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7月
これってご褒美なんですか?
しおりを挟む「ああ、そっか……先輩は知らないんですね。男同士はここ使ってするらしいんです」
「ひわっ……!」
あっさりと潰えた希望の光。あ、そうですか。ご存じだったんですねぇ……(泣)
まるで抱きしめるような形で俺の身体を抱え込んだ赤塚は、俺の後ろへと回した腕を伸ばし、ピンポイントで後孔を押し込んでくる。
「そ、そこだめ、触らないで……っ」
いやっ、もう、なんでグリグリすんの!?
っていうか的確に場所抑えすぎですしっ、ほんと脳内ピンクの馬鹿野郎達のせいで、そこ弄られると足から力抜けちゃうから! お願いだからやめてください!!!
頭の中ではいくらでも制止の言葉が溢れるのに、そこで与えられる快楽が、どんなにすごいものか既に理解してしまっている俺の身体は、簡単に抵抗を忘れてしまう。震える指先は赤塚の服を掴むことしか出来ないし、変な声を出さないようにするのに精一杯で、説得することもままならない。
「あはっ♡ 驚かせてすみません。……実はこれまでの練習の時にも、ちょっとだけ指入れたことあるんですよ」
「えぇっ!?」
なにそれ、初耳なんですけど!? めちゃくちゃ良い笑顔してるけど、やってること最低だからね? 俺の身体になんてことしてくれてんだお前っ!まさか俺の尻穴がゆるゆるになってる原因の一端に、赤塚も関わっていただなんて。これまで恥を忍んで、お前のED解消の手伝いをしてきた俺に対して、何たる裏切りか。
「練習してると最後の方は訳わかんなくなってるみたいだし、こっそりお試しで。先輩気持ちよさそうにしてたし、いけるんじゃないかなって思って。その様子だと全然気付いてなかったみたいですけど」
「そっ、そういうのは内緒でやらないの……!」
「だって……正直のお願いしても、先輩、絶対無理って言いますよね?」
「そ、れは……そうだけど……」
いやいやいや当たり前じゃない? さすがに「お前の尻の孔に指突っ込んでもいい?」って聞かれてOKする人どこにいるわけ。いたら今すぐここに連れてきて欲しいわ。
「ねぇ先輩、本当に駄目ですか? 俺、やってみたいです……」
うううう、垂れた耳と尻尾が見えるぅぅぅ!?
やめてくれ、俺は赤塚のお願いに弱いんだ。俺が何とかしてあげなきゃっていう、謎の使命感・庇護欲が生まれてしまう……っ!
しかし童貞男子がセックスを夢見るのまでは分かるけど、赤塚は脱童貞が俺でいいのか? 俺は男で捨てるくらいなら、絶対女の子とするまで死守したいぞ……。
「……俺、このままだったら、一生セックスしないまま死んじゃうかも……」
ああ、もうっ! そんな泣きたくなるようなこと、言うんじゃねぇよーーー!!!
俺まで悲しくなってくるだろ!!!
仕方ない、俺も男だ。既に他の男に掘られた身なんだから、もったいぶる事もないよな。可愛い後輩がここまで思い悩んでるっていうなら、力を貸そうじゃないか。なるようになれだ!!!
「…………わ、わかったよ………………」
「いいんですか!?」
苦渋の決断の末、絞り出すような声でそう言った俺に、赤塚は満面の笑みを見せる。
あーもう、そんな嬉しそうな顔しちゃってさ。仕方ないなぁ。
「あ、あくまで練習だからね!? 僕たちがするのは練習!」
これだけははっきり言っておかないと。これからするのは練習という名の慈善事業です。断じてセックスではありません。
「そうですね、俺たちがするのは練習です。セックスじゃないですよね」
「っもう、その言葉禁止……っ」
ったく、童貞のくせに恥ずかしげもなくセックスセックス連呼するんじゃない! 変に意識しちゃうだろっ。そう嗜める俺を赤塚は感極まったようにぎゅうっと抱きしめた。く、苦しい。
「先輩、嬉しいです。練習頑張ったら、きっと出来るようになりますよね……?」
「っ、うん、きっと大丈夫だから。そんなに心配しないで?」
耳元で囁かれる声は、本当に嬉しそうで。どこか安心したようにも聞こえるそれに、胸がぎゅっと締め付けられる。赤塚のやつ、いつも平気そうな顔してたけど、本当はすごい不安だったんだよな。もう大丈夫だからな。
そっと慰めるように背中を撫でると、ふっと吐息を漏らすように笑ったのがわかる。このまま少しでも安心して、自信が付くと良いんだけどなぁ。
「ありがとうございます。俺、頑張りますから♡」
「う、うん……ガンバロウネ……」
頑張った結果、苦労するのが自分だと思うと、どうにも素直に喜び切れない俺なのであった。
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