乙ゲーヒロインの隣人って、普通はお助けキャラなんじゃないの?

つむぎみか

文字の大きさ
上 下
137 / 162
7月

悪夢のような一日。できない共感 ※緑川

しおりを挟む


 この世の終わりにも思えた地獄の中で、静かに俺の耳元に唇を寄せた先輩が、歌うように囁いた。それはもう、心底楽しそうに。

「それね、男性の精液で中和できるんです」
「っえ……」

 精液……中和……? ナニソレ???

「まぁ、効果を得るには体内に注ぐ必要があるんですけど。分かりやすい薬でしょう?」
「そ、そんなぁっ……♡ あっ、あ!」

 うんうん、分かりやすい☆
 エロゲで良くあるやつねーー????

 ちなみに分かったとしても、それを受け入れられるかは別問題。誰が好んで男の精液を注がれたいと思うのか。いつもの俺だったら、そう言ってはっきりと断ることが出来たはず。
 ……それなのに、なんということでしょう。今の俺は、そうされる・・・・・のが嬉しくて仕方ない。想像しただけで疼きを強くする後孔に指を入れたままの先輩は、きっとあさましくも蠕動を続けるそこの願いを正しく理解してしまっているのだろう。口の端を引き上げて、俺の乱れた髪を優しく整えるとそのまま滑るように頬を撫でた。その珍しくも壊れモノを扱うような仕草にすら、ぞくぞくと背筋が震えてしまう。

「ひぁっ♡」
「上からでも、下からでもいいですよ。どちらにします?」
「ぅ、うえ……?」

 それってもしや、と目を丸くする俺に、先輩は意外そうに驚いてみせる。

「おや、まだしたことないですか? この可愛いお口で私のものを咥えるんです」

 するわけないでしょうが!!!
 さっきも言ったけど、これまでのあれやこれやだって、俺が好きでやったことじゃないからね!? むしろ嫌々、全力で拒否してるのに、ふざけた神様の思し召しなのか、気付いたらケツにちんこ突っ込まれてるだけだからね!?!? 誰が好き好んで他の奴のちんこなんて咥えるかよっっ!!!! 断固拒否します!!!!

「むっ、無理です……! やぁっ♡ だめぇ……っ♡」
「じゃあ下から? 私はどちらでも結構ですので、乙成さんの好きな方を教えてください」
「あっ、あ、あ♡ あンっ♡ ん……っ♡」

 ふにふにと唇を弄ぶ先輩の手から逃れつつ、フェラなんて絶対無理! と意思表示をしてみせる。しかし、上から……という選択肢が消えた、ということはだよ。それってもう俺の選ぶ道はただ一つってことだろ? すでにやってしまっていることならば、それが何回になったって傷は浅い。はず。

(でも……!)

 そうは思っても、自分からねだるなんてそんなこと出来ないよーー!
 だって本当は嫌だもん! いくらイケメンでも男とセックスなんてしたくないもん!(泣)

「ふふ。おねだりの仕方がわからないですか? こう言えば良いんですよ」

 再び先輩の顔が近付いてきて、ぽそぽそと吹き込まれたとんでもない台詞に、俺は一気に頬が熱くなる。

「そっ、んなの! 言えないです……っ」
「そうですか……では残念ながら、このまま薬の効果が切れるまで我慢するしかないですね。私は構いませんが」
「やぁああ……っ♡」

 ちんこを人質にとるとは卑怯な……!
 きゅうっと絶妙な力加減で先輩の手のひらに包まれる。完全な勃起をしていないのに、とぷっと僅かな先走りがゴムの中に零れた。それと同時に俺の後孔を自由に擽る指は、ついに三本目が挿入された。一気に増えた圧迫感に、自然と背中が反ってしまう。ぶるぶると震える身体で衝撃に耐えている俺を見て、先輩はびっくりするぐらい綺麗な笑みを浮かべる。

「薬のせいですよ」
「っ、え……?」

 穏やかな声色で告げられた言葉の意味が、身体の中に燻る熱を発散させることに必死な俺には上手く理解ができなかった。

「乙成さんがえっちな気分になってるのも、自分で腰を振ってしまうのも、お尻が切なくて物足りないのも、全部薬のせいなんです」

 そうだ。元はと言えば先輩が、俺に変な薬を飲ませるから……。
 こうして思考が散漫になるのも、頭の中がもやもやピンクに染まるのも、全部全部、先輩が悪い。

「ぼ、僕……っ、本当に……――」
「大丈夫、私しか聞いてませんから。二人の秘密です」
「……ひ、みつ…………」
「そう、私と貴方だけの。ね? だから……」



しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

パパの雄っぱいが大好き過ぎて23歳息子は未だに乳離れできません!父だけに!

ミクリ21
BL
乳と父をかけてます。

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

弟の可愛さに気づくまで

Sara
BL
弟に夜這いされて戸惑いながらも何だかんだ受け入れていくお兄ちゃん❤︎が描きたくて…

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

処理中です...