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4月
衝撃の事実
しおりを挟む――可愛い女の子に囲まれている。
その状況だけをみれば、以前の俺では考えられないくらい幸せなシチュエーション。しかし、その美少女達の裏の顔を知ってしまっているが故に、素直に喜べない自分がいる。
「そ、それで……改まってどうしたの?」
「うふふ~。今日は攻略対象達と着実にフラグを立て続けている優くんに、朗報があるんですぅ♡」
「いや、僕、そんなつもり全くないんだけど?!」
誠に遺憾である。
「いやいやいや。もし今までの行動が全く意識していないんだったら、それはそれで天才的すぎるわ」
「ほらね、サキさん。だから言ったじゃないですかぁ。優くんは逸材なんですって~」
「だってここまで急速に、フラグ乱立なんてできるもん? まだ4月だよ?」
「それが優太の逸材たる所以ね……」
おーい、頼むから置いていかないでくれー。遠い目をし始めた俺に気づいて、ミユが慌ててこちらに向き直る。
「つまりですね~? 優くんはすでに複数名から、標準以上の好意(色欲含む)を持たれているんですよぉ♡」
「は、
……は、はぁぁぁぁああぁあ!?」
乙成くんになってから初めて、腹の底から声が出た気がする。標準以上の好意(色欲含む)ってどういうことだよ?
特に(色欲含む)ってところ! 聞き捨てならないんですが!
「本当に想像以上でびっくりだよ。正直、乙女ゲームからBL展開なんて無理じゃね? って思ってたけど、こんなにとんとん拍子で進むものなんだな~」
あははと嬉しそうに笑う御子神さん。
いやいやお姉さん、全然笑えないです。
「いやー、元がめちゃくちゃ平凡そうな奴だったからって、イージーモードにしすぎたかねぇ?」
「難易度で大きな変化は付けてないはずだわ……」
「元々の優くんのポテンシャルもあると思いますけどぉ。そこに元来の性格が合わさることで、とてつもない破壊力を生んでいるようですね~」
なにそれ。
全然嬉しくないんですけど。
俺が女の子と出会う前に、そんなフラグいつの間に出来てた訳? どのタイミングで!?
「このままだと、多分近いうちに誰かしら進展するでしょうねぇ」
「し、進展とは……?」
「つまり、貞操の危機……」
貞 操 の 危 機 だ と
無理無理無理。絶対に、無理!!!!
「そ、それって、なんとかして回避できないの……?!」
「ん~それは優くん次第ではないでしょうかぁ。現在の状況も、特にこちらが操作をした結果ではありませんし~」
「頑張れとしか言いようがないけど、私らは今のままが最高だと思っている」
「むしろさっさと次へ進んでほしいくらい……」
「…………」
この世界に味方はいないのか。
ああ、今は亡き佐々木優太さんへ。
もしトラックに轢かれてしまう未来が待っていたとしても、異世界転移はよくよく考えてから決めてくださいね。
貴方の尻、狙われていますよ………。
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総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
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