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自ら縋る王女とそれを抱く皇帝
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折しもー、絢爛たる〈皇宮〉の皇帝の寝所へと連れて来られたオルラ王女。
後宮妃でありながら、皇帝リカルドの手により後宮から出され、今は皇帝の寝所へと囲われ、寝食を共にしているオルラ王女。
当然オルラ王女の足首には、枷ともする〈黄金の輪環〉が解かれる事なく嵌められ、自由は阻害されている。
更には寝台の脚から伸びる長い鎖が、オルラ王女の足首へと新たに撒かれ、もはや囚われの美しい華。
逃さない為の執着とも、皇帝の所有物と知らしめる為とも。
皇帝リカルドから美しい黄金の枷を嵌められて居るのは、オルラ王女唯一人。その一方で、異例ともする前例のない待遇は、皇妃ロゼッタの揺るぎない地位を物語っている。
あの時分。
此処へと連れて来られて早々のオルラ王女は、皇帝リカルドへと自ら縋っている。
包まれた上布からは、惜しみなく裸体を曝したたまま、もはや構う余裕すらないオルラ王女。
「……お願い! 私を他の者にやらないでー……嫌なのー……陛下以外の方に抱かれるのは嫌っ! 嫌なのー……見ず知らずの者に辱めを受けるなんてー……あの様なもので私をー……いやぁああああっ! ……うっ、うぅっ……」
二人の伽仕えに、自身の秘所すらも弄ばれた事を思い出すオルラ王女は、その感触に吐き気を催す。
「うぐっー……!」
再び嘔吐く。
純粋培養に育てられたオルラ王女には、非情とも云える帝国の因習。
皇帝を閨で悦ばせる為だけに課される〈伽の慣らし〉は、オルラ王女には拷問さながらの責苦。
淫欲を教示される〈伽の慣らし〉は、後宮妃の務め。
ーしかし、オルラ王女には、情愛もない相手に欲望滾る眼差しで見られ、好きに身体を弄ばれた挙句、犯される事には、絶望と恐怖でしかない。
その事が、皮肉にも皇帝リカルドへと縋らせる要因となる。
過酷な責苦により、放心状態だったオルラ王女。
皇帝リカルドが自ら気付薬を飲ませ、オルラ王女の意識を覚醒させる。涙で濡れる視界の先には、皇帝リカルドの身姿。
あの凄惨な場所から自身を連れ出したのは、紛れもなく皇帝リカルド。
「嗚呼っー……陛下……陛下ー……!」
自ら手を伸ばし、皇帝リカルドの首へと回しては、その胸へと顔を埋め懇願するオルラ王女。
その必死な様に、皇帝リカルドの両腕もオルラ王女の背へと回され、しかと抱かれる。
「……陛下、お願いです! 私を誰にも触れさせないでー……お願い、お願いです、陛下ー……私のこの身は陛下だけにお捧げしますー……だから、誰にも与えないでー……」
美しい緑翠の瞳からは、ぽろぽろと無垢な涙を零し、縋ってみせるオルラ王女。
「……愛いやつー……ならば、余がおまえを“伽姫”へと導いてやろう」
美しい微笑を零す皇帝リカルド。
寝台脇に置かれた盃を手にすれば、自らの口に含み、そのままオルラ王女の唇を塞ぎ、少しずつ注ぎ込む。
交わされる深い口付け。
それにより、否応なしに飲まされる酒らしきもの。思わず咳込むオルラ王女がいる。
「……私、私ー……お酒は苦手なのー……うっ、うぅっ、だめ……気持ち悪いー……」
「ふふっ……まさか、酒が苦手とはー……ならば、なおさら慣れる意味でも飲め。余の皇妃なら、皇帝との酒盃に付き合う事もあるー……それに、これは特別な酒ー……おまえを淫欲に酔わせる為に調合されている。全て飲み干せー」
全ての盃の中身を無理にでも飲まされるオルラ王女。心なしか吐き気が襲うも、それ以上に身体に熱を感じる。
一気に身体中の血が湧き立ち、熱く身体を火照せる。
皇帝リカルドが、ただの酒を飲ませるわけはなく、混入されているのは、もちろん即効性の媚薬。ーただ、あらゆる毒などに慣らされている皇帝リカルドには効かない。
「あっあっあっー……熱い、熱いのー……あんっ……」
漏れる言葉すら熱を帯びる。
そして始まる伽への慣らしー……もはや、ただの激しい目合いとも。
後宮妃でありながら、皇帝リカルドの手により後宮から出され、今は皇帝の寝所へと囲われ、寝食を共にしているオルラ王女。
当然オルラ王女の足首には、枷ともする〈黄金の輪環〉が解かれる事なく嵌められ、自由は阻害されている。
更には寝台の脚から伸びる長い鎖が、オルラ王女の足首へと新たに撒かれ、もはや囚われの美しい華。
逃さない為の執着とも、皇帝の所有物と知らしめる為とも。
皇帝リカルドから美しい黄金の枷を嵌められて居るのは、オルラ王女唯一人。その一方で、異例ともする前例のない待遇は、皇妃ロゼッタの揺るぎない地位を物語っている。
あの時分。
此処へと連れて来られて早々のオルラ王女は、皇帝リカルドへと自ら縋っている。
包まれた上布からは、惜しみなく裸体を曝したたまま、もはや構う余裕すらないオルラ王女。
「……お願い! 私を他の者にやらないでー……嫌なのー……陛下以外の方に抱かれるのは嫌っ! 嫌なのー……見ず知らずの者に辱めを受けるなんてー……あの様なもので私をー……いやぁああああっ! ……うっ、うぅっ……」
二人の伽仕えに、自身の秘所すらも弄ばれた事を思い出すオルラ王女は、その感触に吐き気を催す。
「うぐっー……!」
再び嘔吐く。
純粋培養に育てられたオルラ王女には、非情とも云える帝国の因習。
皇帝を閨で悦ばせる為だけに課される〈伽の慣らし〉は、オルラ王女には拷問さながらの責苦。
淫欲を教示される〈伽の慣らし〉は、後宮妃の務め。
ーしかし、オルラ王女には、情愛もない相手に欲望滾る眼差しで見られ、好きに身体を弄ばれた挙句、犯される事には、絶望と恐怖でしかない。
その事が、皮肉にも皇帝リカルドへと縋らせる要因となる。
過酷な責苦により、放心状態だったオルラ王女。
皇帝リカルドが自ら気付薬を飲ませ、オルラ王女の意識を覚醒させる。涙で濡れる視界の先には、皇帝リカルドの身姿。
あの凄惨な場所から自身を連れ出したのは、紛れもなく皇帝リカルド。
「嗚呼っー……陛下……陛下ー……!」
自ら手を伸ばし、皇帝リカルドの首へと回しては、その胸へと顔を埋め懇願するオルラ王女。
その必死な様に、皇帝リカルドの両腕もオルラ王女の背へと回され、しかと抱かれる。
「……陛下、お願いです! 私を誰にも触れさせないでー……お願い、お願いです、陛下ー……私のこの身は陛下だけにお捧げしますー……だから、誰にも与えないでー……」
美しい緑翠の瞳からは、ぽろぽろと無垢な涙を零し、縋ってみせるオルラ王女。
「……愛いやつー……ならば、余がおまえを“伽姫”へと導いてやろう」
美しい微笑を零す皇帝リカルド。
寝台脇に置かれた盃を手にすれば、自らの口に含み、そのままオルラ王女の唇を塞ぎ、少しずつ注ぎ込む。
交わされる深い口付け。
それにより、否応なしに飲まされる酒らしきもの。思わず咳込むオルラ王女がいる。
「……私、私ー……お酒は苦手なのー……うっ、うぅっ、だめ……気持ち悪いー……」
「ふふっ……まさか、酒が苦手とはー……ならば、なおさら慣れる意味でも飲め。余の皇妃なら、皇帝との酒盃に付き合う事もあるー……それに、これは特別な酒ー……おまえを淫欲に酔わせる為に調合されている。全て飲み干せー」
全ての盃の中身を無理にでも飲まされるオルラ王女。心なしか吐き気が襲うも、それ以上に身体に熱を感じる。
一気に身体中の血が湧き立ち、熱く身体を火照せる。
皇帝リカルドが、ただの酒を飲ませるわけはなく、混入されているのは、もちろん即効性の媚薬。ーただ、あらゆる毒などに慣らされている皇帝リカルドには効かない。
「あっあっあっー……熱い、熱いのー……あんっ……」
漏れる言葉すら熱を帯びる。
そして始まる伽への慣らしー……もはや、ただの激しい目合いとも。
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