4 / 4
(4)
しおりを挟む
「仕方ないわね~。熱にアテられちゃったから仕方ないわね~。――ほ~ら元に戻してあげたわよ?」
そちらを見ずとも、エロミーネがにやにやと口角を上げている様子がミミにはありありと想像することができた。彼女は人間の惚れた腫れたの話が大好きで、「コイバナ」を聞いているときはそういうだらしのない表情をするのが常であった。
やおら白い霧のようなものがミミの全身を包んだかと思うと、まばゆい光がそのまぶたを焼くかのような錯覚を覚える。
そうして次にミミが目を開いたときには、視界の中にはシミが散り、傷跡が走る日に焼けた腕が映り、元に戻ったのだという実感を得ることができた。髪に手をやればうねうねとしたショートヘアーであることがわかる。……間違いなく、本来のミミだ。
「ちゃんと言葉も戻しておいたから」
「言葉も奪っていたのですか?! 非道な……」
「非道じゃないわよ! だってしゃべってもあなたたち、すれ違いそうだったからあらかじめ言葉を奪っておいたの!」
「非道です。それに、わざわざ姿を変えるのもわけがわかりません」
「まともにお見合いさせても上手く行かなさそうだったから~本人を前にして愛を告げられないヘタレでも~本人じゃなければ愛を語れると思ったんですう~」
「まったく! わたしの妙なる配慮を理解できないトウヘンボクなんだから!」とエロミーネは心外そうな顔をする。
一方のライカンはまた顔を赤くして、一度ミミと視線が合ったかと思えばすぐにそらしてしまった。
「あの……助けていただき感謝いたします、ライカン将軍」
「いや……貴女がわざわざ感謝することではない。今回の一件、貴女もまた叔母上に振り回されたのだろう? 叔母上に仕える尼僧兵とは言え……苦労をかける」
「ちょっとちょっと~! そうじゃないでしょ~!?」
見合って、互いに視線を合わせることなくぎこちなくもじもじとしているミミとライカン。エロミーネはそんなふたりに不満そうな声を隠そうともせず文句を言う。
「ライカン! ほんっとあなたってヘタレ!」
「な……! なんですか急に……」
「本当にあなたわたしの甥っ子なの~? この、愛欲の女神エロミーネの甥としてその態度は恥ずかしくないの?!」
突如として始まった身内同士のいざこざに、一介の尼僧兵であるミミが出る幕はない。しかし「いざこざ」とは言っても、今では怒っているのはエロミーネだけで、一斉に射掛けられた矢のような勢いで一方的に文句を言っているのも彼女だけだ。ライカンは少し情けなくも押されているばかりだった。
「エロミーネ様……もう、それくらいで……。ライカン将軍も王都より遠く、この神殿まで足を運ばれてお疲れでしょうし……」
「ダメよ! ダメダメ!」
エロミーネは駄々っ子のように拳を作り、頭を左右にぶんぶんと振った。
「ミミ、なぜライカンがあなたの正体を見抜けたのかわかる?!」
「え……。それは……ライカン将軍がエロミーネ様と同じく主神の血を引く御身だから――」
「ちっがーう!」
「ええ……」
「この愛欲の女神エロミーネがそんなつまんない呪いをかけると思って?!」
ミミは思った。「あれはやっぱり呪いだったのか……」と。
エロミーネはミミが若干引いていることは意に介さず、勢いのままに続ける。
「『真実の、愛』……」
「え?」
エロミーネが急に、色っぽいいい声で、陶酔に満ち満ちた言い方をしたので、ミミは思わず素で聞き返してしまった。
それに憤慨したのか、エロミーネは再度力強く主張する。
「『真実の、愛』!」
「は、はい……」
「さっきの呪いはねー! 『真実の愛』でしか正体を見破れないものだったのよ!!! あと『真実の愛』のキスで解けるはずだったの! ……でも、まあ、ヘタレにはできないと思って解いてあげたの」
ミミは思わずエロミーネから視線を外し、ライカンを見た。
ライカンは顔を真っ赤にしてうつむき、右手で顔を覆ってしまっている。恥ずかしいという気持ちもあるのだろうが、頭が痛いというジェスチャーでもあるのだろう。ミミは、エロミーネという猛牛のような身内を持ったライカンに少しだけ同情した。
……そしてややあってから、不思議に思った。
「エロミーネ様、まるでライカン将軍がわたしの思い人かのように言うのはおかしいです」
「……やだあ~この子、脳みそまで筋肉になっちゃったのかしら……?」
「いえ、脳みそに筋肉は――」
「ライカン!!!」
今度はエロミーネが咆えた。至近距離で叫ばれたミミは、ちょっとだけ飛び上がった。
先ほどからずっと閉じた貝のように黙りっぱなしだったライカンは、ようやく顔を上げてミミを見た。
それでもしばらく視線を泳がせたり、もじもじとしていたりしたのだが、エロミーネのひとにらみでようやく腹を括ったかのような、精悍な顔つきが戻ってきた。
ライカンがわざとらしく、ひとつ咳払いをする。
「私のその――お、思い人というのはだな……」
「はい……」
「ミミ」
「はい」
「……貴女だ」
「……はい?」
「ライカン! もうここまで言っちゃったんだからあとひと押し! いや百押しくらいしなさい!!! でないとヘタレの半神半人として後世に残しちゃうんだから!」
ライカンの顔色がまた青くなったり赤くなったりした。ミミは、ライカンから言われた言葉が上手く飲み込めず、そんな彼の表情を見て「器用なひとだ」と現実逃避的に思った。
「貴女の……凛々しくたくましい姿に、思えばひと目ぼれしたのだと思う。気がつけば目で追うようになっていて……けれども貴女は尼僧兵だったし、私のせいで生死の境をさ迷うことにもなった……。それに私は見ての通りの無骨者だ。たとえ貴女が尼僧兵ではなくともこの恋が実るとは思えず……貴女とは、あの戦場きりだと思っていた。けれど叔母上からの神託で結婚せよと言われて、やはり貴女以外は愛せないという結論になった。だから、今日は断りに来た、のだが……」
ミミはしばらく呆けた顔をしていた。
しかしじわじわとその顔は朱に染まっていき――ついには日に焼けた肌でもありありとわかるほどに、首から耳まで真っ赤になってしまった。
対するライカンも、すっかり顔を赤くしていたが、弾みがついたのか、そのままミミへの愛を告げる言葉が途切れることはなかった。ミミの前にひざまずいて、今度はミミの顔を見上げる。
「叔母上の神託によって気づかされたことは事実だが……神意など関係なく、今、貴女に求婚したい。ミミ、私の伴侶となって、共に生きて欲しい」
ミミは想いが言葉にならず、ライカンのその求愛にただ黙ってうなずくことしかできなかった。
エロミーネがにやにやとだらしのない表情でこちらを見ているのがわかったが、ミミはまったくそれを気にかけるどころではなかった。
ミミをこの場に引っ立ててきた巫女たちが祝福の拍手を送る。
ついでにエロミーネの神力――というかほとんど衝動――で、神殿の中庭にある噴水が青く澄んだ空に向かって勢い良く水を噴き出す。
エロミーネの神使たる白いハトたちも青空へと飛び出して、各地に散る神々にライカンの恋が実ったことを伝えたことで、この恋愛の顛末は爆速で国中に広まることになるのだった。
そちらを見ずとも、エロミーネがにやにやと口角を上げている様子がミミにはありありと想像することができた。彼女は人間の惚れた腫れたの話が大好きで、「コイバナ」を聞いているときはそういうだらしのない表情をするのが常であった。
やおら白い霧のようなものがミミの全身を包んだかと思うと、まばゆい光がそのまぶたを焼くかのような錯覚を覚える。
そうして次にミミが目を開いたときには、視界の中にはシミが散り、傷跡が走る日に焼けた腕が映り、元に戻ったのだという実感を得ることができた。髪に手をやればうねうねとしたショートヘアーであることがわかる。……間違いなく、本来のミミだ。
「ちゃんと言葉も戻しておいたから」
「言葉も奪っていたのですか?! 非道な……」
「非道じゃないわよ! だってしゃべってもあなたたち、すれ違いそうだったからあらかじめ言葉を奪っておいたの!」
「非道です。それに、わざわざ姿を変えるのもわけがわかりません」
「まともにお見合いさせても上手く行かなさそうだったから~本人を前にして愛を告げられないヘタレでも~本人じゃなければ愛を語れると思ったんですう~」
「まったく! わたしの妙なる配慮を理解できないトウヘンボクなんだから!」とエロミーネは心外そうな顔をする。
一方のライカンはまた顔を赤くして、一度ミミと視線が合ったかと思えばすぐにそらしてしまった。
「あの……助けていただき感謝いたします、ライカン将軍」
「いや……貴女がわざわざ感謝することではない。今回の一件、貴女もまた叔母上に振り回されたのだろう? 叔母上に仕える尼僧兵とは言え……苦労をかける」
「ちょっとちょっと~! そうじゃないでしょ~!?」
見合って、互いに視線を合わせることなくぎこちなくもじもじとしているミミとライカン。エロミーネはそんなふたりに不満そうな声を隠そうともせず文句を言う。
「ライカン! ほんっとあなたってヘタレ!」
「な……! なんですか急に……」
「本当にあなたわたしの甥っ子なの~? この、愛欲の女神エロミーネの甥としてその態度は恥ずかしくないの?!」
突如として始まった身内同士のいざこざに、一介の尼僧兵であるミミが出る幕はない。しかし「いざこざ」とは言っても、今では怒っているのはエロミーネだけで、一斉に射掛けられた矢のような勢いで一方的に文句を言っているのも彼女だけだ。ライカンは少し情けなくも押されているばかりだった。
「エロミーネ様……もう、それくらいで……。ライカン将軍も王都より遠く、この神殿まで足を運ばれてお疲れでしょうし……」
「ダメよ! ダメダメ!」
エロミーネは駄々っ子のように拳を作り、頭を左右にぶんぶんと振った。
「ミミ、なぜライカンがあなたの正体を見抜けたのかわかる?!」
「え……。それは……ライカン将軍がエロミーネ様と同じく主神の血を引く御身だから――」
「ちっがーう!」
「ええ……」
「この愛欲の女神エロミーネがそんなつまんない呪いをかけると思って?!」
ミミは思った。「あれはやっぱり呪いだったのか……」と。
エロミーネはミミが若干引いていることは意に介さず、勢いのままに続ける。
「『真実の、愛』……」
「え?」
エロミーネが急に、色っぽいいい声で、陶酔に満ち満ちた言い方をしたので、ミミは思わず素で聞き返してしまった。
それに憤慨したのか、エロミーネは再度力強く主張する。
「『真実の、愛』!」
「は、はい……」
「さっきの呪いはねー! 『真実の愛』でしか正体を見破れないものだったのよ!!! あと『真実の愛』のキスで解けるはずだったの! ……でも、まあ、ヘタレにはできないと思って解いてあげたの」
ミミは思わずエロミーネから視線を外し、ライカンを見た。
ライカンは顔を真っ赤にしてうつむき、右手で顔を覆ってしまっている。恥ずかしいという気持ちもあるのだろうが、頭が痛いというジェスチャーでもあるのだろう。ミミは、エロミーネという猛牛のような身内を持ったライカンに少しだけ同情した。
……そしてややあってから、不思議に思った。
「エロミーネ様、まるでライカン将軍がわたしの思い人かのように言うのはおかしいです」
「……やだあ~この子、脳みそまで筋肉になっちゃったのかしら……?」
「いえ、脳みそに筋肉は――」
「ライカン!!!」
今度はエロミーネが咆えた。至近距離で叫ばれたミミは、ちょっとだけ飛び上がった。
先ほどからずっと閉じた貝のように黙りっぱなしだったライカンは、ようやく顔を上げてミミを見た。
それでもしばらく視線を泳がせたり、もじもじとしていたりしたのだが、エロミーネのひとにらみでようやく腹を括ったかのような、精悍な顔つきが戻ってきた。
ライカンがわざとらしく、ひとつ咳払いをする。
「私のその――お、思い人というのはだな……」
「はい……」
「ミミ」
「はい」
「……貴女だ」
「……はい?」
「ライカン! もうここまで言っちゃったんだからあとひと押し! いや百押しくらいしなさい!!! でないとヘタレの半神半人として後世に残しちゃうんだから!」
ライカンの顔色がまた青くなったり赤くなったりした。ミミは、ライカンから言われた言葉が上手く飲み込めず、そんな彼の表情を見て「器用なひとだ」と現実逃避的に思った。
「貴女の……凛々しくたくましい姿に、思えばひと目ぼれしたのだと思う。気がつけば目で追うようになっていて……けれども貴女は尼僧兵だったし、私のせいで生死の境をさ迷うことにもなった……。それに私は見ての通りの無骨者だ。たとえ貴女が尼僧兵ではなくともこの恋が実るとは思えず……貴女とは、あの戦場きりだと思っていた。けれど叔母上からの神託で結婚せよと言われて、やはり貴女以外は愛せないという結論になった。だから、今日は断りに来た、のだが……」
ミミはしばらく呆けた顔をしていた。
しかしじわじわとその顔は朱に染まっていき――ついには日に焼けた肌でもありありとわかるほどに、首から耳まで真っ赤になってしまった。
対するライカンも、すっかり顔を赤くしていたが、弾みがついたのか、そのままミミへの愛を告げる言葉が途切れることはなかった。ミミの前にひざまずいて、今度はミミの顔を見上げる。
「叔母上の神託によって気づかされたことは事実だが……神意など関係なく、今、貴女に求婚したい。ミミ、私の伴侶となって、共に生きて欲しい」
ミミは想いが言葉にならず、ライカンのその求愛にただ黙ってうなずくことしかできなかった。
エロミーネがにやにやとだらしのない表情でこちらを見ているのがわかったが、ミミはまったくそれを気にかけるどころではなかった。
ミミをこの場に引っ立ててきた巫女たちが祝福の拍手を送る。
ついでにエロミーネの神力――というかほとんど衝動――で、神殿の中庭にある噴水が青く澄んだ空に向かって勢い良く水を噴き出す。
エロミーネの神使たる白いハトたちも青空へと飛び出して、各地に散る神々にライカンの恋が実ったことを伝えたことで、この恋愛の顛末は爆速で国中に広まることになるのだった。
43
お気に入りに追加
18
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
【完結】リクエストにお答えして、今から『悪役令嬢』です。
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「断罪……? いいえ、ただの事実確認ですよ。」
***
ただ求められるままに生きてきた私は、ある日王子との婚約解消と極刑を突きつけられる。
しかし王子から「お前は『悪』だ」と言われ、周りから冷たい視線に晒されて、私は気づいてしまったのだ。
――あぁ、今私に求められているのは『悪役』なのだ、と。
今まで溜まっていた鬱憤も、ずっとしてきた我慢も。
それら全てを吐き出して私は今、「彼らが望む『悪役』」へと変貌する。
これは従順だった公爵令嬢が一転、異色の『悪役』として王族達を相手取り、様々な真実を紐解き果たす。
そんな復讐と解放と恋の物語。
◇ ◆ ◇
※カクヨムではさっぱり断罪版を、アルファポリスでは恋愛色強めで書いています。
さっぱり断罪が好み、または読み比べたいという方は、カクヨムへお越しください。
カクヨムへのリンクは画面下部に貼ってあります。
※カクヨム版が『カクヨムWeb小説短編賞2020』中間選考作品に選ばれました。
選考結果如何では、こちらの作品を削除する可能性もありますので悪しからず。
※表紙絵はフリー素材を拝借しました。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」
ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」
美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。
夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。
さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。
政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。
「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」
果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる