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3 最終話. 彼の犬になりたい
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欲しい、欲しい、欲しくて堪らねぇ。そんな子がとうとう、俺のものになった。
「こぉじ…もっと、もっとちょうだい」
ねぇ、もっともっと。あどけない顔をして、いやらしく誘うのは俺の可愛い恋人。そう、可愛い可愛い恋人だ。
「ん~いっぱいあげてるよぉ?ツバサちゃんは欲張りでちゅねぇ」
「そんなことないもんっ。ちゅう、もっといっぱいちゅうしてくれなきゃやだっ」
……ち゛っ、死゛ぬ゛ッッ !!か゛わ゛っ、可゛愛゛い゛!!!
「わかりまちたっっ!いっぱいチュウしたげりゅぅぅぅ!!」
・
・
・
いとやん ーー 俺は生徒から、そんなふざけたあだ名で呼ばれている。別に元ヤンじゃねぇ。それに、れっきとした堅気だ。そう、堅気。
けれど最近、雲行きが怪しくなった。とあるクラスの一男児で抜いているのだ。
細い腰にすらりと伸びた長い手足 ーー ツバサにはどこか色気があった。物怖じしない勝ち気な態度の彼は、俺の卑しい所を幾度となく踏み付け、なじり倒した……そんな妄想で果てては、彼の犬になりたいと願う日々。
彼はなかなかご褒美をくれやしない。こんなにも、好きで好きで堪らないのに…頭はすっかり沸き上がっている。
一目惚れだった。だから、ついポロッと…告白をしていて、後先のことなどなかった。
そんなある日のこと、ツバサが俺を振り回すようになったのだ。放課後、俺の部屋へ来るなり「なぁ、お菓子買ってきてよ。今すぐに」と。
俺は目が点になった。彼らしくない、どういう風の吹き回しだ…?
まぁ、彼なりの愛情表現なのかもしれない。可愛い奴め、全く……そう思っていたが、独身令嬢で名高い女性教諭 ーー ツバサのクラス担任を連れて来られた時には、流石に思い詰めた。ツバサは…俺が他の奴を抱いても平気なのかよ。
そこでふと、人形のことを思い出した。ばあさんから聞かされていた話、マジにはしてない。でも、でも…だ。
随分と昔、知り合いから恋愛成就の赤糸をいーっぱいもらったんよ。それ、こうじにあげるから何本か人形に巻き付けときな。こうじのことが好きで好きで、しゃあないようになるわ。
あぁ でも、想い人が人形に触れてないと意味ねぇからね……
ツバサが触った人形。それだけで愛おしく感じ、大切に大切にしていた。赤糸のことはすっかり忘れていたようだ。
家へ帰るなり、俺はさっそく巻き付けた。ぐるぐるぐる、ぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる……
そうしてじきに、電話がかかってきたのだ。そーっと画面を見たところ、" ♡ツバサ♡ "と。以前、半ば強引に交換していたが、かかってくることなど一度もなかった。
ちらっと、それに目をやる。頭のてっぺんからつま先まで、赤い糸でがんじがらめになっていて隙間がない。赤い何か。電話を取った俺の手は震えていた。
『ぁの…い、いとやん。今から、会えるか…?』
信じられない。電話の向こうに、ツバサがいる。
俺は己の卑しい所に血が通っていくのがわかった。熱を孕んだ声は、間違いなくツバサのものだ。今…どんな顔をしているんだ、お前は。
会いたい、会いたくて堪らない。すぐにでも飛び付きたかった。けれど、「今日は…もう遅い。明日なら…」と、どこか理性的な自分が口を開いた。
『ぅうん…なぁ、オレの言うことが聞けねぇのかよ』
こぉじぃ……気づいたら、俺は車をかっ飛ばしていた。目的地は恋人の家だ。今日は親がいないらしい。
へにゃりと柔らかい笑みを浮かべ、彼は出迎えてくれた。それからキスをねだってきて、俺はもう、何がなんだかわからなかった。これがツバサ…あぁ、ツバサだ、俺の可愛いツバサ。今日からやっと、この子の犬になれるんだ……
ーーーーーーーーーー
ありがとうございました( ◜灬◝ )♡
「こぉじ…もっと、もっとちょうだい」
ねぇ、もっともっと。あどけない顔をして、いやらしく誘うのは俺の可愛い恋人。そう、可愛い可愛い恋人だ。
「ん~いっぱいあげてるよぉ?ツバサちゃんは欲張りでちゅねぇ」
「そんなことないもんっ。ちゅう、もっといっぱいちゅうしてくれなきゃやだっ」
……ち゛っ、死゛ぬ゛ッッ !!か゛わ゛っ、可゛愛゛い゛!!!
「わかりまちたっっ!いっぱいチュウしたげりゅぅぅぅ!!」
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いとやん ーー 俺は生徒から、そんなふざけたあだ名で呼ばれている。別に元ヤンじゃねぇ。それに、れっきとした堅気だ。そう、堅気。
けれど最近、雲行きが怪しくなった。とあるクラスの一男児で抜いているのだ。
細い腰にすらりと伸びた長い手足 ーー ツバサにはどこか色気があった。物怖じしない勝ち気な態度の彼は、俺の卑しい所を幾度となく踏み付け、なじり倒した……そんな妄想で果てては、彼の犬になりたいと願う日々。
彼はなかなかご褒美をくれやしない。こんなにも、好きで好きで堪らないのに…頭はすっかり沸き上がっている。
一目惚れだった。だから、ついポロッと…告白をしていて、後先のことなどなかった。
そんなある日のこと、ツバサが俺を振り回すようになったのだ。放課後、俺の部屋へ来るなり「なぁ、お菓子買ってきてよ。今すぐに」と。
俺は目が点になった。彼らしくない、どういう風の吹き回しだ…?
まぁ、彼なりの愛情表現なのかもしれない。可愛い奴め、全く……そう思っていたが、独身令嬢で名高い女性教諭 ーー ツバサのクラス担任を連れて来られた時には、流石に思い詰めた。ツバサは…俺が他の奴を抱いても平気なのかよ。
そこでふと、人形のことを思い出した。ばあさんから聞かされていた話、マジにはしてない。でも、でも…だ。
随分と昔、知り合いから恋愛成就の赤糸をいーっぱいもらったんよ。それ、こうじにあげるから何本か人形に巻き付けときな。こうじのことが好きで好きで、しゃあないようになるわ。
あぁ でも、想い人が人形に触れてないと意味ねぇからね……
ツバサが触った人形。それだけで愛おしく感じ、大切に大切にしていた。赤糸のことはすっかり忘れていたようだ。
家へ帰るなり、俺はさっそく巻き付けた。ぐるぐるぐる、ぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる……
そうしてじきに、電話がかかってきたのだ。そーっと画面を見たところ、" ♡ツバサ♡ "と。以前、半ば強引に交換していたが、かかってくることなど一度もなかった。
ちらっと、それに目をやる。頭のてっぺんからつま先まで、赤い糸でがんじがらめになっていて隙間がない。赤い何か。電話を取った俺の手は震えていた。
『ぁの…い、いとやん。今から、会えるか…?』
信じられない。電話の向こうに、ツバサがいる。
俺は己の卑しい所に血が通っていくのがわかった。熱を孕んだ声は、間違いなくツバサのものだ。今…どんな顔をしているんだ、お前は。
会いたい、会いたくて堪らない。すぐにでも飛び付きたかった。けれど、「今日は…もう遅い。明日なら…」と、どこか理性的な自分が口を開いた。
『ぅうん…なぁ、オレの言うことが聞けねぇのかよ』
こぉじぃ……気づいたら、俺は車をかっ飛ばしていた。目的地は恋人の家だ。今日は親がいないらしい。
へにゃりと柔らかい笑みを浮かべ、彼は出迎えてくれた。それからキスをねだってきて、俺はもう、何がなんだかわからなかった。これがツバサ…あぁ、ツバサだ、俺の可愛いツバサ。今日からやっと、この子の犬になれるんだ……
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ありがとうございました( ◜灬◝ )♡
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