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7月
あまいのみーつけた♡
しおりを挟む「ほらなっ?! やばいだろっ、早くなんとかしてくれよっ!!!」
「……理解した。ほら乙成、上行くぞ」
「やだぁっ。くろせくんもいじわるするの? ひどい~~っ、はなしてよぉっ!」
うえに? なんで??
そんなことよりはやく他のケーキがたべたいのに、箱をかつさんに返したくろせは、そのままおれのてくびをつかむと、ぐいぐいと引っぱってそのまま裏にいこうとする。
ちょ、ちょっとまって! そんなあわてないでよっ、なんだかフラフラぐらぐらして、足がうまく動かないんだから……っ!
「乙成、知らないのか? 上にはもっと美味いもんがあるんだぞ」
「んぇ? もっと……?」
えっ、なにそれ。そんな話きいてないんだけど???
「そ、そう! 実は上にも~~っとすごいやつが置いてあるよ!?」
「でも……ぼく、かつさんがもってるのも食べたい……」
「あーはいはい。じゃあ、その残りもあとで取りに来てやるから。ほら行くぞ」
「っあ……!」
そういうやいなや、くろせはおれのことを抱きあげた。あまりにかるがると持ちあげるものだから、おれのプライドはいたく傷ついたのだけど、なんだかそれすらおもしろくなってきた気がする。
「ふふふっ。なんで抱っこするの? くろせくんてば、へんなの~~」
「ふらふらしてんだろ。いいからジッとしてろ」
あれ。こうしてかおを近づけると、くろせの口からあまーーい匂いがするなぁ。さっきくろせもあのケーキを食べてたからかな? すっごくおいしそう。もしかして、くちびるを舐めたらあまかったりするのかな?
ーーぺろっ
「……っ!」
「あはっ。くろせくん、あまいねぇ♡」
「お、ま……!」
やっぱり思ったとおりだ。くろせのくちびるからは、さっきのケーキのおいしい味がして、おれはむちゅうになってあじわった。ちゅうちゅう吸っているとだんだんあじがしなくなってきてしまったけど、こんどはなんだかムラムラしてきた。
なんでかなぁってかんがえると、きっとくろせが動いてくれないからなんだとおもう。だっていつもなら、おれがいやがってもむりやり舌をいれてくるのに、きょうはされるがまま……というか、固まったようにうごかない。なんで?
べつにぜんぜん、してほしいわけじゃないんだけど。
くろせのせいでかいはつされちゃってるのに、うごかないくろせがムカつくとか、せきにんとってきもちよくしろよとか、思っているわけじゃないけど。
「ね、くろせくん。今日はしないの? いつもいっぱいするのに……ッんむ!」
ほんのちょっとのふまんと、残りはじゅんすいなぎもんで、そうしつもんしたおれのくちびるに、こんどはくろせが噛みついてきた。
「んっ♡ ふ、っ……ぅ、ンっ♡ ん……♡♡」
あーーーーきもちいーーーー……。
くろせの口のなかは、くちびるよりも、ずっとずっとあまかった。もっとたくさん味わいたくて、くろせが舌をからめるたびに、ねだるようにじぶんのものをのばす。
それをくりかえしてまんぞくしてくると、次はさっき食べそこねたのこりのケーキのことを思いだした。
「っ、はぁ……くそ……っ」
「んぅ……♡ くろせくん、僕、もっと……」
もっとケーキが食べたいなぁ。だってキスだけじゃおなかいっぱいにならないじゃん。
くろせのはなれた時をみはからって、おれがそうお願いしようとすると、くろせの手がおれのくちをふさいだ。「わかったから、黙ってろ」ってすごいな、エスパーだったりする?
こえがだせないのでコクコクと頷いていしひょうじをすると、どういうわけか、くろせはハァァ……とおおきな息をはいて、かつさんに視線をなげた。
「……しばらく帰ってこなくてもいいか?」
「あーーーていうか、今日はもう終わりでいいよ……。じゃないとコレ収拾つかない……」
「わりぃな」
おれの頭をかかえんだくろせとかつさんは、ぼそぼそとちいさな声ではなしているので、なんていっているかわからない。もしかして、ぜんぶたべてもいいかって、きょかをとってるのかな。
かつさんはもとよりぜんぶ食べていいって言ってたんだから、わざわざかくにんすることなんてないのに。りちぎなやつ。
「……ねーえ、くろせくん。まだぁ……?」
「あーーーもう、いいからお前は黙ってろって。上に行ったら……」
はやく食べにいこうよと、せなかを叩いてさいそくするおれの耳元で「いつもみたいに、いっぱい気持ちいいことしてやるから」とささやいた。
ちょっっっと!?!?
いきなりえろい声だすのやめてよね?!
ふほんいながら、なんかぞくぞくしちゃったじゃないかっ!! っていうか、気持ちいいことってなに? おれはおいしいケーキが食べたいだけなんだけど???
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