義妹ビッチと異世界召喚

Merle

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4章

54-2. ラヴィニエの常識講座 ロイド ★

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 俺は河原に転がる小さな岩に座ったまま、駆けていったラヴィニエが戦士ゴブリンの一人を引き留めるのに成功したのを眺めていた。
 遠目だと分かりにくいけれど、引き留められた戦士ゴブリンは諦めた様子で溜め息を吐いたようだった。
 その戦士ゴブリンは川に背を向けて、俺のほうに顔を向けている。ラヴィニエはその彼の正面に立っているから、俺からは彼女の後ろ姿しか見えない。だからどんな顔をしているのかは分からなかったけれど、きっと餌を前にして「待て」を解かれた犬みたいな顔をしているのだろうな、と確信できた。なぜなら、ラヴィニエは戦士ゴブリンにぴったりとくっついて向き合ったまま、その足下にしゃがんだからだった。
 ラヴィニエの顔の位置はちょうど戦士の両足の付け根だったから、何をしているかは一目瞭然だ。だけど、たっぷりと汗を掻いたばかりの男根に顔を寄せたラヴィニエがどんな表情をしているのかは分からない。
 まあ、風に乗って聞こえてくるラヴィニエの喘ぎと嗚咽を聞いていれば、見るまでもなく分かりきっているが。

「……んっ♥ んっ、んぅぐ♥ っ、っ……んっぶぅお♥ んぅおッ♥ ぅお……ッ♥」

 ラヴィニエ……。
 ついさっきまで真面目な顔で、貨幣とは騎士とは、と語っていたのが嘘みたいだ。

「まだ聞きたいことは山ほどあるんだけど、どうするかな……」

 ここで、ラヴィニエが満足して戻ってくるのを待つのか? なんかそれ、空しくないか? でも、そうじゃないなら、まさか飛び入り参加?

「……いやいや」

 さすがにそれは羞恥心が勝つというか、そこまでセックスしたいのかよって蔑んだ目で見られて新しい扉を開いちゃったら怖いなというか……まだちょっと、そういうのは保留にしておきたい。
 けど、だったらどうしよう……? このままここで眺めている? いったん仕切り直すことにして、洞窟のほうに戻るか? それか、訓練がてら森をぶらりとしてくるか……。

「――持て余しているようですね」
「うおっ!?」
「きゃっ」

 いきなりの声かけに驚いて、肩がびくっと跳ねた。反射的に振り返ると、アンが立っていた。俺の驚きように、逆に驚かされたようで、両目を丸くしていた。でも、俺と目が合うとすぐ、くすくすと笑い出す。

「あ、ごめんなさい。そんなに驚くと思わなくて……ふっふっ」
「……何か用があるんじゃないのか?」

 俺は口元を擦りながら、努めて平静に話を逸らす。驚いたことにも、笑われていることにも敢えて触れなかった。なかったことにした。
 アンは意地悪せずに乗ってくれた。

「わたし、洗濯をしにきたんですけど……ロイドさんがおちんちん硬くなってるのを持て余しているように見えたので、先にそっちのお手伝いが必要なんじゃないかなぁと思いまして」
「えっ……」

 思わず、まじまじとアンを見つめ返してしまった。アンは笑みを深めて、俺を見ていた。

「そうですか、必要ないですか。じゃあ、わたし、行きますね――」
「待って!」

 ……と、意識するより早く、俺は腰を浮かせてアンを呼び止めていた。
 立ち去るを止めたアンは、にやりと笑って俺を見つめる。中腰の俺と、立っているアン。視線の高さはだいたい同じだったけれど、心境的には確実にアンが俺を見下ろしていた。

 ●

「んっ……ちゅ、ぱっ……♥ ……はむ、むっ、むふっ♥」

 再び岩に腰かけた俺の股間から、川のせせらぎよりも大きくて粘着質な水音が響いてきている。そこに蹲って肉棒を口いっぱいに頬張っているアンの口と鼻から溢れ出ている水音だった。
 その卑猥な水音に重なって、遠くからも似たような――じゅるじゅると麺を啜るような音が聞こえてくる。

「んっんんっ♥ んぅじゅっ、んじゅっ、んぶぶっ♥」

 女性の口から出てきていい音ではなかったけれど、残念ながらラヴィニエの口から出ている音だ。俺が座っている位置からでは後ろ姿しか見えないけれど、左右に忙しなく首を振っている様子からして、きっとち○ぽ相手に全力で顔面擦りつけウォッシュしながら、べちゃべちゃと唾液を撒き散らせるような舌使いで舐り倒しているのだろう。

「……すごいな、ラヴィニエ」

 後ろ姿を遠目に見ているだけで、変な溜め息が出てしまう。
 ここで暮らすようになってまだ一週間も経っていないのに、ここの流儀にすっかり馴染んでいる――いや、馴染むのを通り越して、ゴブリンたちが持て余しているようでさえある。
 村にはフェラの習慣がなかったから、きっと騎士にもそんな習慣はなかったと思うのだけど、ラヴィニエはいつも嬉々として肉棒にむしゃぶりついている。どちらかというと、しゃぶるより舐るほうが好きみたいだけど、もの凄い音をさせるという点ではどちらも変わらない。
 じゅぼじゅぶ、じゅるるっ……と、ただ舐めるという行為で、どうしてこれほどの爆音を響かせることができるのか。肉棒を舐めしゃぶるのなんて、ここに来るまで経験があったとは思えないのに……これもひとつの才能なのか?
 ラヴィニエはち○ぽを爆音で舐めしゃぶる才能があるな――とか本人に言ったら、喜ぶだろうか……?

「んんぅ……っはふ……ロイドさん、そんなに騎士様が気になりますか」

 変なことを考えていたら、アンが口内でもごもご舐め転がしていた俺のものから口を離して、困った弟を見るような上目遣いで窘めてきた。

「あ、ああ……悪い」
「でも仕方ないですよね。だってこのおちんちん、騎士様の可愛いところを見ていて、こんなふうに硬くなっちゃったんですもんね」
「……ああ」
「ねえ、ロイドさん。騎士様で勃起したおちんちんをわたしに気持ち良くされてるのって、どんな気分です?」
「え、えっと……」
「わたし、いま騎士様の身代わりにされてるんですよね。あ、それってちょっと、惨め?」
「え……ええっ!?」
「あはっ、冗談ですよ♥」
「えぇ……」

 俺、さっきから「えー」しか言ってない……。
 アンはにやにや、からかい笑いで俺を見上げている。

「……アン、ちょっと似てきたな」
「はい?」
「余裕綽々にからかってくるところ、似てるよ。有瓜に」
「……えっ!」

 俺としてはわりと思ったままを述べただけだったのだけど、アンは予想外に驚いた。

「そこまで驚くのか」
「だって、アルカさんと似ているだなんて、そんな……ちょっと褒めすぎですよぉ♥」
「あー……うん、そうだな」

 くねくね身動ぎして照れるアンに思わず棒読みで相槌を打ったら、眉をきっと上げた顔で睨まれた。

「そうだな!? それ、どういう意味です!?」
「褒めすぎってことはないよ、って意味だ。褒めたんだよ」
「本当ですかぁ?」

 胡乱げなアンに、俺は大きく頷く。

「本当、本当。というか、そろそろ……」

 そろそろ、中途半端にしゃぶるだけしゃぶって放置している俺のち○ぽをなんとかして頂きたいのだが……と、視線と陰茎の付け根PC筋の動きでアンに示唆する。
 口元でぴくぴくと尻尾を振った肉棒に、アンはようやく俺の顔からへと視線を戻してくれた。いや、上目遣いで見上げられながら奉仕されるのなら良いのだけども、肉棒をまったく無視して雑談に興じられてしまうのは生殺しにしかならない。
 ――という俺の切ない心持ちは十分に伝わったはずなのに、アンはすっとぼけてくれやがった。

「え? というか、そろそろ……なんですか? ごめんなさい、ちゃんと全部言ってもらわないと、わたし、分かんないです♥」
「そういうとこまで有瓜に似ないでくれ!」
「言葉責め、とか、インゴキョーヨーっていうんですよね。いま勉強中です」
「勉強するほど大事なことじゃないぞ、それ」
「じゃあ、証明してください。インゴキョーヨーされても興奮しないってことを」
「アン……証明なんて言葉、覚えたんだな」
「勉強してますから。そんなことより……ロイドさん、言ってください。そろそろ、どこをどうして欲しいんですか」

 さっきから萎えそうになるたびに、裏筋の辺りを鼻の頭ですりすりと擽られて勃起を維持させられてきた肉棒は、そろそろ一段先の刺激が欲しいと訴えてきている。

「ロイドさん、さあさあ♥」

 肉棒を鼻先で押し上げるようにしながら、上目遣いで見上げてくるアンの笑顔。そんなところから、そんな顔で催促されたら、口が勝手に動いてしまう。

「……アン。そろそろお喋りは止めにして、俺のものを弄ってくれ」

 そんなことはおまえの顔を隠すみたいに大きくなっているち○ぽを見れば、言わなくたって分かるだろ! ……と言ってやりたいところだが、そこをぐっと呑み込んで、俺は屈辱のおねだり台詞を口にしたのだったが、

「え、ってなんですか? 分かりませんよ、ちゃんと言ってください。ちゃんと、ですよ」
「それ、男に言わせて楽しいのか!?」
「いまとっても楽しいです♥」

 言葉尻から滲み出ているハートマークがとってもムカつく、いい笑顔だった。
 十ヶ月前は人見知りする猫みたいに物静かな娘だったのに、それがどうしてこんな活き活きと淫語強要してくるように育ってしまったのだろうか……いや、誰に感化されたのかなんて悩むまでもなく分かりきっているけれども。

「ロイドさん、早く」
「……俺の勃起したち○ぽを、アンに、弄ってもらいたいです。これでいいだろ」
「最後の照れ隠しが余計ですね」
「くっ……!」

 溌剌とした笑顔が憎々しい。でも、拒めない……!

「アン、もう俺の負けでいいから……早く……!」
「早く?」
「だから……!」
「あはっ、焦らしすぎですね。ごめんなさい――あ、むっ♥」
「うあ――ッ」

 ずっと鼻先で擦られるだけだった肉棒が吸い込まれるようにしてアンの口腔くちに咥え込まれた瞬間、俺は鼻に掛かった声で喘いでしまった。
 アンの小さな口は、目一杯に頬張った俺の肉棒に内側の柔らかな粘膜を衒いなく吸い付かせてくる。

「んっ、っ……んぅ……っふぁ……ッ……」

 左右の頬裏は、亀頭を柔らかく包んでくる。上顎の粘膜は、亀頭の表側をつるつると滑る感触で嬲ってくる。そして舌は、裏筋から肉竿の裏側にかけてにぴったりと吸い付き、忙しなく撫で擦ってくる。鼻の下を伸ばすようにして窄められた唇が竿の根元をきつめに締めてくるのも、脈拍の上がりを促進してくる。

「あ……はぁ……」

 俺の声だ。アンの口淫が心地好くて、吐息が鼻に抜けていくのを我慢できない。そんな俺を見上げて、アンは口にものを頬張ったまま、得意げに目を細める。

「ん、ん……ふ、ふっ……♥」
「……生意気!」

 照れ隠しと欲望とに突き動かされて、俺はアンの後頭部をぐいっと抱え寄せてやった。

「んっぐぉッ!?」

 目をくわっと見開かせたアンに、してやったりと下がる溜飲。ぞくぞくっと込み上げる興奮。鼠を前にした猫の気分だ。
 ――だけど、そんな優越感は秒で消し飛ばされた。

「む、っんぐ……っん、ぅんん♥ んっ、んぅ……ッ♥」
「え……あ! あっ、アン……んんッ!?」

 アンは俺に頭を抱え込まれたまま、頬をいっそう窄めて、喉の狭いところで亀頭を啄むような口技を仕掛けてきたのだ。

「っ……んっ、うぇ……! っ、っ……ッ!」

 アンは苦しげに眉根を寄せて、細めた目の端に涙を浮かべながらも、完全に根元まで咥え込んだ肉棒の先端を、咽頭のどでくにくにと吸ってくる。
 その献身的な喉奥フェラがあと十数秒も続けられたら、俺はそのまま射精していたかもしれないけれど、アンはそこまで頑張れなかった。

「っ、っ……――んえぇッ……!」

 咽頭への刺激に堪えきれなくて吐き出してしまった肉棒が、竿全体にびっちょりと絡みつかせたアンの唾液をぼちゃりと滴らせる。

「……っ、ぅは――……ッ……はっ……ッ……!」
「大丈夫か、アン?」
「はっ、っ……あっ……だい、じょぶ……です」
「無理に咥えさせたのは悪かった。でも、無理なら無理で、すぐ吐き出してくれて良かったんだぞ」
「はい……戦士さんのより小さいから平気かなって思ったんですけど、まだちょっと無理でした」
「……」

 息苦しさに赤らんだ顔で笑っているアンの、とても何気ない一言。でもその一言が、男にはとても効くんだ……。

「あっ……えっと、小さいっていうのは言っちゃ駄目な言葉なんでしたっけ。アルカさんが、男の人にそう言われていたの、忘れてました。ごめんなさい!」
「いや、いいよ。事実だしな。というか戦士たちは俺より身体がデカいんだから、ち○ぽだって俺よりデカくて当然だし? 例えて言うなら池の魚が海の魚より小さいのは当然だという話で、むしろ俺のは池の魚にしては大きいほう――少なくとも中の中から上くらいはあるんじゃないかなと思うし?」
「そうだ。えっと、こういうときは……はい、そうですね♥」

 思わず早口になった俺に、アンは思い出したかのように微笑みかけてくる。とても、わざとらしい。

「……それ、返答に困ったときはそうしろって有瓜に言われたのか?」
「あ、知ってるんですね」
「知らなかったよ。知らなくて済むように、上手くやってほしかったよ」
「でも、こういう新人にしか出せない自然な初々しさは武器になる、っても言われましたよ?」
「いや、おまえに初々しさはないから」

 実際、俺のちんぽはこうして無駄に喋っている間も、どっくどっくと脈打ちながら先走り汁を滲ませているけれど、それはアンが喋っている間も休みなしに頬や鼻先を肉棒の裏側に擦りつけて、まとわりついた唾液を拭い取ってきていたからだ。
 平然とイラマチオやディープスロートができるほど熟練していなくても、アンは立派な初心者マーク卒業生だ。

「というか、流行っているのか? その、顔にち○ぽを擦りつけるのは」
「あ……だって、騎士様がいつもあんなに気持ちよさそうにしているから……」

 アンはそう言って、背後に振り返る。その視線の先では、ラヴィニエがさっきと変わることなく、戦士ゴブリンの股間にぐりんぐりんと電動玩具みたいな勢いで顔を埋めているところだった。

「あれに感化されるのか……」
「アルカさんも、よりも好奇心、って言ってましたし」
「それだけ聞くと言い言葉だな――んで、実際に試してみた感想は?」
「んぅ……無しではないですけど、もどかしいですね」

 しゃぶりたくなって口の中が涎でいっぱいになっちゃいます、とアンは可愛く頬笑む。その笑顔の真ん中三分の一は、生乾きの唾液がこびり付いた勃起男根ち○ぽの陰に隠れている。それが無性に、淫靡に見えた。

「アン。俺もいま、もどかしいんだけど」
「あ……はい、もう一回あーんしますね♥」

 アンは笑みを深めると宣言通りに大口を開けて、ちらちらと舌の踊るその口内なかに、肉棒をちゅるんと啜り込んだ。

「んくっ……!」

 俺は反射的に唇を噛み締めて、喘いでしまうのを我慢した。でも、その仕草だけで、肉棒を咥え込みながら上目遣いで俺の反応を窺っていたアンには十分だったようだ。

「……んむぅ♥」

 頬を窄めた口内で舌をもごもごと肉棒に絡ませながら、目尻を引っ張るようにして笑いかけてくる。勝ち誇った猫のような感じが、有瓜にちょっと似ている気がした。

「ふぁ!? ……あ、んふっ♥」

 なぜか唐突に、ち○ぽの勃起度がさらに上がってしまった。
 アンは一瞬びくっと目を丸くしてから、どこか母性を感じさせる顔で俺を見つめつつ、口内の肉棒をちゅるちゅる舐り啜ってくる。

「うぉ……!」

 頬を窄めて空気を吸い上げることで作られた真空状態の中、絡みつくというか吸い付いてくる舌の感触が、肉棒の裏側に浮き出た輸精管をいやらしく揉みほぐしてくる。

「アン、それ、気持ちい――」
「ふぅあっはあぁッ♥ もっと、もっとぉ! もっと擦りちゅけてえぇッ♥♥」

 熱い吐息に混ざって零れた言葉は、遠くから聞こえてきた遠吠えのような嬌声に掻き消された。
 声がしたほうを反射的に見やると、ラヴィニエだった。ラヴィニエは戦士ゴブリンの股間に顔面ぐりぐりするだけでは飽き足らず、足を大きく開いた蟹股しゃがみで尻をへこへこ痙攣させていた。左手はゴブリンの腰に回されているけれど、右手で自分の股間を弄くっているようだった。
 顔面で感じる戦士の巨根をオカズにオナニーしている後ろ姿に、女騎士の凜々しさはない。唯々、へこへこ震える尻のところに、千切れんばかりに振り乱される見えない尻尾が見えるばかりだ。

「ん、ん……っは……、……おしゃぶりしているわたしより、騎士様のほうが気になりますか」

 少々、ラヴィニエの痴態に見入っていたようだ。気がつくと、俺の肉棒から口を離したアンが、授業中に余所見している生徒を窘める女教師みたいな目つきで俺を見ていた。

「あ……いや、悪い――」
「いいですよ、べつに。騎士様のほうを見ていても」
「え……」
「興奮しません? 騎士様のいやらしいところを見てカチカチになったのを、わたしのお口を使ってすっきりさせるんです。そういうの、興奮しますよね?」
「……」

 興奮するわけないだろ、と言い返すのを躊躇ってしまった時点で、俺の気持ちはアンに筒抜けだ。

「いいんですよ、ロイドさん。わたしのお顔も、お口も、おち○ぽ気持ち良くするための道具だと思っても……♥」
「うぁ……このっ、そういうこと……あぁッ!!」

 考えるよりも先に、両手でアンの頭を抱えて、力任せに引き寄せていた。

「んっご――ッ……っ、んんぅ……ッ……♥」

 肉棒が生温かくて湿った、ぬめぬめとするものに包まれる感触。亀頭の先が狭いところに嵌まったような感触もしたけれど、よく分からない。俺の視線は正面のずっと奥、仁王立ちする戦士ゴブリンの股間に蹲踞しているラヴィニエに釘付けになっているからだ。
 ――ああ、そうか。

「俺、ラヴィニエとヤってないんだ……」

 彼女がゴブリンたちと致しているところは何度も目にしてきた。ゴブリンたち相手に、山のさくらも恥じらうような蕩け顔を向けているのを何度も見てきた。
 なのに、俺がラヴィニエと話すときは全然、そういう雰囲気にならないのだ。ゴブリン相手には自分から駆け出してまでち○ぽを強請るくせに、俺とはまったく普通に小難しい話をしていられるのだ。
 ゴブリンたちと俺、一体どこで差がついてしまったのか? 俺のほうがずっと多く関わっていたと思うのに、結局、あのよく分からない箱詰め顔面ウォッシュプレイに俺は負けたわけだ。べつにそこまでの関係があったわけではないけれど、どうしようもなく感じる寝取られ感が辛いのだ。

「ああ、くそ……なんだもう、くそ! くそッ!」
「んっぐ! んぐっ、ん、んごぉッ!!」

 俺が込み上げる劣等感のままにアンの頭をぐっぐっと前後に揺さぶれば、アンは喉奥からンゴンゴと蛙の鳴き声みたいな嗚咽を張り上げる。
 アンがどんな顔をしながら呻いているのか分からないけれど、亀頭に当たるたびに艶めかしく疼く咽頭が気持ちいい。だから、どんな顔をしているのかなんて些事をいちいち気にしはしない。いまの俺は、ラヴィニエの卑猥な後ろ姿を見ているだけで込み上げてくる劣情を処理するので忙しいのだ。

「あぁ、あっ……ラヴィニエ、くそっ……なんだよ、気持ちよさそうに……ッ! くっ、っ……!」

 後ろ姿では顔まで見えない。けれども、時々野太くなるほど快感に染まりきった嬌声や、卑猥に震える腰つきなんかで、ラヴィニエがいまどれだけ陶酔しているのかはまざまざと伝わってくる。

「っふああぁ♥ んぁ、むっはぁ♥ いい……いいっ♥ いいっのぉッ♥」

 譫言のような、でも俺の耳まで届いてくる、艶やかな悶え声。
 その声を聞いているだけで、股間の付け根がぞくぞくと疼く。なのに同時に、俺相手には向けられることのない媚びた声音に、むかむかと腹が立つ。
 劣情と激情、どちらにしても股間のものをいきり立たせることに変わりはない。が怒張とも表現されるのが、なるほどと実感できた。

「くっ……ラヴィニエ、あんな声で毎度毎度、人の気も知らないで……くそっ! このっ!」

 さっきまで真面目な顔で俺と話していたくせに、臆面もなく下品な声で喘ぎまくりやがって! ――自分でも勝手なことを言っていると自覚できるけれど、いっぺん声に出してしまった苛立ちは後から後から沸き上がってくる。

「だいたい、俺がここにいるって分かってるくせに、どうしてあんな大声でっ、っ……俺に聞かせてる、つもりっ、っ、なのか!? そうなのっ、かッ!?」

 言葉にした瞬間、ゴブリンの股間に顔を寄せたラヴィニエがゆっくりと振り返り、横目で俺を見ながら嘲るような憐れむような微笑を浮かべた――という光景を妄想してしまった。

「く、そっ……!」

 思わず、腰と両手に力が入る。自分の妄想と分かっていても、悔しさと興奮が一気に煮え立ってしまう。

「っご、んぅっは! んぅあッ!」

 股間のところから女性の苦しげな呻き声が聞こえてくるけれど、いまは気にしていられない。怒り、苛立ち、劣情、興奮、快感――プラスマイナスの両極端へと伸びていく感情はまるで、左右に引っ張られた輪ゴムだ。いつ弾けてもおかしくない衝動のままに、俺はを両手で引き寄せ、に腰をぐいぐい押しつける。

「むんんっ! っ、ぅお! ぉお、ぅおッ!!」

 の孔内に押し込んだ肉棒を前後に暴れさせてねっとりもっちり張りついてくる内壁の感触を肉棒全体でじっくり味わう。

「んうぅ……うぅお! おっ、っ……おぉ、ぇ……ッ!」

 そのうちに、カリの張りだした肉と良い具合に擦れるところを見つけたので、腰を細かく揺すって、そこの内壁にカリをたっぷり擦りつけて快感を堪能する。

「んっひぁ、あぁ……! あっ……あっ、っ、んぅっ、んあっあぁ……ッ♥」

 腰を揺するたびに、まるで口にものを入れたまま呻いているみたいな物音が聞こえてくるけれど、俺はいまラヴィニエの後ろ姿を見つめながら自慰するので忙しいのだ。何の音かを確認する暇はない――あっ、ラヴィニエが全身を激しく縦揺れさせている。きっと戦士の肉棒を口いっぱいに咥え込んで、高速フェラをしているんだ!

「あっ……くそっ、俺だって……っ、んっ……!」

 ラヴィニエの震えとペースを合わせて、俺も自分の肉棒が収まっているを両手で前後に震わせる。

「――っお! ぉっ、おぐ! ぐっ、っ、んぇ! んぇっ、んぅえッ!」

 酷い濁声の叫びが切れ切れに聞こえてくるのが煩いけれど、の孔内にたっぷり溢れてくる唾液ローションにぐっしょりと浸された肉棒は、腰を揺さぶるたびにどんどん気持ち良くなっていく。

「く、ぅ……! あぁ、ラヴィニエ……あっ……うあ――ッ!!」

 我慢が効かないほど激しく迫り上がってきた衝動のまま、射精した。
 そのとき視線の向こうでも、蟹股で震えていたラヴィニエの肢体が動きを止める。
 ああ、俺の射精を受けて止めてくれているんだ――!
 そう思うしかないタイミングで背筋をくねらせるラヴィニエを見つめながら、俺は射精中の肉棒を大きく跳ねさせ、我ながら笑ってしまうほど大量の精液をどくどくと吐き出した。

「おっおぉッ!? おっ、んぉ! お、おっ、っ……っ、おっごぉ……ッ……!」

 誰かが溺れそうになって藻掻いている声が股間のほうから聞こえてくるけれど、射精中にそんな声を聞かされても困る。いまは目線を動かすのも億劫だ。でも、この億劫さが心地好い。

「あぁ……ラヴィニエ……気持ち良かったよ……」

 俺は飲精の余韻に浸っているラヴィニエに微笑みかけると、その頭をそっと撫でた。

「ん……ふぅ、ぁ……♥」
「……あ!」

 違う、はラヴィニエじゃない。アンだ!

「アン、大丈夫か!?」

 俺はハッと正気に返って、視線をラヴィニエがいる正面から股間と下ろした。
 涙と鼻水でぐしゃぐしゃに滲んだ顔のアンがいた。
 肉棒を根元まで呑み込んだまま、焦点の定まっていない虚ろな目をしていた。あ、よく見たら鼻から垂れているのは鼻水ではなく、鼻から逆流した精液だった。

「うわ、酷い顔だな……」
「……むぅ!」

 思わず素直な感想を言ってしまったら、涙目の上目遣いで睨まれた。

「悪い、ごめんなさい」

 謝りながら両手を離してアンの頭を自由にしてやると、アンはけほっと咳き込みながら、七割ほど萎えた肉棒を吐き出して、大きく息を吐いた。

「はっ……はぁ……っ……ロイド、っさん……んぁ……」
「アン、大丈夫か?」
「っ……それ、聞かなきゃ、分かんない、ですっ……かぁ?」
「あ、いえ。見れば分かりますです、はい」
「それは、良かったです……。ロイドさんには、わたしがいま全然平気みたいに見えているのかなぁって、ちょっと……傍に居るの、やっぱり止めようかなぁって思っちゃうところでしたよぉ……はっふぅ……」

 アンは大きく肩で息をしながら、冗談めかして笑った。
 俺にはその言い方が気になった。

「傍に居る……?」
「騎士様の代わりが欲しくなったら、いつでもお相手しますよ」

 さらりとそう言ったアンの口元は頬笑んでいたが、涙で腫れた両目は俺の内心を見透かそうとするかのように透徹していた。

「アン……なんで……」

 それは質問だったわけではない。質問にすらならない戸惑いが、口から自然に漏れただけのものだ。
 だけど、アンは俺の戸惑いにしっかりと答えてくれた。

「わたし、ロイドさんの傍に居て、騎士様の代わりでも何でもします。だから、わたしたちを置いて帰りたいなんて言わないでくださいね」

 ……俺が何も答えられないでいるうちに、アンは微笑を残して洗濯仕事に戻っていった。


 俺はたぶん、いざとなったら有瓜以外のみんなを切り捨てられる。俺にとってのアンたちは、大事だし身内だと思っているけれど、そこまでのものでしかない。
 だけど、アンたちにとっての俺と有瓜は? 俺や有瓜が地球に帰れたとして、そのときアンたちはどうなる?

「そんなの知るか――とは、言えないよなぁ……」

 文豪について調べたい気持ちは変わらない。
 でも、もし帰る方法が見つかってしまったらどうしたらいいのか――考えようにも、頭がさっぱりまわらなかった。
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