乙ゲーヒロインの隣人って、普通はお助けキャラなんじゃないの?

つむぎみか

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7月

リベンジマッチ ※一人で

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 何にも集中できないまま時間が過ぎて、自習室の利用時間が終わった。夕方の五時なんてまだまだ明るくて、高校生にとってはこれからが本番だと言っても過言ではないだろう。
 それでも俺たちは、互いの予定を確認して次回の約束を取り付けたら、そのままあっさり解散した。清々しいまでの笑顔を見せて去っていく仁紫を引き留める理由なんて、何もありはしないのだ。心なしか重い足取りで帰路につき、自分の部屋のベッドに腰をかけるその瞬間まで、俺の頭は「?」でいっぱいになっていた。

 こんなことってあるんだ……? なんて考えてしまう俺は、相当この世界(と腐女神)に毒されている。

 何もなくてよかったじゃないか。
 これ以上不純同性交友を広げたくはない。

 尻の平和が守られてよかったと、そう思うべきなのに……なんていうか……その……

(む、むらむらするーー!!!!)

 前に一度だけ風呂場で挑戦してからも、俺はなんとなくだけどいわゆる自己処理オナニーするのを忌避していた。それは、そんなことをする暇もないくらい、攻略対象の男たちにちょっかいを出されているから……というのも理由の一つだが、やっぱりどうしても今の身体が自分のものだと思い切れていないというか。一人でしようと思っても「乙成くんの見ちゃいけない部分を見ている俺」と頭のどこかで認識してしまって、何ともいえない罪悪感に苛まれるのだ。

 しかしこれは、もはや無視できない。図書館を出るまでにちんこの昂りは落ち着きを取り戻しているが、それでも収まらないムラムラは、なんでもいいから一発出させろと叫んでいる。

(夕飯までは……まだ時間もあるし……)

 ちらりと時計を見てから、意を決して下半身の服を脱いだ。近くにティッシュを引き寄せて、さっそく期待に頭を持ち上げ始めたちんこに手を伸ばす。

「んっ……♡」

 体毛の薄い乙成くん。薄っすらと申し訳程度に生えたアンダーは、どういうわけかいやらしさを際立たせている。こんな感触だったっけと首を捻ってしまうくらい、つるんとした乙成くんのそれは、なんというか不思議な感じがする。

(これは……みんなが触りたくなるのも、ちょっと分かるかも……)

 ふにふに。むにむにむに。
 妙に手になじむ感覚で、ずっと弄り回していたくなるような……そんな魅力がある気がする。今まで俺を襲ってきた男たちは、この魔力に抗うことが出来なかったのだろうか、と変なところで納得してしまった。
 だからといって、許したわけじゃないけどな???

「ふ、ン……ぁ……っ♡ はぁ……♡」

 ――くち、くちゅ……

 控えめに動いていた右手も、快感を拾ってしまえばどんどん大胆になっていく。ぐちゅぐちゅと溢れる先走りでいやらしい音を立てながら、自分の口から零れる甲高い喘ぎ声にさらに興奮していった。

「あっ、う、ん……♡ ふっ……♡」

 気持ちいい。

 でも……
 何か足りない……――

 何か、なんて言わなくてもわかる。だってそこ・・が欲しい、欲しい、と疼いているから。だから俺は本能に従って足りないものを埋めようと、ちんこを擦る右手はそのままに左手を後ろへと回した。

「……っん♡ ん……!」

 わずかに力を込めて、ひくひくと蠢く後孔に指先を突き立てる。自分の指が身体のナカに入っていく違和感にぞわりと腰を震わせて、しかしそれ以上の快楽の予感に熱い吐息を漏らした。

「はぁ、ん♡ あ、あ……っ♡」


「優くん!!!」
「っひゃあぁぁっ!?」



 突如開け放たれた扉とそこから飛び込んできたミユ。いつの間にか大きく開いていた足を、バチンッと音がするくらいの勢いで閉じて、俺は素っ頓狂な叫び声を上げた。

「ミミミミミユ……!!!!????」
「あらぁ……♡」

 ドアノブを握り締めながら、一瞬ぽかんと口を開けていたミユだったが、俺のさらけ出された下半身に視線を走らせると、瞬時に何をしていたのか悟ったのだろう。にんまりと相好を崩して口元に手のひらを当て、そのまま静かに扉を元に戻した。
 パタンと小さな音を立てて閉じた扉の向こうから、ミユの弾んだ声が聞こえる。

「お邪魔してしまったようで申し訳ありません~どうぞ続けてくださいな♡」
「つ、続けないよ!! も~~~っ」

 ティッシュを引っ掴み、おざなりに股間を拭うとパンツを履いた。

「続けていただいても大丈夫ですのにぃ~……」
「お願いだから忘れて! 何も見なかったことにして、触れないで……っ」

 デリケートな話題だからっ。ほんとに!!!
 またしてもイき損ねてしまったわけだけど、こんな状況で続けるわけにもいかず。最低限の身だしなみを整えるとミユを部屋に招き入れた。

 もの言いたげなミユの視線が痛いけれど、全力で気付かないふりをして話題を挿げ替える。

「それで……ノックもなしに飛び込んでくるなんて、どうしたの? 何かあった?」
「あぁっ、そうでした!」

 ぱんっ! と手を叩くと、ミユは喜色満面な表情を見せる。

「あまりにえっちな優くんの姿に忘れていましたが、これから大事なイベントがあるんですぅ! 急がないと逃しちゃう~」
「へ? イベント?」
「優くん、一緒に来てくださぁいっ」
「ちょ、ま……待って……!」

 手首を掴まれ、ぐいぐいと引っ張られるせいで足がもつれそうになる。

 ミユさん!!! ちゃんとついて行くから!!!
 お願いだから、一回手を洗わせてください……っ!!!!!



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