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6月
これはツッコミの練習です。※浅黄
しおりを挟む(っていうか、もしかしてだけど……これって、浅黄くんと親友になれたってことなのでは?!)
友達から親友になる基準って良く分からないけど、家に呼ばれてるんだから十分親しい仲だと言えるだろう。
わー、なんかそんな風に思ったらニヤケが止まらなくなってきた……! 俺にもついに親友(仮)が出来たぞ!
「ほんっと、優ちゃんってさ……」
弛む頬を両手で挟んでいると、浅黄が嬉しそうに微笑みながらこちらを見つめているではないか。
げっ、恥ずかしい……!
こんなことで喜んじゃって、お手軽ヤツ~とか思われてたらどうしよう。
「これから何するか分かってるの? それでも嬉しいって言っちゃうんだ?」
「わ、分かってるよ。練習でしょ……?」
確かに今の今までツッコミの練習に来ていることを忘れて、ただ初めてのお宅訪問を楽しんでいたことは否定できないけど、ちゃんと思い出したんだから許してくれよっ。
しどろもどろになる俺を追い詰めるように、浅黄が少しずつこちらに近付いてくるので、同じ分だけ俺は後ろに下がっていく。ついにはベッドに突き当たり、逃げ場を失った。
「んー、ごめん。優ちゃん可愛いから、練習じゃなくて本気になっちゃうかも」
「ええっ?! あの……僕、痛いのは嫌だよ……?」
っていうか、可愛いから本気になるってどういう原理?! 本気のツッコミとか、めちゃくちゃ痛そうじゃん。
まず覚えるべきはノリツッコミだと思うけど……ってことは、やっぱ最初は裏手ツッコミってやつか? 乙成くんって手まで綺麗なんだよな。この間の撮影で見た浅黄の身体は、脱いだら意外と筋肉も付いていたし、叩いたら硬そうだ。何度もツッコミを繰り返したら乙成くんの手が先に音(ね)を上げてしまうのではないか? はじめくらいはなんとか手加減してもらわないと……。
「や、優しく、してほしいな。……だめ?」
くらえ! 必殺☆お願いの上目遣い!
浅黄は息を飲んで動きを止めている!
こうかは ばつぐんだ!!!
「……はぁ……。ほんっと、優ちゃんって……」
ため息をついた浅黄は、綺麗にセットされた髪をかき乱す。いつも身なりに細心の注意を払っている男にしては珍しい行動だが、それだけ乙成くんのお願いパワーがすごいということだろう。ふふふ、可愛いだろう。優しくしたくなってきただろう。その調子でどうか練習はお手柔らかにお願いします!
すまんな浅黄。あざといということは分かっていても、俺はやっぱり痛い思いをしたくないんだ。
心の中で「してやったり」という気持ちと、「悪い子としたかも……」という申し訳なさがせめぎ合い、何とも言えない微妙な顔をしていたのかもしれない。俯いていた浅黄が顔を上げ、バチっと目が合ったと思ったら、男の俺でもドキッとしてしまいそうな顔で優しく笑った。
「いいよ。蕩けそうになるくらい、どろどろに甘やかしてあげる」
……………………うん?
そこまではお願いしてないんだけどね?
◇◇◇
「ん……っちゅ、ぁ……ふ、ぅ……っ」
ぐちゅ、くち、と重なり合った唇を動かすたびに、その奥で絡まる舌がいやらしい音を立てる。がっしりと抱き込まれた身体は逃げ出すことも出来ず、非難の言葉も全て浅黄の口に飲み込まれていく。
ただただ、快楽に溺れそうになる思考を必死に繋ぎ止めて、震える身体で自分にのし掛かる男にしがみつくことしか出来ない。
「っ、はぁ、かわい……キスも初めてかな。ちゃん呼吸してね」
「ふぁ……っ、あさ、浅黄くん……!」
唇が離れた瞬間、顔を背けると、ちゅっ、ちゅっ、と軽い音を立てながら、浅黄は至る所にキスを落とす。
あ、あれ? っていうか俺、今なんで押し倒されてんの??
「浅黄くんってば! まって……っ」
「ん、怖くなっちゃった? 大丈夫だよ」
違くてっ! そうじゃなくて!
なんでツッコミの練習で服を脱ぐ必要があるんだ⁈
やめろ、シャツを捲るな。手を入れるな! 乳首をいじるな~~~~!
「んっ! あっ、や……っ♡」
器用な指先がシャツの隙間から忍び込み、くにくにと胸の突起をいじくりまわす。服の下に隠れて見えなくとも、そこが徐々に芯を持ち、転がされるように遊ばれているのがわかった。
「ふ、ん、……んっ♡ ん♡」
いやー本当に、乙成くんの乳首は立派な性感帯に成長しましたねぇ(棒)
まじで現実逃避でもしていないと、今の自分に襲いかかっている事実を受け止めることなど出来なさそうだ。浅黄はしつこいまでに乳首への愛撫を繰り返す。
いきなりぎゅうっと音がしそうなほどの力で摘んだかと思えば、つんと尖った先を触れるか触れないか、ぎりぎりの距離で優しく擦ったり。そんな緩急つけた責苦に童貞歴17年の俺が太刀打ちできるはずがないだろう。
「ぁ、……ちくび、触らないでっ、んぁっ」
「ふふ♡ きもちいーい?」
「気持ち、くない……っ♡」
嘘。超嘘。
ばっちり勃起するくらい感じてます。
もちろんそんなことは浅黄にもバレていたようで。荒い息を吐きながら否定の言葉を吐く俺を見て、クッと唇の端を上げると、低くひそめるような声で囁いた。
「嘘つき」
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