義妹ビッチと異世界召喚

Merle

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3章

49-1. 女騎士の最期 ロイド

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 しばらく前にやってきた女騎士が山賊に追われているのを発見したので保護したが、どうしたらいいか――忍者ゴブリンたちからその報告を受けた俺は、アルカやその他のゴブリンたちを呼んで、どうしたらいいかを会議した。

「いや、えっと……会議とかする必要、なくないです?」

 アルカの一言で、会議は全会一致で議決した。
 ただちに伝令役の忍者ゴブリンが走り、それからおよそ数十分後、女騎士を連れた忍者たちが帰還した。今度は拘束も目隠しもしていないけれど、忍者の一人が剣を預かっていた。
 女騎士は鎧を着込んでいた前回と違って、ごく普通の服を着ていた。といっても、俺や村人らが着ている簡素なものとは違って染料でしっかりと染められており、細かいところには飾りや細工が入っている。山歩きのせいで薄汚れてしまっているけれど、大分上等な服だ。
 なお、ドレスではなくズボンだ。鎧姿のときは他の男性騎士と同じ格好でも致し方なしと納得できたけれど、鎧を脱いでいるときは、女性騎士っぽい制服があるかしれない、と期待していただけに残念だった。スカートにニーソックス的なのを想像していたのに……。

 そんなことはともかくとして、連れてこられた女騎士だ。
 彼女は周囲をゴブリンたちに囲まれて剣を取り上げられているのに、思いの外、取り乱していなかった。
 忙しなく泳いでいる目線や、頬が何度も細かく引き攣っているところから、少なからず緊張しているのは見て取れるのだが、これまで見てきた山賊たちとは比べものにならないほど落ち着いていた。
 山賊たちはゴブリンを見ると、恐怖や敵意をもっと剥き出しにしていた。村人たちだってしばらくは似たようなものだったから、魔物を前にすれば誰でも悪感情を見せるものだと思っていた。なのに、この女騎士はそこまで怯えても敵意を抱いてもいないように見えるのだ。
 山賊に襲われていたところを忍者ゴブリンたちが救助したそうだから、それで敵意が薄いのかもしれない……とも思ったのだが、いまこの洞窟前広場に集まっているなかには、忍者たちより、というか俺よりも大柄な戦士ゴブリンたちも数名がアルカの護衛として同伴している。
 巨漢というだけで威圧感の凄いこいつらを目の当たりにしてもまだ、程度で済んでいるのが、俺には不思議に思えた。

 ……あ、いや、そうか。
 前回捕えたときに、他の男性騎士たちが口々に言っていたな。彼女は巫女さんで、過去の光景を視ることができる超能力者なのだ、みたいなことを。
 つまり、その能力で俺たちの暮らしぶりを視たから、「ここのゴブリンたちは普通一般の魔物とは違うようだ」と認識して、警戒を緩めたのだろう。ついでに言えば、前回だって拘束と目隠しと何時間も山歩きはさせたけれど、最初に制圧したとき以外は傷ひとつ付けていないのだ。そのことも、彼女の警戒レベルを引き下げる要因になっているのかもしれない。


 午後の日差しが差し込む広場で、俺たちは車座になって胡座を掻いていた。
 俺の横には有瓜も同席している。最初は安全上の観点から、子供たちと一緒に引っ込んでいるシャーリー、アンと一緒に洞窟内へ隠れていてもらうつもりだったのだけど、有瓜本人が「私も女騎士さんのお話を聞きたいです」と言えば、駄目と言える者はいないのだ。
 なお、ユタカは広場の端っこで木陰に入って微睡んでいる。平常運転である。
 女騎士はまずは自己紹介から始めた。

「改めて名乗らせていただく存じます。私はラヴィニエ・ミ・アーメイ。巫覡テールギアの筋たるアーメイ家が子女にして、アルゴーネ侯爵にお仕えする騎士でございます」

 それらの名称は前回、彼女――ラヴィニエたちを捕えたときに何となく聞いた憶えがあるものだった。アーメイという家名だけは、いま初めて聞いたと思うが。
 それからラヴィニエは、領主の息子が騎士団を率いて竜討伐にやって来ようとしている話をした。前回、竜の調査でやってきたラヴィニエたちは、その息子とやらに調査内容を包み隠さず報告したのだという。
 俺の目論見では、寝ている竜の姿を見た騎士たちは「これは寝ていても恐ろしい生き物だ。絶対に手を出してはならない」と考えて、「竜は発見できなかった。すでにここを去っていると思われる」と報告してくれるはずだった。
 下手に「発見したけど寝ていた。いつ起きるか分からない」と報告すれば、「寝ているなら狩れるかも」と思う輩が出てくるかもしれない――調査隊の騎士たちがそう考えて、報告内容に手を加えてくれるだろうと無責任に期待してしまっていた。

 ……まあ、冷静に考えたら、上意下達の薫陶が行き届いた組織人なら、調査内容を正確に不足なく報告するのは当然だ。部下である自分の役目は調査することで、判断は上司の役目。上司ならば、部下の自分より正しい判断をするものだ――騎士たちがそう考えるのは当然だった。
 これが年功者ならば、もう少し自己判断をして報告内容に意趣を加えてくれたかもしれないけれど、調査隊の面子はラヴィニエも含めて皆、十代から二十代の若者だった。きっと騎士であること、職務に忠実であることに誇りをもっていたのだろう。

「まあ……まぁ……過ぎたことだ」

 俺は敢えて言葉にして吐き出すことで、思考を切り替えた。いや実際、きっと上手いこと誤魔化してくれるよね、とラヴィニエたちに丸投げしていた俺に難癖をつける資格はないのだし。

「それで……ラヴィニエさんは、俺たちに騎士団がここに進軍してくることを伝えに来てくれた、と」
「ラヴィニエと呼び捨てていただいて構いません」

 ラヴィニエは跪いたまま、深々と首を垂れる。実のところ、前回からずっと内心では呼び捨てにしていたので、この申し出にはホッとした。

 それはともかく……ラヴィニエが詳しく語ってくれたところによると、彼女は調査内容を報告した日、すなわち現在の領主代行である息子閣下が竜討伐の軍を興すと決めた日の夜に領都を単身で脱して、ここまで強行軍で伝えに来てくれたのだった。
 ただし、山中で丸一日迷子になってしまったのだという。
 騎士とはいえ、山歩きは素人。記憶を頼りに歩いているはずが、うっかりこの洞窟を迂回する形で隣国側のほうへ通り過ぎてしまい、そこで一泊の野宿を挟んだ今日、戻るか進むか迷っていたところを山賊の一団に見つけられてしまう。どうにか逃げようとしたものの、多勢に無勢であわや、というところを忍者ゴブリンたちが救出したのだそうだ。

 一通りの話を聞き終えた俺は、ふむふむと頷く。

「なるほど……領都から森の麓まで、単身で馬を駆って一日。そこから山中を進んで、迷った分も含めて二日。つまり、その息子殿が騎士団に竜討伐の命令を下してから今日が三日目か。ふむ……軍隊って三日で動けるのか? もう動いているとして、どこまで来ているんだ?」

 口調が前回の、竜の従者としてラヴィニエたちと話したときのものになっていないけれど、もうそこは彼女をここに迎えた時点で隠すのを諦めている。彼女も最初は少し戸惑った様子を見せていたけれど、深く追求はしてこなかったから察してくれたのだろう。

「騎士団のうち、現在すぐに動かせる部隊を総動員させたとして……領内でのことですから糧秣も問題になりませんので、三日もあれば遅くとも、もう麓まで来ているかと。いえ、すでに斥候を放っている段階やもしれません」

 ラヴィニエからの回答は無情だった。

「つまり、もう戦闘が不可避のところまで来ているってことか……あ、ラヴィニエ。今一度確認なんだが、領主の息子閣下は竜と戦うつもりなんだよな?」
「はい」
「じゃあ、俺たちについてはどうするつもりなんだ?」
「……」

 ラヴィニエは黙ってしまった。
 彼女は調査報告の際に、俺たちのことをとして伝えていた。ということは、息子閣下はと思っているはずだ。そのような事実は無いのだけど、まあ、従者が主人を守らないとは考えないよな。俺たちが調査隊を捕えて因果を含めたのも、眠れる竜を守るためだ、と思うのが普通だ。
 実際は、俺たちに手を出さずにいてくれれば竜を倒してくれて全然構わないのだけど、息子閣下がそれを理解してくれているとは思えない。
 竜と交戦中に背後を衝かれては敵わん。竜とやる前に従者を討ち取れ――と、そう考える可能性は低くないだろう。

「こうなるともう、諦めて騎士団と戦うか、騎士団が寝起きの竜に叩き潰されるまで身を隠しておくか、だな」
「それを食い止めてほしいのです!!」

 ラヴィニエが声を張り上げた。
 彼女が単身で、騎士の身分を投げ捨ててまで俺たちとの接触を図った理由は、領主の息子と騎士団が竜と戦うのを、というより竜に滅ぼされるのを防ぐためだ。
 竜に手を出せば破滅する。たとえ相手が寝ていようと、どうにもならない。竜を見つけたとき、手を出す前にそれを悟って転進してくれればいいけれど、いまの息子閣下は名誉欲に気触かぶれてしまっていて、攻撃を強行する可能性が高いとラヴィニエは考えているようだ。

「……いや、無理だろ。色々と」

 俺はしばし考えて、そう言い放った。だって、どうしようもないだろう。
 ラヴィニエはつまり、こう言っているのだ。騎士団が竜と接触するのを防ぐために、俺たちに騎士団を追い返してほしい、と。
 だが、まず第一に、俺たちにそうすることの得がない。
 第二に、俺たちが騎士団と戦ったとして、騎士団が簡単に逃げてくれるとは思えない。お互いに被害甚大になることは予想に易い。
 そして第三に、仮に俺たちが騎士団と戦闘して追い返すことに成功したとしても、俺たちはその後、騎士団の討伐対象になってしまう。そうなればもう、俺たちは人間社会と敵対し続けるか、この森を捨てて逃げるかしかなくなる。
 ――つまり、無理なのだ。俺たちに頼むのはお門違いなのだ。

「無理を承知でお頼み申し上げます。どうか、自ら死地に赴かんとするエミリオ様をお救いください。エミリオ様は本来、英邁の器に御座います。いまはほんの少し、若さを持て余しているだけなのです。あと三年もしますれば、当代の御屋形様に劣らぬ立派な御領主様として、その才を揮ってくださることは疑いようがございません。ですから、臣たる私たちは次代様が成長なされるまでの露払いを務める責務があるのです。――竜の従者様、どうか、私めに御助力をこいねがい申し奉ります。私にできることでしたら、何でも致します。ですからどうか、どうか!」
「そう言われてもな……」

 ラヴィニエは額を草地に擦りつけて土下座してくるが、無理なものは無理なのだ。
 というか、この世界、この国にも土下座の文化があるのか……いや、単に跪いた姿勢から頭を下げたら土下座になっただけかもしれないな――などと、思考が逸れてしまうのは、俺がもうと意思を決めてしまっているからだろう。
 その内心は表情にも出ていたようだ。ラヴィニエが脱ぎだした。

「私は本気です。いまここで、そちらの女性が普段からされているのと同じことをしていただいて結構です。従者様が従えている魔物の子を産めというのなら、いくらでも産んでみせましょう。ですから、どうか――」
「ちょっと待ってください」

 Tシャツと短パンのような肌着姿になったラヴィニエを止めたのは、有瓜の冷めた一言だ。
 自分で同席を望んでおきながらあまり理解していない顔でラヴィニエの話を聞いていた有瓜だったが、いま彼女が脱衣しながら口走った言葉は捨て置けなかったようだ。

「……なんだ?」

 肌着姿のラヴィニエは訝しげな顔で有瓜を見つめる。
 ふむ……いまの口振りからして、彼女は過去視の巫術とやらで有瓜とゴブリンたちの性交を視たのだろう。魔物の子云々とも言っているから、赤毛姉妹とその赤ん坊についても視たのだろう――いや、いま当に視ている最中なのかもしれない。
 イメージとしては、右目でドラマの先週分を早送りで視聴しながら、左目で今週分を視聴している感じだ。ともかく、ラヴィニエはそうやって俺たちの暮らしぶりを把握しているのだ。
 だけど、例えばことはできても当時の音をことはできないだとかで、完璧に把握しているわけではない。だから、ラヴィニエは自分が視た光景を「魔物に好んで犯されたがる女がいるはずない」という常識に当て嵌めて、と判断した。俺がこの集団の長であり、有瓜は性奴隷か何かだと判断したのだろう。
 その証拠は、いま有瓜に対して向けた訝しげな顔と口調だ。
 俺に対しては、この世界に来て初めて耳にするような敬語の連発なのに、有瓜に対しては「なんだ?」とぞんざいな口調。それは、俺たちの序列を正しく把握しているのなら有り得ないことだった。
 ゴブリンたちも、ラヴィニエが有瓜を軽んじていると感じ取ったらしい。俄に剣呑な気配をまとい始めたのだけど、幸か不幸か、ラヴィニエは気づいていないようだった。

「……ああ、そうか。おまえは、私に自分の立場を奪われると思っているのだな。ははっ、愚かだな。これからは魔物に犯される性奴隷の仲間になるのだ。上も下もなかろう。むしろ、憐れな性奴隷同士、手を取り合い、励まし合って、遠からず訪れる救済のときまで共に耐え抜こうではないか」
「救済?」

 無表情で聞き返した有瓜に、ラヴィニエは勇気づけるような笑顔で頷いた。

「ああ、救済だ。心と身体をどれだけ汚されようと、死して魂へと還れば、全て洗い流される。そのときまで共に堪えよう」

 有瓜を馬鹿にしているのではない。ラヴィニエは本気で、なけなしの勇気と矜持を振り絞って、自分より長く性奴隷をさせられている有瓜を元気づけているのだ。
 だけど、それは裏を返せば、彼女が本気でゴブリンたちを蔑んでいるということだった。

「……ラヴィニエさん、でしたっけ?」

 そう告げた有瓜の声は、かつてないほど冷え切っていた。

「そうだ……ああ、身分差などは気にしなくていい。どうせ、私もいまから、おまえと同じ最底辺の性奴隷になるのだからな」
「ラヴィニエさん、あなたのお考えはよく分かりました」

 やけっぱちの朗らかさで笑うラヴィニエを半ば無視するように、有瓜は淡々と言う。
 その冷淡さをラヴィニエは、とでも思ったのだろう。気にした様子もなく笑っていた。

「そうか、分かってくれるか! では、おまえからも従者様にお頼み申してくれ」
「その必要はありません」
「なに――」
「義兄さん、竜を起こしに行きましょう」

 有瓜はラヴィニエを無視して、俺にそう言った。

「起こす……って、起こしたら寝起きで大暴れしたりしないか?」
「わたしがいれば大丈夫だと思いますよ」

 有瓜はお腹を触りながら言うのだけど、俺はちょっと懐疑的だ。

「あの無責任ドラゴンに、自分が孕ませた相手を気遣うような父性があると思うか?」
「義兄さん、それは偏見過ぎだと思いますよ。あの竜は赤ちゃんが生まれてくるのを楽しみにしていましたし、大丈夫ですって」
「そういえば、おまえを孕ませたと宣言したとき、心なしか嬉しそうだったっけか」
「はい。というわけで、起こしましょう。それで問題解決でしょう?」
「なるほど……竜が起きていれば、寝首を掻くことはできない。そうなったら、息子閣下も素直に尻尾を巻いてくれるか」
「というか、それでも逃げないんだったらもう処置なしですよ。好きにしてください、ですよっ」
「お、おう」

 有瓜がいつになく冷たい。ラヴィニエに対する苛立ちが飛び火して、騎士団や息子閣下への情も冷めてしまったのだろう。
 ラヴィニエのほうも、いまの俺と有瓜の遣り取りで、決定権を持つのが俺ではなく有瓜だと気づいたようだ。しばらく不審そうに目を瞬かせていたが、その顔色がさぁっと青白くなっていく。

「え……ぇ……おまえ……いや、あなたは、性奴隷では……ない、の……ないのでしょう、か……?」
「ではでは義兄さん、善は急げです。私、ちょっと行ってきますね」

 有瓜はすっかり萎縮しているラヴィニエを無視して俺にそう言うと、ゴブリンたちと一緒に立ち上がって出かける準備を始めた。

「え……あ、ぅ……」

 すっかり動転しているラヴィニエは、有瓜を追いかけようかどうしか迷って、中腰になっては座り込むという奇妙なスクワットを始めている。
 何か声をかけてやったほうがいいのだろうか……と思っていたところを、離れたところでゴブリンたちと打ち合わせしていた有瓜から「義兄さん、ちょっと」と手招きされた。

「なんだ?」

 近づいて問いかけた俺に、有瓜はずいっと仏頂面を近づけてきた。

「義兄さん。あのひとのことを好きにしたいです?」
「え……いや、べつに」

 ちょっとだけ考えなくはなかったけれど、有瓜のジト目に負けた。というか、妹にこんなことを言われて首を縦に振れる兄はいないと思う。

「じゃあ、あのひとはわたしの好きにしちゃいますね♥」

 いっそ幼気な少女のように頬笑んだ有瓜に、俺の背筋になぜか、ぞわっと怖気が走る。
 有瓜の視線が俺の目から外れて、肩越しに向こうを見る。つられて振り向けば、青ざめた顔でこちらを見ているラヴィニエがいた。
 俺は彼女のために祈った。

「有瓜……ほどほどに、な」
「もちろん」

 有瓜基準のは、たぶん普通のではないだろうなと思ったけれど……そこはもう諦めて、俺はラヴィニエの心の無事を祈るのだった。
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