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二章/少年よ、明日に向かって走れ!!
愛とか愛じゃないとか・一
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咆哮した当夜の紅蓮の瞳が、燃え盛る。猛獣のように歯を剥き出しにして彼方先の男を睨み付け、唸り声を上げた。
その頭上に曇天が広がっていく。赤い稲光が雲を引き裂くかのように空に走る。あまりに禍々しい情景に男は口の端を吊り上げた。
「ああ、やはり君もそうか。僕と同じ、愛おしいんだね」
分かるよ、という男の声が当夜の耳に届く。遠く離れた距離にいる男の囁き声が自分の耳に入ってくるのは異常で、不気味だ。
「お前の言う気持ち悪い愛は分かんないけどさ」
鉄の棒を投げ捨て、拳を作る。雅臣を抱えている手に力を込め、燃えるような目で男を睨みつけた。
「人じゃないってんなら、それをお前が操ってんなら! 俺はお前をぶっ殺す!!」
従うように擦り寄る、金属と土でできた化け物。ただただ汚らわしいだけのそれを、宥めるように撫でた男は、微かな笑い声を漏らす。
稲光轟く空の、雲が晴れる。現れ出たのは、白の機体。父に斬り殺され、赤い涙を流す哀れな子だ。
伸びた白い髪に頬をくすぐられ、雅臣は目を開ける。確かに自分を片腕に抱く若き戦士が凛々しい眉を吊り上げ、青い炎を燃やす様を視認しーー柔らかな月の光を伴って降臨する神の姿に目を見開いた。
「い、」
いけないーーそう叫ぼうとしたが、打ち付けた体の痛みに顔をしかめてうめき声へと変わる。
小さな、傷も苦しみもまだ知らない幼い子どもの手が上へ上へと伸びていく。まるで、イカロスの翼のように。
「いくぞ、カグラヴィーダ!!」
朗々と空気を震わせた当夜の怒号に、雅臣はきつく瞼を閉じた。
その頭上に曇天が広がっていく。赤い稲光が雲を引き裂くかのように空に走る。あまりに禍々しい情景に男は口の端を吊り上げた。
「ああ、やはり君もそうか。僕と同じ、愛おしいんだね」
分かるよ、という男の声が当夜の耳に届く。遠く離れた距離にいる男の囁き声が自分の耳に入ってくるのは異常で、不気味だ。
「お前の言う気持ち悪い愛は分かんないけどさ」
鉄の棒を投げ捨て、拳を作る。雅臣を抱えている手に力を込め、燃えるような目で男を睨みつけた。
「人じゃないってんなら、それをお前が操ってんなら! 俺はお前をぶっ殺す!!」
従うように擦り寄る、金属と土でできた化け物。ただただ汚らわしいだけのそれを、宥めるように撫でた男は、微かな笑い声を漏らす。
稲光轟く空の、雲が晴れる。現れ出たのは、白の機体。父に斬り殺され、赤い涙を流す哀れな子だ。
伸びた白い髪に頬をくすぐられ、雅臣は目を開ける。確かに自分を片腕に抱く若き戦士が凛々しい眉を吊り上げ、青い炎を燃やす様を視認しーー柔らかな月の光を伴って降臨する神の姿に目を見開いた。
「い、」
いけないーーそう叫ぼうとしたが、打ち付けた体の痛みに顔をしかめてうめき声へと変わる。
小さな、傷も苦しみもまだ知らない幼い子どもの手が上へ上へと伸びていく。まるで、イカロスの翼のように。
「いくぞ、カグラヴィーダ!!」
朗々と空気を震わせた当夜の怒号に、雅臣はきつく瞼を閉じた。
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