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6月
side 青島-6
しおりを挟むなにか言いたげな雰囲気を醸し出していた優太きゅんも諦めたのか、黙々と手を動かしていた。
はぁ。優太きゅんが清らかすぎてしんどい。
こんな天使を現実と妄想で汚してしまうなんて、俺はなんて最低な奴なんだ。
優太きゅん、絶対「おなにーってなに?」とか言っちゃうタイプだって。ちゃんとした男子高校生にも拘わらず、そんな発言が許されちゃう至高の存在。あ、でも俺的には優太きゅんなら、どんなパターンでも大好物だから「えっちなことしよ♡」って誘ってきちゃう系でも全然アリだし、どうせなら「青島くんのおちんちんおっきぃね♡」とか蕩けた声で言ってほしい。
あれ? 俺、反省してたはずなのに、何でこんなこと考えてるんだっけ?
「あ! あのね、昨日青島くんが僕の頭を冷やすのに使ってくれた体操服、今うちで洗濯してるから。明日には持って来られると思うんだけど、授業とか平気かな?」
妄想の世界にトリップしていた俺に、優太きゅんがそう言って声をかけてきた。
「……乙成が持ち帰って、洗ってくれたのか?」
「厳密には洗ったのはお母さんだけどね。いろいろありがとうの気持ちだよ」
「そうか」
優太きゅんが持って帰って、優太きゅんのお母様が洗濯をしてくれたんだ……。優太きゅんの家で。
ん? 待てよ? ってことは、俺の体操服は、もしかしたら優太きゅんが昨日履いていたパンツと一緒に、洗濯機の中で回っているかもしれないっていうこと???? もし、お母様が下着は別洗い派だったとしても、少なくとも優太きゅんが着ていた体操服とは一緒に洗われているはず……。優太きゅんの洗濯物と一緒に洗われた、優太きゅんと同じ匂いのする俺の体操服。うん、これはもう一生着ないで家宝にするしかないよね。それをどこに飾ろうかと考えるだけでニヤニヤを抑えることが出来ないぞ。いかんいかん、平常心っと。
「直さないといけないのは、これくらいかな?」
「そうだな」
「じゃあ大丈夫なやつだけ、体育教官室に運ぼっか! っわ……」
この2日間で、知識として蓄えていた優太きゅんの行動パターンを、更にアップデートした俺は、多分彼が重いダンボールをそのまま持ち運ぼうとして、転びそうになることを予想できていた。今度は怪我をする前に支えることが出来たとホッとする。
「ご、ごめんね。ありがとう……」
「乙成はこっちの小さいやつを運んでくれ。俺がそれを持つから」
「うん……」
華奢な腕から大きなダンボールを受け取り、優太きゅんには少しでも軽いものを運んでもらおう。何もしなくていいよ、なんて言っちゃうと、きっと寂しがってしまうから。問題なく出来る範囲のところを手伝ってもらえれば、俺はそれで十分なのだ。
「青島くんすごいね。やっぱり野球部で筋トレとかしてるの?」
「え? そう、だな。雨でグラウンドが使えなかったら一日中トレーニングだし、家でも少しはしてる」
「へぇ……トレーニングかぁ」
先ほど自分では持てなかった物を、俺が事も無げに持ち上げてしまったからか、優太きゅんは少し羨ましそうな目をして俺のことを見ていた。
優太きゅんから熱く注がれる羨望の眼差し。……悪くないな。
ドギマギしながらその視線を受け止めていると、一瞬、ちょっといたずらっ子のような顔をした優太きゅんが、上目遣いで可愛くお願いをしてくるではないか。
「ねぇ、ちょっと腹筋、見せてもらえないかな?」
「え⁈」
「僕、もっと男らしくなりたいんだけど、なかなか筋肉が付かなくて……。ほらダイエットも、なりたい体型を思い浮かべながらした方が、理想に近づくって言うでしょう? 芸能人とかだと雲の上の存在過ぎて実感が湧かないから、身近にいる人を目標にした方がいいかなって思って! ダメ、かな……?」
もう、なにこの小悪魔ーーーーー!!!!
全然駄目じゃないし、むしろ全部脱ぎさって、その上で君に抱きつきたい!もちろん、そんなこと出来ないって分かっているけどね。
「そういう、ことなら……」
「わぁ! ありがとう~♡」
嬉々として脱ぎ始めたらきっと引かれてしまうから、仕方ないなぁ~っていう感じの雰囲気をアピールしつつ腹筋を曝け出した。それだけでとっても嬉しそうな優太きゅんは、息がかかるくらいに近くまでその可愛い顔を寄せて、俺の腹筋を舐め回すように見ていた。う、なんだか恥ずかしいな!? これ!?!? 視姦プレイの一種のようで、なんだかムズムズしてくる。
「も、もう良いか?」
「あっ、ごめんね……! ほら見て。僕もおうちで筋トレはしてるんだけど、全然でしょ?」
このままだと、また良からぬ所が反応してしまいそうで。俺は隠すようにして腹をしまった。しかし、それを見て何を思ったのか、今度は優太きゅんがその白いお腹を曝け出してしまったではないですか!!! なんでなの!!!!
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