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しおりを挟む――― そうして現在。僕は王道学園の舞台となる高等学校へと進学していた。
入学してすぐに僕の美少年っぷりは学園中の噂になり、数多の人から秋波を送られている。どうせなら全員つまみ食いでもしたいところだったが、残念ながら僕の食指はイケメンにしか動かないのだ。
それこそ入学する前から、姉と二人で協議に協議を重ね、僕の相手となる人物はピックアップ済み。なかなかイイ関係を作るのに苦労した手強い相手もいたものの、現在四人の男達と順調に関係を構築中である。
(とはいえ、あと一歩がなかなか進まないんだよね……)
早くあのイケメン達に、僕のお尻の穴がぽっかり空いちゃうくらい、おっきいちんちんを嵌めっぱなしにして、奥の奥までたっぷり中出ししてほしいなぁ……♡なんて。
秋晴れが清々しい朝に考えるに相応しくない妄想を脳内で繰り広げながら、僕は校門を通り校舎に向かって歩いていた。
ありがたいことに、どんなにいやらしく、すけべな妄想していても、僕が考えている内容は誰にも分からないのだ。まるで天使のような姿をした僕が、その内容はともかく何か物憂げな表情をしている様子は、想像を絶するくらいな色気を醸し出していたようで。家に帰った後、いつも別々に通学している姉から「何人ものモブ男がユーリの姿を見ては、顔を真っ赤にして前屈みになっていた」と教えられた。
そんな周りの状況に気付くこともなく、ピンク色の妄想で頭をいっぱいにして歩いていると、背後から一人の生徒が近づいて来た。それにすら気付かない僕は、突然小さくぷりんとした魅惑のお尻を撫でられ、ぐっと鷲掴みにされたまま乱暴に揉みしだかれてしまう。
「あぁん……っ♡」
リアル王道学園※十八禁を目指すと決めたその時から、自分の身体を丹念に開発し続けたおかげで、僕の身体はどこに出しても恥ずかしくないマシュマロボディ、かつ、超敏感すけべ仕様なモノになっていた。
そんな珠玉の肢体を、知らない男……もしくはただのモブ男に揉まれるようなことがあれば、同じく幼少期から叩き込まれた、痴漢撃退用の全力回し蹴りを喰らわせていた所だ。しかし衆人環視の中、僕に臆面もなくこんなことをするような相手は、この学園にたった一人しかいなかった。
「もう、ドミニク!」
「ははっ! 相変わらず掴みやすくて、やらしい尻だな。ユーリの尻は」
可愛らしく頬を膨らませながら振り返れば、そこにいたのはやはり思っていた人物だ。からりと笑ったその顔は眩しいほどにイケメンだった。
(あー♡ やっぱりドミニクって格好いい♡)
我が家と同じくらい有名な貴族の長男であるドミニクは、小さい頃から様々な社交場でよく会っていて、ほぼ幼なじみと言ってもいいだろう。
ませた子供だったドミニクに初めて会った時、女の子だと勘違いされてプロポーズされたのはいい思い出である。ドミニクはその頃から整った顔立ちをしていて、成長したら絶対イケメンになるよなっていう素晴らしい逸材だった。
ドミニクの家柄だったら絶対に僕と同じ学校に通うはず。そう確信していた僕は、その時から大きくなったドミニクのちんちんを、必ず自分の後孔で銜えるのだと心の中で誓ったものだ。
まぁそれから、初恋の相手だった僕が男と知って、相当なショックを受けてしまったドミニクが女の子に走り、散々な浮名を流して遊びまくるようになってしまったのは想定外だったけど。こうして無事に同じ学校に通って、同じクラスになれたんだもん。女の子よりも僕の方がいいって、絶対分からせてあげるから大丈夫だよ♡
しかし、こうして頻繁に僕の身体を触ってくるってことは、絶対脈ありだと思うんだけどな……。周りに人がいる状態で冗談めかして触られる事はあっても、何故か二人きりの時だけは決して手を出してこないのだ。そろそろ本気で落としにかかろうか?
そう思い立った僕は、さっそく軽めのジャブを入れてみることにした。
「こんな、たくさん人がいるところで……恥ずかしいよ……っ」
「ん~? ってことは、なんだ? 他に人がいなかったらいいのか?」
僕が恥ずかしそうに目を伏せながら文句を言えば、ドミニクが思った通りの返答をしてくれる。くくく、と楽しそうに笑うドミニクを、瞬きを我慢することで潤ませた瞳でじっと見つめる。
「……うん♡ ドミニクにだったら、僕、何されてもいいよ……?」
完璧に計算された角度で首を傾げながら、上目遣いでそう言った僕を、ドミニクは一瞬ぽかんとした顔で見返して、次の瞬間面白いくらいに赤面する。
「っ、ま、また今度な……! わりぃ俺、ちょっと用思い出したから、先に教室行くわ!」
パッと顔を背けたドミニクはそう言った後、慌てた様子で校舎へと走り出してしまった。
ちっ、不発か……。
星の数ほどの女の子と噂されているドミニクなので、恐らく童貞ということはないはずなのだが、それにしては初心な反応をしてくれるなぁ。えっちが上手いと評判らしいので、楽しみにしているんだけど。
残念ではあるが、手応えを感じられる態度ではあったので、僕は引き続きドミニク攻略を頑張ろうと気持ちを切り替えることにした。
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