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ななな

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「ただいまぁ」
 そう言うと必ず、「おかえり、しんちゃん」と叔父は出迎えてくれる。ニコニコしながら進之介のリュックをさりげなく取って、いつもの置き場所へと置くのだ。それから「手洗いうがいをしておいで」と付け加える。けれども、今日は少し違った。

「しんちゃん……どうした?泣きそうな顔して…」

 叔父はしゃがみこみ、下から進之介を見上げる。そんな顔をしているのか、と進之介は戸惑うが、上手い言葉が出てこない。まごまごしていると、叔父がそっと手を伸ばし、進之介の頬に添えてきた。

「俺になんでも言ってみな?大丈夫、大丈夫だから……」

 とても優しい声だった。進之介を見つめる瞳が慈愛そのもので、それに釣られるように進之介はぽつり、ぽつりと言葉を重ねる。
 滝藤と話したこと、自分の気持ちが落ち着かないこと、友人と談笑する滝藤の姿を見てショックを受けたこと。その全てが、よくわからないこと。

 叔父は小さく頷きながら、進之介の話を根気よく聞いているようだった。それに気を良くして、進之介はつい喋り過ぎてしまった。
 叔父さんさぁ、おれに隠してることない…?おれ、叔父さんのこと何も知らない。叔父さんとの距離の取り方がわかんない。おれのこと、どう思ってんの ーー まさか自分のことを言われるとは思ってもいなかったのだろう。叔父は少し驚いた顔になり、やがて満面の笑みを浮かべた。

「そうだな。しんちゃんには色々と教えてあげなきゃいけないなぁ」

 そう言って叔父は急に立ち上がり、進之介を横抱きにして抱え上げたのだ。突然のことに声も出す、叔父の顔を見上げると、「大丈夫、大丈夫」と囁かれる。そのまま中へ連れられ、下ろされたのは布団の上だった。頭を撫でられ、その手はまた頬へと下りてゆく。

「お、おじ、さん…?」

「しんちゃん、しんちゃんはな、滝藤のことが好きなんだよ」

 ニッと笑う目の前の叔父。その言葉に、鈍器で頭を殴られたかのような衝撃が走った。おれが……滝藤さんを?
 信じられず首を横に振ると、叔父もまた首を横に振り、「でもな、しんちゃん。そいつはしんちゃんの望むことを何一つしてくれやしないよ」と追い詰めてくる。
 望むこと…?おれが滝藤さんに望むのは…ただ、ただ……話をしてくれるだけで嬉しくて……

「しんちゃんは欲がないな、良い子すぎて心配になる……俺ならなんでもしてやるのに」

 叔父はそう言い、進之介のズボンをずらしたのだ。「お゛っ、おじさッ…!」とっさに引き戻そうとするが、叔父はそうはさせてくれない。剥き出しの局部に顔を近づけてゆき、陶酔したような目を向けてくる。

「しんちゃん…はぁ……しんちゃんは可愛い…本当に可愛いなァ…」
 叔父の赤い舌先は伸びてゆき、不浄なそれに躊躇いなく絡み付いた。生温い不愉快なぬくもりと、独特のざらつき ーー 腹を蹴られたような息苦しさが進之介を襲い、叫びは声にならなかった。

「ハァっ…ンン…しんちゃんッ、しんちゃん、しんちゃんンンっ!!」

 あまい、しんちゃんは甘い、良い匂いがする……しんちゃんのぜぇんぶ俺にちょうだいぃぃいッぅうッッ!!

 息荒く興奮した獣は、薄い茂みに顔を埋め、口の中に広がる愛しさに昇天する。あぁ…これがしんちゃんの味。ずっとこうしたいと頭の中で何度も何度も描いていたのだ。
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