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「ありがとう、助かったよ」
「こんなことでよければ、いつでも仰ってください。僕、先生のお願いだったらなんでも聞いちゃいます」

 もちろんえっちなことだって♡と言外に含みを持たせてそんなことを言えば、少しだけ困ったように眉を下げた先生が、視線を彷徨わせながら頬を染める。

「そんなこと、あまり簡単に言うんじゃないよ」

(ええ~~~っ♡ なにその反応~~~♡♡)

 あまりにも可愛い先生の反応に、僕の胸はきゅんきゅんと疼いてしまう。
 狭い密室。他に誰もいない、二人きりのこの状況で、大好きな先生のことを誘惑しない手はないでしょ♡

 僕は少し顎を引いて、上目遣いで先生を見つめる。

「……先生……。あの、少しだけ僕の悩みを聞いてくれますか?」
「悩み? 勿論だ。こちらに座りなさい」

 うるうると縋るような視線を向ければ、真剣な顔をした先生がソファを指し示す。当の先生はくるりと僕に背を向けて、室内に備え付けられている流しの方へ歩いていった。
 恐らく僕に紅茶でも淹れてくれようとしているんだろう。その姿を見て僕はそういう生真面目で、優しい先生のことが大好きなんだよなぁって改めて実感した。

 クレイグ先生が後ろを向いているうちに、僕はジャケットを脱ぎ、シャツのボタンを順番に外していく。するりと白いシャツが肩から滑り落ち、シミ一つない肌とピンクの乳首が顕になったところで、先生を呼んだ。

「先生」
「ん? って、ぐ、グレンジャー⁈ 君はなにを……っ」

 振り向いて上半身裸の僕を視界に入れた瞬間、ガチャッと音を立てて茶器を落とした先生は、面白いくらいに動揺していた。顔を真っ赤にして視線を泳がし、それでも我慢できないようにチラチラとこちらを見ては、口元を手で覆い隠した。

「先生、僕の乳首のこと……どう思いますか?」
「ええっ⁈」

 僕はおもむろに左手を胸に添えて、女性のような膨らみはないが柔らかなそこを、むにっと持ち上げるようにして見せる。
 素っ頓狂な声を出した先生は、ようやくこちらをしっかりと見てくれて、もにもにと優しく揉み込む動きを繰り返す僕の手を、胸を、その先端のピンクの尖りを凝視する。

「いつもみんな、僕が着替えようとするとそっぽを向くんです……こっちを見ないように。僕の身体って、何か変なんでしょうか?」
「あ……あーーー、それは、その。うーーん……」

 哀しそうな声色で僕がそう呟けば、困ったように首の後ろをかきながら、僕の顔と乳首を交互に見比べ、頬を赤らめている。

「色ですか? 形? 自分で見ても、どこがおかしいのか分からなくて……」

 とうとう俯いてしまった僕に、慌てて駆け寄ってきた先生は、慰めるかのように頭を大きな手で優しく撫でてくれた。

「へ、変じゃ、ないよ」
「ほんと?」

 そう言ってくれた声は隠しようもない程に上擦っていたが、僕はことさら嬉しそうな笑顔を浮かべて先生を見上げた。間近で僕の極上の笑顔を浴びた先生は、うっ…と言葉を詰まらせて目を逸らしてしまう。

「っああ、本当だ」
「でも……クレイグ先生もちゃんと見てはくれないんですね……」
「そっ、それはっ……!」
「そうやって目を逸らして。本当は変だって思っているのを、嘘ついているんじゃ……」

 ここだけの話、僕の特技は嘘泣きである。
 毎回使っていては効果が薄れるので、ここぞという時にしか使わないように心掛けているが、僕がこれを使ったら父も母も大抵の事は許してくれる。唯一この技が効かないのは、僕の本性を正しく理解している姉くらいだろうか。

 もちろんクレイグ先生も両親と同様で、僕の大きな瞳の中で盛り上がっていく涙に気付くと、あわあわと必死になって言い訳をし始める。

「いや、そういうわけじゃなくてだな……」
「嘘じゃないなら、触ってみてください」
「えっ、さ、さわ……っ⁈ ……っ!」

 僕は間髪入れずに先生の手を掴み、自らの胸元に無理やり引き寄せる。

「、ぁんっ♡ ね、先生……どうですか……?」
「っ……」

 先生の硬い指先が、僕の小さな乳首を掠め、思わず甘い声が溢れてしまう。その声を聞いて先生は更に顔を赤く染め、身体をガチガチに硬直させた。




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