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6月
怒らせちゃいました ※黒瀬
しおりを挟む「い、挿れ……っ!? だっ……抱きしめるだけじゃ……」
「この間キスだけしか出来なかったから、欲求不満なんだよ」
「そんなこと、僕に言われてもっ」
くそっ、こんなことならすぐに終わりを宣言して、離れておけばよかった……!
昨日も浅黄に押し倒されたのに、今日は黒瀬とだなんて、冗談じゃない。俺はなりふり構わず逃げようとじたばたするが、がっしりと両腕で抱き込まれているため、なかなか逃げ出すことが出来ない。
「ほどほどに解消させてくれないと、いつか爆発すんぞ」
なにそれ、怖いっ! そんな宣言しないでくれませんかっ!?
っていうか、解消するならどうぞご自由に。俺相手じゃなければ、むしろいくらでもしてもらって良いんだけどなっ。
「そんなの……っ、黒瀬くんのこと好きな子、いっぱいいるでしょ!? より取り見取りなんだろうから、女の子としてよぉ~~!」
思わずそんな言葉が口をついて出た。
すると、なんということでしょう。
黒瀬の纏う空気が一変したではありませんか。
「おっまえ……言うに事欠いて、そんなこと言うか……?」
まさに、ピンクから漆黒。ぎゅうぎゅうと、抱き締める力がちょっと苦しいなって思ってたんだけど、それでも多少の手加減はされていたんだなということを知る。
あ、あの、黒瀬さん? 背骨が折れそうなので、もう少し力を緩めてもらっても良いですかね……?
「まだ二回目だし、優しく抱こうと思ってたけど……止めだ。覚悟しろよ」
「ひぇ…………っ」
リアルにそんな悲鳴が出たの、初めてでは?
……ちなみに、「二回目じゃないです。三回目です」という訂正の言葉は、口が裂けても言える雰囲気ではありませんでした。
一体なにをされるのかと、ビビリにビビリまくった俺は、黒瀬から逃げるべく全力で暴れた。……が、まぁいつものごとく軽々と押さえ付けられまして。抵抗虚しく今日も今日とて、俺の唇はあっという間に奪われた。筋トレが急務である。
文句の一つでも言ってやろうと口を開けば、言葉を発する前に塞がれ、より深く交わることになってしまうだけだった。
しかし「覚悟しろ」なんて言っていたわりに、黒瀬はやっぱり優しくて……乱暴をするわけでもなく、ひたすらに口づけを繰り返してきた。
正直、黒瀬とのキスは嫌いじゃない。相手が男だという事実はいまだに受け入れ難いが、キスだけであれば、未来のための練習だと言い訳をすることも出来る、はずだ。そして何より、「なんかもう、なんでもいいやぁ」って思ってしまうくらいに気持ちがいいんだよな……。強いて言うならそのキスがやたらと長い……っていうかこれ、何十分やってんだ?!?!
「ぁっ♡ ん、んっ、ぅ……っ♡」
いつからか抵抗も忘れて、ふわふわとするような心地のいいキスを受け入れる。気付かぬうちに肌蹴られた洋服の隙間から、全身をくまなく弄まさぐられていた。それはキスよりも更に気持ちが良くて、俺はどんどん考える力を失っていく。
キスだけで力が抜ける俺が、直接的な刺激に耐えることなど出来るわけもない。ゆっくりとなにかを確かめるよう動かされる手で、俺はいとも容易く精液を吐き出した。
「んんんんっ♡♡」
一度達した後は、絶頂がおさまる間も無く続けられる愛撫に、落ち着いて呼吸をする暇さえ与えられない。
「んっ、ん、む……っ♡ んぅっ♡ ん……っ♡」
(もうっ、無理、むりっ……!)
酸素不足で死んでしまう! と、渾身の力で黒瀬の背中をばしばし叩くも、返事の代わりに強く舌を吸われて更に力が抜ける。
それを何度か繰り返すうちに、絡めて、擦れ、吸われ続けた舌は、じんじんと熱くなり、いつしか軽く歯を立てられただけでも、ビクビクッと総身を震わせて達してしまうようになっていた。
いやもう、ほんとどうなってんの?
俺の身体どんどん敏感になっていってない??
乙成くんが特別そういう体質なのか、はたまたイケメン攻略対象達の手技によるものなのか。
「…………」
「……っはぁ、っ♡ は……♡ ん……っ」
っていうかここまで黒瀬さん一言も発してないんですけど。やっぱ怒ってる?
「く、くろせくん……?」
はぁはぁと肩で息をしながら、呂律の回らない舌で恐る恐ると問いかける。それでもこちらを見ない黒瀬は、俺自身の吐き出したもので濡れた、薄い下腹部に手を伸ばした。
「ひぁっ……!」
ぬる、と滑る手のひら。それだけで大きな声が出てしまい、パッと口を覆い隠す。
その様子に少しだけ笑った黒瀬は、悪戯な色をのせてようやく俺と目を合わせた。
「……キスだけで何回イった?」
「ぅえっ?!」
「いっぱい出したな。気持ちよかったんだろ、俺とのキス」
は、はぁぁぁあぁあ?!?!
ちょっと黒瀬さん、なに聞いちゃってるんですか?!?!
なに……なんなの? 黒瀬ってこんな恥ずかしいこと言っちゃうキャラだったっけ?!
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