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ななな

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【しんちゃん、新しい生活はどう?元気にしてる?】

【うん、楽しいよ。叔父さんも優しいし……でもさぁ、ちょっと心配症なんだよね】

【心配症?叔父さんが】

【だって、『19時までには帰って来な』って言うし、アルバイトもしなくていいってさせてくんないの】

【あらら……あの子、いつの間にそんな子煩悩になったのかしら。ちょっと前まで仕事のことで悩んで、体調崩して病院に通ってたのにねぇ…】

【…そうなの?叔父さん、そんなこと一言も言ってなかったよ。
今は在宅ワークらしくて、ずっと家でパソコン叩いてるけど】

【あらま。……私ったら、喋りすぎたわね。叔父さんには内緒よ。
しんちゃん、叔父さんに優しくしてあげてね】


 大学での休み時間のこと。進之介は母からの電話を切り、窓の外へと目をやる。
 いつも明るいあの叔父が、実は無理をしていたのだろうか。そういえば、祈るように手を合わせ、ぶつぶつと何かを呟く姿を何度か見たことがある。なんで教えてくれないんだろう……気を遣われてる?そう思うと物悲しい気持ちになり、思い描いた叔父の姿にモヤがかかってゆくようだった。

「……ん……あれって、」

 窓の外には生徒の歩く姿がちらほらとあった。その中に見間違えようのない人物がいたのだ。専ら進之介の頭の中を占めるその男性 ーー 滝藤 真琥。胸がトクンと高鳴った。

 滝藤は不思議な男だ。なぜだかこの男に、嫌われたくないと思ってしまう。
 初めて話したあの日から、滝藤への興味が絶えることはなかった。むしろ日を追うことに増長し、どうも落ち着かない。
 
 様子のおかしい進之介に、叔父はすぐに口を開いた。『しんちゃん、学校で何か嫌なことでもあったか?』と顔を覗き込まれ、あわてて首を横に振る。嬉しいのか悲しいのか、自分でもどう説明していいやらわからない。一体何なんだろう。

 進之介の視線の先には、滝藤の笑顔があった。友達と談笑しているようで、進之介の知らない人だった。妙に胸がザワつき、視線を逸らしたいのに逸らせない。知らないのは友人の方なのに、滝藤までもが知らない人に見えてしまう。とても声をかける気になどなれなかった。
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