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〈閑話〉皇帝を魅了する美しい黄金の薔薇

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サイラス帝国の皇帝リカルドの御子おこを見事に懐妊かいにんした皇妃こうひロゼッタ。これまで以上に皇帝からの寵愛ちょうあいたまわる。

みずから滅ぼした亡国ぼうこくの王女を皇妃こうひに据え、他の後宮妃こうきゅうひねやには通わず、ただひたすら皇妃こうひロゼッタのみを寵愛ちょうあいする皇帝リカルド。


「何がー」、そこまで皇帝リカルドを魅了みりょうするのか。


おそらく皇帝自身ですら理解していない。ーただ、理屈ではなく本能とも。

オルラ王女に「いとしいー」とは口にするも「愛している」とは、口をついたことがない皇帝リカルド。その想いを知らない。

帝王であるからこそ、皇帝みずからが妃に愛をうことはなく、むしろ妃が皇帝へと情愛じょうあいを捧げ、愛をう。


しくも、オルラ王女と出逢った皇帝リカルド。

本能的に奪い去ることを決める。

その時、すでに皇帝リカルドの心の奥底には「情愛じょうあいなるもの」が芽吹めぶき、その想いは知らず知らずのうちにゆっくりゆっくりと浸透しんとうし、やがてあふれ出す。

皇帝リカルドの美しい薔薇ばら

黄金という喜色きしょくまとう美しい皇妃こうひロゼッタ。

皇帝リカルドからの揺るぎない“ちょう”を注がれ、そのはらには、ただ一人恩寵おんちょうたまわ所為せいで、これまで以上にまばゆいばかりに輝いているオルラ王女。

やはり皇帝リカルドを魅了みりょうする。


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