龍の番の生まれ変わり

まめだだ

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そしてオレははじめて石英という人について知ることができた。

石英は生まれつき身体が弱かったそうだ。
人の国で出会った二人は、菫青によってすぐさま龍の里に連れてこられ、病を治すため惜しみなく龍の秘薬を与えられた。


「強い薬は劇薬と同義だ。病は治っても、石英の身体は急激な変化に耐えられなかった」


龍の里の環境もよくなかった。
澄みきった空気も、水も、人である石英には影響が強すぎた。菫青はよかれと思って連れてきた龍の里で、結果的に石英の命の時間を早めてしまったのだ。

それでも石英は菫青の元で数十年ほど生きたらしい。人としては充分だと思うが、千年以上の寿命を持つ龍族からすれば、ほんの一瞬だ。


「番を失った龍族の悲しみは深い。菫青も同様だったけれど、彼は力の強い青龍で、なおかつまだ若かった」


実力主義の龍族の中で、菫青はかなり上の立場にいた。長にと望む声も多く、けれどそれには条件として番がいないとならなかった。


「石英を失ったばかりの菫青には酷だが、周囲は新しい番として婚約者を宛がったんだよ」


それが柘榴だった。白い髪に小柄な柘榴は、容姿が石英に近いという理由で選ばれた。


「魂の色は運命に関係ないの?」

「魂の色はただの好みだね。やさしい子が好きとか、かわいい子がタイプとか、そんな程度かな」

「なんだよ。『この色はまさしく石英殿だ~』とか言われたけど意味ないんじゃん」


口を尖らせるとこめかみに唇を寄せられた。くすぐったくて震える。


「龍族の番は運命じゃない、己が深く愛した者だ。失う悲しみは海より深いが、はじまりは様々。番に種族を問わない代わりに龍族同士の見合いも多いよ。ただし、愛さない限り番にはならない」

「そ、うなんだ」

「菫青の魂の色は青。オレは赤。びっくりするほど相性が悪かったな」


そう言って柘榴はくつりと笑う。

菫青と柘榴の仲があまりに進展しないため、慌てた取り巻きたちが石英の魂を呼び寄せたらしい。そして現れたのがオレだった、と。


「どういうつもりだと婚約者に文句を言いに行ったのに、かわいい輝に出会えるなんて僥倖だった。相性は悪かったけど好みは案外近かったようだ」


上機嫌な柘榴に背後から顎を掴まれ、頬にキスされる。指が口の中に入ってきて、そのまま上から覆い被さるように深く口づけられた。


「んん……ぅ」


感じるところを舐め回され、溢れる唾液を飲み下す。なんだかぽかぽかする。
くたりと柘榴の身体に寄りかかると、やさしく頭を撫でられた。


「輝。輝。」

「……うん」


心地よくて瞼が落ちる。安心する。


「オレの番。誰にも渡さない」
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