108 / 122
三章/夏歌えど、冬踊らず
感受する青い夏・三
しおりを挟む
「おーい、渋木ぃ! ヤバイって! ……なにやってんの? お前ら。喧嘩?」
ドアを開けて顔を覗かせたクラスメイトに訝し気な顔をされた徹は、なんでもないと真面目そうな顔を取り繕った。
「どうしたんだ」
「それが、あの! 阿東保泉が来てんだよ!!」
阿東保泉? と加護が徹を押しのけて上半身を乗り出す。ぞろぞろとキャンピングカーから出ると、騒がしいでは収まらないくらいに騒ぎ立てている声が聞こえてきた。
「うちの反対側にクッソうるさい奴らがいてさー、見に行った奴がいるんだけど。黒の短ラン着てたらしくって」
短ランってと赤木が震えて加護の後ろに隠れる。
「阿東保泉って、馬鹿か不良しかいないって有名なとこだろ。なんであのアホ高がうちと一緒の所に来てるんだ」
最悪だなと呟く加護に赤木が頷き、うへえと声を出した。
「目ぇつけられないようにしよ~~」
お前らも気を付けろよと囁いてくる赤木に、当夜は「大丈夫だよ」と手を振って笑う。
「俺が行って話付けてこよっか」
うるさいしと手を握り、肘の内側をもう片方の手で握った当夜にクラスメイトは「本当か!?」と歓喜する。それを止めようと徹が腕を掴むが「うん」と言って当夜は歩いていってしまう。
スタッフが声を掛けても無視して騒ぎ続ける男共に向かっていった当夜が「おい、静かにしろ」と声を掛ける。静まり返った様子を見た赤木がヒイッと悲鳴を上げた。
「当夜ぁ、こっち俺とか徹がいるんだから喧嘩は止めろよー……弱っちいんだから」
えっ!? と徹が肩を跳ねさせるが、なにごとか話し込んでいた当夜はすぐに返っていく。「静かにしてくれるって!」とにこやかに言う当夜に、口をひくつかせた赤木が「へぇ……」と呟いた。
あのさ、と当夜が阿東保泉がいた方と逆側を指差す。
「あっちにも知ってるとこいたけど」
「あー、帝花大学付属高校の奴らだよな」
俺も見たと手を挙げたクラスメイトに、加護が「そうなのか」と顔を向ける。
「あそこはうちと偏差値近いし、武道系の部活でよくインハイに行ってるお堅い男子校だったな……なら安心だ」
アイツらが阿東保泉と一緒に行ってくれればいいなと皮肉な笑みを浮かべる加護に、赤木が肘を当てた。
「帝花って、お前の友だちが通っているんじゃなかったか?」
「友達……? あっ、剣司のこと?」
いるのかなあと指を口の下に当てる当夜に、徹は「さあな」と笑いかける。
「それより、飯作ろう。徹がカレー作ってくれよ」
腕を曲げて力こぶを作ってみせるフリをして「俺タンドリーチキン焼くな!」と言う当夜の肩に腕を回し、赤木が「じゃあ俺は野菜洗う係~」と言った。
ドアを開けて顔を覗かせたクラスメイトに訝し気な顔をされた徹は、なんでもないと真面目そうな顔を取り繕った。
「どうしたんだ」
「それが、あの! 阿東保泉が来てんだよ!!」
阿東保泉? と加護が徹を押しのけて上半身を乗り出す。ぞろぞろとキャンピングカーから出ると、騒がしいでは収まらないくらいに騒ぎ立てている声が聞こえてきた。
「うちの反対側にクッソうるさい奴らがいてさー、見に行った奴がいるんだけど。黒の短ラン着てたらしくって」
短ランってと赤木が震えて加護の後ろに隠れる。
「阿東保泉って、馬鹿か不良しかいないって有名なとこだろ。なんであのアホ高がうちと一緒の所に来てるんだ」
最悪だなと呟く加護に赤木が頷き、うへえと声を出した。
「目ぇつけられないようにしよ~~」
お前らも気を付けろよと囁いてくる赤木に、当夜は「大丈夫だよ」と手を振って笑う。
「俺が行って話付けてこよっか」
うるさいしと手を握り、肘の内側をもう片方の手で握った当夜にクラスメイトは「本当か!?」と歓喜する。それを止めようと徹が腕を掴むが「うん」と言って当夜は歩いていってしまう。
スタッフが声を掛けても無視して騒ぎ続ける男共に向かっていった当夜が「おい、静かにしろ」と声を掛ける。静まり返った様子を見た赤木がヒイッと悲鳴を上げた。
「当夜ぁ、こっち俺とか徹がいるんだから喧嘩は止めろよー……弱っちいんだから」
えっ!? と徹が肩を跳ねさせるが、なにごとか話し込んでいた当夜はすぐに返っていく。「静かにしてくれるって!」とにこやかに言う当夜に、口をひくつかせた赤木が「へぇ……」と呟いた。
あのさ、と当夜が阿東保泉がいた方と逆側を指差す。
「あっちにも知ってるとこいたけど」
「あー、帝花大学付属高校の奴らだよな」
俺も見たと手を挙げたクラスメイトに、加護が「そうなのか」と顔を向ける。
「あそこはうちと偏差値近いし、武道系の部活でよくインハイに行ってるお堅い男子校だったな……なら安心だ」
アイツらが阿東保泉と一緒に行ってくれればいいなと皮肉な笑みを浮かべる加護に、赤木が肘を当てた。
「帝花って、お前の友だちが通っているんじゃなかったか?」
「友達……? あっ、剣司のこと?」
いるのかなあと指を口の下に当てる当夜に、徹は「さあな」と笑いかける。
「それより、飯作ろう。徹がカレー作ってくれよ」
腕を曲げて力こぶを作ってみせるフリをして「俺タンドリーチキン焼くな!」と言う当夜の肩に腕を回し、赤木が「じゃあ俺は野菜洗う係~」と言った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
この愛のすべて
高嗣水清太
BL
「妊娠しています」
そう言われた瞬間、冗談だろう?と思った。
俺はどこからどう見ても男だ。そりゃ恋人も男で、俺が受け身で、ヤることやってたけど。いきなり両性具有でした、なんて言われても困る。どうすればいいんだ――。
※この話は2014年にpixivで連載、2015年に再録発行した二次小説をオリジナルとして少し改稿してリメイクしたものになります。
両性具有や生理、妊娠、中絶等、描写はないもののそういった表現がある地雷が多い話になってます。少し生々しいと感じるかもしれません。加えて私は医学を学んだわけではありませんので、独学で調べはしましたが、両性具有者についての正しい知識は無いに等しいと思います。完全フィクションと捉えて下さいますよう、お願いします。
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる