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進之介の頭の中はぐるぐると渦巻いていた。良いことと悪いことが急加速で交互にやってきたせいで、身も心もすっかり疲弊していた。
まず、良いことはと言えば、なんと…なんとなんと、あの滝藤 真琥から告白されたのだ。あまりにびっくりして、というかびっくりしすぎて泣き出してしまったのだが、滝藤に抱きしめられながら慰めてもらったのは良い思い出…なのかもしれない。
そして悪いことなのだが、なんと…なんとなんと、叔父が叔父ではなかったのだ。その上、本当の叔父は偽物の叔父に殺されていたというのだから言葉にならない。
偽物の叔父に犯された後、進之介は母に助けを求めた。顔を真っ青にしてすっ飛んで来た母が、「あっ、あなた誰よ!?しんちゃん、この人私の弟じゃないわッ」と肩を震わせ偽物に詰め寄ると、男は一言、「お綺麗ですね」と小さな笑みを浮かべた。
母はすっかり腰が抜けてしまい、進之介共々呆然となった。「弟さんは私が殺したんです……しんちゃん、騙してごめんな」と衝撃的な言葉を放ち、幕は閉じたのだった。
「しんちゃん、こんなところにいたのか」
放課後 ーー 大学のベンチでボーッと横たわるおれに、心地良い声が舞い込んできた。振り向こうとすれば顔を覗き込まれ、視界が暗くなる。口元に温もりが伝わり、キスされたのだと気づいた。
「ま、まこひゃん…っ」
「具合が悪いのか?ほら、おぶってあげるから身体起こそうな」
ギリシャ彫刻に優しく微笑まれ、カーっと顔が熱くなる。滝藤はいつも進之介に甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。進之介もまたそれが嬉しくて、つい浮かれてしまうのだった。
ただ、接点の少ない進之介のことをどうして好いてくれたのかは、ここだけの話……本当に謎。以前と態度もどこか変わったようで、滝藤の周りの人間も不思議そうにしている。
「真琥さん…またコーナーガード増やした?」
「うん。しんちゃんが怪我しないようにな」
滝藤の家に上がると、至るところに取り付けられたコーナーガードが目に飛び込んでくる。それがなんとなく以前の住まいを彷彿とさせ、ちょっとだけ嫌だった。
「おれっていくつだと思う?」
「うーん……5ちゃいくらいでちゅかぁ?」
滝藤はこんな風に進之介を揶揄うことがよくある。見かけに反して意外と遊び心があるわけで、今日の進之介はそれに乗っかることにした。
「おれ、5ちゃいだから何もできない。真琥ちゃんが大好きなエッチもできないね」
「……ふぅん。じゃあしんちゃん、今から一緒にお風呂に入ろうか。身体の隅々まで洗ってあげようね」
ほら、お洋服ぬっぎしようね。って……こらこら、逃げちゃダメでちゅよぉ~しんちゃんは恥ずかしがり屋さんなのかなぁ?
滝藤は本当によく尽くしてくれる。エッチと言っても後ろの穴に指やモノを突っ込まれたことはない。挿れても大丈夫だよ…たぶん、と自信なさげに言ったせいか、「しんちゃんのこと大切にしたいから」と口での愛撫をいつも丹念にしてくれて、進之介は盛大にとろけていた。
自分ばかり悪いと思い、してあげようと屈んだことはあったが、「しんちゃんは天使だからご奉仕される側なんだよ」と少し意味不明なことを言われた。代わりに咥えさせられたのは哺乳瓶……中身は牛乳。
「しんちゃん、赤ちゃんみたいで可愛いナァ♡」と狂気じみた笑顔にちょっと引いてしまったのは許して欲しい。
滝藤はよく、「しんちゃん、して欲しいことがあったら何でも言ってくれ」と言う。しんちゃんの為なら何でもしてあげるから、と抱きしめられるので、何も言わないのもいけないと思い、「じゃあ…チュウして?」と頬擦りする。幸せな時間だ。その幸せな時間がずっと続くようにと、滝藤はよく祈っているらしい。
ーーーーーーーーーー
ありがとうございました*˙︶˙*)ノ"
男の凄まじい執念で、滝藤に憑依しているというオチです。
まず、良いことはと言えば、なんと…なんとなんと、あの滝藤 真琥から告白されたのだ。あまりにびっくりして、というかびっくりしすぎて泣き出してしまったのだが、滝藤に抱きしめられながら慰めてもらったのは良い思い出…なのかもしれない。
そして悪いことなのだが、なんと…なんとなんと、叔父が叔父ではなかったのだ。その上、本当の叔父は偽物の叔父に殺されていたというのだから言葉にならない。
偽物の叔父に犯された後、進之介は母に助けを求めた。顔を真っ青にしてすっ飛んで来た母が、「あっ、あなた誰よ!?しんちゃん、この人私の弟じゃないわッ」と肩を震わせ偽物に詰め寄ると、男は一言、「お綺麗ですね」と小さな笑みを浮かべた。
母はすっかり腰が抜けてしまい、進之介共々呆然となった。「弟さんは私が殺したんです……しんちゃん、騙してごめんな」と衝撃的な言葉を放ち、幕は閉じたのだった。
「しんちゃん、こんなところにいたのか」
放課後 ーー 大学のベンチでボーッと横たわるおれに、心地良い声が舞い込んできた。振り向こうとすれば顔を覗き込まれ、視界が暗くなる。口元に温もりが伝わり、キスされたのだと気づいた。
「ま、まこひゃん…っ」
「具合が悪いのか?ほら、おぶってあげるから身体起こそうな」
ギリシャ彫刻に優しく微笑まれ、カーっと顔が熱くなる。滝藤はいつも進之介に甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。進之介もまたそれが嬉しくて、つい浮かれてしまうのだった。
ただ、接点の少ない進之介のことをどうして好いてくれたのかは、ここだけの話……本当に謎。以前と態度もどこか変わったようで、滝藤の周りの人間も不思議そうにしている。
「真琥さん…またコーナーガード増やした?」
「うん。しんちゃんが怪我しないようにな」
滝藤の家に上がると、至るところに取り付けられたコーナーガードが目に飛び込んでくる。それがなんとなく以前の住まいを彷彿とさせ、ちょっとだけ嫌だった。
「おれっていくつだと思う?」
「うーん……5ちゃいくらいでちゅかぁ?」
滝藤はこんな風に進之介を揶揄うことがよくある。見かけに反して意外と遊び心があるわけで、今日の進之介はそれに乗っかることにした。
「おれ、5ちゃいだから何もできない。真琥ちゃんが大好きなエッチもできないね」
「……ふぅん。じゃあしんちゃん、今から一緒にお風呂に入ろうか。身体の隅々まで洗ってあげようね」
ほら、お洋服ぬっぎしようね。って……こらこら、逃げちゃダメでちゅよぉ~しんちゃんは恥ずかしがり屋さんなのかなぁ?
滝藤は本当によく尽くしてくれる。エッチと言っても後ろの穴に指やモノを突っ込まれたことはない。挿れても大丈夫だよ…たぶん、と自信なさげに言ったせいか、「しんちゃんのこと大切にしたいから」と口での愛撫をいつも丹念にしてくれて、進之介は盛大にとろけていた。
自分ばかり悪いと思い、してあげようと屈んだことはあったが、「しんちゃんは天使だからご奉仕される側なんだよ」と少し意味不明なことを言われた。代わりに咥えさせられたのは哺乳瓶……中身は牛乳。
「しんちゃん、赤ちゃんみたいで可愛いナァ♡」と狂気じみた笑顔にちょっと引いてしまったのは許して欲しい。
滝藤はよく、「しんちゃん、して欲しいことがあったら何でも言ってくれ」と言う。しんちゃんの為なら何でもしてあげるから、と抱きしめられるので、何も言わないのもいけないと思い、「じゃあ…チュウして?」と頬擦りする。幸せな時間だ。その幸せな時間がずっと続くようにと、滝藤はよく祈っているらしい。
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ありがとうございました*˙︶˙*)ノ"
男の凄まじい執念で、滝藤に憑依しているというオチです。
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