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すっかり日が昇って夜の残滓が一片残らず払い除けられた頃、クダンが目を覚ます。
カガチはちょうど、そのときを見計らっていたかのように、出来立ての暖かな料理を卓袱台に並べているところだった。
「あっ、お……っはよ、ですっ」
「おう……おはよう、カガチ」
クダンは少しぼんやりした目つきでカガチを見やる。眠たげな顔でも愛嬌なんか全くないのだが、挨拶を返されたカガチの顔に浮かぶのは自然な微笑みだ。朝一番で女性に――幼くとも女性は女性だ――に頬笑まれるという、ちょっと夢のような、いやまさに夢に見ていた生活に、クダンは鼻の奥がつんとしてしまう。
「おっ、お師さ、ま……?」
「ん……ああ、なんでもない。っと、朝ご飯か。いつも悪いな」
クダンが言うと、カガチはふるふると頭を振って、好きでしていることですから、と書いてある笑顔を返した。
「――ふむ、ちょうど良いときに帰ったな」
戸口から聞こえてきた野太い声は、朝の散歩から戻ってきたスースのものだ。朝食の匂いに釣られるように入ってこようとしたスースに、クダンが卓袱台の前に座ったままで片手の掌を突きつけた。
「おい、狩りをしてそのまま入ってくるなってんだ!」
眉根を寄せて言い放ちながら、掌かも魔術を放つ。
強い指向性を持たせた蒸気のシャワーが、咄嗟に目を閉じたスースの顔面から尻尾まで吹き抜けていく。続いて二発目に、今度は乾いた熱風が放たれて、スースの身体を乾かした。
「っ……クダン! これは止めろと言っただろ!」
全身の黒い毛が一瞬でぶわぶわになったスースが、牙を剥き出しにして吠えた。
「ひっ……!」
そのあまりの迫力に、自分に向けられた怒気ではないと分かっていても、カガチは身を竦ませてしまった。だけどその途端、スースの表情は怒りから焦りへと変わる。狼の顔でも、見慣れてくれば表情豊かなものだ。
「違うぞ、カガチ。おまえに吠えたのではないぞ!」
「あーあー、スースがまぁた新人苛めしてるぞぉ」
「クダン!」
「おっと、またカガチを怖がらせるのか?」
「くっ!? ぐうぅ……!」
からかってくるクダンを怒鳴りつけようとしたスースだが、カガチを引き合いに出されると怒気を露わにすることもできず、ぐるぐると唸るばかりになる。それがまた、クダンをにやにや笑わせるのだ。
「ぐううぅ!」
「あ……あっ、の! ご飯、さ、冷める!」
スースの唸りを、必死な顔のカガチが遮った。
「……そうだな。馬鹿の相手より、飯だ」
「馬鹿にされてたのはどっちだか――」
なおも軽口を叩こうとしたクダンが途中で言葉を呑んだのは、カガチが怒ったような悲しんでいるような目でクダンを見ていたからだ。たったそれだけのことで、クダンは後ろめたくて恥ずかしくて堪らなくなってしまった。
「……あー、うん。飯だな、飯」
「ん……ごっ、飯」
スースも卓袱台の前までやってきて、ちょこんとお座りする。
三人で卓を囲んだところで、誰からともなく「いただきます」と声を重ねて、食事を始めた。
今朝の献立は、土鰻スープの水団だ。
スープは土鰻の干物を森で採れた野菜類と一緒に水から煮出して塩で味を調えたもので、水団は木の実を砕いた粉をお湯で溶いて、熱々のスープに少しずつ流し入れたものだ。このやり方だと粉を練らないので、ねっとり柔らかな歯応えの水団になる。
粉を練って饂飩のようにした水団も腰があって美味しいけれど、低血圧で調子の出ない朝に食べるには柔らかいほうがクダンは好むだろう――と、カガチはそう考えたのだった。
……嘘だ。
ただ単純に粉を捏ねるのは大変なので、ちょっと横着してしまったのだった。
さて、今朝の食事はクダンの口に合っただろうか。美味しそうな顔、してるかな――そう思いつつクダンの顔をちら見したカガチは、もう少しで悲鳴を上げそうになった。
クダンが水団を口にしたとき、眉間に一瞬皺が寄ったのを見てしまったからだった。
――不味かった!? 土鰻なのに!?
カガチは焦り顔で自分のスープを口に入れる。一口では分からなかったけれど、さらに一口、もう一口と食べて、カガチは自分の失敗を理解した。
土鰻の魅力は、皮裏のねっとりぷるんとした食感と、身質のきゅっと締まった噛み応えとの対比が生み出す存在感だ。さながら、艶やかな飾りをふんだんに身につけた舞い手だ。その主役を舞わせる楽隊がスープなら、水団は主役を引き立てるための脇役だ。脇役が主役より弱いのは正しいのだが、今回の場合、弱すぎたのだ。
干したことで噛み応えの増した土鰻と、練らないことで溶けるような舌触りになった水団とでは食感に差がありすぎた。言うなれば、一流の舞い手が踊る一流の舞台に、手足をばたつかせることしかできない幼児が上がり込んでしまったようなものだった。脇役が主役を引き立てないどころか、むしろ雑味となって主役の旨味を邪魔していた。
「あっ……っ……」
カガチは後悔していた。
――どうして私は横着してしまったのか。どうして粉を練る手間なんて些細なものを惜しんでしまったのか!?
「……あー、カガチ」
クダンが箸と椀を手にしたまま、唐突に呼びかけた。
「……!」
カガチはびくっと身を縮こまらせる。怒られると分かって耳を折る子犬のようだ。そんな怯える様子を無視して、クダンは言いたいことだけ言った。
「いつも朝飯、ありがとな」
「……」
「毎朝、助かってる」
「……」
「この肉や野菜はどんな飯になるのかね、と思うと、森に入るのも張り合いが出るっつうか……おまえが来てくれて良かったと思ってるっつうか……あー、まあそんなとこだ!」
最後は強引に言い切った。自他共に認める不細工面が赤くなっている様は、棘びっしりの禍々しい見た目で知られる果実ドゥリオの腐りかけみたいだった。
「……あっ、明日はっ……き、期待! してっ!」
気合いいっぱいに拳を固めるカガチ。
「おう」
クダンはぎょろ目を細めて頷いた後、ふと目を泳がせて、
「あー、その……明日も期待してるから」
ぎこちない様子で、そう言い足した。
「……はいっ」
カガチは首肯しながら、ついつい笑みを零してしまう。
――お師様は、訓練のときは厳しくて遠慮がないのに、訓練以外のときは割れ物を扱うみたいな態度になる。でも、遠慮ばかりなのも、気を遣われてばかりなのも、私が至らないことだらけだからだ。私はもっと、もっと、もっと頑張らなくちゃ!
「おい、カガチ。我が輩はそいつと違って、朝餉に不満を持ったことなどないからな」
スースはそう言い、クダンをちらりと見やって勝ち誇る。
「いや、俺も不満があるなんて一度も言ってねぇんだが」
「ふふん。顔が言っておるわ」
「生まれてこの方、この顔だ」
「不満だらけの人生か。そりゃ大変だなぁ」
「ああ、不満だね。おまえみたいなただ飯ぐらいに居着かれてんだからな」
その台詞は、むしろカガチを呻かせた。
「あうっ……ご、めっ……」
「あっ、違うぞカガチ。弟子はいいんだよ、弟子は」
「え……」
クダンが咄嗟に述べた言い訳に、カガチは瞠目した。
いきなりまじまじ見つめられたクダンのほうも、ぎょっとした顔で少し仰け反る。
「え、なんだ? カガチ……?」
「……わ、ったし……弟子、で……い、いい? の?」
「あ……」
カガチに言われて初めて、クダンは自分が「弟子」と口にしていたことに気がつかされた。
「そうか、俺はもうとっくに、おまえのことをそういうふうに見なしていたのか……」
そうだったのかと自覚した途端、胸がすっと軽くなった。喉に支えていた小骨が、弟子、という言葉と一緒に口から出ていったかのような、すっきりした気分だった。
「弟子か……うん、弟子だな。カガチ、おまえは俺の一番弟子だ」
はっきり宣言してみると、それは今までそうだと言っていなかったことが不思議でならなくなるくらい、しっくりくることだった。
なお、まだクダンと名乗る前の【賢者】だった頃にも大量の弟子を取っていたわけだが、最長で九日しかいなかった者たちは、最初から弟子ではなかったことにしている。なので、カガチが一番弟子でいいのだ。
「いっ、一番、弟子……いち、ばん?」
「そうだ。おまえは俺の最初の弟子だ」
「……っ」
クダンが大きく頷くと、真ん丸に見開かれていたカガチの瞳から、つつ、と涙が零れた。
「あっ、クダンが泣かせた!」
「俺のせいか!?」
少女の涙に、わりと本気で動揺している大人と獣。どちらも、嫌われたり叫ばれたりすることはあっても、逃げもしない相手に笑顔で泣かれたこと経験なんてなかった。
慌てる二人を他所に、カガチは水団の椀を卓袱台に置くと、少し下がって正座する。
「わっ、たし……! でっ、弟子と、してっ……は、恥っかしくない、よにっ! こ、これ、からも、がっ……頑張りっ! ますっ!」
そう言って、カガチは絨毯代わりの毛皮に額がつくくらい深々とお辞儀した。
「おう、改めてよろしくな」
「クダンに泣かされたら、我が輩に言うのだぞ」
「……はいっ!」
カガチは顔を上げると、クダンとスースをぐるりと見やって元気よく笑った。目尻の涙がきらきらと光っていた。
カガチはちょうど、そのときを見計らっていたかのように、出来立ての暖かな料理を卓袱台に並べているところだった。
「あっ、お……っはよ、ですっ」
「おう……おはよう、カガチ」
クダンは少しぼんやりした目つきでカガチを見やる。眠たげな顔でも愛嬌なんか全くないのだが、挨拶を返されたカガチの顔に浮かぶのは自然な微笑みだ。朝一番で女性に――幼くとも女性は女性だ――に頬笑まれるという、ちょっと夢のような、いやまさに夢に見ていた生活に、クダンは鼻の奥がつんとしてしまう。
「おっ、お師さ、ま……?」
「ん……ああ、なんでもない。っと、朝ご飯か。いつも悪いな」
クダンが言うと、カガチはふるふると頭を振って、好きでしていることですから、と書いてある笑顔を返した。
「――ふむ、ちょうど良いときに帰ったな」
戸口から聞こえてきた野太い声は、朝の散歩から戻ってきたスースのものだ。朝食の匂いに釣られるように入ってこようとしたスースに、クダンが卓袱台の前に座ったままで片手の掌を突きつけた。
「おい、狩りをしてそのまま入ってくるなってんだ!」
眉根を寄せて言い放ちながら、掌かも魔術を放つ。
強い指向性を持たせた蒸気のシャワーが、咄嗟に目を閉じたスースの顔面から尻尾まで吹き抜けていく。続いて二発目に、今度は乾いた熱風が放たれて、スースの身体を乾かした。
「っ……クダン! これは止めろと言っただろ!」
全身の黒い毛が一瞬でぶわぶわになったスースが、牙を剥き出しにして吠えた。
「ひっ……!」
そのあまりの迫力に、自分に向けられた怒気ではないと分かっていても、カガチは身を竦ませてしまった。だけどその途端、スースの表情は怒りから焦りへと変わる。狼の顔でも、見慣れてくれば表情豊かなものだ。
「違うぞ、カガチ。おまえに吠えたのではないぞ!」
「あーあー、スースがまぁた新人苛めしてるぞぉ」
「クダン!」
「おっと、またカガチを怖がらせるのか?」
「くっ!? ぐうぅ……!」
からかってくるクダンを怒鳴りつけようとしたスースだが、カガチを引き合いに出されると怒気を露わにすることもできず、ぐるぐると唸るばかりになる。それがまた、クダンをにやにや笑わせるのだ。
「ぐううぅ!」
「あ……あっ、の! ご飯、さ、冷める!」
スースの唸りを、必死な顔のカガチが遮った。
「……そうだな。馬鹿の相手より、飯だ」
「馬鹿にされてたのはどっちだか――」
なおも軽口を叩こうとしたクダンが途中で言葉を呑んだのは、カガチが怒ったような悲しんでいるような目でクダンを見ていたからだ。たったそれだけのことで、クダンは後ろめたくて恥ずかしくて堪らなくなってしまった。
「……あー、うん。飯だな、飯」
「ん……ごっ、飯」
スースも卓袱台の前までやってきて、ちょこんとお座りする。
三人で卓を囲んだところで、誰からともなく「いただきます」と声を重ねて、食事を始めた。
今朝の献立は、土鰻スープの水団だ。
スープは土鰻の干物を森で採れた野菜類と一緒に水から煮出して塩で味を調えたもので、水団は木の実を砕いた粉をお湯で溶いて、熱々のスープに少しずつ流し入れたものだ。このやり方だと粉を練らないので、ねっとり柔らかな歯応えの水団になる。
粉を練って饂飩のようにした水団も腰があって美味しいけれど、低血圧で調子の出ない朝に食べるには柔らかいほうがクダンは好むだろう――と、カガチはそう考えたのだった。
……嘘だ。
ただ単純に粉を捏ねるのは大変なので、ちょっと横着してしまったのだった。
さて、今朝の食事はクダンの口に合っただろうか。美味しそうな顔、してるかな――そう思いつつクダンの顔をちら見したカガチは、もう少しで悲鳴を上げそうになった。
クダンが水団を口にしたとき、眉間に一瞬皺が寄ったのを見てしまったからだった。
――不味かった!? 土鰻なのに!?
カガチは焦り顔で自分のスープを口に入れる。一口では分からなかったけれど、さらに一口、もう一口と食べて、カガチは自分の失敗を理解した。
土鰻の魅力は、皮裏のねっとりぷるんとした食感と、身質のきゅっと締まった噛み応えとの対比が生み出す存在感だ。さながら、艶やかな飾りをふんだんに身につけた舞い手だ。その主役を舞わせる楽隊がスープなら、水団は主役を引き立てるための脇役だ。脇役が主役より弱いのは正しいのだが、今回の場合、弱すぎたのだ。
干したことで噛み応えの増した土鰻と、練らないことで溶けるような舌触りになった水団とでは食感に差がありすぎた。言うなれば、一流の舞い手が踊る一流の舞台に、手足をばたつかせることしかできない幼児が上がり込んでしまったようなものだった。脇役が主役を引き立てないどころか、むしろ雑味となって主役の旨味を邪魔していた。
「あっ……っ……」
カガチは後悔していた。
――どうして私は横着してしまったのか。どうして粉を練る手間なんて些細なものを惜しんでしまったのか!?
「……あー、カガチ」
クダンが箸と椀を手にしたまま、唐突に呼びかけた。
「……!」
カガチはびくっと身を縮こまらせる。怒られると分かって耳を折る子犬のようだ。そんな怯える様子を無視して、クダンは言いたいことだけ言った。
「いつも朝飯、ありがとな」
「……」
「毎朝、助かってる」
「……」
「この肉や野菜はどんな飯になるのかね、と思うと、森に入るのも張り合いが出るっつうか……おまえが来てくれて良かったと思ってるっつうか……あー、まあそんなとこだ!」
最後は強引に言い切った。自他共に認める不細工面が赤くなっている様は、棘びっしりの禍々しい見た目で知られる果実ドゥリオの腐りかけみたいだった。
「……あっ、明日はっ……き、期待! してっ!」
気合いいっぱいに拳を固めるカガチ。
「おう」
クダンはぎょろ目を細めて頷いた後、ふと目を泳がせて、
「あー、その……明日も期待してるから」
ぎこちない様子で、そう言い足した。
「……はいっ」
カガチは首肯しながら、ついつい笑みを零してしまう。
――お師様は、訓練のときは厳しくて遠慮がないのに、訓練以外のときは割れ物を扱うみたいな態度になる。でも、遠慮ばかりなのも、気を遣われてばかりなのも、私が至らないことだらけだからだ。私はもっと、もっと、もっと頑張らなくちゃ!
「おい、カガチ。我が輩はそいつと違って、朝餉に不満を持ったことなどないからな」
スースはそう言い、クダンをちらりと見やって勝ち誇る。
「いや、俺も不満があるなんて一度も言ってねぇんだが」
「ふふん。顔が言っておるわ」
「生まれてこの方、この顔だ」
「不満だらけの人生か。そりゃ大変だなぁ」
「ああ、不満だね。おまえみたいなただ飯ぐらいに居着かれてんだからな」
その台詞は、むしろカガチを呻かせた。
「あうっ……ご、めっ……」
「あっ、違うぞカガチ。弟子はいいんだよ、弟子は」
「え……」
クダンが咄嗟に述べた言い訳に、カガチは瞠目した。
いきなりまじまじ見つめられたクダンのほうも、ぎょっとした顔で少し仰け反る。
「え、なんだ? カガチ……?」
「……わ、ったし……弟子、で……い、いい? の?」
「あ……」
カガチに言われて初めて、クダンは自分が「弟子」と口にしていたことに気がつかされた。
「そうか、俺はもうとっくに、おまえのことをそういうふうに見なしていたのか……」
そうだったのかと自覚した途端、胸がすっと軽くなった。喉に支えていた小骨が、弟子、という言葉と一緒に口から出ていったかのような、すっきりした気分だった。
「弟子か……うん、弟子だな。カガチ、おまえは俺の一番弟子だ」
はっきり宣言してみると、それは今までそうだと言っていなかったことが不思議でならなくなるくらい、しっくりくることだった。
なお、まだクダンと名乗る前の【賢者】だった頃にも大量の弟子を取っていたわけだが、最長で九日しかいなかった者たちは、最初から弟子ではなかったことにしている。なので、カガチが一番弟子でいいのだ。
「いっ、一番、弟子……いち、ばん?」
「そうだ。おまえは俺の最初の弟子だ」
「……っ」
クダンが大きく頷くと、真ん丸に見開かれていたカガチの瞳から、つつ、と涙が零れた。
「あっ、クダンが泣かせた!」
「俺のせいか!?」
少女の涙に、わりと本気で動揺している大人と獣。どちらも、嫌われたり叫ばれたりすることはあっても、逃げもしない相手に笑顔で泣かれたこと経験なんてなかった。
慌てる二人を他所に、カガチは水団の椀を卓袱台に置くと、少し下がって正座する。
「わっ、たし……! でっ、弟子と、してっ……は、恥っかしくない、よにっ! こ、これ、からも、がっ……頑張りっ! ますっ!」
そう言って、カガチは絨毯代わりの毛皮に額がつくくらい深々とお辞儀した。
「おう、改めてよろしくな」
「クダンに泣かされたら、我が輩に言うのだぞ」
「……はいっ!」
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