乙ゲーヒロインの隣人って、普通はお助けキャラなんじゃないの?

つむぎみか

文字の大きさ
上 下
59 / 162
5月

絶体絶命の俺

しおりを挟む


 変な男のせいで鬱々としていたところ、ミユがとびきりの笑顔を浮かべて俺の部屋までやってきた。

「優くん! 貴方って人は、もう完璧ですぅ♡」
「へ?」

 今にも躍り出しそうなくらいにテンションの高いミユは、俺の両手を掴み、胸元に引き寄せるとうるうるした目で俺を見詰めながら言う。

「こんなに一気に好感度向上が見られるなんてぇ♡ もう、次はどうなってしまうのか、楽しみで仕方がないですぅ~」
「そ、そう……ヨカッタネ」
「うふふ♡ 今日はそんな優くんに、一言だけ伝えたくて」

 はぁ……と熱い吐息を吐いて、恍惚とした表情を浮かべるミユはなんともエッチな風貌なのだが、その口から出てくる言葉は理解の範疇を超えた、異次元のものだった。

「お尻を使うときに例えスキンを使わなくても、お腹を壊すことはありませんし、優くんのお腹はいつも綺麗に準備されていますぅ♡」
「と、言いますと……」
「どれだけ中出しされても栄養になりますし、浣腸しなくても粗相をすることはありません♡」

 そう語るミユは、まるで夢みる少女ようだ。

「ちなみに言うと一般的に性感帯だと言われるところは少しの刺激でも快楽を拾うスペシャル仕様です♡ どうぞ、最高の初体験を楽しんでくださいね……!」



 ……へぇ~~~~~なるほどね。

 それ、なんて呪い?




 ◇◇◇



 ミユからそんな衝撃の告白を受けてから翌日。
 俺は今絶体絶命です。


 夜21時過ぎの我が家。
 ここは誰にも揺るがせない、俺の安息の地


 ……のはずだった。



 しかし今、そんな我が家で黒瀬と二人きり。
 更には問題の黒瀬氏は我が家の風呂に入っているのだ……――――


 いつもの如く、バイト終わりに家まで黒瀬に送って貰っていると突然のゲリラ豪雨に見舞われた。勿論、俺と黒瀬はずぶ濡れで、間もなく家には着いたものの、流石にそんな黒瀬をそのまま家に帰すことなんて出来なかった。俺のことを送らなければ雨に濡れることなんて無かったんだから。

 大丈夫だと断る黒瀬を半ば強引に家の中へ招くと、そこからは母さんの独壇場だった。普段連れてくる友達といえばミユくらいだった俺の、初めての男友達ということで大興奮した母さんは、俺が風呂に入っている間に黒瀬に食事と泊まりの約束をこじ付けていた。
 こんなことなら遠慮する黒瀬を無理矢理にでも先に風呂に突っ込んでおけばよかったんだ……と後悔をする。だって、黒瀬が雨が止んだら帰るからタオルと着替えを借りられれば十分だって頑なに断るのだ。そんな無理強いすることでもないだろう?

 しかし、まだそこまでは良かったんだ。
 例え泊まったとしても、そこには諸悪の根源たる母さんが一つ屋根の下にいるのだから、黒瀬も変なことは出来ないだろう。そうして俺は安心していたんだ。母さんの爆弾発言を聞くまでは。

 平常心を装って同じ食卓へ付いていると、おもむろに母さんが話し始めた。

「そうそう優太、この後ママちょっと出掛けるから」
「えぇッ ど、どこに?!」

 おいこら、ご飯が喉に詰まりかけたぞ。
 黒瀬の手も止まっているじゃないか。

「なにそんな驚いてるのよ~。実はミユちゃんのおばあちゃん、お風邪引いちゃったみたいでね。一人でお世話するのは大変だと思うから、今日はママ神崎さん家に泊まることにしたの」
「え……!」
「優太を一人にするのも心配だったけど、今日は黒瀬くんがいるし。それにママがいた方が気を遣っちゃうかもしれないでしょ?」

「そ、それは」
「…………」

 黒瀬よ! 何故否定しない……!

「明日の朝ご飯は用意してあるから。何かあったら連絡してね~」

 その言葉を残したが最後、さっさと出掛ける準備をした母さんは俺と黒瀬を残して、お隣のミユの家へと行ってしまうのだった。




しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

パパの雄っぱいが大好き過ぎて23歳息子は未だに乳離れできません!父だけに!

ミクリ21
BL
乳と父をかけてます。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

弟の可愛さに気づくまで

Sara
BL
弟に夜這いされて戸惑いながらも何だかんだ受け入れていくお兄ちゃん❤︎が描きたくて…

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

処理中です...