7 / 162
プロローグ ~俺と女神と僕~
神のみぞ知る世界
しおりを挟む「んーー、ハッキリとした原作があるわけではないので、二次創作とは少し違うかもしれませんねぇ。いろんな作品のいいとこ取りをした、ごちゃまぜ新作ゲームってところでしょうか……基本としている世界観がゲームなので~」
「ごちゃまぜ新作ゲーム」
「はい~。とはいえ、キャラクターとなる人物達も自我があるので、決まったシナリオがあるわけではないんですぅ。それぞれが、自分たちの意思で考えて生活をしていますね~。そう考えるとミユル達は世界観や外観を決めているだけなので……プログラマーやデザイナーみたいなものが近いのかもしれませんねぇ」
まぁ実際にサブカル業界で働いている人たちも、趣味の延長で勤め先を決めたり、その好きな物を作る職場を夢見ることも多いと聞くし……神様は世界を作るだけの力があっただけだって事だよな。とんでもない話だ。
「それで? 創造神の美癒流之命サマは、自分の作った世界を眺めて楽しんでいるっていうことか?」
「もちろん、眺めて楽しんではいますよぉ? ……でも、それよりも、ミユル達は自分の作った世界で巻き起こる様々なことを一緒に経験したかったんです~。一人の登場人物として」
「登場人物……」
「そうですぅ。私たちが作った世界がゲームであるとするならば、ミユルがいわゆるヒロインのポジションなんですよ~♡」
にっこりと胸を張って自慢してくる女神様。え、可愛すぎんか?
あざといポーズにコロッと引っかかるオタクとしては、こんなヒロインがいたら即落ち間違いなしなんですが。
「で、でも他にも一緒に作った人がいたんだろ? みんなヒロインになりたいものなんじゃ……」
「そこはジャンケンで勝ちました。三本勝負の勝ち抜き戦です」
まさかのジャンケン。
神様もジャンケンで勝敗決めるんだ……。
「私たちが何年も何年もかけて練り上げたんです~もちろん最っっ高の世界が出来たんですよぉ。でもね、ある時気づいちゃったんです」
そう呟いた美癒流之命は、どこか遠い目をしていた。
「ミユルはヒロインになりたかったんじゃないだぁって。だって当事者になってしまったら、有る事無い事色んな人の妄想がし難くなっちゃうじゃないですか~」
「な、なるほど……分かるようで分からんような……」
「分かってくださいよぉ。ミユルは原作改変はあまり好きではないんです~。そのためには少しだけ離れたところから、第三者として眺めていたい……主役じゃなくていいんです! 壁になりたいんです!!」
どんどん熱の入ってくる女神に反して、俺の方は若干引き気味です。
そういうもんなのか? 俺はハーレムの中心になる主人公になりたいけど。
男女の差なのか、サブカルの楽しみ方の違いなのか。俺には理解し難い考えに首を傾げていると、それに気づいた女神様は、うんうんと頷きながら話を続ける。
「そう。そこで佐々木優太さんの出番なんですね。実は……貴方はあのまま学校に向かっていたら、少し先の交差点でトラックに轢かれて亡くなっていましたぁ」
「な」
亡くなっていましたぁ
……じゃねぇよ!!! どんだけサラッと重大なこと発表してくれちゃってんだ?! この女神様は!!!!
「亡くなった佐々木優太さんは、それはそれは無念の想いを抱えられていたんですよぉ。『ピチピチのセブンティーンなのに~~』『恋人も出来たことないのに~~』『一度もセッk「う、うわぁぁあぁあ!!!!!!! やめてくれ!!!!!!!!!」
「……うふふ♡ なのでぇ、そんな非業の最期を迎えることのないよう、そうなる前に貴方の魂をこちらにお呼びしようとしたんですよ~。貴方の魂の願いは、ミユル達の求めているポジションにぴったりだったんですぅ」
魂の願い……?
そうか、確かに俺は願っていた。あの神社で。心の底から願ったはずだ。
『えーーー神様。美癒流之命様。どうか最後の高校生活こそは素敵なお相手に出会えますように……。あわよくば、ゲームの世界みたいにいろんなタイプの子と仲良くなっちゃったりして、ドキドキワクワクなハーレム生活を送ってみたりしたいです! むしろテンプレキャラたちと出会いたいです! めちゃくちゃ恋したいです!!!!!』
24
お気に入りに追加
1,347
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる