乙ゲーヒロインの隣人って、普通はお助けキャラなんじゃないの?

つむぎみか

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7月

腐女神と俺と夏休み

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 ミユの部屋に連れ込まれたのち、ここ数日(特に今日)のことを洗いざらい白状させられる。

「なるほど~。そんなことになっていたんですねぇ……♡」

 ほうっとため息を吐いたミユは恍惚としたような、なんとも色っぽい表情をして微笑んだ。めちゃくちゃ幸せそうなその表情は、見惚れるくらいにすっっごく可愛いんだけど、それが俺の不幸の上に成り立つ幸せだと思うと、心から喜ぶことは出来なかった。

「女神のギフトの効果で、一晩寝たら肉体的な不調は治るんじゃなかったっけ? 今朝起きた時からずっと身体がだる重いんだよね……」
「そうですねぇ。う~ん、確かにギフト効果があるにも関わらず、肉体が弱っているみたいですぅ……」

 ミユは俺の身体に手をかざしながら、何かを確かめるように視線を巡らせる。

「そもそも優くんは基本的な体力値が低いので……というよりも、そこまで必要じゃないと思ってたというかぁ」

 まぁ、普通お助けキャラに体力は不要だよな。情報さえあればいいんだから。

「そうなんですよぉ。とはいえ、一般的な基礎体力はあるはずなのと、補填に女神のギフトを付与したわけなのですが……まさかそれでも補えきれないくらい、優くんが頑張ってセックスに励んでくださるとは思わなかったです~♡」
「えっ!?!?」
「うふふ♡ つまるところ優くんが、想定以上にえっち大好きなビッチに成長したって事ですね♡♡」

 がーーーん……!!!!
 え、えっち大好きなビッチ……だと!?!?

 いや、気持ちいいことは好きだし、以前の俺はオナニーマスターの称号を授与されてもおかしくないくらいの頻度で勤しんではいたので、潜在能力的には? その気質はあったのかもしれないけど!! 俺は今世で一度も自分から誘ったことはないぞ!?!?
 毎回全力で抵抗をしているし、なんならそんな雰囲気にすらなっていないはずなのに、なんでか突然相手の男どもがヤる気になって、襲い掛かってくるんだよっ。本当に毎回突然過ぎて反応が遅れてしまうのも仕方ないって話だろう……。

「うふふ、それでいいんですよぉ。花丸あげたいくらいです~♡ まさか優くんが連日……いえ、一日に何人もの攻略対象と関係を持つようになるなんて♡ 本当にすばらしいですねぇ」

 アイちゃんとサキちゃんにもすぐに報告しなくちゃ~♡ と、ルンルンしているミユさん。
 あの~……俺の名誉に関わる情報を安易に広めるの、やめてくれませんかね……???

「そうだ、ギフトの回復効果を強くしておきますねぇ♡ これで一定時間さえ間を空けてもらえれば、一日何回しても大丈夫ですよ~」

 あっ、そう。一日に何回も大丈夫……へぇ~~~???
 体力無尽蔵の絶倫オプションなんて、女の子するアレやコレであればこちらから土下座してでもお願いしたいくらいなんだけど、今の俺に言い寄ってきてる相手ってみんな男だよね?? そんな奴らのためにバフかけなくていいですからっ。
 むしろ早々に気を失ってでも現実逃避をしたいくらいなんですけどっ。

「ちなみに精液だけは無尽蔵だと趣がないので、初期設定のままにしておきますぅ♡ 射精しないことを不思議に思われた時は……上手く誤魔化しておいてくださいね~♡♡」

 ……趣とは…………?????


 ◇◇◇


 そんなこんなでやって来た夏休み。

 学校に行かなければイベントもそうそう起こることはないだろう。安心して静かな休日を満喫出来る……! そう思っていた矢先、課題に必要な資料をロッカーに忘れていたことに気付く。休みの日に学校に行かなければいけないなんて、億劫以外の何物でもないが、課題を無視すれば夏休み明けに待っているのはペナルティの地獄である。それだけは避けたい。
 今の幸福と未来の地獄を天秤にかけて、重い腰を上げた俺は仕方なしにいつもより人の少ないだろう学校へと向かうのだった。

 校門を抜けたあたりで、グラウンドの方が騒がしいことに気付く。それは普段だったら気付かないかもしれないほどの喧騒だったが、人がいないからこそ大きく響いていた。わー! きゃー! と聞こえる複数人の叫び声に、一体何事かと野次馬根性で様子を窺いに行くと、見知った男が呆然と立ち尽くしているのを見付けた。

「青島くん!」
「っ、お、乙成……?! どうしてここに……」
「これ……何があったの?」



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