乙ゲーヒロインの隣人って、普通はお助けキャラなんじゃないの?

つむぎみか

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5月

これって練習なんだよね!? ※赤塚

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「れっ、練習……?!」
「女の人は怖いけど、先輩ならこんなに綺麗でも本当は男ってわかってるから」
「う、うん……?」
「一生童貞なんて、辛すぎます。だから先輩、俺が女の人に慣れるように協力してくれないですか?」
「赤塚くん……」

 童貞でいることの辛さ、切なさは、誰よりも俺自身が理解している。きっと赤塚はこんなイケメンなんだから、沢山のチャンスがあったのに。悉く上手くいかずに自信が無くなってしまっているんだろうな。可哀想な話だ。少しでもその自信を回復させてあげる事が出来たら、きっと次は上手くいくんじゃないだろうか。
 初めて出来た後輩に、心底頼られているというその状況に酔っていた俺は、頼まれているとんでもない内容の違和感を完全に無視して、寧ろコイツを助けられるのは、気持ちが分かってあげられる自分だけなのだと思い込み、いつの間にか快諾していた。


 ***


「だからってなんでビジネスホテルなの?!」
「だって喫茶店で練習なんて出来ないですし……。制服のままだからラブホは無理なので。本当はラブホが良かったんですけどね、色々揃ってるし、通い慣れておかないと、彼女と行った時に何も分からなかったら格好悪いでしょう?」
「そ、そうかなぁ……」

 それは逆に遊び慣れてるって思われるのではないだろうか、と思ったのだが、赤塚の場合はその方が様になるのかもしれないと考えて言うのをやめた。先輩に触るんだから、いろいろ綺麗にしてきますね! と喜び勇んで風呂場に直行した赤塚が出てきたので、俺も風呂に入ろうかと言うと「先輩に汚いところなんて無いですし、寧ろそのままでいて下さい!」と頼み込まれた。
 全く意味は分からなかったが、ここで俺まで風呂に入ってしまうと、本当にセックスをしに来たような感じになってしまうので、敢えて入らないことにする。ただの練習なんだから、ある程度他人へ触ることに慣れたら、今日は終わりにすればいいだろう。

 俺の見立てでは、赤塚は何か精神的なプレッシャーで勃起しなくなっているような気がする。他人に見られている中で、勃たせなきゃいけない!と意気込んでしまう結果、余計に勃ちづらくなってしまっているのでは無いだろうか。そうであるなら、俺がいる場でも勃起さえ出来るようになれば、きっと自信がついて次の機会には成功できるはずだ。
 バスローブを着た赤塚から、準備が出来たと声を掛けられた俺は、赤塚を自分の座っているベッドの傍へと呼ぶ。

(な、なんだか緊張するな……でも、僕が先輩としてしっかりしないと……)

「えっと。そしたら、まずは何をしたらいいですか?」
「はじめは……やっぱり、き、きす……かな」

 キラキラとした瞳で見てくる赤塚の眩しさに目がくらみながらも、精一杯の知識を総動員して「他人と触れ合うこと」に慣れるような行為を進めていく。

「先輩は、キスした事あるんですか?」
「あ、あるよ……!」

 男とだけどな!とは言わなかったが、実は俺も童貞なんだよね~なんて言ってしまったら、先輩の威厳がなくなってしまう気がして、少し見栄を張って答える。

「……へぇ。そしたら俺にやり方を教えてください!」
「え、教える……?」
「はい。俺自分からキスをしたいって思わなくて。どうやったら良いのか教えて欲しいです!」

(そこまで女の人に嫌悪感があるのか……)

 思った以上に重症かもしれない、と考えながら、可愛い後輩のためだとその唇に自分のモノを重ね合わせた。


 ―――ちゅっ……


 軽いリップ音が部屋に響き、急に恥ずかしくなって顔面にぶわっと血が上る。
 俺いま絶対、顔が真っ赤だと思う……。

「……随分、可愛いキスですね。いつもこんな感じなんですか?」
「ん……っ!」

 俺の動きを真似する様に、ちゅっちゅっ、と赤塚が繰り返しキスを仕掛けてくる。

 おいおい!
 イケメン順応力高すぎないか?!そんなにすぐ慣れるのかよ!

「それとも先輩可愛いですし、いつも積極的な年上のお姉サンがお相手なんですか?」
「……ぁっ、んんっ」

 息継ぎで口を薄く開いた瞬間、赤塚の舌が内へと侵入してきた。

(ちょ、ちょ、ちょ……ちょっと待って……!)

 くちゅくちゅと分厚い舌を擦り合わされ、黒瀬によって開発されてしまった俺の咥内は、貪欲に快感を拾ってしまう。

「ぅんっ♡ んっ、んっ、………んぁ……♡」
「先輩、かわいー。キスだけでふにゃふにゃですね?」
「ふぁん……っ!」

 唾液に濡れた唇をぺろりと舐められ、その刺激にすら震える身体を赤塚に笑われた。

 こいつ後輩のくせに随分余裕じゃね?!



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