乙ゲーヒロインの隣人って、普通はお助けキャラなんじゃないの?

つむぎみか

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7月

美味しいものと、気持ちいいこと? ※黒瀬

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 ようやく動き始めた黒瀬が、美味いもんを持ってきてくれる……そう信じていたのだけれど、どういうわけか手ぶらでベッドに乗り上げてきたと思ったら、そのまま近付いてくるではないか。

 おい、ちょっと? せめて机においたケーキは持って来いってば。

「くろせくん、いじわるしてるでしょ」

 とうとうムッとした表情を隠せない俺に反して、黒瀬はなんだか楽しそうである。そう言及したら笑ってるし、こいつ……やっぱりわざとだな???

「意地悪なんてしてねぇって。ほらいっぱい気持ちいいのしてやるから、機嫌直せよ」
「え、……ん! んっ、ちゅ、ちゅく……っ♡」

 迷うことなく寄せられたイケメン顔に対して、いやいや、そっちじゃなくて! と制止する前に、唇で口を塞がれた。驚きに固まった身体を抱き寄せられて、それ以上身動きが取れなくなってしまう。いや、ほんと、なんで!?!?

 行動の脈絡が意味不明すぎる!!! 
 さも当たり前のように服を脱がすな!!!
 パンツ一枚になるためにボタンを外してたんじゃねぇんだよーーーー!!!!!

 悲しいことに俺の叫びは全て喘ぎ声に変換され、その間も黒瀬の舌が口の中を我が物顔で動き周る。俺の口なのに。飲み込みきれない唾液が口の端から溢れ、酸欠なのかまた頭がくらくらしてくる。

「ぁんっ♡ ん……っ、んん♡」

 いつもよりも力の入らない身体ではぐいぐいと押し迫ってくる黒瀬を支えきれなくて、そのままベッドへと倒れ込んだ。苦しいくらい濃厚なキスと、素肌の上を這いまわる黒瀬の手がもたらす「気持ちいい」のせいで、さらに全身から力が抜けていく。

 あーーーもう、なんだこれ? 全然てーこーできないんだけど……。

「……口の中あっま。お前、どんだけ食ったんだよ」
「ん、ふぅ……っ♡ まら、ふたつらけ、らもん……」
「は? 二つで舌回んねぇの? 危ねぇなぁ……」

 あぶないってなにがぁ?
 おれのろれつがあやしーのは、お前がちゅーちゅー吸ってくるせいらっ。

「んちゅっ、はぁっ♡」
「もっと舌、出して」
「っ、んぅ♡ ん……っ」

 くろせにいわれるままにのばした舌をからめとられる。なんでおれ、言うこときいちゃってるんだろう……。

 ほんとうは、おとことキスなんてしたくないのに。
 にげなくちゃだめなのに。

 でも、だけど。くろせのキスって……すごく……気持ちがいいんだ。

「っ、ぁ……!」
「なんだ? もっとしたかったのか?」

 息つぎといっしょにくちびるをはなされると、おもわずひなん・・・するみたいな声がでてしまう。それに笑ったくろせが口のはしをあげて、じょーだんっぽく聞いてくる。

 したくない! おとことキスなんてまっぴらごめんだ。

 ……だけど、俺はけんこうなこーこーせーだんしなわけで。きもちいいことがすきなのはふつーだよな? けいけんちのひくいおれが、イケメンのこなれた技にむちゅーになってしまうのも、とうぜんっていうか……うん。しょーがない、しょーがない。

 ということで、おれはこくんと一つうなずいて、つづきをねだる。おら。さっさとキスしろ。しろってば。

 おとなしく目をつむって、キスのつづきをまってみる。
 ……なのに、いくらまってもはじまるけはいのないそれに、そのまま首をかしげる。

「……?」

 ようやく唇がくっついたとおもったら、ちゅっとおとを立ててついばんだだけで、すぐに離れていった。

「くろせくん?」

 え、それだけ???
 そんなせめる色をのせたこえで、といかけながら見上げるおれに、くろせはふっと吐息でわらった。

「……約束だもんな。キスよりもっと、気持ちいいことしようぜ」
「ひぁんっ♡」

 もっときもちいいこと……? しょうじきなところ、めちゃくちゃしたい。
 イジとか、ガイブンとか、そんなのぜーーんぶ忘れて、ほんのうのままにうごいちゃえよって、あたまの中のアクマがささやいてくる。




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