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6話

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「結構分かりやすかったと思いますけど、次は一人で来れそうですか?」
「大丈夫だと思う。浩平くん、本当にありがとう」
「いえ……俺が、心配なんで」

 俺は今、念願の浩平宅を訪れていた。
 実際にはストーカーの元彼などいないので、多少良心は痛むのだが、その分はじめてのセックスでも、天国を見させてあげるから許してほしい。……さて。

「お茶でいいですか?」
「うん。あ、あのね、厚かましいかもしれないんだけど……シャワー借りてもいいかな?」
「えっ」

 キッチンに立つ背にそう投げかけると、がちゃんっとグラスがぶつかる音がして、目を丸くした浩平が振り返る。

「シャワー、ですか」
「ちょっと昼間歩き回ってたから、軽く汗を流したくって。ダメかな?」
「いやっ、大丈夫っす……!」
「ありがと♡ 出来たら適当に着替えも、Tシャツとか借して欲しい」
「っ、準備してきます!」

 ばたばたと寝室と思わしき部屋の方に走った浩平は、Tシャツとハーフパンツを持って戻ってきた。俺はそれを借りて、なにも知らないような笑顔でお礼を伝える。

「何から何までありがとう♡ 下着は後でコンビニで買ってくるよ」
「は、はい……」

 なにを想像したのか、顔を真っ赤にする浩平を見ていると、顔が緩むのが止められない。

(かーわい♡ さて、お風呂で後ろ、解してこようっと♡)

「じゃあ、ちょっと借りるよ。バスルームあっちだよね」
「い、行ってらっしゃい」

 そう言って俺を見送る浩平に、手を振って笑顔を投げかけると、バスルームに繋がる扉を開いてその中へと滑り込んだ。











「……っよし!」

 ここまではとても順調だ。ささっとシャワーを浴びで、後孔の準備をしたら最後の作戦を決行するぞ。

 俺は着ていた服を全て脱ぎ捨て、念のため鍵をかけた浴室でシャワーを全開にすると、流れ出る水音で室内を満たす。これで多少声が漏れたとしても、向こうの部屋にいる浩平に聞こえる事はないだろう。
 ボディソープを手のひらにたっぷりと出して、その滑りを借りて自分の臀部に指を這わせる。中指の腹が触れた瞬間、期待に震える孔がキュンっと窄まるのが分かった。

(しばらくアナニーもしてなかったし……準備でイき過ぎないように気を付けなくちゃ♡)

「んっ……♡」

 誘うように収歛する後孔に、ゆっくりと自分の指を含ませる。普段は固く閉じている蕾の中は、淫らに粘膜がうねり更に奥へと導いた。まだ見ぬ浩平の陰茎を夢想しながら、それを存分に身の内へと咥え込むことが出来るように、積極的に指を増やしていく。

「……っ、あ、あ、あ♡ ふぅ、ン♡」

 ――― ぐちゅ、ぷちゅ……ぐちゅん……


(あー♡ はやくっ、はやく、ちんこ♡ 欲しいよぅ♡)


 久しぶりに食べられそうな大きな御馳走(ちんこ)。それが楽しみで仕方がなくて、指の動きが止まらない。後ろから身体中に広がる快感で、すでに俺のペニスは射精しそうな程に勃ち上がっていた。充分に柔らかくなっていると思えるが、小刻みに動かしている指が前立腺に触れる。なるべく無駄打ちはしたく無かったが、ここまで勃起してしまったのなら仕方がない。一先ず欲望を吐き出してしまおうと、指先に力を込めたその時。


「……美鳥さん?」

「ひゃぁっ、い♡」


 びくびくびくっと全身が痙攣し、俺は甲高い声を出してしまった。
 急に近くから聞こえた浩平の声。まさか、浴室の外にいるのか?

「いきなり声かけてすみません。バスタオル用意してなかったと思って……」
「っあ♡ うん、……っ♡」

 孔をほぐすのを口実に、アナニーに没頭していた俺は、突如身近に感じた他人の気配で盛大に興奮してしまった。

(あー……イっちゃった♡ お尻の刺激で、出ちゃったぁ♡♡♡)

 ふー、ふー、と荒い息を吐いて、快感をやり過ごす。気を抜いたら大きな声が出てしまいそうだ。

「タオル、ここ置いておきますんで。好きに使ってくださいね」
「はぁっ、ありが、とう……っ♡ もうすぐ、出るから……」
「はい。……待ってますね」

 少し離れたところでドアの閉まる音がした。浩平が出て行ったことを確認して、これ以上自分の身体を刺激をしないように、指をゆっくり引き抜くと、俺は止めていた息を吐き出す。

(お尻は、もう平気。少し落ち着いたら戻ろう……)

 息はまだ乱れたまま。これから訪れるだろう、めくるめく時間に想いを馳せて、俺はシャワーの温度を少しだけ下げるのだった。


 ・
 ・
 ・

「わー……、服のサイズ、こんなに違うんだ」

 借りたTシャツとハーフパンツを身につけて、鏡に映る自分の姿を確認する。
 俺と浩平は身長も違えば、身体の厚さも含め、一回りほど体格が違う。ただのロゴTシャツが肩の位置も合わず、丈が非常に短いワンピースのようになっていた。ハーフパンツもウエストのサイズが違いすぎて、手を離せばすぐにずり落ちてしまう。これを履いても、いつの間にか半ケツになっていること間違いなしだ。

(まぁそうなるだろうなって思って、服借りたんだけどね~♡)

 あまり意味をなさないハーフパンツは脱いでしまって、Tシャツとパンツのみで脱衣所から出ていく。

「浩平くん、シャワーありがとう~」
「いえ……って、なんで下履いてないんすか……!」

 戻ってきた俺を目にした直後、その格好を視認すると一気に赤面して、あからさまなほど顔を背けられた。

「あ、ごめんね。サイズが合わなくて歩くたび脱げちゃうから」
「だからって履かないで出てくるとか……」
「だって、俺たち男同士だよ? 良くある事だし、いいかと思って」
「良くある……? 美鳥さん、男が恋愛対象なんですよね?」
「え。そ、そうだけど」

 いや、こっちは下心100%ですけどね。君を誘惑するためだよ♡なんて言ったら今までの苦労が水の泡。だから何でもない事なんだよ~っていうのをアピールしようと思ってそう言ったんだけど。




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