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7月
悪夢のような一日。たまには反感! ※緑川
しおりを挟むいつ誰が来るか分からない保健室だけど、緑川先輩だったら何をしでかすか分からない。とにかく全力で阻止しなければ……!
「や、やめてください……っ、先生が……!」
「ああ、山本先生なら今はいませんよ。私と入れ違いで職員室に向かわれました。しばらく帰ってこないと言っていましたから、安心してください」
全然安心できないんですけど!?
むしろ不安が倍増したんですけど!?!?
この人笑顔でえげつないことしてくるから、本っっ当に信用ならん! ほらっ、こうしている間にも既に上半身は丸裸だし、どんな早業披露してくれちゃってるんですかね!?
「う~ん、おかしな痕は……無いようですが」
「お、おかしな痕って……そんなの、あるわけ……」
「そうですか? でもここは、とても美味しそうなことになっていますね?」
「あっ、や……!」
くすくすと笑い声をあげながら、ぴんと指先で弾かれたのは……胸元の小さな乳首。いや、小さな、と称するには少しばかり存在感が出すぎてしまっているような気もする。事あるごとに弄られまくっている俺の乳首は、このところ平常時でもシャツに擦れてむずむずするようになってしまったし、浅黄の阿呆による蛮行のせいで今は特に熱を持っているような状態なのだ。
「せ、先輩……っ、ほんとに、だめ……!」
「先生に用があって保健室に寄ったのですが……乙成さんはずいぶん爛れた学園生活を送っているようですね」
若干非難するようなニュアンスの含まれた台詞にぴくりと肩が揺れる。
なんだよ、その言い草は。俺だって好きでこんな生活しているわけじゃないですけど? むしろ全力で拒否しようと頑張ってるんですけど? 現在進行形でね!!!!
あーーーなんかイライラしてきたぞ。
先輩だからと思って大人しく……はしてないけど、多少遠慮してやっていたというのに。ふつふつと湧き上がる怒りの感情。それをエネルギーに腕をふるうと、いつもよりも強い力で押さえつけてくる先輩の手を振り払うことが出来た。
突然の強い反発に少しだけ目を丸くした先輩を見て、少しだけ胸をスッとさせた俺は、その勢いのまま先輩を睨みつけて声を上げる。
「やめてください……っ」
やべ。こんな風に怒るのなんて久しぶりだから、緊張してちょっと声が震えちゃったかも。
怒ったりするのもだけど、自分の思ってることを言葉にするのって苦手なんだよな。なんてったってこちとら半分引きこもりの陰キャオタクなんだからさ。実際は性格に難があったとしても、カーストのトップにいるような生徒会長さまと張り合うには、勇気が死ぬほどいるんですよ。
黙ったままの先輩は何を考えているのか分からない。このまま引き下がってくれたらいいんだけど。
「…………」
「せ、先輩……?」
「……ふふっ、ふふふ……」
「え?! あの……?」
何!? ナニナニ!?
突然笑いだしてめちゃくちゃ怖いんですけど!?!?
「本当に、貴方は私の心を絶妙に揺さぶってくれますねぇ」
「へ……?」
「仔猫に引っかかれても痛くはありませんが、反抗的な子には早いうちに躾けをしないと」
にっこりと微笑んでいる先輩は、キラキラとした光が舞って見えるほどのそれを俺に向けていた。
……でも、俺は知ってる。この笑顔が偽りだということを。
恐怖のあまり動けなくなっている俺を再び掴んだ先輩は、狡賢い猫のように眼を細めた先輩は、すっと俺の耳元に唇を寄せて囁く。
「大丈夫、痛いことはしませんから。今日は……ね」
あぁよかった。それなら大丈夫だ……――
って、全然大丈夫じゃありませんよね?????
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