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4月
独り言って、拾うべきかどうか悩むよね
しおりを挟むさすがに芸人目指そうぜ! とか言うタイプではないし、ステージに上がるような何かじゃないと信じたいけど。ド素人相手にあまり期待値上げられても困りますからね?!
ここはやんわりと、人前は嫌だよ~時間ちょうだい~とアピールしておくべきかな……。
「浅黄くんに見せるのはいいんだけど、他の人にはちょっと……恥ずかしいから……。れ、練習して、その、自信がつくまで待って欲しいな」
「練習」
「……だめ、かな……?」
秘儀・乙成くんの上目遣い&小首傾げるポーズ!
「ちゃんとツッコめるように、頑張るから」
「っ……全然だめじゃないよ! そこまで頑張ってくれるなんて信じられないし、正直言うと、その練習見せてくれって感じだけど、優ちゃんの気持ちを優先する」
うむ。乙成くんの伝家の宝刀を使って、うやむやにしてしまったことに若干の罪悪感を感じ、目を逸らしてお礼を言う。
これ、実は昨日の夜にこっそり練習したんだよな。俺の中で最強の乙成くん。鏡を見ながらの練習は視界の暴力が凄かったし、正直最高の角度を見つけてしまったと思う。あの顔でお願いされたら、仕方ないなぁって思っちゃうよね。反省はしてない。
「う。えーと……じゃあ外で待ってるから。着替えたら一着ずつちゃんと俺に見せてよ? チェックするから」
「うん。わかった!」
そこから持って入った服を全て試着し、浅黄のオッケーが出た服の中から、厳選して一着だけ購入した。
こうしてリアル着せ替え人形ごっこ(される側)を楽しんだ俺は、思っていた以上に疲れていたようで、時間の余裕もあったのでカフェに寄ってから帰ることになった。まさかこの俺がカフェでお茶をする日が来るなんて……。
「そういえばさ、今日会った転入生なんだけど。優ちゃん気をつけてね」
「え、黒瀬くんのこと?」
「なぁーんか……アイツ気にくわないんだよねぇ。ま、理由は分かってるんだけどさ」
「うーん、目付きはちょっと悪く見えるけど、いい人だと思うよ?」
昨日は本当に殺されるかと思うほどの圧を感じたけど、今日会った時は雰囲気が柔らかくなってた気がする。あんな風に笑いかけてくれるとは思わなかったし、無愛想な顔からのギャップがすごいっていうか……。
俺としては、二人が仲良くしてくれた方がありがたいんだけど、やっぱり水と油って感じなのかな? 無理に仲良くさせたい訳ではないからな。一応フォローはするけど、それ以上のことは言及しないことにした。
残念ではあるが浅黄が黒瀬を苦手だったとしても、俺個人が友達になるのは問題ないだろう。仲良く出来ないと女の子紹介してもらえないしさ。
「優ちゃんはもう少し警戒した方がいいと思う……いや、むしろ気付かない方が安全なのか?」
またしても変なスイッチが入ったのか、浅黄がぶつぶつ言い出してしまった。
ちょっと、もう少しはっきり話してもらわないと聞こえないって! それとも聞かなくていい内容ってことなのか? 人と話してる途中で、いきなりひとり言に切り替えるのは良くないと思う。高度テクニック過ぎて付いていけないからやめて欲しい。
「その分俺が守ればいっかぁ」
「? 何を?」
「はは、気にしないで~ 俺は優ちゃんの騎士って話」
どういうことだ。
自己解決すんなし。
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