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7月
この世界の常識? ※赤塚
しおりを挟む軽々とベッドに押し倒された俺は、尻だけ高く上げる形で身動きが取れなくなる。こ、この姿勢って、赤塚にケツの穴が丸見えってことなのでは?!
「あっ、赤塚くん……っこれ、恥ずかし……っ♡」
「頑張りましょう先輩。ちゃんと準備しないと怪我しちゃいますから」
「せ、せめて明かりを……」
「ダメです。暗いと俺もよく見えないんで」
よく見てほしくないんだってば!!!
そう訴えても一切言うこと聞いてくれない後輩は、ちゃっかり用意してあったローションを塗りたくり、俺の尻に指を挿入した。
「ふぁ、ん……っ♡♡」
ずぷっ、と一気に根元まで差し込まれる指。おまっ、もっとゆっくり挿れろよな?! 悲しいことに俺の尻はもうそれくらい慣れたもんだけど、女の子はそうじゃないかもしれないだろっ!
そう言ってやりたくても、それってつまり「俺のお尻はバッチリ開発済みです♡」と告白するのと同義なわけで。うん。そんなこと言えないよね。発散することのできない怒りに、俺がワナワナと震えていると、赤塚がぽそりと呟く。
「……前から思ってたんですけど、先輩のお尻、なんていうか柔らかいんですよね」
――ぎくり。
え、えぇ~~~? なんのことかなぁ???
「もちろん入り口は狭いんですけど……こういうもんなんですかね」
「あ、ぅ……っん♡」
ゆっくり指を出し入れされてしまうと、俺の口からは明らかに嬌声にしか聞こえないものが溢れ出す。
も、もしかしてばれた!? 俺が黒瀬や浅黄とセックスしたことがあるって……!
「…………先輩……?」
何も言わない俺を叱責するように、赤塚はぐりっと後孔の弱点を抉ってくる。
「ひぅっ♡ ごっ、ごめんなさい……っ♡」
複数の男と寝ている淫乱でごめんなさい! で、でも俺だって本当はそんなことしたくないんだよっ。……っていうか、赤塚はなんで一発で俺の弱点見つけ出してるわけ?! そこってそんなに分かりやすいところなの?! めっちゃ困る!!!
「あー……なるほど……」
「あっ♡ ひ、んっ、ん……っン……♡」
「先輩ったら……なぁんにも知らないって可愛い顔して、ほんっと、えっちなんだから……」
「ふっ♡ うっ、ぁ、ごめ……っ♡」
ぐち、ぐちゅんっ、と尻の孔を指で犯されて、遠慮のかけらもなく弱いところばかりを責め立てられれば、俺はあっという間に精液を漏らしてしまう。
あーもう、いっつもこうだ。こうなるともう、何がなんだか分からなくなってしまう……。
「オナニーの時に乳首だけじゃなくて、お尻も弄っちゃってたんでしょ? それなのに知らないふりなんてしちゃって……」
「っ、……え………――?」
も、もしかして……バレてない?
とんでもない勘違いをされているけど、バレてないよね? これ。
実は複数人の男と寝てるケツ孔がばがば野郎だと知られるよりは、オナニー大好きマンだと思われた方がマシだろうか。本当はどっちも嫌だけど! 自分で言ってて泣きたくなるけど!!
「……は、はずかしくて……言えなくて……っ」
曖昧に濁したら誤魔化されてくれないかな? なんて希望を込めて、シーツに顔を伏せながらそう言えば、赤塚は驚くくらいあっけらかんと衝撃の事実を告げた。
「全然恥ずかしいことじゃないですよ? みんなやってます」
「えっ、そうなの!?」
思わず伏せていた顔を起こして、凄い勢いで振り返ってしまう。
まじかよ! 尻の孔でオナニーすんのって常識なの!? 腐女神が創ったこの世界の常識まじでどうなってんの。
いや、今思えば確かに黒瀬も浅黄も、躊躇なく俺のケツに指突っ込んできたけど。それってもしかして、そういう常識のなせる技だったのか? 普通、男友達の尻の孔に指突っ込もうなんて発想、生まれないもんな。
「……じゃあ、赤塚くんもしてるの……?」
「えっ、俺は……ほら、EDなんで」
「そ、そっか……」
しまった。酷いことを聞いてしまったかもしれない。サッと目を逸らした赤塚は、口元を手のひらで覆っている。うわーーん! ごめんっ、赤塚! 純粋に気になっただけで、傷つけるつもりはなかったんだよーー!!
「とにかく、先輩がお尻弄っちゃうのはぜーんぜん、おかしなことじゃないんですよ」
「……うん。ありがと……」
はぁ。後輩にフォローされるなんて、俺ってば先輩失格だな。
弄るのは俺じゃなくて他の男だけど、それでも赤塚がそれがおかしくないよって言ってくれたことで、俺の胸にあったわだかまりの様なものがスッと消えた気がした。
ありがとう、赤塚。いくらこの世界の常識とはいえ、俺には受け入れ難いことだけど。それでもお前の言葉に俺は救われたよ。 へへっ、と照れ笑いを浮かべる俺に、赤塚もニコリと笑みを返す。
「はい♡ それに、先輩がしっかり準備してくれてたんで、俺も本気出せそうです」
「え……――」
とん、と肩を押された俺は、再びベッドに転がる。
「先輩のおかげで元気になったコレで、いーーーっぱい、気持ちいいところ擦ってあげますね♡」
えーっと、赤塚くん?
そんなこと誰がお願いしましたかね……?
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