声優(おしごと)の時間です! 〜意地悪マネージャーと秘密のレッスン?!〜

つむぎみか

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こんなの本当は嫌なんです!

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 強いて言うなら童貞であることに間違いはないのだが、処女というのは違うだろう。いくら女顔の自分でも、入れる穴など無いのだから。

「何言ってんの。男だって出来るでしょ」
「えっ……」
「あれ、あれれれれ~?」

 まさか、という顔で目をまん丸にしている歩夢はどうやら本気で意味を理解していないらしい。それを確信した永瀬はにんまりと人の悪い笑みを浮かべて、歩夢との距離を詰めていく。

「もしかしてワンチャンある? 歩夢ちゃん、まだしてない? ここにちんこ突っ込むの」
「あ、あの……っ」

 先輩に対して強く出られない歩夢を尻目に、永瀬は壁際まで追い詰める。歩夢の背中へと腕を回して、遠慮のかけらも見せずに尻を揉んだ。昨晩の名残を色濃く残した身体は、それだけでもびくりと大きく跳ねてしまい、一層永瀬の悪戯を加速させる。

「やっ、やめてください……っ!」
「男の子はね、ここにちんこ入れて気持ちよくなれるんだよ♡」
「ひぁっ?!」

 無理やり広げられた尻の狭間。デニムの上からでも分かるくらい強い力で、永瀬の指の腹が歩夢の後孔を刺激した。

 そんなところに入れる?
 あの大きくて、固くて、熱いものを?

 そう思った瞬間、散々自分を翻弄し乱れさせた小田原のペニスと、昨晩の熱い眼差しをはっきりと思い出してしまう。きゅうっ、と腹の奥が熱くなった気がして、自分の身体の変化に歩夢は怯えるように声を震わせた。

「やだっ、離して……!」
「なぁんだ、まだ未開通のままか~。やっぱ俺ってツイてるわ」

 柔らかな尻肉をやわやわと揉みしだきながら、永瀬はことさら甘い声を出し耳元で囁く。

「ね。まだならさ、俺とセックスしよ? 歩夢ちゃん、可愛いからサービスしちゃう。めちゃくちゃ気持ちよくイかせてあげるよ♡」
「いやぁっ、ん……っ」
「あは♡ そんな可愛くてえっちな声出しちゃって、最高だね」

 いつの間にか両脚の狭間に割り入れられた太腿で、歩夢のペニスが容赦なく擦り上げられた。どんどん淫靡な熱を増していく永瀬の瞳を見て、流石にまずいと思った歩夢は声をあげようと口を開く。

「だっ、誰か……!」
「こらこら。大きい声出しちゃ駄目だって」

 永瀬は即座に歩夢の口を塞ぎ、助けを呼ぼうとする声を封印した。

「まぁ大きい声出して困るのは、俺じゃなくて歩夢ちゃんなんだけど」

 くすりと笑いながら語る永瀬の言っている意味が分からない。歩夢の目がそう訴えるのに気付いたのか、永瀬は「だって」と話しはじめた。

「俺はもう、スタッフの間ではチャラいイメージ付いてるし、別に誰に見られてもいいけどさ。歩夢ちゃんは違うでしょ?」
「……っ」
「仕事の合間にえっちなことしてるような子だって思われちゃうけど、いいのかなぁ?」

 そんな事あるはずない。そう思うのに、もし本当に勘違いされたら? という不安が一度でも過ってしまうと、塞がれていた口が解放されても、歩夢の口から叫び声が出ることはなかった。

「ね、ちょっとくらい遊んだって大丈夫だよ。一緒に気持ち良くなるだけだからさ♡ 俺上手いって評判だし、安心して」

 優しい声色とは裏腹に、永瀬の押さえる力は弱まることがない。強く抱きこまれて逃げることができなかった。歩夢は声を出すこともできずに、ただきつく目を瞑って祈った。

(誰か、助けて……っ)

「……何してるんですか」

 聞きなれた低音に、歩夢の目がはっと開かれる。控室の入口に視線をやれば、眉間に皺を寄せた小田原が腕を組んで立っていた。
 恐怖に固まっていた身体はその姿を見た瞬間、少しだけ力を抜くことができた。しかし彼の名前を呼びたくても、歩夢はいまだに言葉を失ったままだ。

「あー、どうも? いやぁ、ちょっと共演者として親睦深めようかなって」
「……そうなんですか? 内野さん」

 へらり、と愛想笑いを浮かべた永瀬に、小田原は更に表情を険しくさせると、ただ自分を見つめたまま何も言葉を発さない歩夢に視線と移す。
 違う。すぐにでもそう言いたかった。しかし、歩夢の脳裏には先ほどの永瀬の言葉がぐるぐると回っていて、大した抵抗もしていない姿を見られた今、小田原が自分を信じてくれるのか自信が持てなかった。

「…………」

 泣きそうな顔をしているくせに、何も言わない歩夢の姿に小田原は小さく溜息を吐く。



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