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練習以外は初めてです!*
しおりを挟む「いや~内野さんお疲れ様! はじめはどうなることかと思ったけど、無事終わってよかったよ~」
「あはは……ご心配おかけしてすみませんでした」
「永瀬さんの収録がまだ残っているから打ち上げは後日になるけど、どう? 今晩空いてたら先にお疲れ様会しちゃう? 奢るよ~!」
「あ、えぇっと……」
歩夢がこれはどう返事をするべきかと考えあぐねていると、いつの間にかそばに来ていた小田原が横から助け舟を出す。
「申し訳ありません、監督。内野ですが実はこの後、もう一つ寄らないといけないところがありまして……次回の打ち上げにていろいろとお話させていただけますと有難いです」
「あ~そっかそっか、突然だったし気にしないでください! それじゃあ次回の打ち上げは奮発しますね!」
そう言って豪快に笑っている監督に、周りのスタッフが「いや経費でしょうが……」と突っ込みを入れているのを、小田原がニコニコと眺めている。そんな横顔を見ながら歩夢は小さな声で問いかけた。
「……ねぇ」
「なんだ」
「この後って、まだ仕事あったんだっけ?」
たしか今日のスケジュールはこれで終わりだったはずなのに、何か急な仕事が入ったのだろうか。不思議そうな顔をして歩夢が小田原を見上げると、歩夢にしか見えない角度で小田原がにやりと笑う。
「あるだろ? 大事な用事が」
「大事な用事……?」
それを聞いてさらによく分からなくなる。分からないのだが、小田原のにやにや顔を見る限り重要な仕事というわけではなさそうだ。
「俺の家に来ること。晴れて両想いになったんだからな。……覚悟しろよ?」
低くひそめた声を耳に直接吹き込まれ、歩夢はびくりと身体を震わせる。
吐息すら感じる距離から勢いよく飛び退くと、真っ赤になった耳を隠しながら声もなく小田原を睨みつける歩夢だったが、小田原はというとそんな事は気にした様子もなく、まるで鼻歌でも歌いそうな上機嫌さで帰り支度を始めるのだった。
◇◇◇
「ん……っ、あ! 小田原さん……っ」
「ちゅ、ん……あんだよ……?」
玄関に入るなり噛みつくようなキスをされて、腰をきつく引き寄せられた歩夢は小田原の太腿にペニスを擦りつけるような体制になってしまう。固い筋肉に刺激され、口腔をくまなく愛撫されると、快楽に弱い歩夢の身体はすぐに反応を示してしまう。
既にゆるく膨らみを見せている歩夢の様子に気付いているのか、小田原が唇を離すことなく歩夢をリビングへ連れて行こうとする。
「んぁっ、ま、まって……靴、脱いでない……っ」
慌てたように歩夢がそう言えば、こちらはいつの間に脱いでいたのか既に室内に足を踏み入れた小田原が眉を顰める。
「たく、仕方ねぇな……」
「わっ!?」
小さくぼやくように呟くと、小田原はまるで我慢が利かないかのように歩夢の身体を抱え上げ、ぽいぽいと靴を投げ捨てながら寝室へと直行する。
少しだけキスを止めてくれればいいだけだったのに、まさかそんなことをされるとは思っていなかった歩夢は目を白黒させながら文句を言った。
「えっ、え、ちょっと自分で脱げるんだけど!」
「いいから、好きなようにさせろ。散々我慢させやがって」
(が、我慢なんてしてたか……!?)
どうにも聞き捨てならない台詞だが、そうこうしている間に歩夢の靴は見事に廊下へと散らばり、あっという間に寝室のベッドに押し倒されていた。
「あっ……はっ、はぅ、ん……っ♡」
覆いかぶさるように再び口づけを繰り返す小田原は、今までの練習とは比べ物にならない激しさで歩夢の身体を貪った。執拗に繰り返される深く呼吸すら奪うような口づけに翻弄される。互いに服を脱ぐこともなく続けられる行為だが、既に歩夢だけではなく小田原のペニスも服の上からでもわかるくらいに勃起していた。
「んっ、んン……っ!」
ゴリゴリと固くなった陰茎を擦りつけられ、歩夢が逃げるように身体を捩る。それを小田原が許すはずもなく、両手をひとまとめに頭の上で押さえつけると、ぐうっと体重をかけるように歩夢の身体に乗り上げる。
「ん、ふ……ん、んん……っ♡」
空いた片手で器用にシャツの中に手を入れると、こちらもまた立ち上がって存在を主張していた小さな突起に指を伸ばした。
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