貴女を愛することはなん!

やなぎ怜

文字の大きさ
上 下
1 / 4

(1)

しおりを挟む
「あら……?」
 ゼノンの部屋。事務机の足元に落ちている一枚の紙を目にしたシャーロットは、大きな瞳をぱちぱちと瞬かせていた。
「これ……」
 それを拾い、軽く目を通す。癖のある男らしい文字が書き込まれたその書類は、シャーロットの記憶が正しければ、昨夜、ゼノンが仕上げていたものだ。
 互いの想いを伝え合ってから、出入り自由になったゼノンの部屋。昨夜も、ゼノンが机に向かっている間、シャーロットは少し離れた場所にあるゆったりとした椅子に腰かけて、刺繍を楽しんでいた。
 給仕の者に代わって熱いコーヒーを机に運べば、その腕を取られてそっと触れるだけのキスをして。……昨夜はそれだけだったけれど、椅子に腰かけたゼノンの膝の上に乗せられて、そのまま離して貰えなかったこともある。
 その時のことを思い出すと、恥ずかしくて堪らない。服を脱がされることはなかったけれど、向かい合って座る体勢で貫かれ、揺さぶられて――……。
「――……っ!」
 一体なにを考えているのかと、シャーロットは真っ赤になるとその記憶を振り払うように首を振る。
 今は、そんな不埒なことを考えている場合ではない。
「……きっと、ないと困るわよね……?」
 書類を片手に、ことりと小首を傾けて。
「ウィル! ウィル……!」
 家令を呼べば、すぐにゼノンよりも少し年上の男性が顔を覗かせた。
「はい、奥様。いかがされました?」
 シャーロットの胸の奥に、ほんの少しだけ好奇心が沸き上がる。

「旦那様が書類をお忘れになったみたいだから、届けて差し上げたいのだけれど……」




 ◈◈✼◈◈┈┈┈┈◈◈✼◈◈




 ボルドー家の家紋付きの馬車で軍の施設に向かえば、思いの外あっさりと中に通してもらうことができた。
「演習場は、そこの道を真っ直ぐ行った奥になりますが……」
 今の時間、ゼノンは恐らく演習中だろうということで、門番の案内にそちらの方へ顔を向ければ、確かに、遠く、声高な叫びや金属同士がぶつかり合う甲高い音が響いてくるような気がした。
「奥様がこちらに来られるのは初めてですよね? ご案内致しましょうか?」
「大丈夫です。お気遣いありがとう」
 優しく訊ねてくる門番へ、シャーロットは気遣いは不要だとにこりと笑う。
 それから「ごゆっくりどうぞ」という声に見送られ、シャーロットは演習場に向かって歩き出していた。
「……ここが……、ゼノン様が普段いらっしゃるところ……」
 軍の施設は、王都の中央に在る王宮のほど近くにあった。高い壁に囲まれた広い敷地内には、所々木が植えられ、土でできた道はよく舗装されている。
 シャーロットの左手にある大きな建物は、宿舎かなにかだろうか。
 将軍の妻という立場にありながら、今まで一度も訪れたことのない場所に、シャーロットは興味深そうにあちこちを見回した。
 今日は急いで来てしまったために手ぶらだが、近日中に今度は手土産を持って来ようかと考える。
 迷惑になっても困るため、その辺りは夫であり、軍の統率者でもあるゼノンに相談して……、などと思っていると。
「あ?」
「……え?」
 水分補給でもしていたのだろうか。水飲み場で口元を拭っている青年が顔を上げ、シャーロットの顔をまじまじと見つめてくる。
「君、こんなところでなにしてるの?」
 思わず足を止めて瞳を瞬かせたシャーロットに、その青年はそのまま人好きのする笑顔で声をかけてくる。
「あ……、いえ……。書類を届けに……」
 シャーロットの手元には、書類が一枚だけ入った茶封筒。
「書類?」
 なにをどう説明しようかと悩むシャーロットに、青年はその手元に在る封筒を目に留めると、「あぁ」と納得したような声を上げていた。
「そういえば、今度、事務官を募集するようなことを聞いたっけ」
 シャーロットのことを、そのための書類を持参した志願者だと勘違いしたらしい青年は、自らの疑問を勝手に自己完結させていく。
「あ、いえ、私は……」
「でも、君みたいな子に務まるかなぁ……?」
 緩く首を振るシャーロットの否定にも気づかない青年は、華奢なその身体をじ、と真面目に観察し、気難しげに眉を寄せる。
「騎士に憧れる子も多いけど、現実は結構むさ苦しいし、気性の荒いヤツもいるし」
 そうぶつぶつ話しかけてくる青年は、人は悪くなさそうだったが、残念ながらシャーロットの話に耳を傾けてくれる様子は見えなかった。
「でも、君みたいな可愛い子、オレは歓迎だよ」
「……っ」
 にっこりと軟派な笑顔を向けられて、シャーロットは思わず目を見張る。
 悪い人ではないのだろうが、その言動はいちいち軽すぎる。
 軍に身を置く人間が、全員ゼノンのような生真面目な性格をしているとは思っていないが、どう対応したものかと困ってしまう。
 適齢期になるとほぼ同時に嫁いでしまったシャーロットは、男女の交流を目的とした社交の場に顔を出した経験がなく、異性に対する免疫が圧倒的に少なかった。
「……おい、ザック、誰だよ」
 そこへ、後からやってきた青年が先ほどの青年――ザック、という名前なのだろうか――に声をかけ、ザックは物知顔で口を開く。
「なんか、事務官志望で来たらしいぜ?」
「ち、違……」
 シャーロットの小さな否定は二人の耳にまで届かない。
「あー、あれな」
 こちらの青年も事務官を募集していることを知っているのか、なるほどとばかりに頷いた。
 さらには。
「えっ? こんな可愛い子が来てくれんの?」
「こんな可愛い子がいてくれんなら、毎日の厳しい訓練にも耐えられるな~」
 ちょうど休憩時間にでもなったのだろうか。次から次へと青年と同じ年頃の――、二十代前半くらいの男性陣がやってきて、シャーロットはそれだけで圧倒されてしまう。
「あ、あの……っ」
「ねぇねぇ、君、誰かいい人とかいるの?」
「ここにいい人を探しに来た、とかだったら嬉しいんだけど」
「だったら、オレ、名乗り上げてもいい?」
「あっ、抜け駆けはなしだぜ!」
「いつからここで働くの?」
 気づけば周りを囲まれていて、矢継ぎ早にかけられるそれらの声に、シャーロットはただただ困惑するばかりだった。
「ていうか、名前、なんていうの?」
「な、名前……」
 そうしてまた一人の青年がシャーロットの顔を覗き込んできて、シャーロットはそこでこくりと息を呑む。
 名前を名乗るということ。
 つまりはそれは、自分の身分を明かすことに違いない。
「そうそうっ! そういえばまだ聞いてなかった」
 最初の青年がうっかりしていたとばかりに笑顔を向けてきて、シャーロットは手元の封筒をぎゅ、と抱えて口を開く。
「……シャ、シャーロット、です」
 元公爵令嬢であり、現在は将軍の妻となったシャーロットは、その名前だけは有名だ。
「シャーロットちゃん? 可愛い名前だね」
 だが、目の前の青年はそのままにこにことシャーロットに声をかけ――。
 ……そこで、ふと。
 どこかで聞き覚えのあるその名前に、「ん?」と首を傾げて固まっていた。
「……シャーロット・ボルドーと申します……っ」
 そう言って一気に息を吐き出せば、瞬時にその場の空気は凍りつく。
「“シャーロット”……」
「“ボルドー”……?」
 あちらとこちらから呆然と洩らされる二つの声。
「……って……」
 ハッと息を呑んだその声は、また別の青年のものだ。
「「ゼノン将軍の!?」」
 婚姻前から、シャーロットの存在自体は有名だ。公爵家の四姉妹の末の妹。だが、容姿や性格については噂で耳にする程度のことはあっても、実際に顔を見たことのある中流貴族以下の者はほとんどいない。若くして嫁いだシャーロットは、社交界に顔を出すこともほとんどなかったのだから、それはなおさらのことだった。
「奥方様!?」
 途端、慌て出す青年たちに、シャーロットは精一杯息を吸い込んだ。
「今日は……っ、旦那様に忘れ物を届けに参りました……っ」
 やっと伝えることのできた、今日の目的。
「……シャーロット、様……」
 若くしてボルドー家に嫁いだ、王家の血を継ぐ、由緒正しい公爵家の御令嬢。
 誰もが憧れる高嶺の花を前にして、どこからか呆然とした呟きが洩れた時。
「……お前たち。そんなところでなにをしている」
「――っ!」
 ふいに響いた低い声に、シャーロットを囲っていた青年たちはぎくりと時を止め。
「旦那様……っ!」
 シャーロットからは、嬉しそうな笑顔が零れ落ちていた。


「シャーロット。なぜ貴女がここに」
 ここに来るためか、普段家にいる時のドレス姿とは違い、動きやすそうなワンピースドレスを着ているシャーロットの笑顔を前にして、ゼノンは僅かに眉を顰めていた。
 休憩時間に水分補給に向かう者は多いが、今日はなぜか水飲み場近くに、遠目からでもわかるほどの妙な人だかりができていた。水筒を持参しているゼノンは、いつもであれば水飲み場に足を運ぶことはないのだが、さすがにその人だかりに不審を覚えたゼノンは、常には取らない行動を取っていた。
 そうして足を運んでみれば、人だかりのその中央にはなぜか愛しい妻の姿があって、思わず動揺してしまっていた。
 しかも、こともあろうか、可愛らしい年下の妻は。
「ねぇねぇ、君、誰かいい人とかいるの?」
「ここにいい人を探しに来た、とかだったら嬉しいんだけど」
「だったら、オレ、名乗り上げてもいい?」
「あっ、抜け駆けはなしだぜ!」
「いつからここで働くの?」
 ゼノンの部下たちから口々に声をかけられていて、その瞬間、ゼノンはぶわりとした負の感情が渦巻くのを感じていた。
 表面上は相変わらず無表情を崩すことのないゼノンだが、恐らく隣にいた副官だけは、その負の気配に気づいてしまったことだろう。
 副官とはそれなりに長い付き合いでもあり、それと同時に、その感情は隠し切れないほどの熱量を持っていた。
 だが、そんなゼノンの心の内に気づくこともなく、何年たっても純真さを忘れない年下の妻は、夫の姿に気づくと花のような笑顔を向けてくる。
「忘れ物を届けに参りました」
「……忘れ物?」
「はい。机の下に落ちていたもので」
 ふわりとした微笑みと共に書類の入った封筒を手渡され、ゼノンはまじまじとそれを見下ろした。
「昨夜書かれていたものではないですか? ……余計……、でした?」
 手渡してから、急に不安そうに自分をみつめてくるその瞳には、愛おしさしか沸いてこない。
 余計、だなどと。ゼノンがシャーロットに対してそんなことを思うはずがない。
「いや……、助かった」
「良かったです」
 だが、ほっと嬉しそうにはにかむシャーロットには、別の想いも沸き上がってくる。
「それよりも」
 シャーロットは、ゼノンよりも一回りも年若い。そして、そんな年下の妻を囲っていた部下たちは、可愛らしいシャーロットとは、年だけで言えば釣り合いの取れる青年たち。
「なにかされなかったか?」
 さりげない仕草で長い髪に触れれば、シャーロットからはきょとん、とした純真無垢な瞳が返ってくる。
「……え?」
「血気盛んなヤツらが多いからな」
 なにもわかっていないシャーロットへ、困ったような苦笑を一つ。
 すると、青年たちは真っ青な顔で慌てふためき出し、
「あ、あああの、ゼノン将軍っ? オ、オレたちは、別に、なにも……」
「まさか、奥方様とは知らず……っ」
 そろそろと、ゼノンから距離を取るように後方へと下がっていく。
 さらには。
「……っお、俺、走り足りてないので、走ってきます……!」
「! お、おい、待てよ……っ! オレも行く……っ!」
「あっ。オレも自主練してきます……!」
 次々とそんなことを口にして、逃げるようにその場を去っていた。
「お、おい……っ!」
「……、オ、オレも……」
 三人、四人、五人、とシャーロットの周りからは人が消えていき。
「っ失礼しましたーっ!」
 最初にシャーロットへ声をかけてきた、ザックと呼ばれた青年も姿を消していた。
「?」
 そんな、自己研鑽の意識が強い彼らに、シャーロットはぱちぱちと瞳を瞬かせ、
「みな様、すごいですね」
 さすがです。と、純粋な尊敬の眼差しを向けてくる。
 そんなシャーロットの感動の吐息に、ついゼノンが頭を抱えたくなってしまったとしても、それは仕方のないことだろう。
「……貴女という人は本当に……」
「……ご迷惑、でした?」
 不安そうにおずおずと見上げてくる大きな瞳。だが、シャーロットはそのまま、申し訳なさそうに先を続けてくる。
「演習場にいらっしゃると聞いて、もしかしたら、ゼノン様の勇姿が見られるかと思ったら、つい……」
「!」
 愛する夫の、“将軍ゼノン”としての凛々しい姿を見てみたかったのだと言われ、ゼノンは一瞬息を呑む。
 申し訳なさそうに身を小さくしながらも、それでもどこか恥ずかしそうに頬を染めるシャーロットからは、ゼノンに恋する乙女心しか伝わってこない。
「……貴女は本当に質が悪い」
 気を抜くと緩んでしまいそうになる顔を無表情に保つため、眉間にぐっ、と力を入れたゼノンは、表面上はあくまでも淡々とした声色のまま小さく肩を落としていた。
「そんなふうに言われたら、怒れなくなってしまう」
「っ、お、怒……?」
 びく、と肩を震わせ、不安そうに瞳を揺らめかせるその姿さえ、今すぐ抱き締めたくなってしまうほど愛おしいのだから重症だ。
「若い連中に、あんなふうに囲まれて」
 そこで、そっとシャーロットの耳元に顔を寄せたゼノンは、くす、と意味ありげな笑みを溢していた。
「オレが、嫉妬しないとでも?」
「!」
 途端、息を呑み、全身を桜色に染めていくシャーロットは、その言葉の意味を正確に理解しているのだろう。
 ――自分の夫が、驚くほど心の狭い人間であるということを。
「貴女は少し無防備すぎる」
 すでに二人の周りからは誰もいなくなってはいるが、それでも周りに悟られないよう、ゼノンは潜めた声で警告・・する。
 嫉妬深い夫をそんなふうに煽ったら、今夜・・どんな目に遭わされてしまうか、すでに何度も経験済みだろう。
「……あ、あの……っ、ご迷惑になるので……っ、もう、帰……っ」
「貴女が迷惑なはずはないだろう」
 慌てて帰ろうとする可愛らしい妻を、ゼノンは、至極真面目な顔で引き止める。
「で、ですが……っ」
「せっかくだ。見学していけばいい」
 愛しい女性ひとに、自分の勇姿を見たいと言われ、それを断る道理がどこにあるだろう。今まで血の滲むような努力を積み重ねてきた。それは紛れもなく、ゼノンに自信を与えている。
 ――妻を惚れ直させる自信も、今よりもさらに自分に夢中にさせる自信も。
 シャーロットに期待以上の姿を見せ、その心を掴んで離さないという気持ちがたぎる。
「アイツらも、貴女のような人に見られているとなれば気合いが入るだろう」
 不敵な笑みを刻み付け、最後に「あぁ」と忘れてはならないと忠告する。
「ただし、オレの視界から出ていかないように」

 そうしていつもより気合いの入ったゼノンが、先ほどシャーロットに声をかけてきた部下たちを完膚なきまでに鍛え上げるその姿を、シャーロットははらはらしながらも、輝く瞳でみつめるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

【完結】リクエストにお答えして、今から『悪役令嬢』です。

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「断罪……? いいえ、ただの事実確認ですよ。」 *** ただ求められるままに生きてきた私は、ある日王子との婚約解消と極刑を突きつけられる。 しかし王子から「お前は『悪』だ」と言われ、周りから冷たい視線に晒されて、私は気づいてしまったのだ。 ――あぁ、今私に求められているのは『悪役』なのだ、と。  今まで溜まっていた鬱憤も、ずっとしてきた我慢も。  それら全てを吐き出して私は今、「彼らが望む『悪役』」へと変貌する。  これは従順だった公爵令嬢が一転、異色の『悪役』として王族達を相手取り、様々な真実を紐解き果たす。  そんな復讐と解放と恋の物語。 ◇ ◆ ◇ ※カクヨムではさっぱり断罪版を、アルファポリスでは恋愛色強めで書いています。  さっぱり断罪が好み、または読み比べたいという方は、カクヨムへお越しください。  カクヨムへのリンクは画面下部に貼ってあります。 ※カクヨム版が『カクヨムWeb小説短編賞2020』中間選考作品に選ばれました。  選考結果如何では、こちらの作品を削除する可能性もありますので悪しからず。 ※表紙絵はフリー素材を拝借しました。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

「白い結婚の終幕:冷たい約束と偽りの愛」

ゆる
恋愛
「白い結婚――それは幸福ではなく、冷たく縛られた契約だった。」 美しい名門貴族リュミエール家の娘アスカは、公爵家の若き当主レイヴンと政略結婚することになる。しかし、それは夫婦の絆など存在しない“白い結婚”だった。 夫のレイヴンは冷たく、長く屋敷を不在にし、アスカは孤独の中で公爵家の実態を知る――それは、先代から続く莫大な負債と、怪しい商会との闇契約によって破綻寸前に追い込まれた家だったのだ。 さらに、公爵家には謎めいた愛人セシリアが入り込み、家中の権力を掌握しようと暗躍している。使用人たちの不安、アーヴィング商会の差し押さえ圧力、そして消えた夫レイヴンの意図……。次々と押し寄せる困難の中、アスカはただの「飾りの夫人」として終わる人生を拒絶し、自ら未来を切り拓こうと動き始める。 政略結婚の檻の中で、彼女は周囲の陰謀に立ち向かい、少しずつ真実を掴んでいく。そして冷たく突き放していた夫レイヴンとの関係も、思わぬ形で変化していき――。 「私はもう誰の人形にもならない。自分の意志で、この家も未来も守り抜いてみせる!」 果たしてアスカは“白い結婚”という名の冷たい鎖を断ち切り、全てをざまあと思わせる大逆転を成し遂げられるのか?

処理中です...