
「……む、ふっ♥」
俺が思わず漏らしてしまった声を聞いて、アンはものを深く咥えたまま、上目遣いの瞳と眉で頬笑む。算数のテストで良い点を取って褒められた子供みたいな、無邪気な笑顔だ。
……無邪気さと淫らさは両立されるものらしい。いま、その実演を見せられている。
「ん、んひゅ……っふっ、ふぁ……ふぁふひゅ♥」
「……ッ」
アンが笑うと、それに合わせて、温かな唾液を塗られた唇や舌が肉棒にぎゅっと吸い付き、粘り着いてくる。ただでさえ朝勃ちという生理現象に見舞われているのに、そこへこうも扇情的な口淫をされたら、ちょっと我慢が効かなくなる。勝手に緩んでいく心の蛇口を何度も締め直しているのだけど、緩む速さが加速度的に強まっていく。
ああ――そろそろ、打ち上げの秒読みが始まってしまう……!
「うっ……あ、アン……!」
もう射精しそうだ、と言葉ではっきり伝えるのは恥ずかしくてできないけれど、切羽詰まった呻き声や肉棒の緊張具合だとかで、アンは秒読みを感じ取ってくれた。しゃぶりながらの上目遣いで、俺の眉間に刻まれた皺の深さをしっかり確認してきたから間違いない。
「ふぅ、んぅふぅ♥」
唇の隙間から空気を漏らして笑ったアンは、口淫を一気に加速させてきた。
肉棒をじゅうぅっと唾液ごと激しく吸い上げられる。真空パックされた状態の肉棒が空気を求めるように青筋を立てて膨れ上がる。そこへ押しつけられる蕩けたチーズみたいな舌が、裏筋に止めを刺してきて――
「あっ、っ……くううぅ――ッ……!!」
――その舌を撥ね除けるように脈打った肉棒が、朝一番の重たい精液を迸らせた。
「んぅ、んっんんっ……んっはぁ……ごちそうさまでした……♥」
アンは射精中も唇をぴったり閉じたままで頬をもごもご震わせて、尿道の中に残っている分まで念入りに啜り上げると、ちゅぽっと小気味良い音をさせて口を離した……かと思ったら、
「んーぁ♥」
口を大きく開けて、舌を隠すように白濁が溜まった口内を俺に見せてきた。
「……そういうのも有瓜に教わったのか」
「ふぁい……っん!」
頷きながら口を閉じて、ごっくんと大きく喉を鳴らしたアンが再び大口を開けると、今度は舌がしっかり見えた。
「あーっ♥」
「全部飲んだのも、ちゃんと見せてくるのな。本当、最後までちゃんとしてるね」
「はい、ばっちりです!」
アンは芸を褒められた犬みたいな顔で、得意げに笑った。その顔があんまり朗らかなものだから、フェラで起こされた淫猥な気分もどこかに吹き飛んでしまう。
「まったく、朝からなんて起こし方してくれるんだ――」
「気持ち良かったですよね?」
苦笑する俺の眼前に、ずいっと迫ってくるアンの微笑。さっきまでの少女らしさをそのままに、捕えた鼠を嬉々として小突く猫のいやらしさが微笑の奥から垣間見えている。
「朝一番でびゅってしちゃうくらい気持ち良かったですよね、ロイドさん。こういうの、毎朝してもらえたら嬉しいですよね?」
「あ……っ、……そんなに引き留めたいのか」
喉が物欲しげに鳴りかけたのを強引に止めて、俺は話を微妙に逸らす。
アンはどうやら本気で、俺に地球へ帰る方法を探すことを諦めさせようとしているようだ――と言っても、今のところ危害を加えてくることはないし、今後もないだろうから、そこは心配していない。けれども、正面から「邪魔するな!」と突っぱねるには至らない程度の可愛げのある工作に終始されているのは、中々に小憎たらしい。
邪魔するな、と邪険にすると、アンはきっと涙ぐんだりするのだ。そして、俺のほうが罪悪感に苛まされて、譲歩してやらないといけない気持ちにさせられるのだ。
地球に帰ってこれを言ったら男女差別だ何だと言われそうだけど、それでも思う――女は狡いよな、泣けば男が悪者だもんな、と。
「――はい。もちろん、引き留めたいですよ」
アンの目尻と口元が、ふわっと緩む。花開くではなく、綻ぶ程度の淡い微笑だ。それなのに、目が吸い付けられる。
「でも、行かないで、なんて困らせることしか言いません。わたしがするのは……」
「……するのは?」
アンが妙なところで言葉を濁してくれやがるから、その言葉を待たれていると分かっていても言ってしまう。
「するのは気持ちいいこと、です♥」
そう告げたアンは、満開の笑顔だった。
女は狡いよな、と思った。
「じゃあ、わたしは戻ります。ロイドさんも早く起きてきてくださいね」
「あ……」
アンは言うだけ言うと、まだ寝そべっている俺を置いて、ささっと出ていった。
その潔い引き際に、思わず右手を追い縋らせて、はっと気がつく。
いかん、これは手管だ。駆け引きだ。男の狩猟本能をくすぐる罠だ! アンのペースに流されてはいかんぞ!
まったくアンのやつめ、さっきまでフェラしていた舌の根も乾かぬうちに、こんなラブコメじみたことで俺を籠絡しようだなんて――なんて、なんて……。
「……くそぅ」
目覚ましフェラされたことよりも、気持ちいいことすると笑顔で宣言されたことよりも――戻っていく間際に見せた飾らない笑顔にときめいている自分が、とても甘酸っぱくて居たたまれなかった。
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