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7月
悪夢のような一日。おれって鈍感? ※緑川
しおりを挟むあっという間に裸に剥かれる。こういう状況にもなんだか慣れてきた……って、慣れたくなんか無いんだけどね?!
「っあぅ♡ いや……っ!」
「お尻もこんなに柔らかくして。神聖な学び舎で、いったい何をしているんでしょうねぇ……?」
そんなこと言うならその手を止めてくれませんかね、先輩。
緑川先輩の指にはどこから取り出したのか、とろりとしたローションが滴る。浅黄との余韻をいまだに残したままの俺の身体は、そんな先輩の指を難なく体内に招き入れる。
なんなの、イケメンはローション常備するルールがあるわけ? なんでどいつもこいつも、気付いたら準備万端になってるんだよ!!!
「んっ♡ あっ……!」
「この前といい、見た目に反して乙成さんは随分と爛れた生活を送っているようだ」
「あ、あのっ、先輩……っ」
クスクスと笑いながらとんでもないことを言い出す先輩に、これは訂正しなければ……っと慌てて口を挟む。
「僕、好きでそういうことをしているわけじゃなくて……」
なんていうか、不可抗力で既に二……三人の男と致してしまった俺だけど、それは断じて俺が望んでそうなったわけでは無い。爛れた生活、といえばそうなのかもしれないけど! っていうか女の子相手だったら超ウェルカムな状況なんですけど! イケメンとはいえ、男から襲われている今のこの状況は、全然、まったく、すこっっっっしも、望んでなんかいないんですよ?
だからやめてくれませんかね、と言外に訴える俺に、先輩は一瞬キョトンとした顔を見せた後、見る人が見たら「優しそうな人♡」と騙されてしまいそうな柔らかい笑みを浮かべた。
「そうなんですか?」
「ひぁっ♡」
「嫌々だというのに、こんなに可愛らしい反応をしてしまうなんて。その方がよろしくないような気がしますけど」
「あぅ……っ、や、やだ……っ♡」
あーーーーっ!!! もう、もうっ!!!!
もしかして分かってくれた? なんて、ほんの少し期待しちゃった自分を殴ってやりたい……!
ぐりゅっ、といわゆる前立腺というやつを指先で押されると、もう打ち止め! とばかりに出し切ったはずの俺のちんこがピクンと反応を示す。
(うわーーーん! 僕のバカバカ! なんで反応しちゃうのーーっ!!)
今この瞬間だけ、不感症になれたらどんなに幸せか。慣れたくもなかった身の内から広がる快感の灯火に、素直な反応を示してしまう貪欲な自分の身体が恨めしい。
「っあぁん♡ やだっ……!」
「うーん、もうすでにいっぱい出した後なのかな。少ししか勃たないですね」
「やぁ……♡ 離して、ください……っ!」
勃ち具合を確かめるようににゅこにゅこと手を動かされると、直接的な刺激にびくん、と腰が跳ねた。ほんともう、出ないんですって。全身しつこいくらいに弄りまわされて、俺の体力も精液タンクも空っぽなんですって。
「でも大丈夫。きっと乙成さんなら、もっともっと気持ちよくなれますよ♡」
「なっ、なりません……!」
何を根拠に!? むしろ乙成くんの体力のなさを考えたら、今こうして反応していることすら不思議なくらいなのに。大きな声で否定をすると、先輩は顎に手をあてて小首を傾げる。
え、何その反応……。
「あれ? おかしいですね……そろそろ効いてくる頃合いだと思ったのですが」
「えっ……?」
「実は、乙成さんが寝ている間に、ちょっとした薬を使わせてもらったんです」
な、何ーーーーー!? 薬だと!?!?
ちょっとちょっと、この鬼畜先輩、なんてことしてくれちゃってんですか!?!?
「薬って……いったい、何を……」
あ、もしかして。俺の体調を心配して栄養剤的なものを飲ませてくれた、とか……?
「身体に害はないので安心してください。ちょーーっと素直になるだけの可愛い媚薬、ですから」
ですよねーーーーー(泣)
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