乙ゲーヒロインの隣人って、普通はお助けキャラなんじゃないの?

つむぎみか

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6月

side 青島-5 ※

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 ――― ばたん。

 扉の閉まる音がして、保健室の中がいきなり静かになる。遠くの方で聞こえる、運動部の掛け声と、優太きゅんの少しだけ苦しそうな寝息だけが聴こえる。

「守れなくて、ごめんな……」

 怪我をさせてしまった後悔で胸が張り裂けそうだ。そう呟いて唇を噛むと、優太きゅんが小さく声を漏らした。

「ぅ、ん……はぁ……」
「…………」

 ただの寝言。ただの寝息。
 それなのに、薄っすらと開いた唇の隙間から、艶々つやつやに濡れた舌がちらりと見えてしまうと、もうダメだった。突然のハプニングで一時治っていた俺のちんこが、再び元気を取り戻してしまう。

(ううう……! 俺ってやつは……!)

 目の前にいる推しが、怪我で苦しんでいるというのに。不甲斐ない。でも、一度エロスを感じてしまうと、先ほど聞いた生の喘ぎ声や、魅惑のお尻ダンス、乳首の色やその感触まで、つぶさに思い出してしまって、もう我慢が出来なかった。

 目の前には眠れる保健室の推し。最高のオカズだ。そして、保険医はあと30分は帰ってこないというのだから、図らずも舞台は揃ってしまったようだ。他の生徒がやってくる危険性はあるが、それよりも俺はこの身体に燻る熱を解放したくて堪らなくなっていた。

 胸の中で小さな罪悪感が芽生えるが、無理やりそれから目を背けると、起きる気配のない優太きゅんの横で、ちんこを曝け出す。

「はぁ……、はぁ、はぁ……っく……」

 伏せられた、まつげの一本一本までが美しい。
 優太きゅんの造形美に感銘を受けながら、今日見たもの、聞いたことを一つ一つ思い出していく。

 ずちゅ、ぐちっ、ぐちっ、ぐちっ

 あまり大きな音を立てて、優太きゅんが目を覚ましてしまったら、それこそ終わりだ。しかし、そんな背徳感と非現実的な環境、そして目の前にいる天使の寝顔に俺の興奮は止まることを知らず、どんどん溢れ出る先走りによって、卑猥な水音は大きくなるばかりだった。

「優太きゅん……かわい……っえろ、い!」

 そのわずかに開いた口に、この肉棒を突っ込んだらどうなるんだろう。
 流石に目が覚めてしまうだろうな。苦しくて目が覚めたら、いきなりちんこを突っ込まれていて。きっと優太きゅんは初めてだろうから、びっくりして泣いちゃうかもしれない。でもそれを無視して、喉の奥まで突っ込んで。そしたらぎゅぎゅぎゅーって喉が締まって、俺は思わずそのまま……。

「……っう! は、……はぁっ……」
 びゅぷっ、びゅるるっ

 最低の妄想をして、俺は大量の精子を吐き出した。それのほとんどは床へと落ちたのだが、勢いよく飛び散った幾つかの飛沫が、あろうことか優太きゅんのつるんとした頬にかかっていた。
 賢者タイムでぼんやりしていた俺だが、その事実に気づくと慌てて拭くものを探すのだった。

 床を大量のティッシュで拭き清め、優太きゅんのほっぺはベタベタしたのがバレないように、部活後に使うために持っていた汗拭きシートで優しく拭う。一部だけ拭かれていることに違和感を感じてしまったらいけないし、全部綺麗にしてしまおう。万が一、知らないところに精子が残っていたらまずいしな。
 最後の仕上げとばかりに窓を開けて、室内の換気をするとようやく一息ついた。

 そうして己のした所業を改めて思い出し、完全なる自己嫌悪に陥るのだ。

「お、俺は……! 推しに対してなんてことを……」

 現実へと引き戻された俺は、その場に留まることが出来ず、真っ青になって保健室から逃げるように立ち去った。








 気を失って倒れた推しの真横で、こともあろうにソロプレイに励むという、俺史上最悪のことをしでかした後。その罪悪感を埋めるために、残りの作業を全て一人で終わらせて体育教師へ報告へ向かった。

「……で、乙成は大丈夫なのか?」
「もう目が覚めたかは分かりませんけど、一応は平気だと言われました」
「そうか。しかし、明日からの作業内容も少し考えてやらんといけないな」
「そうですね。是非そうしてあげてください」

 ……確かに俺はそう言った。

 前日に頭を打って倒れた優太きゅんに、炎天下の中で作業させるなんて絶対にしたくなかったし、どうせなら実行委員免除でもいいくらいじゃないかと思っていたくらいだ。

 しかしだ。なんで俺まで同じ作業に⁈


「青島くん、なんかごめんね? 僕に付き合わせて……」
「いや、全然……」


 そう言いながらしょんぼりと手にしたゼッケンを点検している優太きゅん。めちゃくちゃ可愛い。
 昨日体育教師が言っていたとおり、優太きゅんの作業は体育祭当日に使うゼッケンの仕分け作業だ。そして、お目付け役ということなのか、なぜか俺まで一緒の部屋で同じ作業をしている。

 決して嫌なわけではない。優太きゅんと再び同じ空間に居ることが出来るなんて、俺にとってはご褒美でしかない。
 でも今日はだめだ。昨日あんなことをして、しかもそれだけで満足できなかった俺は、家に帰ってからも優太きゅんをオカズに3回は抜いた。申し訳なさと恥ずかしさ、そして昨日のアレソレを思い出してしまいそうで、優太きゅんのことが直視出来ないんですけど!!!

「昨日のことも。結局迷惑かけちゃって……保健室に運んでくれたの、青島くんだよね。リストの残りも一人でやらせて……本当にごめん」
「大丈夫だから。謝られた方が困るし、やめてくれ」
「う、うん……」

 なんてったって、その後俺は君の隣でオナってますからねー!!!!
 謝らなきゃいけないのはむしろ俺ですから!!!!

 居た堪れない気持ちに包まれて、俺は無心でゼッケンの点検を進める。




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