乙ゲーヒロインの隣人って、普通はお助けキャラなんじゃないの?

つむぎみか

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7月

絶対流されないからな?!(フラグ)

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 少し舌を絡ませたくらいじゃカウントは進まない。だから俺は仕方なく……本当に仕方なく、仁紫が満足するようなキスを繰り返す。三回目、四回目、と数える声を聞きながら、熱をもって訴えてくる下半身を解放したい衝動を必死に堪えて。

(……これで……最後……っ!)

「よく頑張ったね。六回終わったよ」
「んっ♡ う、ん……♡」

 乱れた呼吸を整えながら、擦りつけ合っていた舌をゆっくりと離していく。
 涙で滲んだ世界はぼやけているし、酸欠なのか頭はぐらぐら揺れていた。

 これでようやく終わった、と思うのと同時に、これだけで終わるはずがないって頭のどこかで分かってる。

「大丈夫? 落ちないように気を付けて」
「っ、あ……っ♡」

 ぐっと引き寄せられた腰。デニムの厚い生地越しに硬い感触が俺のモノに押し付けられ、大袈裟なほどビクンッと身体が跳ねた。

「ああ、ごめんね。姫のキスがどんどん上手くなるから、興奮しちゃったみたい」

 ああ、やっぱり……
 そうなりますよね????

 このまま嫌がる身体を押さえつけられて、声は出しちゃ駄目だよなんて宥められながら、無理やりちんこ突っ込まれちゃうんだ。それで散々喘がされて、「姫はちょっと頭弱いけど、お尻は優秀だね♡」とか言われちゃうんだろ。知ってるんだぞ、俺は……!

「に、仁紫くん。なんか……怖い、よ…………」

 含みのあるような笑顔が恐ろしいのは本当。でも「やめて」なんて言って逃げようとしたら、もっと力づくで抑えられちゃうだろうから。
 こっちにはその気はねぇんだぞ~余計なことすんなよ~~って意味を込めて、ここは何も気付いてないフリをして牽制する。
 っつーか仁紫のやつ、あんなガチガチのちんこして涼しい顔しすぎでは??? なんなの、修行僧かなにかなの???

「怖い? ……ふふ。そっか」

 少しかさついた仁紫の指先が、ふに、と唇を撫でた。
 それだけのことにドキドキなんてしていない。さっさと仁紫の膝から降りないのは、さっきまでのキスで腰が抜けちゃってるからで、本当は今すぐにこの部屋を走って飛び出したいんだ。でも、もしこんな格好で誰かに出くわしたら困るし、見知らぬ女性に変態だって思われても嫌だし……っ!
 とりあえずこの勃起ちんこをなんとかしないとだから、そこまでなら付き合ってやってもいいかなぁなんて……――

「それじゃあ……――」
「……っ」

 尻に触れたら殴って逃げる!
 尻に触れたら殴って逃げる!
 尻に触れたら…………っ!!

 絶対流されないぞ、と心の中で強く決意して、俺はぎゅっと目を瞑った。


「課題の続きしようか」

「…………へ??」


 あっけらかんとした様子で告げられた内容に、俺は思わず瞬きを繰り返した。

 …………え……?
 待って。もしかして、本当にキスだけでおしまい???

 ぽか、と口を開けて呆けた俺に、首を傾げた仁紫が問うてくる。

「あれ、もう今日は終わりにする? もう少し時間残ってるけど……」
「えっ。あ、いや、ううん……違うの!」

 ブンブンブンと音がするほど大きく、頭と両手を左右に振って、俺はよたよたとした足どりで仁紫の膝から降りる。
 お互い元気になってるちんこはどうすんの? とか、さっきの意味深な笑みはなんなわけ? とか。気になることはいろいろあるけど、それを聞いたらなんだか俺の方が欲しがってるみたいになっちゃうじゃんっ!!!

「か、課題だよね……! なんでもないっ、始めよっ」

 あーーーーよかったなぁ!!!
 ペナルティにキスなんて提案してくるから、てっきり仁紫も俺の尻を狙ってるんだって思い込んでたけど、そういうわけじゃなかったんだなぁ!!!

 それなのに俺ってば変な妄想までして……うん。よく考えたら仁紫はほんとにキス以外のことはしてきてないんだよな。さっき勃起ちんこが擦れたのだって、俺が落ちないよう支えてくれたからっぽいし???
 キスしながら乳首いじったり、尻揉んだり、服脱がしてきたりしてないもんな!!!

 こう考えると今まで俺の周りにいた男どもは、下半身獣なやつばかりだなと思いながらも、さすがインテリ眼鏡は理性が備わっているようだ。

「うん。じゃあ次は古文片付けちゃおうね。テキスト開いて」
「う、うん! よーし、頑張るぞ~~っ!」

 じんじんと解放を訴えてくるちんこが落ち着くにはもう少し時間がかかりそうだけど、余裕の笑みを浮かべて参考書を捲っている仁紫に倣い、俺は煩悩を打ち消すべく難敵・古文の課題に立ち向かうのだった。



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