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プロローグ ~俺と女神と僕~
ゲームのジャンルってとっても重要
しおりを挟む今思い返せばなんて残念な願い事なんだろうか。童貞丸出しである。
しかしこの願いが女神たちの求めたものと一致するというのならば、もしかして叶えてもらえるっていうことなのか!? ついに俺にも可愛い彼女ができるってことなのか!?!?
「まったく残念じゃありませんよぉ♡ そうです~可愛い彼女かどうかは貴方次第ですが~」
「確約されてるわけじゃないのか!?」
「もちろんですよ~予定調和の世界なんて、作っても面白くないじゃないですかぁ♡」
た、たしかに。ネタバレ踏んだら続きを読む気がなくなる漫画だってあるし、やっぱり一番最初は「この先のストーリーがどうなるか分からない」っていう、わくわく感を楽しみたいよな。しかしそうなると、女神のいう世界に行ったところで、俺に恋人が出来ない可能性も大いにあるわけで……。
「うーーん、可能性としてはゼロではありませんが~……ああでも、もし貴方がミユル達の作った世界に来なかった場合、貴方の魂はこのまま消滅することになりますぅ」
「ええ!? こ、このまま!?」
「本来ならあの神社で、貴方には未来の選択をしていただくはずだったんです~そのために顕現させたモノでしたのでぇ。もしそこでお断りされるようなことがあれば、その時の記憶は消したのち、何事もなかったかのようにトラックに轢かれる未来へと進みますぅ」
自分が死んでいたかもしれない、ということを改めて突きつけられ、俺は背筋にゾクリと悪寒が走った。
「ですが、佐々木優太さんはこちらのお話を聞く前に、神社の石段から落ちてしまわれたんですよねぇ。こちらが干渉することで、まさかあんなことになるなんて思ってもみなかったのですが……そのおかげで貴方の肉体は既にお亡くなりになっています~♡」
「ええええええええ!?」
「つまりは、貴方はもうどちらかを選ぶしかないのですよ~」
そう言って微笑む女神様の周りには、あの神社を見つけた時のように桃色の花びらが舞っていた。だんだんと濃くなる霧のように、世界がピンクで塗りつぶされていく。
「叶えられることのない願いを抱えたまま、ここで消えてなくなるか。それとも新しい世界で新たな人生を歩むのか……♡」
そんな二択、実質一択しかないようなものだろう。
答えはほとんど決まっていた。それでも、自分の中にある最後の理性みたいなものが、問いかけてくる。果たして俺は、この現実離れした状況を受け入れて、このまま流されていてもいいのだろうか? と。ふとそんな不安が頭を過ぎるのだ。
(でも、受け入れなければこのまま死ぬ……。こうなっていなかったとしても、トラックに轢かれて死んでいた。それが事実で、これから向かう世界が俺の願いが叶うような場所なのであれば、一度行ってみるのもあり……だよなぁ……?)
「うふふ。そうですよ~♡ 答えは決まりましたかぁ?」
「ああ、決心がついたよ。俺は新しい世界に行って、第二の人生で薔薇色の生活を繰り広げてみせる……!」
強い決意を胸に、俺がそう叫ぶと美癒流之命はまさに女神といった相貌で微笑んでみせる。ピンク色に染まった世界の中で、俺の意識は少しずつ薄れていった。
「嬉しいですぅ♡ それでは……あちらの世界でお待ちしていますねぇ。乙成優太さん」
「ようこそ、私たちが作った"乙女ゲーム"の世界へ♡」
……って、乙女ゲームなのかよ!?!?
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