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7月
こんなはずじゃなかったんです ※黒瀬
しおりを挟むはぁはぁと二人ぶんの荒い息がきこえる。
徐々にそれらが落ち着いてきて、こわばっていた身体からようやく力が抜けてきた。
ふぅ……と一つ、大きなため息を付いて気付く。
え、俺……今何してた……?
これが賢者タイムというものなのか。急に正気に戻った俺は、自分のしでかしていたことに顔を青くする。なにより俺に抱き付いたまま無言の黒瀬が恐ろしくて仕方がない。
「……え、えっと……黒、瀬くん」
気まずすぎて顔を見ることは出来ないけど、とりあえずお互い、この汚れた身体を何とかしようや。
さりげな~く距離を取ろうと、自分に巻き付いた黒瀬の腕を引き剥がしにかかる。
――……が。
「ひぇ!?」
「……次は、俺の番な。死ぬほど気持ちよくしてやるよ」
ガシッと腕を掴まれて、次の瞬間にはベッドにひっくり返された。引き上げられた尻にどこから取り出したのか、ボトルのローションをぶちまけられる。
これ……これはやばい。絶対ヤバい……!!
「ぼ、僕も、さっきイったけど……!?」
「は? こんなん一回で終われるわけねーだろ」
「僕はもう満足してるから……っ」
「自業自得」
「やぁっ♡ なんでぇ……っ♡」
濡れた指がずぷっと微かな抵抗に逆らって挿入された。始めはゆっくりした動きだったそれが、ふと、何かを探るようにぐるんと旋回する。
「ふぁあんっ♡」
「……柔らけ……」
ぼそりと呟かれたその言葉にギクリとする。
「前にヤったの、結構前だと思ったけど?」
うん、そうだよな。黒瀬とはテスト勉強の時以来だから、大体ひと月は経っていると思う。バイトの度にキスされたり、尻揉まれたり、酷い時にはシャツの中に手突っ込まれて散々乳首を弄られたりはしていたけど、尻に指を突っ込まれるのは久々だ。黒瀬からは、な。
「なぁ、乙成。お前……もしかして」
「ぜんぶっ、黒瀬くんが悪いんだよ……っ」
気付けば定期的に四人の男のちんこを咥えこむようになった俺の尻穴は、既にそこで快感を拾う方法を覚えてしまっている。前からその片鱗はあったけど、最近じゃオナニーしている時にも後ろがむずむずするようになってしまって……めちゃくちゃ困っているんだ。
赤塚はそれがこの世界の常識だとは言っていたけど、どうしても固定観念を捨てきることが出来なくて、この前は指を突っ込むだけで精一杯だった。
怖くて動かせなかったけど、自分の意志で指を入れている罪悪感になんだか無性に興奮してしまったのは内緒である。
「僕、こんな……知らなかったのにっ! へ、変になっちゃったんだから……っ」
思い出したら無性に恥ずかしくなって、近くにあった枕に顔を埋めた俺は、黒瀬に対する文句が止まらない。
女神のギフトの影響もあるのか、どんなに使ってもゆるゆるになるってことはないみたいだけど……そもそもすべての発端となった黒瀬がこんなことを始めなければ、俺の身体はまっさらなままでいられたんだ。
俺のそんな恨み節に対する黒瀬の返事は……――
――ずちゅんっ!!!!
「ああぅ!?」
断りもないまま、一息にガチガチのちんこ突っ込まれる。ゴツッと音がしそうな勢いで最奥を抉られて、悲鳴に近い声が飛び出した。
っていうか、さっき出したばっかのくせに、なんでもうそんなになってんだよ!?
そこで少しでも痛みを感じられたら良かったのかもしれないけど、突然始まった抽送にもなんなく順応してしまう己の身体の変化に、俺が一番目を白黒させるしかない。
「やっ、あ、あんっ♡ なん、なんで……っ」
今の話の流れでなんで、いきなりちんこ突っ込まれることになるの???
まじで意味が分からないんだが。
「あぅっ、く、くろせく……っ!」
「……ほんっっと、お前は……っ、いい加減にしろよ……!?」
「ひんっ♡ ぼくのっ、せいじゃ……っ♡」
いやいやいや!?
いい加減にって、それ完全にこっちの台詞ですけどね!?!?
なんで俺が悪いみたいになってんの???
容赦なくズコバコしやがって!!!
それされるとマジでわけ分かんなくなるんだから、やめろってば! 止まれ!!!
「あっあ、あ、だめ……おく、だめ……っ」
「なんでだよ? きもちーだろ」
「やだっ、だめ、だめなの……!」
もうそれ以上は入りませんってところまでちんこでいっぱいになっているというのに、ぐいぐい腰を押し付けてくる。少しずつだけど奥が開いてきている気がするんだけど、俺の思い違いだよな? 思い違いであってくれ!! もうこれ以上新しい扉を開きたくないんだ……!!!
「そこ……こわい、おかしいからぁ♡ もうしないで……っ♡」
「おかしいってどんな風に?」
「あぁうっ♡」
必死になって頭を振る。逃げるように身を捩ると、余計に強く腰を打ち付けられた。
どんな風にだと? そんな難しいこと聞かないでくれ。今までの人生で体験したことのないことをされているんだ。自分でもなにがなんだか良く分かっていないのに、言葉で表現するには語彙力が足りな過ぎる上、そもそも今は冷静に考えられるような頭じゃないんだよ。
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