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こんな時まで意地悪です!*
しおりを挟む繰り返される優しい愛撫に、歩夢が逃げるように後ずされば、小田原がまた一歩距離を詰める。それを何度も繰り返すうちに、いつの間にか歩夢はベッドサイドまで追い込まれていた。
伸し掛かるように体重をかけてきた男に抗うことが出来ず、そのままふかふかのベッドに腰をおろす。自分を見下ろす男は、口元に笑みを浮かべたまま、冷たい印象を与える眼鏡を静かに外していた。
「……は、ぁ……眼鏡、外すんだ……?」
これもマナーなのか、それとも自分のことをはっきり認知したくないから、なんて理由ではないだろうか。なんとなく不安になった気持ちはそのままぽつりと零れていた。
「ん? ああ、これ伊達なんだよ。自慢じゃないが視力は両目ともに二.〇だ」
「えっ、じゃあなんで眼鏡なんてしてるの?」
「あー、虫除け? 素でいると、めんどくせぇのが寄ってくるんだよな眼鏡かけてると、ある程度勝手に振り落とされてくれる」
職場で恋愛のいざこざとか嫌だろ? と言って笑う小田原は、確かに眼鏡をかけていた時に比べ、整った顔を覆うものがなくなったからか印象が変わった。なにより幾分か雰囲気が柔らかくなり、話しかけやすそうでもある。
しかし、そんな擬態をしなければいけないほどモテるということなのか、と考えたら歩夢の胸にうっすらと靄がかかるように気がした。そもそも、付けていたとしても事務所や現場の女性スタッフが浮き足立っているではないかと、そんなことを思い出して口をへの字に曲げる。
(って、なんで? 小田原さんがモテるのとか、どうでもいいじゃん……)
今の状況を忘れた歩夢が一人で自問自答をしていると、その油断していた下腹部に再び甘い刺激が走る。
「ひぁ……!」
「拗ねんなって。いいから集中しろ」
「ぁっ、ま、……っ、…………!」
再び始まった愛撫に、この期に及んでなんとか逃れようと自分に背を向けだした歩夢に、大げさな溜息を吐いた小田原が色気のかけらもない様子で尻を叩く。
「いたいっ!」
「おい、何のための練習だ。逃げてんじゃねぇよ」
「っ、だって、俺ばっか気持ちよくなって……恥ずかし、から……っ」
歩夢は真っ赤になっている顔を隠すように、そばにあった枕を手繰り寄せ、抱きこんでは顔を埋めてしまう。その仕草が、台詞が、小田原にどんな影響を及ぼすかもわかっていないままに。
「あっ……!」
突然、衣服越しの臀部に押し付けられた固いモノ。びくりと身体を跳ねさせた歩夢は、後ろを振り返らずともそれが、小田原のペニスであることを正しく理解していた。
柔らかな肉を抉るように押し付けられた力強く猛ったそれの感触に、一層頬を火照らせて身を固くする。
「っ、ん……、ふぅ……っ!」
「歩夢」
「ひゃ、っ……」
小田原は背後から伸し掛かる体制をとり、わざと歩夢の耳元で吐息を吹きかけるように囁く。
いつも以上に艶のあるその声に、背筋をゾクゾクと痺れさせた歩夢は、下着の中でどぷっと大量の先走りを溢れさせた。
「わかるだろ? 俺も一緒だ。お前のヤラシい姿を見て、興奮してんだって」
「……っ♡」
な? と言いながらぐりぐりと押し付けられているペニスは、確かに驚くほどに固い。だからこそ余計に、あまりに冷静な雰囲気を保ったままの小田原とのギャップに歩夢は混乱しているのかもしれない。
「だから恥ずかしいなんて言ってないで、声、もっと聞かせろ」
「あう……っ!」
「そうそう、そのまま……」
「んっ、ん、ん~~~っ♡」
突き出すように持ち上げられた下腹部に、ぐっぐっ、と揺すりながら律動されると、既にぐずぐずに濡れている歩夢の下着からは、ぬちゅ、くちゅ……と耳を覆いたくなるようないやらしい水音が響く。自分のモノよりも一回り以上大きく感じるそれが、きゅっと引き締められた太ももの隙間に押し入ってくる。
自分の荒い呼吸、衣擦れの音、小田原の体温に、かすかに感じる青臭い匂い。あらゆる五感を刺激してくる卑猥な行為に、歩夢のペニスは次々と先走りを漏らしては下着の中に染みを広げていく。
(やば、もう……!)
「おだっ、わら、さ……っ♡ も、とまって……っ」
さすがに一人で暴発するわけにはいかないと、歩夢は恥を忍んで小田原に限界を訴える。しかし自分を振り返った歩夢の潤んだ視線と赤く染まった頬を見て、より一層口角を上げた小田原は腰の動きを早めるばかり。
「……っ、ん……」
「やっ、なんでっ♡ っあ、あ、あ……だめっ」
「……はぁ、……は……っ」
「ばか、ばかっ! とまって、止ま、って……て、ばぁ……♡」
「……ふ、ぅ……っ、…………」
「ん、あっ……、あっ! っ、やあぁあぁっ♡」
逃げようと藻掻く身体を押さえつけられながら、一際強くペニスを擦り上げられた瞬間。とうとう歩夢は服を脱ぐことなく吐精した。
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