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5月
どうやら逃げられないようです ※黒瀬
しおりを挟むずずず、とゆっくり這いずるようなスピードで挿入される。
「ぅぁああっ、ん♡ ん~~~ッ」
「全部は、無理か……」
奥までみっちりと挿し込まれている感覚がするというのに、これでも全て含まれていないというのだろうか。とんでもないな。
「も、くるし……ッ」
「ん。今日はここまででいい。また今度、奥まで入れてくれな」
そう言って黒瀬は含める限界までを味わうように、力強く抜き挿しを繰り返す。ぬちゅぬちゅと淫猥な音を鳴らしながら、先ほど指で見つけられた快楽のポイントにトン、トンと熱い肉棒を充てられた。
黒瀬の陰茎を突き入れられた腹の奥がじくじくと疼く。
「…っ♡ ……っ♡ ~~~~~~♡♡♡」
遂に、どぷッ… と精液を流し込まれると奥が満たされたような気分になる。
「は、… ふぅ……」
気持ち良さそうに息を吐き、最後に二度、三度とダメ押しのように擦り付けた後、ぬぽっと音をさせて肉棒を引き抜いた。
それまでに既に三度も精を出している俺のペニスは、もはや緩く芯を持つのみだった。それでも与えられる快楽に、とぷりと残ったわずかな残滓を吐き出し、そのまま俺は力尽きたのだった。
***
「で、どうでしたかぁ?」
「どうでしたかって……」
翌日、晴れやかな顔をしたミユが再び俺の部屋を訪れたのは、黒瀬が帰った昼過ぎのことだった。
この女神は一体何をどこまで知っているのだろうか。苦笑いで返す俺に聖母のような微笑みを添えてストレートに問いかけてくる。
「もちろん黒瀬くんとのセックスですよぉ~! 言わせないでください♡」
昨晩のことが何故にここまで筒抜けなんだ……!
女神様の御力に愕然とする。
「ミユはこの世界の神様ですからね♡ 全てお見通しなのですぅ~」
「左様ですか……」
「で? 感想聞かせてください♡」
「…………」
「んん~?」
「………かった…」
「もう一声っ♡」
「~~~ッ 気持ちよかったですよ!!」
「っきゃーー♡ それならよかったぁ♡」
嬉しそうな声を出してクルクルと回り出したミユと反比例するように、俺の気持ちはどんどん落ちていく。
「うふふ♡ あ~早く他の人との関係も進めて、いろいろな世界を私に見せてくださいねぇ~」
「ちょ、ちょっと待って……?」
「はい?」
「この際だから正直に言うけど! 僕はもうこれ以上男の人と関係を持つつもりはないから!……黒瀬くんとお付き合いしてるわけではないけど、ふ、二股とか、そういうのは僕にはやっぱり無理だから!」
そう叫ぶ俺に一度キョトンとした顔を見せた後、笑い出したミユ。
「ハーレムを希望って仰ってた方が素晴らしいことですねぇ」
「僕は……一度にいろんな人を愛したり、そんな器用なこと出来ないと思って……」
「ふふ♡ 優くん、それは違いますよ。優くんにそんな器用さなんて求めていません」
「……え?」
「純愛エンドもいいんですけどぉ。残念ながら、既に皆さんの好感度が上がってる状態なので~ いきなり他の方に対して冷たくしたり、誰か一人に偏ってしまうと定番通り、変な噂が立つようになってしまいますぅ」
「ひぇ……!」
なんだってそんな地獄機能を残したんだ……
「だから優くんは、もう皆さんと仲良くするしかないないのですぅ。それに、優くんは自ら人を愛する必要はありません。ただ愛されればいいんですからー♡」
「愛されればいい……」
「はい♡ その流され体質の思いゆくままに、素敵なBLライフを送ってくださればぁ♡」
そ、そんな……
ああ、佐々木優太さん。
何度でも言わせてください。
もしトラックに轢かれてしまう未来が待っていたとしても、異世界転移はよくよく考えてから行ってください。
貴方の尻、何人もの男に狙われていますから……。
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