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3. 劇場
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どこだろう…ここは。カーテンが…ピンク…布団も…それに、ぬいぐるみが沢山…あんなの、持ってたっけ…
…腕が、動かない。何かに引っかかっているみたいだ…起き上がれない。足だって…んんっ、なんなんだ…一体。
ぼーっとする頭でよたよたと視線を這わせてゆくと、今度はピンク色の絨毯に迷い込んだ。…こんなの絶対、俺の趣味じゃない。
女の子らしいと言ってしまえばそれまでだが、なんだか居心地が悪かった。ピンク地獄…そんな感じ。どこか覚えのある感覚だ。
いつだっけ…この、胸焼けのするような…そんな風になる時は…
その答えを探そうと頭の中をズルズル這い回っていると、小さな音が耳元に届いてきた。あっち…扉の方からだ。誰だろう…ん、誰…だれ、…ダレ?
キィーと音を立てて開いてゆくそれを、ただ静かに見つめる。誰んちで俺は、寝てんの…?
揺れるシルエット、晴れゆく一面の霧。な、なんで、こんなことを…忘れていたんだろう。ありえない…いや、マジでありえない。
俺を飲み込まんとばかりに押し寄せる情動に、口から出てきたのは…うめき声であった。
「おはよう、チマくん」
それはいつものあの声だった。いかにも男性的で耳触りの良い、あの声。
真っ赤なワンピースは血のように赤かった。それを身にまとい、俺に向かってうっすら浮かべる微笑というのが…どこか自信の香りを漂わせており、違和感があった。
手にはあのトレーが収まっている。花柄のまるで少女趣味のようなそれに、いつも手料理を載せて運んで来るのだ。その上には山盛りの…
「ひっ」
殺されるッッ、逃げなきゃ!!俺の身体は勢いよくうねりを上げ、邪魔をしていた布団を吹っ飛ばした。すると、あらわになったのだ。
「なっ…なんだよ、これっ…」
りょう、て…と両…足に、なんと、ピンク色の大きなリボンが絡みついていた。ベッドごと固く括り付けられているようで、これで動けなかったのかと目を丸くする。
ダメよ…チマくん、逃げちゃあ。まりあと一緒にいましょうね…そうすれば、きっと幸せになれるの。
そんな声が聞こえてきて、全身が氷漬けにでもされたかのように硬直する。いっ、意味がわからない…っ…何言って…ゆらゆらと近づいてくる姿は、昔見た映画のワンシーンを彷彿とさせた。確かその主人公は…いやいやっ、今はそれどころじゃないっ!
「さぁチマくん、まりあが全部してあげるから、何も心配いらないのよ。…チマくんは優しいのと激しいの、どっちが好き?」
「…はっ、は…?」
目の前がチカチカする。彼女は笑顔を崩さぬままベッドの横に座りこみ、トレーを…数々のおぞましいものが載ったそれを床に置いたらしく、カチャリという音が部屋に響いた。
「そう、激しいのが好きなのね」
ふふっ、じゃあまりあも頑張っちゃうわ…チマくんのために。
彼女のまつ毛は長く、人工的な造形に見えた。赤い口紅が妖しげで、その雄々しくも美しい顔立ちに不思議とよく映えている。俺は唾を飲み込もうとしたが、からからに乾ききっていて咳込みそうになった。
彼女が手にしているのは…一本の、ハサミ。
「やっ、やめろ、何…する気だ」
「大丈夫、お洋服を切るだけよ。このままじゃ脱げないでしょう」
冷たいものが背筋を流れ、あのグロテスクな光景が脳内に広がってゆく。ためらうことなく大きなその腕が伸びてくるのに、俺の身体は金縛りにでもあったらしく、抵抗するのを忘れていた。
………あら、チマくんのおいなりさん…意外と大きいのね。ふふっ、男らしくて…まりあ大好きよ。
まりあね、舌が大きくて長いの…はぁぁん…激しくしてあげるからね…チマくんのためならいつでも、どこでも、ご奉仕してあ…げ…る。だってまりあ、チマくんのお嫁さんだもの…まりあのことを食べていいのは、旦那様であるチマくんだけなの。
でもね、実はチマくんのこと…赤ちゃんみたいにも思ってて。可愛いチマくんの中に、たぁっぷり、溢れ出るくらいのママみるくを注ぎ込んだら…うふっ、うふふふふっ♡
ねぇ、今日はちょっと大胆な下着にしてみたの…恥ずかしいけど、チマくんが赤ちゃんみたいに喜んでくれたらと思って…
あとでこれを使って、お尻の穴をほぐしてあげますからね…可愛い形でしょう。
あら、そう怯えないで…色々あるから、もっと他のものにする?これが一番良いとは思うんだけど…
まりあね、いつだってチマくんのことを考えているのよ。チマくんが大好きだから、チマくんのことを想って生きているの…それだけ、他には何もないの。
だからお願い、一緒にいてちょうだい。まりあこと大好き、愛してるって言って抱きしめて。
そうしてくれたらきっと、チマくんのことを守ってあげられる。チマくんを守れるのはまりあだけ…そう、まりあだけ。まりあだけなの、他の誰でもないの。…マコトなんか以ての外よ。
………そうだ。彼女はいつもどこか自信なさげで、俺の顔色をうかがうような物言いなのだ。違和感の正体はこれだった。それにあの発言…合点が、いく。
だからか、俺の頭はいやに冷静で、むしろ彼女の空論のその先を聞き出そうとしていた。マコト…?一体、何の話だ…?
彼女は何かに憑かれたように言葉を発し続ける。その目は常軌を逸しており、手には拷問具が握りしめられていた。
…まりあね、この大きな身体が本当に大嫌いでね…いつも泣いてばかりだったの。こんなのまりあの身体じゃないっ、絶対に外に出るもんかって。
でも、チマくんに恋をしてから変わったわ。いつ出ようかってずっとうきうき♪
それで、最後の晩餐後…マコトがチマくんとセックスしたのを見届けてから入れ替わったの。
あっ…チマくんはあんまりショックだったせいか、何も覚えていなかったのよね。ごめんなさい、マコトが乱暴にねじ込んでびっくりさせちゃったわね…痛かったでしょう。
まりあはそんなこと絶対にしないから安心してちょうだい。ママのように優しく、包み込んであげますからね…うふっ。
それで…まりあがチマくんの身体を綺麗にして、お布団に寝かしつけたのよ。色々あってそこで一旦家に…マコトの家にまりあは帰ったんだけどね。チマくんは次の日には元気に学校へ行ったそうね。…あぁ、執事から聞いたのよ。
…あら、喋りすぎちゃったわね。大好きなチマくんの…こぉんな姿を目の前にしてまりあったら…ふふっ、激しく…優しくしてあ…げ…る。
ママと一緒に、イイコトしましょ…♡
大きな、そのたくましい身体が、俺の全てを覆い尽くそうとしてくる。けれど頭はすっかり冷え切っていて、疑惑は確信へと変わった。…間違いない。
これは全て、俺が創り出した夢だ!
…腕が、動かない。何かに引っかかっているみたいだ…起き上がれない。足だって…んんっ、なんなんだ…一体。
ぼーっとする頭でよたよたと視線を這わせてゆくと、今度はピンク色の絨毯に迷い込んだ。…こんなの絶対、俺の趣味じゃない。
女の子らしいと言ってしまえばそれまでだが、なんだか居心地が悪かった。ピンク地獄…そんな感じ。どこか覚えのある感覚だ。
いつだっけ…この、胸焼けのするような…そんな風になる時は…
その答えを探そうと頭の中をズルズル這い回っていると、小さな音が耳元に届いてきた。あっち…扉の方からだ。誰だろう…ん、誰…だれ、…ダレ?
キィーと音を立てて開いてゆくそれを、ただ静かに見つめる。誰んちで俺は、寝てんの…?
揺れるシルエット、晴れゆく一面の霧。な、なんで、こんなことを…忘れていたんだろう。ありえない…いや、マジでありえない。
俺を飲み込まんとばかりに押し寄せる情動に、口から出てきたのは…うめき声であった。
「おはよう、チマくん」
それはいつものあの声だった。いかにも男性的で耳触りの良い、あの声。
真っ赤なワンピースは血のように赤かった。それを身にまとい、俺に向かってうっすら浮かべる微笑というのが…どこか自信の香りを漂わせており、違和感があった。
手にはあのトレーが収まっている。花柄のまるで少女趣味のようなそれに、いつも手料理を載せて運んで来るのだ。その上には山盛りの…
「ひっ」
殺されるッッ、逃げなきゃ!!俺の身体は勢いよくうねりを上げ、邪魔をしていた布団を吹っ飛ばした。すると、あらわになったのだ。
「なっ…なんだよ、これっ…」
りょう、て…と両…足に、なんと、ピンク色の大きなリボンが絡みついていた。ベッドごと固く括り付けられているようで、これで動けなかったのかと目を丸くする。
ダメよ…チマくん、逃げちゃあ。まりあと一緒にいましょうね…そうすれば、きっと幸せになれるの。
そんな声が聞こえてきて、全身が氷漬けにでもされたかのように硬直する。いっ、意味がわからない…っ…何言って…ゆらゆらと近づいてくる姿は、昔見た映画のワンシーンを彷彿とさせた。確かその主人公は…いやいやっ、今はそれどころじゃないっ!
「さぁチマくん、まりあが全部してあげるから、何も心配いらないのよ。…チマくんは優しいのと激しいの、どっちが好き?」
「…はっ、は…?」
目の前がチカチカする。彼女は笑顔を崩さぬままベッドの横に座りこみ、トレーを…数々のおぞましいものが載ったそれを床に置いたらしく、カチャリという音が部屋に響いた。
「そう、激しいのが好きなのね」
ふふっ、じゃあまりあも頑張っちゃうわ…チマくんのために。
彼女のまつ毛は長く、人工的な造形に見えた。赤い口紅が妖しげで、その雄々しくも美しい顔立ちに不思議とよく映えている。俺は唾を飲み込もうとしたが、からからに乾ききっていて咳込みそうになった。
彼女が手にしているのは…一本の、ハサミ。
「やっ、やめろ、何…する気だ」
「大丈夫、お洋服を切るだけよ。このままじゃ脱げないでしょう」
冷たいものが背筋を流れ、あのグロテスクな光景が脳内に広がってゆく。ためらうことなく大きなその腕が伸びてくるのに、俺の身体は金縛りにでもあったらしく、抵抗するのを忘れていた。
………あら、チマくんのおいなりさん…意外と大きいのね。ふふっ、男らしくて…まりあ大好きよ。
まりあね、舌が大きくて長いの…はぁぁん…激しくしてあげるからね…チマくんのためならいつでも、どこでも、ご奉仕してあ…げ…る。だってまりあ、チマくんのお嫁さんだもの…まりあのことを食べていいのは、旦那様であるチマくんだけなの。
でもね、実はチマくんのこと…赤ちゃんみたいにも思ってて。可愛いチマくんの中に、たぁっぷり、溢れ出るくらいのママみるくを注ぎ込んだら…うふっ、うふふふふっ♡
ねぇ、今日はちょっと大胆な下着にしてみたの…恥ずかしいけど、チマくんが赤ちゃんみたいに喜んでくれたらと思って…
あとでこれを使って、お尻の穴をほぐしてあげますからね…可愛い形でしょう。
あら、そう怯えないで…色々あるから、もっと他のものにする?これが一番良いとは思うんだけど…
まりあね、いつだってチマくんのことを考えているのよ。チマくんが大好きだから、チマくんのことを想って生きているの…それだけ、他には何もないの。
だからお願い、一緒にいてちょうだい。まりあこと大好き、愛してるって言って抱きしめて。
そうしてくれたらきっと、チマくんのことを守ってあげられる。チマくんを守れるのはまりあだけ…そう、まりあだけ。まりあだけなの、他の誰でもないの。…マコトなんか以ての外よ。
………そうだ。彼女はいつもどこか自信なさげで、俺の顔色をうかがうような物言いなのだ。違和感の正体はこれだった。それにあの発言…合点が、いく。
だからか、俺の頭はいやに冷静で、むしろ彼女の空論のその先を聞き出そうとしていた。マコト…?一体、何の話だ…?
彼女は何かに憑かれたように言葉を発し続ける。その目は常軌を逸しており、手には拷問具が握りしめられていた。
…まりあね、この大きな身体が本当に大嫌いでね…いつも泣いてばかりだったの。こんなのまりあの身体じゃないっ、絶対に外に出るもんかって。
でも、チマくんに恋をしてから変わったわ。いつ出ようかってずっとうきうき♪
それで、最後の晩餐後…マコトがチマくんとセックスしたのを見届けてから入れ替わったの。
あっ…チマくんはあんまりショックだったせいか、何も覚えていなかったのよね。ごめんなさい、マコトが乱暴にねじ込んでびっくりさせちゃったわね…痛かったでしょう。
まりあはそんなこと絶対にしないから安心してちょうだい。ママのように優しく、包み込んであげますからね…うふっ。
それで…まりあがチマくんの身体を綺麗にして、お布団に寝かしつけたのよ。色々あってそこで一旦家に…マコトの家にまりあは帰ったんだけどね。チマくんは次の日には元気に学校へ行ったそうね。…あぁ、執事から聞いたのよ。
…あら、喋りすぎちゃったわね。大好きなチマくんの…こぉんな姿を目の前にしてまりあったら…ふふっ、激しく…優しくしてあ…げ…る。
ママと一緒に、イイコトしましょ…♡
大きな、そのたくましい身体が、俺の全てを覆い尽くそうとしてくる。けれど頭はすっかり冷え切っていて、疑惑は確信へと変わった。…間違いない。
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